まほぷり☆変身?!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
08/01〜08/05
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●本文
七つの虹を超えたその向こう。
色とりどりの花が咲き乱れる場所にその国はありました。
夢と希望と魔法で出来たそのハッピー王国の王女様は、世界をハッピーにする為に今日もお供と一緒に旅を続けておりました‥‥。
「うっふぅん♪」
王女様達ご一行を岩山の影から見張っていた魔女は、怪しく微笑む。
「こーのあたくしを差し置いて美しいって言われているのは、間違いなくあの王女ぉ?」
訪ねる先は、魔法の鏡。
魔女の側に常に浮遊していた鏡はコクコクと頷く。
「ふぅん。それって、ぜーったいゆるせないわよねぇん?」
パチン!
魔女が指を鳴らす。
その瞬間、王女たちご一行の真上に雷雲が発生!
激しい雷雨が王女達を襲い、そして‥‥。
「きゃーっ!」
「姫っ!」
雷に打たれた姫を、お供のものが抱き起こす。
「お怪我はありませんか?」
「ええ、大丈夫‥‥」
軽く頭を振って、王女は微笑む。
雷に打たれたというのに、特にこれといった怪我はないようだ。
だが王女の顔を見た瞬間、お供は思わず王女を落っことしそうになった。
「えええええ?!」
「どうしたの?」
きょとんとする王女を、他のお供たちも唖然として見つめる。
恐る恐る、別のお供が王女に鏡を差し出す。
「ええええええっ?!」
王女も叫んだ。
そこには、自分とはにても似つかない別人の姿がっ!
「これは‥‥恐らく呪いですね‥‥」
お供のものが深く溜息をつく。
いきなり現れて消えたあの雷雲は、何かの魔法だったに違いない。
そうこうしている内に、王女の姿がまたしても変わる。
今度は妙齢の美女だ。
「姿が安定しないようですね。恐らく、王女の魔力に反応して本来の効き方とは別の効果になってしまったのでしょう」
もっともらしくお供のものが解説するが、解決にはなってない。
「世界をハッピーにしなくちゃいけないのに、わたし、どうなっちゃうのーーーー><!」
王女の叫びがこだました。
☆出演者募集
魔法のプリンセス☆、略してまほぷり☆、出演者大募集。
世界をハッピーにする使命を負った王女様ご一行を、楽しく演じてください。
☆募集役
王女―― この物語の主役です。
ハッピー王国王女。
12歳。 ツインテール。
まだまだ世間知らずです。
魔法を使う事ができますが、まだ少しコントロールが曖昧です。
そして今回、魔女の呪いで姿が変化してしまいました。
お供の人―― 数名。
王女様と共に旅をする人々です。
王宮勤めのクレリックや爺や、旅の商人などなど、王女様を手助けする人々です。
参加者に応じて臨機応変に対応してください。
魔女―――― 美貌の(?)魔女。王女に呪いをかけました。ペット(?)に魔法の鏡がいます。
希望役がかぶった場合は、『王女は二卵性の双子であった』や、『王女様の妹(または姉)も一緒に旅に出ていた』などで対応できます。
そしてライバル国のお姫様をつくってみても良いですし、王女様の命を狙う悪者集団なども設定可能です。
参加者にあわせて役を増やしてください。
※前回『まほぷり☆旅立ちの日』出演者は、できるだけ前回と同じ役で出演してください。
ただし、ストーリーの展開上前回の役では出番がない場合は、別の役に変更可能です。
そして主人公『王女様』は、呪いのせいで姿が変わっていますので、前回とは別の方が演じることも可能です。
前回の方が演じる場合は、『一時的に呪いが収まっている』などで対応します。
〜ストーリー〜
世界をハッピーにする為に、ハッピーノートにハッピーマークを集める王女様達。
ハッピーマークは困っている人々を幸せにすると手に入ります。
そして今回、王女様は悪い(?)魔女に呪いをかけられてしまいました。
魔女を見つけ出し、魔女をハッピーにしてあげてください。
※今後の展開上、魔女をハッピーにしても呪いは解けません。
●リプレイ本文
●なぜか男の子になっちゃった!
