ぷにっと海賊団☆番外編アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/28〜05/02

●本文

        『ぷにっと海賊団☆』

 それは悪の海賊団と戦う獣耳な少年少女達の物語。
「悪い海賊なんて、僕たちにまかせて!」
「ぷにっとパンチで悪即斬だよっ」
 海賊服に身を包んだぷにっと海賊団が、悪の海賊達をどんどんやっつけてゆく。
「うわーんっ、ばかーっ><!」
 泣きながら逃げてゆく悪い海賊達。
「やったね☆ 正義はぷにっとだよっ☆」
 カメラ目線で今日も元気に勝利のポーズを決める主人公達だった。


 ☆ぷにっと海賊団☆次回予告!
『大人になっちゃったぷにっと達』
 薄暗い部屋で、とある人物が、試験管をうっとりと眺めている。
「ついに完成したわよーぅ。これさえあれば、にっくきぷにっと海賊団だっていちころ。
 だって、大人になって記憶がなくなってしまうんだから!」
 高々と掲げた試験管の中には、ピンク色の液体が輝いていた。

 
 ☆ぷにっと海賊団番外編! 『大人になっちゃったぷにっと達』の募集☆

 ぷにっと海賊団番外編『大人になっちゃったぷにっと達』の出演者を募集します。
 番外編ではとある人物の罠により、ぷにっと海賊団たちは大人になって、ぷにっと海賊団だったときの記憶をなくしてしまいます。
 大人だから働かなくちゃいけなくて、TV局のお掃除をしたり、脚本家として本を書いたり、スタッフとして働いていたり。
 でも、薬が効かなかったぷにっと海賊団もいたのです。
 その子達がみんなを頑張って説得して記憶を取り戻してもらい、悪者を倒します。

●今回の参加者

 fa0160 アジ・テネブラ(17歳・♀・竜)
 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa2605 結城丈治(36歳・♂・蛇)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa2903 鬼道 幻妖斎(28歳・♂・亀)
 fa3294 (10歳・♀・ハムスター)
 fa3577 ヨシュア・ルーン(14歳・♂・小鳥)
 fa3579 宝野鈴生(20歳・♀・蛇)

●リプレイ本文

●プロローグ
「ふふっ、完成なのです♪」
 悪の海賊団ブルー・レイン(角倉・雨神名(fa2640))は黒いセーラーからーの海賊服に身を包み、額の汗を拭う。
 実験に実験を繰り返し、やっとこさっとこ薬が完成したのだ。
 爆発に爆発を重ね‥‥正直、何で出来上がったのかかなり不思議だ。
「あとはこれを、ぷにっと海賊団のみんなに飲んでもらえば完璧なのです‥‥☆」
 ブルー・レインはうきうきと準備を進める。


●不思議な紅茶☆
 それは、ぽつんとおいてあった。
 ぷにっと海賊団海賊船『ぷにっとぷにっと☆』の厨房に可愛らしくラッピングされたガラスの小瓶の中には、ほんのりピンク色の液体が入っている。
「紅茶に混ぜて、飲んでください?」
 アジは小首を傾げる。
 ガラスの小瓶の横にはメッセージカードが添えられており、紅茶はもちろん、丁寧にティーポットとティーカップまでセットされていた。
「誰かのお土産かな? ゆくるちゃんがまだ来ていないけれど、ちょっと一休みしましょうだよ♪」
 アジは鼻歌を歌いながら仲間達に紅茶を入れる。
 もちろん、ピンクの液体を混ぜて。
 

