みみっ子放送局☆アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 2人
期間 03/27〜03/31

●本文

「はいはーい☆
 本日もやってまいりました、みみっ子放送局!
 今日のゲストはあの可愛いくも強い『ライラックの誘惑☆』出演者のみなさんでーす♪」
 みみっこ放送局DJ・みみ子がうさぎ耳を揺らしてゲストを紹介する。
 紹介されたゲストたちは朗らかに微笑みながら、舞台袖からステージに現れる。
 湧き上がる歓声。
 そう、この『みみっ子放送局☆』では、毎回地方の小ホールを借りて、舞台の上で収録を行う特殊な収録方法を用いている為、観客のお客様を巻き込むこともしばしば。  
 つい先日も子供達人気の特撮番組出演者をゲストに呼び、彼らの提案で会場の子供達も巻き込んで主題歌を歌うなど、楽しい趣向が盛りだくさんだったのだ。
 そんなみみっ子放送局に目をつけたのがとある舞台のプロデューサー。
「放送局でインタビューをする形で、どんな仕事をやってみたいか芸能人に聞いてみたいんですよ」
 みみっ子放送局の控え室で、まだ若い――とはいっても30歳は超えているのだろうが――プロデューサーは、芸能人の生の声を聞いてみたいのだという。
 それなら何もラジオでなくともその辺の芸能人を捕まえて片っ端から聞いて回れば済むことなのが、いかんせん、曲がりなりにもプロデューサー。
 そんなことをする暇はない。
 そこで、みみっこ放送局へと打診に来たのだ。
「毎週とはいいませんよ。月に1回、いや、2ヶ月にいっぺんでもいいんです。
 新人俳優や裏方スタッフも出演OKで、彼らのぶっちゃけトークを公開して頂けませんかね?」
 人懐っこい笑顔で笑うプロデューサーに、ついついOKしてしまうみみっこ放送局スタッフ。
 そんなこんなで、アイドルから裏方スタッフまで、芸能関係者へ幅広く出演者募集が行われるのだった。

   
  ☆みみっ子放送局出演者募集☆

 今回のみみっこ放送局では、とあるプロデューサーの意向により、芸能関係者に幅広くインタビューをしたいとのこと。
 みみ子からの質問内容は、
「舞台でどんな仕事をしてみたいか」
 です。
 もちろん、この質問のほかにもラジオ収録会場でのパフォーマンスなどもある程度実行OK!
 みみ子に代わって参加者にDJとしてインタビューしちゃうのもありです。
 自分の意見をプロデューサーに届けちゃいましょう☆

●今回の参加者

 fa0160 アジ・テネブラ(17歳・♀・竜)
 fa0225 烈飛龍(38歳・♂・虎)
 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0625 羅刹王修羅(21歳・♀・竜)
 fa0877 ベス(16歳・♀・鷹)
 fa1465 椎葉・千万里(14歳・♀・リス)
 fa3262 基町・走華(14歳・♀・ハムスター)
 fa3280 長澤 巳緒(18歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●控え室
 ラジオ番組『みみっ子放送局』の控え室では、新人アイドルのベス(fa0877)とみみっ子放送局のメインDJみみ子が熱心に打ち合わせをしていた。
「今日はみみ子さんのアシスタント頑張りまーっす♪ みみ子さん、カンペを用意したんだけど進行とかこれであってるのかな?」
 ベスは幼い外見とは裏腹に、結構しっかりもののようだ。
 可愛らしい丸字で、けれど細かく色々書き込まれたメモは、みんなと一緒にラジオを盛り上げようとする意気込み満々☆
 そして更衣室を借りていた烈飛龍(fa0225)が黒のダークスーツの上から焦げ茶色のコートをマントのように羽織って控え室に戻ってくる。
 その衣装は現在製作中の映画『香港山海経』で烈の演じる敵役『リー・ウェンフー』のものだった。 
 普通のラジオ放送と違い、みみっ子放送局は舞台の上で観客を前に収録するから、こういった衣装によって魅せることも可能なのだ。
 教育番組でのいわゆる『体操のお兄さん』役と、声優と俳優まで兼任している異色ユニット『竜虎兄弟』の片割れ、伊達正和(fa0463)もステージ衣装の着流しを着てCDとポスター持参して来ている。
 ちなみに伊達は声優兼俳優で、相方が体操のお兄さんだったりする。
「ふむ。ラジオじゃ妾の美貌も衣服も魅せれぬものと思っておったが、中々どうして面白そうじゃな」
 女性にしては175cmという長身でグラマラスな羅刹王修羅(fa0625)はくつくつと笑う。
 そんな彼女の衣装は黒皮素材のジッパーで止めるタイプのチューブトップの上に、同じ素材の革ジャンを羽織り、レザーパンツを合わせて首には首輪を模したチョーカーを付けている。
 特撮番組の悪役にそのまま出演出来そうな奇抜な衣装だが、彼女はその美貌で違和感なく見事に着こなしていた。
「はじめまして〜、新人の基町です〜。今日は宜しゅう。うち、他人にインタビューするんは苦手や。せやから、インタビューされる方がええんやけど‥‥ええか?」
 今日のラジオ収録が初めての仕事になる新人アイドル基町・走華(fa3262)は、周りのそうそうたる面々にちょっぴり気後れ気味に頭を下げる。
「大丈夫だよ。無理にインタビューなんてしなくても、ベスさんとみみ子さんがしてくれるし、それに私もついてるんだよ♪」
 長澤 巳緒(fa3280)も今日のラジオ収録が初めての仕事だというのに、明るく物怖じしない性格で不安そうな基町を励ます。
「うち、ラジオ番組は初めてやからほんま楽しみやわ」
 愛用のバイオリンを撫で、椎葉・千万里(fa1465)はうきうきと時計を見る。
 十七時。
 後もう少しで収録時間だ。
「そろそろ移動なのかな?」
 ほわ〜ん☆
 そこにいるだけでなんだか和む存在のアジ・テネブラ(fa0160)が小首を傾げる。
「うん、打ち合わせはこれで完璧なんだよ。舞台へレッツ・ゴー☆」
 ベスの合図で全員舞台へと移動開始☆


