WonderTalkアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/16〜02/20
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●本文
画面の中に、一人の青年が佇んでいる。
青年が纏う衣装は銀の鎧。
その目の前には、赤い鱗に覆われたファイヤードラゴン。
彼は装飾の施された剣を天高く掲げ、
「我はこの世界の平和を守るもの。
悪しき魔物に決して負けはしない!」
青いマントが風になびき、今まさに彼に襲い掛からんとしていた赤いドラゴンを一閃の元に切り裂く。
そして彼の姿が黒いシルエットへと変わり、そのシルエットに『Wonder Talk』の赤い文字が重なる。
そう、それは新番組『Wonder Talk』のオープニング画面。
中世ファンタジー世界『カラファン』を舞台に主人公達が剣と魔法と知恵を使い、行く手を阻む魔物達を倒してゆく特撮番組。
カラファンに巣食う魔物達は多種多様で、出現場所もまちまちだ。
魔物を倒す者達はモンスターハンターと呼ばれ、ハンターギルドにてモンスター退治の依頼を請け負う。
そして今日もギルドの受付嬢が一人の青年に微笑んだ。
「この街の東にある砂漠に、ビッグ・スコーピオンがでたらしいの。倒してもらえないかしら?」
そうして、今日もモンスターハンター達はモンスター退治に出かけるのである。
☆Wonder Talk出演者募集☆
ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『Wonder talk』出演者募集です。
剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、モンスターを倒してください。
☆モンスター情報☆
『ビッグ・スコーピオン』
赤く硬い甲羅に覆われた節足甲虫。
体長2m。
必殺技:ポイズンアタック。
1mはある長い尻尾の先端についた毒針で敵を刺します。
☆地域情報☆
今回の舞台は、ファンタジー世界カラファンの西方に位置する砂漠のオアシス『グラ』。
グラのさらに西方にあるグラ砂漠にビッグ・スコーピオンは生息しています。
なお、グラの街からグラ砂漠に行くには『妖精の踊る小道』と呼ばれる夜になると光り輝く石造りの小道を抜けなければなりません。
噂によると妖精が現れるということですが‥‥?
☆選べる職業☆
戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
僧侶 :治癒魔法を得意としています。
魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
召喚士:精霊を召喚し、使役します。
吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。
なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
●リプレイ本文
●集まったモンスターハンター達
モンスターハンター達が集う冒険者ギルド。
そこに張り出されたビッグ・スコーピオン討伐依頼に書かれた金額を見て、軽鎧を身に纏った戦士・アイ(月影 愛(fa2814))は飛びついた。
「いい金額なんだよ。この依頼を受ければ新しいナイフが買えちゃうんだよ♪」
うきうきと受付で手続きをするアイに、
「初めまして、アタシはフレア。良かったら同行させてくれない?」
エキゾチックな衣装に身を包み、アップにした長い赤髪を揺らす美貌の踊り子・フレア(あいり(fa2601))が声をかけた。
フレアもその依頼に目をつけていたのだがいかんせん、攻撃力がない。