●ぷにっとだった大人たち?
「ただいま帰りましたです♪ ‥‥って、い、一体どうなってるですか?」
 諸事情でずっと外国で過ごしていたユクル(湯ノ花 ゆくる(fa0640))は、手にしたメロンパンを落っことしそうになる。
 いつも子供たちで溢れているぷにっとぷにっと☆に人気がないのだ。
「紅茶を飲んだら、急にみんな大人になっちゃったんだよっ」
 アオイ(葵(fa3294))がティーカップを握り締めたままユクルに駆け寄る。
「一服盛られたらしいですね。この紅茶を飲んだ瞬間、みんな大人に変わって瞬間移動してしまったんです」
 天才的パソコン少年のカトル(ヨシュア・ルーン(fa3577))は紅茶の成分をパソコンで分析しながら冷静に対応する。
「いきなり大人になって消えちゃったから、どこに行ったのかわからないんだよ」
「あれ? ‥‥テレビに映ってる人‥‥どこかで見たような‥‥?」
 おろおろと焦るアオイに、ユクルはテレビを指差す。
 つけっ放しになっていたテレビを指差す。
「これは、アジさんですか?」
 カトルもキーボードを叩く手を止める。
 テレビで放送されていたのは人気の歌番組で、大人になったアジ(アジ・テネブラ(fa0160))は売り出し中のフリーシンガー『LUCE』として出演していた。
 幼い頃の面影そのままに、テレビの中でアジはほんわかと微笑んでいる。
「まさか、みんな芸能人に?!」
 アオイがピッとリモコンを操作してチャンネルを変える。
 すると次々と見知った顔が出演しているではないか!
『今日は先ずこのニュースから』
 ワイドショー『ザ・まいど』の司会を務める結城丈(結城丈治(fa2605))はぷにっとのジョーだし、
『こんな弱腰外交でどうするんですか!』
 と人気討論番組で声を荒げているイケメン国際政治学者の鬼道 幻妖斎(fa2903)もさっきまで一緒に紅茶を飲んでいたゲンが大人になった姿だ。
 そしてそんな鬼道に肩を抱かれてこまっている新人アナウンサー・御厨鈴(宝野鈴生(fa3579))は、しっかりものだけれど何処かまったりとしていたリンに間違いない。
「‥‥皆‥‥大人になってるです? ‥‥ゆくる‥‥いつのまにか浦島太郎さんに‥‥なってたですか?!」
 ユクルは余りの事態についてゆけず、落としかけたメロンパンを今度こそ本当に落としてしまうのだった。


●どうやって中に入ろう?
 TV局に入るにはそれなりに条件がある。
 芸能人だったり、芸能人の家族だったり、マネージャーだったり、ボディガードだったりそのほか色々。
 けれど紅茶を飲まずにすんだユクルはもちろん、薬の効かなかったカトルもアオイも芸能関係者には程遠い普通の小学生。
「社会科見学でもあればよかったんだけど」
 そうしたら学校のみんなと中に入って途中でこっそり抜け出せたのにと、アオイはTV局の大きなビルを見上げて溜息をつく。
 入口には当然のことながら警備員がいて、子供達が強引に突破するのは難しそうだ。
「メロンパンをあげたら‥‥入れてくれたりしないですかね‥‥?」
 物陰から様子を伺い、ユクルは手にしたメロンパンを溜息交じりに見つめる。
「‥‥よしっ、出来ましたです!」
 ずっと黙って愛用のノートパソコンを操作していたカトルが不意に叫ぶ。
「どうしたです‥‥?」
「何が出来たのかな?」
「入局許可証」
 首を傾げる二人に、カトルはパソコンに映し出されたそれを得意げに見せる。
 TV局のパソコンにハッキングをかけて、三人の入局許可証を入手したのだ。
「キミってほんとに天才だよ!」
 アオイがカケルの首に飛びついた。
  

●説得しよう!
 TV局の中は、とても広かった。
「ふええ‥‥迷っちゃいそうです‥‥」
 ユクルが背中のコウモリ羽をパタパタと揺らし、不安そうにする。
「大丈夫です。ちゃんと地図もダウンロード済みですから」
 そんなユクルにカトルはパソコンの画面を指差す。
 TV局の間取りが映し出されたそこには、赤い丸が少しずつ動いている。
「この赤い点がボク達だね。これなら迷わないで済むんだよ」
 アオイもほっとする。
「まずは、ここから一番近いアジさんからです」
 やや緊張した面持ちで、カトルはアジがいるはずの控え室のドアを叩いた。
 
 
「なるほどね? 私もぷにっとだって事だね?」
 次の収録まで個室でくつろいでいたアジは、突然現れた三人の子供達が語る内容に驚きつつも、特に否定もせずに頷く。
「信じて‥‥くれるですか‥‥?」 
 あっさりと納得されたことにユクルはちょっぴりびっくり。
 目の前のアジはどうみてもぷにっとだったときの記憶がなさそうなのだ。
 おそらく、他の大人になってしまったぷにっと達にも記憶はないのだろう。
「うん。私って、過去の記憶が曖昧なんだよね。いきなり大人になっちゃったってことなら、それも頷けるかなって」
 記憶がなくても、子供のときのほんわかとした雰囲気そのままに、
「まだ他にも大人になっちゃったぷにっと達はいるんだよね? それじゃ、私も一緒にみんなを探してあげる」
 アジは三人についてきてくれることになった。


