ぷにっと海賊団☆DJ!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/27〜01/31

●本文

『ぷにっと海賊団☆』
 
 それは悪の海賊団と正義のぷにっと海賊団が戦うお子様向け特撮番組だ。 
 毎回キャストが変わることが売りのこの特撮は、大人から子供までひそかな人気を誇っている。
「マシュマロ ぷにっと、大福 ぷにっと、ババロア ぷにっと、たべちゃって〜♪」
 そんな中、先日のオーディションで選ばれ、ラジオでも先行放送されたぷにっと海賊団のテーマ曲が流れ出す。
 ぷにっと海賊団本編でも出演できそうな見事な美少年の歌い手が、ぷにっと海賊団と共にオープニングに映し出される。
 そうして今日も始まる『ぷにっと海賊団』
 子供から10代前半のぷにぷに感溢れる子供たちが海賊服に身を包み、悪の海賊団をこれでもかというほど可愛くやっつける。
「悪の海賊なんて、ゆるさないぞっ」
「ぷにっとパーンチ!」
 そんなぷにっと海賊団の必殺技を受けて、泣きながら逃げてゆく悪の海賊団。
「正義はぷにっとだよっ☆」
 カメラ目線で今日も元気に勝利のポーズを決める主人公達。

「目の前に広がる水平線 破れた地図を握り締め 俺達の旅が始まる〜」
 エンディングに流れるのは先日のオーディションで選ばれた曲。
 その曲に合わせて、次回予告が放送される。


☆ぷにっと海賊団次回予告☆
「まあ‥‥ぷにっと海賊団がラジオに?」
 ダイエットに勤しむ悪の海賊団が、噂を聞いてファッション雑誌から目を上げる。
「そや。なんでもつい最近生放送したらしいで。うちもラジオに出たいわぁ」
 唇を尖らせて、腹筋をするその姉。
「そうですわね。あたしたちもぜひインタビューしてもらいたいですわ」
「そうと決まったらDJ掻っ攫うでぇ!」
 二人の美女はウィンクして、独占インタビューをさせるべくラジオDJを攫うorラジオ局乗っ取り準備を進めるのだった。
 
 
☆『ぷにっと海賊団☆』キャスト大募集!
 近日放映予定のぷにっと海賊団『DJ!』のキャスト大募集!。
 毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
 『DJ!』では、悪の海賊団に狙われたラジオDJを救出してもらいます。
 お子さまから10代前半の少年少女でぷにっと感に自身のある方、大募集です☆

●今回の参加者

 fa0608 ミント・シルフィール(7歳・♀・猫)
 fa1406 麻倉 千尋(15歳・♀・狸)
 fa1704 神代タテハ(13歳・♀・猫)
 fa1726 小鳥遊 日明(12歳・♂・蝙蝠)
 fa1773 海斗(14歳・♂・小鳥)
 fa2122 月見里 神楽(12歳・♀・猫)
 fa2604 谷渡 うらら(12歳・♀・兎)
 fa2661 ユリウス・ハート(14歳・♂・猫)

●リプレイ本文

●悪の海賊団はダイエット中?
 悪の海賊団本部
 悪の海賊団姉妹が腹筋&お部屋のお掃除に勤しんでいる。
「お部屋ももちろんのこと、私達も綺麗にしなくてはなりませんわ。ですから鏡さん、DJを攫って来て下さいね」
 カメラには決して振り向かず、悪の黒鏡を指差して命令する姉妹。
 黒鏡は姉妹の言葉に反応して黒い光を放ち、CG処理による鏡の精霊が現れた!
『ふふふっ、任せるが良いですぞ。必ずやDJを連れてごらんに入れましょう』
 高らかに笑う三人の声が闇の中響き渡った。


●大変! 悪の海賊団がラジオ局を狙ってるよっ!
『皆さん大変よ。悪の海賊団がラジオ局を狙っているわ』
 ぷにっと海賊団海賊船『ぷにっとぷにっと☆』の本部室に輝く水晶の妖精が予言を告げる。
「ラジオ局に何のご用事なのでしょうか?」
 ふわふわとした愛らしいピンクのメイド服に身を包んだリリー・フラワー(ミント・シルフィール(fa0608))は、黒い猫耳をぴくぴくさせて水晶を覗き込む。
『それが、どうやら独占インタビューをさせたいらしいの』
「みんなが楽しみにしてるラジオ局を襲って、自分達の事を放送させようだなんて、僕たちぷにっと海賊団が許さない! みんな、出動だよ!」
 半ズボンにショートブーツ姿のヒアキ(小鳥遊 日明(fa1726))は妖精の言葉も最後まで聞かずに駆け出してゆく。
「ラジオ局に悪い海賊団の影?! よぉし、行くよっ!」
 元気いっぱいにチヒロ(麻倉 千尋(fa1406))がその後に続き、
「悪の海賊団は本当に懲りないんだよ。タテもいくよっ」
「とうぜん俺もだねっ。カグラさんもリリーさんもくるんだよっ!」
「ええと‥‥?」
 タテポ(神代タテハ(fa1704))とシルバー(ユリウス・ハート(fa2661))も走り出し、シルバーに腕をつながれておっとりしたカグラ(月見里 神楽(fa2122))とリリーもほよほよと走り出す。
「みんな、まだどこのラジオ局かも聞いてないのに、まったくせっかちなんだよ」
 冷静なウララ(谷渡 うらら(fa2604))が腰に手を当て呆れつつ、
「妖精さん、場所を教えてもらえるかな? あと、悪の海賊団の目的もお願いなんだよ」
 妖精から詳しい情報を聞き出して、急ぎ三人のあとを追いかけた。


