ぷに海賊☆恋するぷに?アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/10〜02/14

●本文

『ぷにっと海賊団☆』

 それは悪の海賊団と戦う獣耳な少年少女たちが主人公の特撮番組だ。
 ぷにぷにほっぺをぷくっと膨らませて、
「悪い海賊なんて、目じゃないんだよ!!」
 勇ましく啖呵を切る海賊服姿の少女。
「カードスラッシュ!」
 同じく海賊服に身を包んだ少年が、ぷにっとフォンにカードスラッシュ!
 そうして光り輝き繰り出される必殺技の前に、今日も今日とて敗れ去り、逃げてゆく悪の海賊団。
「正義はぷにっと☆」
 カメラ目線で勝利のポーズを決めるぷにっと海賊団。
 

☆次回予告☆
「今日もお話できなかったな‥‥」
 小学校の教室で、校庭を眺めながら溜息をつくぷにっと海賊団の少女。
 彼女の目線には、一人の少年。
 少年は隣接する中学校の生徒。
 すらりと背が高く、サッカーが得意な彼は、クラスでも人気者だ。
 夕暮れで顔は良く見えないが、どんな人混みの中でも彼女は彼を見つける自信があった。
 ずっとずっと、あこがれていた先輩。
 もうすぐバレンタインも近づく今日この頃、少しでも彼とお話をしたい。
 彼女は勇気を振り絞って、教室を駆け出した。

 
「ふぅん? こいつは使えそうだねぇ」
 悪の海賊団が鏡に写るその光景を、残酷に笑う。
 鏡の中には顔を真っ赤にして俯いて、ぷにっと海賊団の少女が憧れの先輩に話しかけている姿が映し出されていた。
「可愛いじゃないか。あの生意気なぷにっと海賊団が恋心とはねぇ?
 ‥‥大好きな先輩にこっぴどく振られたら、どんなに可愛い涙を見せてくれることだろうねぇ?」
 くつくつと笑う彼女の顔も、やはり薄闇に隠れて見えない。
 少女の恋は成就するのか?!
 悪の海賊団は何をする気だ?!
 助けて、ぷにっと海賊団!!!


☆キャスト募集☆
 次回放送予定『恋するぷにっと☆』ではキャストを大募集!
 毎回キャストの違うこの番組では、海賊服に身を包んだぷにっと感溢れる少年少女たちに悪の海賊団と戦って頂きます。
『恋するぷにっと☆』では、悪の海賊団はぷにっと海賊団の少女の恋心をどうやら利用する気の様子。
 ぷにっと海賊団を演じてみたい子供から10代前半の少年少女で『ぷにっと感』に自信のある方、大募集です☆
 また、ぷにっとしてない大人のあなたには悪の海賊団&ぷにっと海賊団の恋人役に募集です☆

●今回の参加者

 fa0115 縞りす(12歳・♀・リス)
 fa0377 ASAGI(8歳・♀・蝙蝠)
 fa0672 エリーセ・アシュレアル(23歳・♀・竜)
 fa1575 アリシア(9歳・♀・虎)
 fa1679 葉月竜緒(20歳・♀・竜)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa2853 紗雪(13歳・♀・兎)
 fa2906 夢宮 宇沙美(13歳・♀・兎)