「お姉さん、君達のようにツルツルですべすべのお肌だったのはもうずっと前なんだよねえ‥‥」
 御厨鈴は説得に来た子供達とアジを見て、困ったように首を傾げる。
 自分が本当はまだ子供で、怪しい紅茶のせいで記憶をなくして大人になってしまったんだといわれても、そう簡単には受け入れられないのだ。
 鏡に映る自分の姿はまだ二十代とはいえ子供達から見たら十分におばさんだろうし、眉間のしわが気になるし、目の下に隈も出来ちゃってるし。
 言われてみれば過去の記憶が曖昧だけど、でも、ねえ?
「思い出して、お姉ちゃんにもあった筈だよ、このぷにっと感!」
 アオイが自分のぷにぷにほっぺを御厨鈴にみせつける。
 マシュマロのように柔らかくて、ついついつついてみたくなるそのほっぺたを、御厨鈴はぷにっと摘んでみた。
 その瞬間走る衝撃!
「この、感覚‥‥どこかで‥‥そう、そうだったわ。昨日まで私のほっぺたもこうだったじゃない!」
 ぷにっと海賊団だったときの記憶が一気に脳裏に溢れ出し、御厨鈴は怒りに拳を振るわせる。
「記憶を思い出してもらえてよかったです。僕達と一緒についてきてくださいです」
 御厨鈴の怒りようにちょっぴり気押されしつつ、カトルは協力を申し出た。


 大人の味方が増えたから、説得が楽になるかなとおもったら大間違い。
「小父さんはねぇ、とっても忙しいんだよ」
 イケメン国際政治学者となった鬼道は、自分をまだ子供なんだと説得に来たぷにっと達を適当にあしらう。
「一緒に海に帰ろうよ!」
 カトルが涙ぐみながら愛用のノートパソコンの画面を見せる。
 そこには海賊船ぷにっとぷにっと☆が映し出されている。
「聞こえなかったのかね? 小父さんは忙しいんだよ。君達のお遊びに付き合う暇はない。悪いねぇ」
 少しも悪いなどとは思っていないのだろう、警備員に目で合図を送り、ぷにっと達を追い返そうとする。
 正直、取り付くしまもなかった。
 鬼道が十代の売り出し中アイドルの肩に手を回し、リムジンに乗り込もうとするのも止められず、絶望的な気持ちでみつめるぷにっと達。
 そこへ、結城がマイクを持って駆け寄ってきた。
「あのぉすいません鬼道さん! 十代前半の少女と親密交際の噂は本当ですか? お隣にいるのが噂の彼女ですかね?!」
 パシャリ☆
 CCDカメラでスクープとばかりに写真まで撮る。
「誰の許可を得てものを言っているんだ! その写真を返したまえ!」
 突然の結城のインタビューに、鬼道がブチ切れる。
「お願いだよ、喧嘩はやめて! 僕たちは本当はみんな仲間なんだよ!」
「ええい、うるさいガキだな。親は何をしている!」
 必死に説得するぷにっと達を、鬼道はもう叩かんばかりの勢いで否定する。
「人って‥‥変れば変わるもの‥‥なんですね。‥‥まだ少し‥‥信じられないです‥‥」
 ユクルがぷにっと海賊団として過ごした日々はほんの数日で、その時に酷い船酔いをしてしまってみんなと一緒に海賊船に乗っていることが出来なくなって。
 だから、船酔いを克服しようと今日まで海外に行って一生懸命頑張っていたのだ。
『大丈夫ですか? 辛かったら、無理しないで下さいね?』
 そういって、子供の頃の鬼道は吐き気をこらえるユクルの背を撫でてくれたりもしたのだ。
 それがこんな風に変わってしまうというのは、大好きなメロンパンが食べられなくなるぐらいショックだった。 
「そこは青筋たてて怒るところじゃないと思うんですよね〜? 夢を与えるのもたまには良いんじゃないですか?」
 泣き出してしまった子供達を背に庇い、アジがやんわりと説得に当たる。
「おっ、LUCEのアジさんですね。それにアナウンサーの御厨鈴さんまで。お二人とも鬼道さんと親密な関係が?」
 そんなアジに結城がマイクを向ける。
 でもこんなデリカシーにちょっぴりかけた行為にもアジは怒ったりせず、
「‥‥周り‥‥見てますよ?」
 と冷静に突っ込み。
 確かに、周囲には一体何事かと人が集まりだしていた。
 結城と鬼道ははっとしてお互い気まずそうにする。
 そこへ、悪の海賊団が現れた。 