だから一緒に依頼を受けてくれるメンバーを探していたのだ。
そしてそんなフレアの服の裾をツンツンと引っ張る手があった。
二人が下を見ると、
「ケーナ、一緒に行く」
ちょこん。
そんな擬音が似合いそうな小さな召喚士・ケーナ(美森翡翠(fa1521))が二人を見上げていた。
「何でこんなところに子供がおるんや? おとんやおかんはどこにいっとんのや。はぐれたんならうち、探したるで?」
黒髪の戦士・リュオ・ルーク(葉月竜緒(fa1679))が面食らってる二人に代わってケーナの前に屈んで頭を撫でてやる。
すると、
【その子は召喚士だよ】
突然、どこからか不思議な声が響いた。
そして次の瞬間、ケーナの側に精霊が二人、現れる。
一人は燃え盛る炎を思わせる火の精霊。
そして旋風に巻かれた少女のような姿をしているのは風の精霊だろう。
「精霊、ともだち」
幼い指先で幸せそうに精霊に触れて微笑む彼女は、なるほど、精霊に愛されたもののみがなれるという召喚士に違いなかった。
「うわあっ、俺、実体化した精霊なんて初めて見たんだよ。しかも二匹っ」
たまたまその様子を見ていた少年魔法使い・ユスカ(ユスカ(fa2882))は感嘆の声を上げる。
元気いっぱいな彼は、
『誰が二匹じゃ! 様づけで呼ばんかいっ』
と炎の精霊にすかさずパッコーンッ! とはたかれる。
「なんだよ、乱暴な精霊だなっ。ま、いいや。気を取り直してっと、みんな初めまして! 俺は強くなりたくて、家出‥‥じゃない、修行しに来たんだよね。よろしくだよ♪」
叩かれた頭をさすりつつ、家出少年ユスカはちっともめげない。
「‥‥おい、おい、大丈夫か? そんなメンツで」
これからビッグ・スコーピオンを倒しにいくというのに、なにやらほのぼのしている面子に、いかにも歴戦の戦士という雰囲気を漂わしているケルヴィン(烈飛龍(fa0225))は心配げに声をかける。
「どうにかなるんだよ、きっと」
「砂漠で蠍退治なんて刺激的じゃない♪」
尋ねられたメンバーは楽天的なアキとフレアはもちろんのこと、ちみっ子二人もこれといって特に計画性はない様子。
「仕方ないな、俺が付いていってやるよ。俺はケルヴィン。見ての通りの戦士だ。よろしく頼むぜ、お若いの」
もともとビッグ・スコーピオンの退治依頼は一人で受けようと思っていたのだが、あまりにも危なっかしいアキ達のパーティーを見て気が変わったらしい。
「あ、あのっ‥‥私も‥‥連れて行ってください‥‥ビッグ・スコーピオンの毒が必要なんです‥‥っ」
ビクビクおどおど。
そんなほのぼの(?)パーティーに大きな丸眼鏡をかけた気弱な魔法使い・ナツキ(夏姫・シュトラウス(fa0761))が涙目で訴える。
そうして七人はパーティーを組み、ビッグ・スコーピオン退治に向かうのだった。
そのみんなの後姿を、ジャカジャカと無意味そうにリュートをかき鳴らして見送る愛と正義の吟遊詩人プリティ・ヨウ(御鏡 遥(fa0368))はそっと、みんなの後をつけてみたりする。
●いざこざ
砂漠のオアシス・グラから西方へ数日。
昼は灼熱、夜は零下の砂漠の旅は、思いのほかモンスターハンター達の体力を奪っていた。
特に幼いケーナとユスカの消耗は激しい。
「移動は夜が基本だな。昼間の暑さは無駄に体力を奪われるだろう」
経験豊富なケルヴィンの言葉に従って、パーティーは夜に移動し、昼間は簡易テントを使用して休憩をきちんと取っていたのだがいかんせん、幼すぎる二人には砂漠は過酷過ぎた。
「アクア、おねがい‥‥」
皆に迷惑をかけまいと、ケーナが水精霊を呼ぶと、炎の精霊が現れた。
『水は、ここにはいないんじゃよ。雨でも降らんことにはな。この暑さもわしにはどうしてやることも出来んのじゃ。すまぬのぅ』
火の精霊は申し訳なさそうに姿を消す。
「あ、あの‥‥薬‥‥これっ、よく効くんです‥‥」