●リプレイ本文

●憧れの楓先輩
「かえで先輩、やっぱりかっこいいってカンジぃ〜」
 ぷにっと海賊団の見習い団員・アキ(ASAGI(fa0377))が、小学校のクラスの窓辺から校庭を見つめる。
 校庭では、隣接した中学校に通う楓先輩(角倉・雨神名(fa2640))がサッカーの練習をしていた。
「先輩、アキが告白したらなんていってくれるんでしょぉ? 『あたし先輩が好きです』『僕もだよアキちゃん』‥‥な〜んてなったりしちゃったりして、きゃぅ〜ん☆」
 ぽわわーん☆
 恋する乙女は夢見る乙女。
 妄想たくましく、うっとりと想像の世界に思いを飛ばす。
「アキさん、一人で何しているでぃすか?」
 肩をぽむっ☆
 アキと同じくぷにっと海賊団のリスリス(縞りす(fa0115))が一人で百面相をしているアキの肩を叩いた。
「ってゆーかびっくりってカンジぃ?!」
「時間になってもこないから、迎えに来たでぃすよ」
 真っ赤になってうろたえるアキに、リスリスは首を傾げる。
「キミは先輩が大好きなんだよね♪」
 ユメコ(夢宮 宇沙美(fa2906))がくふっと笑ってからかう。
 アキと同じクラスでやっぱりぷにっと海賊団の一員のユメコは、フリルのワンピースが似合う美少女なのだが、ちょっぴりお茶目なところがある。
「恋する女の子は応援したくなるでぃす! チョコレートはもう作ったでぃすか?」
 世間ではもうすぐバレンタイン。
 もう少し時間はあるものの、今から練習しておかないと本番に間に合わないかも?
「ううん、まだだしぃ。先輩チョコレート嫌いかもだしぃ〜。ってゆーか、チョコレート渡すなんて出来ないでしょぉっ!」
 じたばたじたばた。
 恥ずかしくって暴れるアキ。
「じゃあ先輩にチョコが好きかどうかいま聞いちゃうんだよ」
「ええっ? いまからせ、先輩とおしゃべりなんて無理ってカンジぃっ!」
「大丈夫でぃす。リスリスたちがついてるでぃすよ」
 アキの手をリスリスとユメコがしっかりと握る。
「ってゆーかぁ、むぼうでしょぉっ」
 叫ぶアキの手をずるずると引っ張って、リスリスとユメコは嬉々として先輩の下へと連れてゆくのだった。


●悪の海賊団!
「リセ、ちょっとこっちきてみぃ。おもろいことになっとるでぇ!」
 悪の海賊団本部の魔法の鏡を覗き込み、悪の海賊団団員・オリュー(葉月竜緒(fa1679))がリセ(エリーセ・アシュレアル(fa0672))を呼ぶ。
「なんですか? また何か厄介ごとですか?」
 いけいけGOGO! なオリューにいつも頭を悩まされているリセはついそんな言葉が口をついて出る。
「ちゃうちゃうっ、あんの小憎ったらしいぷにっとが恋しとるでぇ」
 あんまり乗り気でないリセを強引に鏡の前に引っ張って映る光景を見せる。
 そこには、アキがリスリスとユメコに応援されて、憧れの楓先輩に話しかける姿があった。
「これが、なにか?」
「何かやないやろ。相変わらず冷めたやっちゃなぁ! これはチャンスやで。この先輩を使えばいっつもやられっぱなしのうちらやってぷにっとに逆転勝利や!」
「‥‥そんなに上手くいくものでしょうか?」
「上手くいくもいかへんも、やってみなわからへんやろ? うちはやったるでぇ!」
 元気はつらつ☆
 リセの言葉など聞く耳持たずにメガホン振り回して飛び出してゆくオリューの背中に、リセは深い溜息をついた。


●楓先輩ぴーんちっ! 
 可愛らしいアキたちにチョコレートは食べれるかどうか、好きな食べ物は何かなどを聞かれて、バレンタインが楽しみになった帰り道。
「楓はんやな、ちょっとばかしうちに付きおうてもらうで」
 どーん☆
 浮かれる楓を呼び止め、仁王立ちで道を塞ぐオリュー。
「僕に何か御用なのかな?」
 縦縞ユニフォームを来て、帽子を目深にかぶってメガホンを構えるオリューはどう見ても友好的ではなさそうなのだが、楓は礼儀正しく律儀に立ち止まっちゃったりする。
「御用も御用や。とーぶんうちらに付き合ってもらうさかい、覚悟しいや」
 戸惑う楓にメガホンを構え、『デスメガホンデス』発動!
 騒音を撒き散らし、思考を停止させるそれに楓は成す術もなく崩れ落ちる。
「うちにかかればこんなもんやで♪」
 ご機嫌に鼻歌なんぞを歌いつつ、オリューは楓を捕らえてほくそ笑む。
 