●狙われたラジオDJ・海斗
(「ここがラジオ局だな」)
 黒鏡の精霊がラジオ局の鏡の中からずるりと這い出してくる。
(「むむっ? あれはぷにっと海賊団!」)
 宿敵、ぷにっと海賊団を見つけ、とっさに鏡の中に潜みやり過ごす悪の精霊。
 けれど妖精の予言で駆けつけたぷにっと海賊団の七人は、鏡に気づくことなく通り過ぎてゆく。
 ラジオDJを攫ってゆくだけなら簡単だったが、ぷにっと海賊団が来たとなると話しは別だ。
 きっちり倒さなくては。
 黒鏡の精霊はにやりと笑い、鏡から鏡へと移動してゆく。
 

「こんにちは。一日DJする事になった海斗だよ。今日は皆よろしくね☆」
 狙われたラジオ局の収録室で、ぷにっと海賊団オープニング曲を歌うカイト(海斗(fa1773))がラジオの向こうのリスナーに向かって語りかけている。
 お洒落好きの海斗の今日の衣装はウェスタン風。
 リスナーからの質問葉書に一通り答えたあと、
「俺の歌うぷにっと海賊団の主題歌はもうみんな聞いてくれたかな? 『合言葉はぷにっと☆』」
 海斗がマイクのスイッチを切るのと同時に音声が切り替わり、ぷにっと海賊団主題歌がラジオに流れ出す。


●黒鏡の罠
「‥‥ラジオ局って広いねえ。海賊団探す前に迷子になっちゃいそう‥‥あ、トイレ発見」
 チヒロが初めて訪れる大きなラジオ局に圧倒されつつきょろきょろ。
 悪の海賊団をみんなで手分けして探しているのだがいかんせん、広すぎる。
「後で行きたくなると困るから今のうちに行っておこうかな」
 独り言を呟きつつ、トイレへとチヒロが入った瞬間、
「‥‥みゃあああっ?!」
 ――数秒後。
「作戦、決行します」
 何事もなかったかのようにトイレからでてきたチヒロの瞳は赤く輝き、普段の明るさはなくなってしまっていた‥‥。


 同じ頃、ウララも別の場所で床にひれ伏し、ぷにっとフォンを必死に操作していた。
 薄れ行く意識の中、仲間達に今起こった出来事をどうにか伝えようと足掻くウララは、けれど全文を書ききることは出来ない。
『かが‥‥ニセ‥‥きをつけ』
 意味不明な文字の羅列に思えるそれを送信し終えたところで、ウララの意識は深い闇の中へと落ちていった。


●偽物だよっ、逃げてっ!
「あれ? ぷにっと海賊団のメンバーの皆も一緒に収録?」
 収録室に入ってきたタテポ、シルバー、ウララ、チヒロの四人を見て、海斗が微笑む。
「DJだよね?」
「うん、そうだけど‥‥何か様子が‥‥。えぇーっ?!」
 海斗がぷにっと海賊団たちの異変に気づく前に、偽タテポが海斗の背後に回ってロープでぐるぐる巻きに!
「ちょっと待っ‥‥むがむがっ‥‥」
「お、お、大人しくするんだよ。暴れても‥‥だめなんだよっ」
 おどおどと、偽ウララが海斗の口にバッテン印の白いテープを張りつける。
「よしっ、DJ捕獲成功だね。悪の海賊団本部に早く連れて行くんだよっ」
 ロープで芋虫状態にした海斗をぷにっと海賊団偽物の四人は頭上に抱きかかえて収録室を後にする。