●収録開始。みみっ子放送局☆
 舞台の上では『みみっ子放送局☆』の看板がかけられ、ラジオの収録機材がセットされていた。
「はいはーい、本日もやってまいりましたみみっ子放送局☆」
「ベスでーす。今日はよろしくだよ☆」
 みみ子に続いてベスが舞台に上がり、会場のみんなに手を振る。
 そして椎葉と羅刹王、そしてちょっぴりおどおどとした基町と、その後ろに続いて長澤とアジ、最後に伊達が舞台に上がってくる。
「今回のゲストはフリーシンガーのアジ・テネブラさん、そして体操のお兄さんと声優という異色ユニット『竜虎兄弟』の伊達正和さん、女優の長澤巳緒さん、バイオリニストの椎葉千万里さん、アイドルの基町走華さん、モデルの羅刹王修羅さんと色々な方に集まって頂きました♪」
 ベスが次々とゲストを紹介し、紹介されたゲストは笑顔で頭を下げる。
「そして、なんと本日はアクションスターの烈飛龍も来てくださいました!」
 ベスは薄暗い会場の後ろ、二階に手を差し伸べる。
 その瞬間、ぱっとスポットライトがその場に控えていた烈の姿を映し出す!
「リー・ウェンフー、参上!」
 香港山海経の役名を名乗り、烈は二階から飛び降り、そのまま客席から舞台まで一気に駆け抜けた!
 焦げ茶色のコートが翼のように空を舞い、観客から歓声が沸き起こる。
「かっこえぇわあ!」
 基町の口からも思わず感嘆の声が漏れる。
「アクション俳優の烈飛龍だ。今はファーナス・王監督の映画『香港山海経』に出演中だ。出来上がりを楽しみにしておいてくれよな」
 ビシッと決めて、烈は席に付く。
「素晴らしいアクションをありがとうだよ☆ そしてかっこいい烈さんに質問でーす。本日のお題『舞台でどんな仕事をやってみたいですか?』だよ☆」
 ベスが烈にマイクを向ける。
「さて、舞台でやりたいことか? そうだな‥‥俺は長いことカンフー映画から特撮戦隊モノまでいろんな活劇の仕事で悪役だの敵役だのをこなしてきたんだが、やっぱりセットでやるより公開録画とかで生身のお客さんの前でやった方が演技にも力が入ったな。
 そういう意味からも野外劇場を使って、お客も巻き込んでの一大冒険活劇の舞台がやれたらと思う。それもわざとらしさ抜きの本当に肉弾相打つ格闘シーン入りのな。特撮戦隊モノのノリで舞台と観客が一体になって一緒に楽しめるそんな舞台が出来たら楽しいと思うんだが、どう思う?」
「そうですねー、烈さんのアクションは格好いいから、見たいお客様は大勢いそうだよね♪ 特撮といえば、伊達さんもお好きだよね。伊達さんもやっぱり舞台では特撮をやりたいのかな?」
「特撮も捨てがたいが、舞台でやりたいのは芝居だな。相方は今日は別の仕事に行っているが、竜虎兄弟で主役を張ってみたいと思ってる。
 無謀かもしれんが、歌でオールデイライブもやりたいんだよ。スポンサーがいたら画面の下に出てるテロップまで連絡を‥‥って、ラジオだからテロップなんか出るかっ!」
 セルフ突込みを入れてぼける伊達に、会場からくすくすと笑いが漏れる。
「そういえば、竜虎兄弟の由来って聞いたことがないんだよね。良かったらこの機会に教えてもらえるかな?」
「由来っつーか、相棒とは大学時代からの付き合いで、卒業後にこの業界で再会したのを期にコンビを結成したんだよ。この間CDも作ったんで、よかったらかけてくれ」
 照れくさそうに伊達は持参のCDをベスに差し出す。
 ジャケットには伊達と相方の写真と共に『竜虎の桜』と描かれている。
「わー、素敵なCDなんだよ。あとで会場のみんなにもお配りしまーす♪」