それは、本当に突然の出来事だったのだ。
城下町から少し南へ降りたとある村への道のり。
ちょっぴり岩山なんかもあるその場所で、事件は起こってしまった。
「わたしが付いていながら、またしてもの失態‥‥なんとお詫び申し上げればいいのか」
お供兼護衛役の見習い神官・サーヤ(咲夜(fa2997))は変わり果てた王女の姿にさめざめと泣き伏せる。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ? むしろこの姿のほうが動きやすいし。ね?」
突然姿の変わってしまった王女(パイロ・シルヴァン(fa1772))、泣き崩れる真面目なサーヤをなぐさめる。
「おーい、サーヤ! なんか今雷が落ちたようだけど?」
サーヤの小言に嫌気がさして、ちょっと寄り道してきた盗賊のマリク(瑛椰 翼(fa5442))が急ぎ駆け寄ってくる。
「ん? 姫さんは何処に行ったんだ?」
よもやまさか目の前にいる美少年がお仕えするべき王女とは思いもせず、マリクは首を傾げる。
サーヤが恨みがましげに口を開こうとした瞬間、今度は別のところから見知った声が駆け寄ってきた。
「王女様ぁぁぁ! 御無事でしたかぁっ?! わたくしはもう心配で心配で‥‥」
「リエルじゃないか、久しぶりだな」
王女の兄・ジョルト(相麻 了(fa0352))が涙ぐみながら駆け寄るリエル(椎名 硝子(fa4563))に手を差し出す。
リエルは王女付きの侍女で、もちろん一行と顔馴染みだった。
「わたくし、どうしても王女様が心配で、追いかけてきてしまいましたわ。‥‥王女様は、いずこです?」
嬉し泣きするリエルに、一同、気まずく目を逸らす。
「え、えとね、私なんだけど‥‥」
男の子姿の王女が、冷や汗気味に名乗り出る。
「‥‥嗚呼、何と言う事でしょう!」
「おっと!」
ショックのあまり気が遠くなるリエルをジョルトとマリクが抱きとめた。
その様子を、じっと岩陰から見つめるフィレ王女(大海 結(fa0074))。
妹の事が大好きで、この旅の最初からずっと見守り続けていたのだが、流石に男の子に変わってしまうとはおもいもよらなかった。
「私の可愛い王女の姿が、魔法で変わっちゃうなんて‥‥でもでも、たとえどんな姿になっても私の愛は変わらないんですよ」
動揺しつつもそこはそれ、妹最愛のフィレ王女。
いつものように手にした絵日記にこの出来事を描いていく。
●情報収集!
「何だ、またえらい『はいから』な人達が来たなぁ。こんな村に何のご用で?」
とりあえず近くの村にたどり着いた一行を、村人・アベル(Rickey(fa3846))は茶色い瞳でまじまじと見つめる。
城下町から少し離れたこの村には、王女達の様な煌びやかな旅人はあまり見かけないのだ。
「これ、そこの者! 王女になんて口の聞き方ですか!」
サーヤがアベルの親しげな口調に目くじらを立てる。
「どひゃ〜、王女様だったんか! それはそれは失礼したべ。どうもオラは世情に疎くてなぁ‥‥申し訳ねぇ」
慌ててアベルが頭を下げる。
だが、肝心の王女らしき人が見えないのは気のせいだろうか?
「仕方がないんだよ。今はこの姿なんだからね」
頭をかきながらのアベルの詫びに、礼儀がなっていないと怒るサーヤを王女がどうどうと宥める。
「ん? もしかすて、そったら坊主が王女様だべか?」
「ええ、実はそうなんです。突如として姿が変わってしまわれて‥‥」
王女の不遇を思い出し、リエルが再び涙ぐむ。
「あんれまぁ、王女様まであの魔女に呪いをかけられただか! 難儀な事だなぁ。王女様に呪いをかけるなんて、魔女もとんでもない事をしてくれただ」
アベルの呟きに王女様一行、顔を見合わせる。
「呪いですって? お前、王女様が姿を変えられた理由を知っているの?!」
サーヤが首を締めんばかりの勢いでアベルを問い詰める。
「あ、ああ、知っているだよ。あの魔女と来たら、酷いんだぁ。この村の娘っ子は、皆魔女に姿を変えられてしまっただ。自分よりも美しい者は気に入らねっつってなぁ。オラ達も困っとった所だ」
アベルはそういうと、周囲を見渡す。
つられるように王女様一行も周囲を見渡すと、若い娘達は皆、顔を隠すように俯いて歩いている。
そばかすやふきでものが顔中に出来てしまった者、眉毛がありえないほどに濃くなってしまった者、どう見ても若いのに白髪になってしまった者。