●戦え! ぷにっと海賊団☆
「ふふふ‥‥今日はこの鞭でいいなりにさせてあげるんだから」
 とうっ☆
 悪の海賊団ブルー・レインは鞭を手に何処からともなくぷにっと達の前に舞い降りる。
「なんだね、君は! コスプレイヤーというやつかね?! いくら流行っているとはいえ天下の公道で鞭なんぞを持って‥‥ん?」
 鬼道がレインを怒鳴りつけつつ、額に手を当てる。
 はて、前にもこんな格好をしたやつらをみたような?
「あなたがこの事件の犯人ね? よくも私の青春時代をなきものにしようとしてくれたわねー!」
 御厨鈴が怒りの拳をぱきぽきと鳴らす。
「みんなを元に戻してなんだよっ」
 アオイが得意のイリュージョンを発動し、みんな一気にぷにっと海賊団に変身☆
 集まってきていた一般人には、あたかもTV撮影のような幻覚を与える効果もついている!
「そう‥‥そうだったです。私はぷにっと海賊団のゲンです!」
「参りました。どうやら私も本当にぷにっと海賊団だったようです」
 鬼道と結城は、海賊服を身に纏い肩をすくめる。
 変身したことにより、二人の記憶も完璧に蘇ったのだ。
「ちょっとちょっと記憶戻っちゃったの?! がーん、大人にしたぷにっと海賊団から貢がせちゃう作戦がぁ‥‥」
 うるうるうる。
 ブルー・レインはブランドバックやらなにやら明記されていた貢がせリストを握り締めて涙ぐむ。
「悪いことは‥‥やってはいけないのです‥‥!」
「お願い、ボクらにもう一度皆の正義の力を貸して!」
「ぷにっとエアロボム!!」
 子供ぷにっとが叫び、大人ぷにっとがそれを補佐する。
 カトルの背に生えた翼が大きく舞い、空気の渦を作り出してブルー・レインを攻撃!
「うっきゃーっ、強すぎなのですっ。こうなったら、もう一度大人に‥‥とびきり悪い大人にしてあげちゃうんだからっ!」
 ぷにっと達の攻撃をまともに受けたブルー・レインは、それでも根性で立ち上がる。
 自分の実験で失敗して何度も爆発に巻き込まれているだけのことはある。
 だが根性はそこまでが限界だった。
「これでもくらうんだよっ‥‥うわっとっ?!」
 こけっ☆
 手にした濃いピンク色の液体の詰まったビンがコロコロとぷにっと海賊団のほうへ転がってゆく。
「これが原液ですか? これをパソコンで分析すれば、みんなを子供に戻す薬が作れるはずです」
 カトルが小瓶を手に取る。
「どうやら、あなたの負けのようですね?」
 結城が倒れて涙ぐむレインに紳士的に手を差し伸べる。
「あううっ、もう知らないのです〜っ」
 どろん☆
 ブルー・レインはポケットに入っていた転移のお薬を使って逃げ去った。


●エピローグ〜大人も子供もみーんなぷにっと☆
「えっと‥‥こういう時はなんて言うんだっけ?」
 アジがやっつけたブルー・レインの居た場所を見つめ小首を傾げる。
「大人になってから困らないように、子供の頃からスキンケアしなくちゃ‥‥」
 御厨鈴が十分魅力的な自分のほっぺたを引っ張って、はふうと溜息をつく。
 くるっ☆
 子供たち三人を中心に、全員、カメラ目線で振り返る。

「「「「「「「正義はぷにっと☆」」」」」」」

 勝利のポーズ、きめっ☆
 こうして、今日も世界の平和が守られるのだった。