 ベスは受け取ったCDを会場のみんなに見えるように大きく振り、スタッフ達がポスターを舞台の壁に貼り付ける。
「歌といえば、アジ・テネブラさんはフリーシンガーだったよね? いつも、どんなお仕事をしていらっしゃるのかな?」
 伊達へのインタビューを終え、ベスはアジにマイクを向ける。
「普段はナレーターなど声に関わる仕事をこなしていて‥‥、その他には‥‥護身術が活かせるお仕事‥‥でしょうか」
 ちょっぴり思案顔で、アジは意外なことを口にする。
「ん? アジ殿は護身術が使えるのじゃろうか?」
 羅刹王も怪訝な顔をする。
 ほんわか天然風味のアジに護身術というのはいささかイメージにそぐわない。
 守るより、守られるイメージのほうが強い。
「えぇ、こうみえても結構強いんです」
 微笑みながら応えるアジはやっぱりほんわか。
「強くて歌も歌えるなんてすごいんだよ。アジさんはやっぱり舞台では歌いたいのかな?」
「そうですね‥‥舞台に限らず自分らしい歌を歌える歌手が夢ですから‥‥。自分らしいって言っても、まだ自分で自分の事がよく解っていないので、自分を探す事も含めて‥‥自分の声で歌う事のできる歌い手になりたいですね‥‥」
「自分の声で歌いたいって、とっても素敵だと思います☆ そだ! バイオリニストの椎葉さんもいることですし、この場で一曲お願いできないかな?」
 打ち合わせで、事前に椎葉から舞台の上で生演奏をしてみたいと聞いていたベスは、アジと椎葉の夢を少しでも叶え、なおかつ会場を盛り上げるべくセッティング☆
「それでは、バラード系の曲で一曲‥‥」
「クラシックは得意やわ」
 椎葉のバイオリンをBGMに、アジが歌う。
 やわらかく癒し系のアジの歌声は、椎葉のバイオリンの優しい音色に溶け合い、会場をふんわりと包み込む。
 会場から拍手が沸き起こった。
「お二人共ほんとに素敵なんだよ。きっと夢はすぐに叶うんだよ!」
「そうやと嬉しいわぁ。生演奏は生の曲を聴いてもらうのが一番の魅力やけど、弾いとるとこを見てもらいたいっていうのもあるんや。あと、ポップスやロックにクラシック楽器を取り入れたコンサートやライブもエエな〜と思てます」
「うんうん、生演奏は生演奏にしかない魅力がいっぱい詰まってるよね。今日の演奏であたしは強くそれを感じたんだよ。アジさん、椎葉さん、とっても素敵な曲をありがとうございました〜♪」
 アジと椎葉は客席に深くお辞儀をして席に着く。
「さて、ここで番組に届いたお葉書を紹介しちゃうんだよ。‥‥っと、あれ? あれっ?!」
 ベスが演技でなく、慌てだす。
 確かに持ってきたおいた葉書がないのだ。
「ぴえぇ〜?!」
「落ち着いて。ここにあるわよ」
 錯乱しかけるベスに、舞台袖から稲森梢が葉書を持って現れた。
「わわっ、ありがとうなんだよ。あっ、稲森さんは舞台でやって見たいことってなんですか?」
 ベスはほっとした勢いでそのままマイクを稲森に向ける。
「えっ、舞台でやってみたいことですか? ‥‥歴史が動いた瞬間、それを取り巻く人々に焦点を当てた演劇なんか面白いんじゃないかしら?」
「歴史に基づいた舞台だね。アクション要素のある舞台とかやってみたかったけど、歴史が動く瞬間はアクション要素も多そうだね」
 稲森と同じく女優である長澤も大きく頷き、稲森は妹分が落ち着いたのを見て安心して舞台袖に姿を消す。
「さてさて、改めてお葉書の紹介だよ☆ なんとあの『ぷにっと海賊団☆』の敵役、悪の海賊団リナさんからのお手紙で〜す♪