ぱっと見ただけでもこの村の少女達には酷い呪いがかかっている。
あまりの状況にサーヤはアベルの口調を咎めるのをやめた。
「魔女っていや、ばあさんかとびきりの美人がお約束だよな〜」
「マリク、何て不謹慎な!」
サーヤの平手がマリクに飛ぶが、マリクはひょいっと身をかわす。
「なあなあ、美人の‥‥じゃなくって、魔女の居場所って知ってるか?」
サーヤから逃れるようにマリクはアベルの背に隠れる。
「魔女の住んでる所だか? おお、勿論知っとる。この辺では有名人だでな」
背中のマリクに首をひねって答えつつ、アベルは東に見える森を指差す。
「呪いを掛けた者を一刻も早く探し出しましょう!」
村娘達もそうだが、大事な王女を元に戻したい一心でリエルは両手を握り締める。
「魔女もきっと何か事情があるんだよ。こんな呪いをかけた理由を聞いて、ハッピーにしてあげなくちゃ」
王女はハッピーノートを抱きしめて呟く。
世界をハッピーにする為にハッピー王国の王様から授かったこのノートは、まだまだ白い。
このノートを悩み、苦しむ人を救うことでハッピーマークでいっぱいにして、世界をハッピーにするのが王女の使命なのだから。
「王女様をこんな目に遭わせた魔女に、そんな慈悲を掛けてやるなんて私は反対です!」
「まあまあ、サーヤ、どんな人にも優しさと愛情を忘れない‥‥それが王女の良いところなんだからさ?」
ジョルトが切れるサーヤをまあまあとなだめる。
「魔女と話をつけてくれるだか? 皆呪いが恐くて手出し出来なかった所だ、有り難い事だで。よし、オラが魔女の住処まで案内するだ。オラだって男だ、その位はせんとな」
ドンと胸を叩き、アベルはウィンク。
アベルを道案内人として、一向は魔女の住む東の森へと向かうのだった。
●魔女・オリビア
「ふんふーん? わたくしに会いに来るつもりなのね」
森の中に人が立ち入った気配を感じ、魔女オリビア(あずさ&お兄さん(fa2132))はマッチョな魔法の鏡を覗き込む。
おねぇ言葉の魔法の鏡は王女達一行を映し出していた。
「いいわ。相手してあげる。このわたくしがあんな小娘達に負けるはずがないもの!」
高飛車に笑い、オリビアはツンと髪を払う。
耳上で縛ったツインテールがゴテゴテの髪飾りと共に重そうにゆれた。
オリビアが一歩足を踏み出すと、ありえないどピンクのぶかぶかフリルが足に絡み、つんのめりそうになる。
『魔女さまぁん、転送しましょうかあん?』
うっふんという擬音が聞こえてきそうな甘い声で魔法の鏡が申し出る。
「‥‥ま、まかせたわ!」
オリビアが頷くと、魔法の鏡に一気に吸い込まれていく。
●王女vs魔女! 美しいのは、誰?
「君、どこから?!」
突如として目の前に湧いたオリビアにジョルトが目を見開く。
誰もが驚いた。
「こいつが、例の魔女だべ!」
アベルが怯えて木の陰に隠れる。
「‥‥魔女は何処にいるんだ?」
マリクはオリビアとばっちり目が合っているにもかかわらず、認識できていない。
マリクにとって魔女は美女かおばあちゃん。
オリビアは間違ってもおばあちゃんではないし、化粧と衣装が酷すぎた。
顔面を殴られたのかと思うような目の周りの青いアイシャドー、人肉でも食したかのようなキツ過ぎる真っ赤なルージュ、ありえない量の装飾品。
実年齢は一体いくつなのかワカラナイがぱっと見は少女に見えるオリビアのこのファッションは斬新を通り過ぎている。
「あ、後は任せた‥‥」
みれば見るほどヤバイオリビアに精神的ダメージを受けてマリク退場。
美女に逢えるのを期待していた彼の背をジョルトがなぐさめる。
「くっ、どいつもこいつも、わたくしをみるといつもそう! なんでこのあたくしをさしおいて、こんな小娘が美しいなんて言われてるのよ?!」
王女を指差して、オリビアがキリキリとハンカチを噛み締める。
「やはりあなたが王女をこんな姿にした魔女なのね!」
「な、なんのことよ?!」
サーヤの突き出したメイスにオリビア、ぎくりと立ちすくむ。
「とぼけてもダメよ。王女は見ての通り少年になってるんです。初対面の人がこの姿の王女を王女だと見抜けるはずがないわ!」
「‥‥こうなったら、あなた達、覚悟なさい!」
オリビアが指を鳴らした瞬間、王女達を竜巻が襲い掛かる!