●対決! 偽ぷにっと海賊団VSぷにっと海賊団☆
「タテポさん達おそいんだよ。カグラ、ちょっと心配だよ」
 それぞれラジオ局を探し回り、一時には一旦ロビーに集合することになっていたのだが‥‥。
 カグラは腕時計を見る。
 午後一時二十分。
 待ち合わせの時間より二十分も遅い。
「ウララさんからのメールもよくわからないのです」
 リリーが先ほどぷにっとフォンに届いたウララからのメールをもう一度見る。
 けれどやっぱりそれは文字化けのように意味がわからない。
 ウララは何を伝えたかったのだろう?
「あっ、きたきた! おーい、遅いぞっ」
 ヒアキがどこかから海斗を担いで出て来た四人に手を振る。
 でも一瞬、ロビーの大きな鏡の中から出て来たように見えたのは気のせいだろうか?
「‥‥何? まだ居たのか、ぷにっと海賊団」
 抑揚のない冷たい声の偽チヒロの瞳が赤く輝く。
「いるに決まってるよ。チヒロ達を置いて先に帰るわけないだろう?」
 けれどヒアキは異変にちっとも気づかない。
「どうして海斗さんをぐるぐる巻きにしていらっしゃるんですか?」
 リリーが担がれた海斗に首を傾げる。
「シルバーさん達、鏡に映ってないんだよっ」
 カグラがロビーにある大きな鏡を指差して青ざめる。
 そこには、ぐるぐる巻きにされている海斗がまるで宙に浮かんでいるかのように映し出され、その下で担いでいるはずの四人の姿が消えている。
「ばれたか。邪魔なんだよぷにっと海賊団。この悪の海賊団ぷにっとタイガーがお前達なんてやっつけてやるんだよ!」
「この身体ならば広い舞台の方が戦いやすいな‥‥ふん」
 偽チヒロがぱちんと指を鳴らす。
 瞬間、鏡の中に全員瞬間移動!