 なになに?
『舞台版ぷにっと海賊団をやってみたいと思いますわ。観客もお子様と保護者さんのみで‥‥嗚呼、想像しただけで胸が高鳴りますわ! By悪の海賊団りな』
 うん、近日春休み特撮祭りが開催されるけど、子供の日とか夏休みもあるし、これは期待大だね!
 りなさん聞いてくれてるかな? お手紙ありがとーだよっ♪」
 ラジオの前にいるかもしれない悪の海賊団役の愛瀬りなを思いながらベスは手を振る。
「そしてリナさんはぷにっと海賊団では派手なアクションを良くしているけれど、長澤さんもアクションが得意なんだよね?」
 葉書をおいて、再びマイクを持ってベスは長澤にマイクを向ける。
「うん、私はバク転なんか得意だよ」
 言うなり、長澤は立ち上がってくるくるっと二回連続でバク転をこなす。
 客席から「おおーっ!」と声が上がり、拍手が鳴り響く。
「うちは素早い動きは得意やけど、バク転は無理やわぁ。すごいわぁ!」
 基町が緊張していたのも忘れて長澤をきらきらとした瞳でみつめる。
「ははっ、ありがとうだよ。こんな感じで身体を動かすのは大好きだから、アクションは任せてだよ。流石に殺陣はできないけどね」
 笑いながら長澤は席に着き、
「そうそう、ひとつのシチュエーションをつかったコメディーとかも興味あるんだよ。スチャラカ社員達の企画会議とか」
 思い出したように舞台でやりたいことを口にする。
「す、すちゃらか?」
 面食らうベスに、
「そそっ。やる気があるのか無いのかわからない社員達のやり取り。しっかりと計算された、でもそれを感じさせないテンポのよい作品なんかも演じてみたいんだよ」
 長澤は女優として色々やりたい気持ちを語る。
「なんかそれ、面白そうやわぁ。うちでも参加できそうやし」
「基町さんは歌も踊りもなんでもできるアイドルを目指してるんだよね?」
 長澤に頷く基町にベスはマイクを向ける。
「そや。うちは歌って踊れるアイドルなんや。せやけどお仕事があんまりきいへんのや。
 というワケで、この番組聞いてる番組プロデューサーの皆さん、お仕事ちょ〜だ〜い♪
 あ、でも、えっちいのはあかんで〜」
 可愛い声でお仕事をねだる基町は、「打倒、アキバ系アイドル!」と締めくくる。
 愛嬌のある基町に、ついつい羅刹王の顔もほころぶ。
「素敵な夢を語ってくれてありがとうだよ。さて、ラストは羅刹王さん! 羅刹王さんが舞台でやってみたいことってなにかな?」
「ふむ。妾はやっぱりファッションショーとか良いと思うな。ミスコンとかも捨てがたいと思う」
「ファッションショーって、世界中で開催されるから海外進出とかもきっとありだよねっ♪ 意見をありがとうございました」
 そして丁度ここで、みみ子が番組の終了を告げる。
「来週もぜったい、しーゆーあげいん? ばいばーい、まったねー♪」
 最後にベスがゲストをもう一度紹介し、会場のみんなとリスナーに別れを告げて、収録は大成功したのだった。


●お・ま・け☆
「みなさんの意見、大事にしてくださいね? よろしくお願いします☆」
 みみっ子放送局に芸能人の意見を集めるように頼んだプロデューサーに、ベスはしっかりとお願いする。
「うん、いい意見を沢山ありがとう。いっぺんに舞台には出来ないけれど、知り合いのプロデューサーにも話して少しずつ実現していく予定だよ。
 今日は、いっぱい頑張ってくれて本当にありがとう」
 満面の笑みでプロデューサーはベスに握手をして、みんなの意見を大切に持ち帰るのだった。