●チョコレート作り☆
 楓が大変なことになっているとは露知らず。
 海賊船『ぷにっとぷにっと☆』の厨房でお菓子作りに励むぷにっと達。
「好きな‥‥人? ‥‥そう。それは素敵かも‥‥」
 アキに好きな人が出来たと聞き、まったりとリトルスノー(紗雪(fa2853))は応援する。
「楓先輩がチョコ好きでよかったでぃすよ。チョコレートはでぃすね、ぬるま湯で湯煎するでぃすよ」
 お料理大得意☆ 
 リスリスが頑張るアキにつきっきりでお手伝い。
「う〜。あんまり溶けないしぃ、もっと温度上げちゃいたいカンジぃ〜?」
 でも初めてのお菓子作りは早々上手くいかない。
 ボールをかき混ぜてもなかなか溶けないチョコレートにアキはぷくっとほっぺを膨らます。
「駄目でぃすよ。あんまり温度を高くするとチョコレートが白っぽくなるでぃす。白っぽいチョコレートはとんでもなく不味くなるでぃすよ」
「不味くったって大丈夫だよ! 『当たって砕ける』ってことわざにもあるしさ!」
 いい加減チョコレート作りに飽きてきたユメコはにこにこと微笑みながらてきとーに応援。
「‥‥うん。好きなら言っちゃえ‥‥告っちゃえ‥‥なの」
 リトルスノーは口調はまったりしつつも本気で応援。
「なんかいい匂いしてると思ったら、チョコレート作ってるの? あたしにも食べさせてよね」
 チョコレートの甘い香りに連れられて、アリサ(アリシア(fa1575))が厨房にやってくる。
「だめえぇっ! ってゆーか、これってかえで先輩のだしぃ!」
 ひょいっとつまみ食いをしようとしたアリサからチョコレートをアキが死守した時、手紙が届いた。


●偽の先輩
「『学校の裏庭にて待っとるで。 ―楓―』きゃうーん、先輩ったら、先輩ったら、アキに一目惚れってカンジぃ〜?」
 うきうきわくわく。
 何故か海賊船に届いた楓からの手紙に、アキの空想は止まらない。
 そして裏庭で待つアキを見守るように物影に隠れる四人。
「なんか面白そうよね」
「応援するでぃすよ」
「アキ‥‥がんばって‥‥」
「恋はね、相手への『好き』って気持ちが一番大切なんだよ」
 口々に応援する(?)ぷにっと達に見守られ、どきどきと先輩を待つこと数十分。
 楓先輩が姿を現した。


「まったく、オリューさんときたら‥‥」
 攫われてきた楓をみて、リセはこめかみを押さえる。 
 肝心のオリューは楓そっくりに変身し、自信満々にぷにっと達の下へと行っている。
 魔法の鏡にはいままさにオリューが先輩のフリをしてアキに暴言を吐き散らし、哀れアキは泣き出したところが映し出されている。  
「アキちゃん‥‥!」
 縛り上げられ、どうすることも出来ない楓は、鏡の中のアキをはらはらと見守る。


「かえで先輩、どうしてそんな酷いこというのぉっ!」
 わあっとその場に泣き崩れるアキを庇うように、物陰から見守っていた四人が飛び出した。
「なんやなんや、お仲間かいな。全員幼児体型やなぁ。うちはもうちょっと、こうボンキュボンっとしたほうが好みや。なれるんやったら恋人に考えてやらんでもないで、ん?」
 意地悪くけけけっと偽楓が笑う。
「思春期の男の子なんだから、ある日突然関西弁になる事だってある‥‥わけねぇよ! こいつは偽物だ!!」
 びしっ!
 オリューの変身を見破ったユメコがぷにっと海賊団に変身☆
「そうだよ。かえで先輩はそんなだっさい口調じゃないってカンジぃ!」
 やっと偽者だと気づいたアキも怒りマックス!
 泣いたぶんだけぶち切れた。
「ふん、ばれてもーたらしゃーないな。うちは悪の海賊団オリュー! あんたら覚悟しいや!」
 ぷにっと海賊団に変身した五人を見て、正体を現したオリューはメガホンを構える。

【【【  こぉんなうちに誰がしたぁ〜! 】】】

 メガホンから吐き出されるデスメガホンデスに耳を押さえてうずくまるぷにっと達。
 けれどリトルスノーには効かなかった。
「‥‥アキの恋心を弄ぶ‥‥そんなの‥‥許せない‥‥」
 手の平サイズの雪だるまを瞬時に手の中に作り出し、オリューを攻撃☆
「おわっ、冷たいやないか、何しはるんやっ、このくそがきっ!」
 冷たい雪だるまを目に当てられて、オリューは怯む。
「カードスラッシュっ‥‥カナダ人の幽霊のカードっ!」
 攻撃の止んだその隙に、アリサがカードスラッシュ☆
『Ready?』
 ぷにっとフォンから機械音声が流れ、不発っ。
「えええ〜っ、なんでよーっ!」
 なんでじゃなくて、幽霊なんかいくらなんでも呼び出せませんってば。
「それならこっちはどうでぃすか? くるみボンバー!」
「ボクに任せて! いっくよ〜っ☆」
 ユメコがオリューに膝蹴りをぶちかまし、リスリスがカードをスラッシュさせて必殺武器からクルミを乱射!
「うおおっ、いてぇ、いてえってばよ!」
 次々に繰り出されるぷにっと達の必殺技にオリューたじたじ!