●歌え、踊れ、音楽バトル☆
 そこは屋外のコンサート会場を模した特設ステージだった。
「これは一体?!」
「こ、この特設ステージで‥‥うららん達と勝負だよ‥‥うきゃっ」
 こけっ!
 ぷにっと海賊団に指を突きつけて宣言しつつ、特設舞台の淵からころっと転げ落ちる。
 どうやらそっくりなのは外見だけで、偽ウララには本物のウララに備わっていた冷静さや知的さというものは皆無らしい。 
「偽者なんかに負けないぞっ! ぷにっと変身、ぷにっと装着! 悪の海賊団なんかに俺達は負けたりしない! 本物のウララたちを返せ!」
 びしっとポーズを決めるヒアキ達ぷにっと海賊団が光り輝き、変身!
 正義の海賊服に身を包み、蝙蝠羽を生やすヒアキ。
 艶やかな毛並みの黒い猫耳&猫尻尾を揺らすリリー・フラワーとカグラ。
「負けたりはしない? 果たしてそうかな。いまあるこの力はこれまで我々を破ってきた者の力。
 そう、『お前達の仲間そのもの』の力だ。
 つまりそれを手に入れたあたし達が本物でもあるということ。偽物はお前達だ!」
 パチン!
 冷たい表情のまま、チヒロが再び指を鳴らすと特設ステージに音楽が流れ出す。
「この曲はShout! そう、お前達の叫びなんだよっ」
 ハイテンポな曲に合わせ、ぷにっとタイガーと偽タテポが歌いだし、無表情のままに偽チヒロが軽快なステップを刻む。
 ぷにっとタイガーと偽タテポの歌、そして偽チヒロのステップから刻まれる音楽はもちろんただの音楽ではない。
 黒鏡の精の魔力が込められており、負ければぷにっと海賊団達の力は鏡に吸い取られてしまうのだ!!
「うぅっ、そっちが歌と踊りで来るなら、こっちは伴奏付きよ。演奏なら負けないもん」
 負けまいと必死に足を踏ん張り、カグラがぷにっとフォンにカードスラッシュ!
 輝くぷにっとフォンは、肩掛けタイプのぷにっとキーボードに変形☆
 それは弾く曲を変えることで、周囲に様々な効果を与えることが出来るのだ。
「わたくしの歌で気を穏やかにするです」
 リリーもカードをスラッシュし、ぷにっとAマイクを構える。
 ぷにっとAマイクとはぷにっとマイクを改造したものでAとはAngelic=天使の意味。
 マイクに天使の羽の装飾が施されており、これを通して聞かされた歌声には心を穏やかにする効果があるのだ。
「踊りなら、俺だって負けない!」
 茶色い髪をなびかせて、カグラの伴奏とリリーの歌声に合わせてヒアキも踊るっ☆
 三人の見事なコンビネーションに、偽ぷにっと海賊団もたじたじ。
「な、なんだか心が穏やかになってきちゃうんだよ‥‥で、でも負けないんだよっ、えいっ!」
 偽ウララが耳を押さえて右手に持ったタクトをリリーに向かって振りまわす!
「まあっ」
 ぷにっとAマイクにピンク色の光線が当たり、使用不可能に! 
「さあ、認めるか? お前達の方こそ偽者だと」
 勝利の予感に薄ら笑いを浮かべる偽チヒロ。
(「ここまでなのか?!」)
 力尽きかけるヒアキに、けれど運は味方した。
「きゃあっ?!」
 どんっ!
 ぐるぐる巻きにされていた海斗が偽ウララに体当たり。
 ついでにタクトもふっ飛ばし、そのままぷにっと海賊団のほうに転がってゆく。
「うわああんっ、か、海斗さまに、ぶつかられたんだよっ、悪いのは悪の黒鏡の精なのにっ!」
 偽ウララがショックで泣き出して裏で糸を引いていた黒鏡の精のことをぽろっと暴露。
「海斗さん、大丈夫ですか?」
 リリーがすぐさま海斗のロープを解き、カグラが口に張られたバッテンテープをぺりっと剥がす。
「助かったよ、ありがとう」
「海斗、喜ぶのはまだ早いんだ。あいつらを倒すのを協力して!」
 ヒアキが転がったタクトを偽ウララから奪い取り、海斗に助けを求める。
「ここからが本番だよ」
 カグラが再びカードスラッシュさせて、海斗の分のぷにっとマイク発動!
 ぱしっとそれを受け取り、海斗はヒアキと一緒に歌いだす。
 曲はもちろん『合言葉はぷにっと☆』!
「「悪い海賊ぷにっと、暗闇ぷにっと、泣き顔ぷにっと倒しちゃって〜♪」」
 二人のダブルボーカルに合わせ、リリーがコーラスを入れる。
 カグラの伴奏がより一層三人の声を引き立て、偽ぷにっと海賊団をノックアウト☆
 バキンッ! という破裂音と共に、鏡の外、ラジオ局のロビーに転移させられる全員。
 そこに駆けつける本物のシルバーとタテポ、ウララとチヒロ!
 本物の姿を見た瞬間、偽物のぷにっと海賊団はぼぼんっと消滅。
『うおおおう、おのれーっ!』
 今回の黒幕、黒鏡の精霊がヒアキに飛びかかるっ。
「無駄だ! ぷにっとぷにっとにくきゅうきーっく!!」
 ぷくぷくの肉球付きブーツで黒鏡の精の顔面にヒアキのキック炸裂☆
『ぎゃーっ、覚えておれ〜っ!』
 断末魔の叫びを上げて、鏡の中に消えてゆく悪の鏡の精。
「やったー!」
 みんな集まって、ヒアキと海斗が真ん中でがしっと腕を組む。
「「「正義は、ぷにっと!」」」
 勝利のポーズ、決めっ☆
「海斗、今日は助けてくれてありがとう!」
 ヒアキが自分の胸に着けていたぷにっとバッチ――肉球猫手が海賊帽子を被ったデザインのそれを外して、海斗につける。
「今日から海斗も、ぷにっと海賊団だよ!」
 笑うヒアキに、
「ヒアキばっかりずっるーい」
 と柄にもなく焼きもちモード発動のウララ。
 新しい団員を迎えて、ぷにっと海賊団は今日も世界を守ったのだった。


●放送終了後〜応募者プレゼントのお知らせ☆
 番組放送終了後、全員小部屋に並んで応募者プレゼントのお知らせが流れ出す。
「今日もみんなタテポ達ぷにっと海賊団の活躍を見てくれたかな?
 今回タテポは悪の海賊団にまんまとしてやられちゃったけど、次回は絶対頑張るんだよ」
「いい? TVの前のみんな、僕はタイガーだからね! ニャンコじゃないんだよっ」
「‥‥ふにゅ‥‥だってトイレで鏡がぐにょんでびよーんがぼよーんでぇっ‥‥言い訳じゃないよう、もおっ!」
 それぞれ言いたい事を主張して、カメラの前でてんやわんや。
「こらこら、みんなちゃんと前を向いて。TVの前で良い子のみんなが見てるんだよ」
 でもちょっぴり大人な海斗にいわれ、慌てて居住まいを正す全員。
「こほんっ。それでは良い子のみんなに今日は素敵なお知らせです」
「番組に出てきたぷにっとバッチを、番組を見てくれてるお友達十人にプレゼント!
 これで君も、ぷにっと海賊団の仲間入り! どしどし応募してね〜!」
 ヒアキがぷにっとバッチをカメラ目線でぶんぶんと振る。

 きっと明日から、ぷにっと海賊団スタッフの元にはダンボールに山積みの応募葉書が届くことだろう。