咄嗟にサーヤが防御結界を張るが、センスが異常とはいえそこは魔女。
オリビアのほうが見習い神官のサーヤよりも強い。
徐々に防御結界が狭まり、竜巻が迫ってくる。
「私をこの肉体のまま‥‥じゃなくって、元の姿に戻しなさい。でないとあなたの大事なペット、鏡面をルージュで染め上げるわよ!」
結界の中に滲んでくる砂嵐に目を細めつつ、王女が叫ぶ。
「ふふん♪ そんな状態で出来るわけないじゃない」
オリビアは余裕の表情だ。
王女をずっと見守っていたフィレ王女が王女の危機とばかりに仮面をつけて木陰に隠れていたりするのだが、竜巻が凄すぎて身動き取れない。
王女の命に比べたら自分の命なんて差し出しかねないフィレ王女だが、フィレ王女を助ける為にサーヤが結界をといてしまう可能性がある。
そうなればフィレ王女だけでなく、王女も、そしてそのお供達も全員危険だ。
「まって、貴方は、美的センスが間違っているだけなのですよ!!!」
竜巻に負けないよう、リエルが叫ぶ。
「うそよ!」
「いいえ、どうかわたくしを信じて。貴方を必ず美しくして見せますわ!!」
美容道具一式を持ち歩いているリエルは、道具の詰まった籠を抱きしめてオリビアに訴える。
オリビアは疑わしげな目を向けながらも、そこはそれ、常に美しくなりたい乙女心。
「‥‥綺麗になれなかったら、覚悟する事ね」
パチン。
指を鳴らし、竜巻を止めた。
「まぁ、貴方! わかってくれたのね? このドレスにそのアクセサリーは全然合っておりませんわ。地は良いのに勿体ない。この宮廷仕えのわたくしにお任せあれ!」
ぐぐっと拳を握り締めてリエルは袖を捲り上げる。
そこからさきは、もう、リエルの独壇場だった。
オリビアの分厚すぎる厚化粧を取り、―― 拭い取るのに必要だった水はジョルトとマリクに運ばせて―― 王女を着飾るべく持ってきておいた装飾品をオリビアのドレスや瞳の色に合わせてセット。
オリビアが普段使っている化粧品を使いながら、色味の合わせ方や乗せ方などを丁寧に説明していく。
「ほら、少しメイクの仕方を変えただけで、女性はこんなにも美しくなれるのですよ」
そうして満足げにリエルが微笑む頃には、そこには正真正銘の美少女が佇んでいた。
「うわ、マジでかわいい!」
魔女を見なかったことにしようと思っていたマリクすらかわいさに目を見張る。
「うん、本当に綺麗だよ。どうして自分が醜いなんて思い込んでしまったのかな?」
ほんのりと薄化粧を施したオリビアにジョルトが魅惑的な笑みを向ける。
その微笑みにオリビアはどぎまぎとしつつ、
「‥‥近所の村の娘達に、笑われたのよ。‥‥へんだって!」
オリビアの目じりに涙が浮かぶ。
「オラの村の娘っ子たち、そげなひでえことゆったべかー」
アベルも思わず同情の目を向ける。
「そうゆうことなら、もう自分がほんとは綺麗だってわかったよね。私や村の女の子達にかけた呪い、解いてもらえるかな?」
王女の問いに、オリビアはこくんとうなずく。
「‥‥あれ?」
呪文を唱え終えたオリビアが首を傾げる。
「どうかしましたか?」
「本当ならこの呪文で解けるはずなんだけど、なぜかダメみたいね‥‥」
目の前の少年姿の王女が元に戻らず、オリビアは困った顔をする。
「村の娘っ子たちはどうだべ〜」
「戻りましょう!」
全員、急ぎ村へと走っていく。
●エピローグ〜呪いはずっとそのままに。でもハッピーエンドなの☆
「ほんまに有り難うな。感謝してもしきれないべ。大したモンじゃねぇけど、これ持って行っとくれ。王女様達の旅の無事と、早く呪いが解ける様に、オラ達も祈ってるだ」
呪いが綺麗に解けた村の娘達と共にお土産を手渡しながらアベルが礼を言う。
「王女様の魔力と干渉したみたいで、おかしなことになっちゃってるのかしら」
何度唱えても一向に元に戻らない王女に、オリビアはごめんなさいと頭を下げる。
「王女様‥‥お労しや‥‥」
呪いが解けない事を知り、再び気を失うリエルをジョルトがやっぱり抱きとめる。
でも王女は少しも気にしていなかった。
「ハッピーマーク、また一つ手に入れたわ」
村についたとたん、魔女を見る男達の目が変わったのだ。
『かわいい』『美人!』
そんなささやきがあちらこちらから聞こえ、オリビアは幸せの絶頂に。
その瞬間、オリビアからハッピーマークがきらきらと零れて、ハッピーノートに収まったのだ。
「でも今のままでも面白いかも?」
マリクが呟いたとたん、サーヤがぷっちん!
「不謹慎な!!!」
「うわっ、冗談だって!」
いつもの光景に自然と笑いが零れる一行だった。
何とか竜巻に吹き飛ばされず、こっそり見守っていたフィレ王女は絵日記に色をつける。
色鉛筆で塗られた絵日記には、オリビアの幸せそうな笑顔と街の人々が描かれるのだった。