「いけない。いつものパターンだわ」
 魔法の鏡から様子を伺っていたリセは柳眉を潜める。
 このままではまたぷにっと達に倒されて終わってしまう。
「でも、大丈夫。手は打ってあるのです」
 小さく呟き、リセは楓の縄を解く。
「本当はこんな真似はしたくなかったのです。どうか私たちを許してください」
 優しく、本当に優しく。
 裏など何もないかのような声色で囁かれた楓は、間近に迫ったリセの美しい横顔にどぎまぎ。
(「ふふっ、効いているようね」)
 顔を赤らめる楓にしめしめと心の中でほくそ笑み、リセは楓を連れて魔法の鏡の中へ飛び込んだ。


「かえで先輩っ!」
 空間から突然現れた楓とリセにアキは悲鳴に近い声を上げる。
「偽物と見破った想いは認めるけれど‥‥彼はどうしたいのかしらね?」
 いいながらちらりと楓に色っぽい目線を送る。
 美女に見つめられて楓は真っ赤に。
「先輩‥‥その人が好きってカンジなのぉ‥‥!」
 オリューに対する怒りより、大好きな先輩を前にしてアキは感情が追いつかない。
「そんなものいまこの戦いにかんけーないよ! この海の女にはねっ。ぷにっとアクセルっ!」
 どっかーんっ☆
 重苦しい沈黙をアリサが三回転キックとオリューと共にぶち破る!
「つーか、いい歳して小学生の恋愛に首突っ込んでくんなよ!」
 ユメコもぶりっ子の仮面を脱ぎ捨てて、潔く啖呵を切り、
「そうでぃす。結果なんてまだわからないでぃすよ。灰汁のような悪の海賊団はご退場願うでぃす!」
「アキ‥‥みんながついてるんだよ‥‥」
 リスリスとリトルスノーがアキを励ます。
「うん、そうだよね。そうなんだよ。アキにはみんながついてるんだしぃ、もう大丈夫ってカンジぃ〜!!!」
 すくっと立ち上がって涙を拭いて、五人、一斉に悪の海賊団ペアに立ち向かう。
「乙女の恋路を邪魔する奴はっ」
「ぷにっと蹴られて飛んでいけ〜!」

「「「「「すーぱーぷにっときーっく!!!」」」」」

 ちゅどーんっ!
 掛け声と共に五人の力を合わせたスパーぷにっとキックが炸裂☆
「くそぉ、おぼえとけよ〜〜〜〜!」
「私はこんなキャラではありません〜っ!」
 キランっ☆
 断末魔の叫びを残して吹っ飛ぶ悪の海賊団。
 くるっ!
 アキを中心に、カメラ目線で振り返るぷにっと海賊団。
「「「「「正義はぷにっと☆」」」」」
 勝利のポーズ、決めっ☆
 
 こうして、今日も世界の平和と乙女の恋心は守られたのだった。

 
●エピローグ〜ラブラブな二人(?)〜
「先輩、これ‥‥アキが作ったってカンジとかぁ‥‥」
 しどろもどろ。
 まだバレンタインには早かったけれど、先輩に呼ばれたと思って嬉しくて、リュックに詰めておいたチョコレートをアキは手渡す。
 顔は真っ赤で、いつもの元気さはなりを潜め、どきどきは最高潮に。
「僕のために本当にありがとう‥‥ケガしてない?」
 なでなでなで。
 チョコレートを受け取って、楓はアキの頭も優しくなでる。
 歳の離れた幼いアキを、まだ恋愛対象としては見れないけれど、それでも一生懸命なアキの気持ちは嬉しかったのだ。
「僕もアキちゃんの事好きだよ」
 恋人としてではないけれど、それでも可愛いアキに楓はにっこり微笑んで。
 ぷにと仲間に見守られながら、アキもにっこり微笑んだのだった。