ナツキがバックパックから小瓶を取り出す。
各種薬の調合を心得ているナツキのそれは、失った体力を回復する力がある。
お礼を言ってケーナはちょっぴり苦いそれを頑張って飲み干して、おぶってやるというケルヴィンの背に背負われる。
「ケーナさんばっかりずるいぞっ、俺だって疲れてるのに!」
駄々をこねるユスカに、
「これは遊びやないんや、人の命が掛かっとるんやで、もっと真剣にやってんか!」
リュオがぶちきれる。
砂漠の暑さと疲労と、そしてビッグ・スコーピオンにより奪われた命の数々。
一刻も早く倒さねば被害が広がるというのに一向に見つからないことによる焦り。
そんな様々なものが重なって、イラついていたのだ。
「なんだよ、なんだよっ、リュオさんの馬鹿やろーっ!」
涙ぐんでユスカは駆け出す。
「ちょっとちょっと、どこに行く気なのかなっ?」
「小さい子泣かしちゃ駄目♪」
アイとフレアの美女二人は口々にそういって、リュオも一緒にユスカを追いかける。
「おいおい、お前らはぐれるなよ? 星の位置をきちんと覚えて置くんだ。じゃないと方角がわからなくなるぞ!」
駆け去る背中にケルヴィンが声をかけつつ、全員で後を追いかける。
●光る踊る小道
そこは、なんともいえない光景だった。
「すげぇ‥‥っ!」
涙ぐんでいたことも疲れきっていたことも忘れて、ユスカはその光景に目を奪われる。
―― 一面の、光の海。
いつの間にか妖精が出ると噂される光の踊る小道に来ていたらしい。
石で舗装された後の残るそこには、小さな光の玉がいくつもいくつも漂い、ユスカが足を踏み入れるとすっと横に移動する。
「なんやなんや、これ?」
一番初めに追いついたリュオも目を見張る。
「‥‥踊り、きれい。光るのきれい、ケーナは好き」
「こりゃ凄いな」
「小瓶に詰めたら‥‥持ち帰れるでしょうか‥‥。こ、こんなに綺麗なら‥‥師匠もきっと喜んでくれます‥‥っ」
次々に追いつく面々は口々に感嘆の声を漏らす。
そんな中、オリューが言いずらそうに照れながらユスカに詫びる。
「うちも言いすぎたわ。堪忍な?」
「うん。俺もごめんだよ」
「ビッグ・スコーピオンは一人でも皆がばらばらでも戦える相手やない。うちの背中あんたに預けるさかい、よろしゅうな?」
がしっ!
仲直りのしるしに腕と腕をしっかりと絡める二人。
さあ、いよいよビッグ・スコーピオンとの戦闘だ☆
●ビッグ・スコーピオン
ビッグ・スコーピオンが現れるというグラ砂漠。
「風の娘、音を運んで。スコーピオンが何処から来るか教えて」
ケーナとナツキがそれぞれの力を用いて敵の居所を探り出す。
「こ、これは‥‥皆さん、危険ですっ!」
いち早く感知したナツキが叫ぶ。
次の瞬間目の前の大地が盛り上がり、赤い甲羅で覆われたビッグ・スコーピオンが!
「くそっ!」
とっさにケルヴィンが前に躍り出て、敵の長く鋭い尾から繰り出される攻撃をラージシールドで受け止める。
「天にあまねく極光の帳!」
ナツキの呪文詠唱が響き渡り、防御魔法ブローディア発動!
虹色に輝く光のカーテンがパーティーに降り注ぎ、敵の攻撃を緩和する。
「隙間を狙えば‥‥ナイフでもいける! ナツキさん、武器強化の魔法を付加して!」
素早い動きで敵を翻弄しつつ、ナイフで斬りつけていたアキが叫ぶ。
ビッグ・スコーピオンの硬い甲羅は通常のナイフでは掠り傷がせいぜいだが、強化魔法と隙間を狙えば勝機はある。
「了解です‥‥‥‥きゃっ!」
すぐさま呪文詠唱にかかるナツキを、ビッグ・スコーピオンの鞭のようにしなる尾が貫いた。
「ナツキさんっ!」
「くっ、思った以上やな。せやけどうちらかて負けへんで!」
リュオの矢がビッグ・スコーピオンの目を打ち抜く。
「さぁさぁ、鬼さんこちら♪ 捕まえて御覧なさい!」
フレアが踊りこの身軽さでひらりと攻撃をかわしながら敵を翻弄する。
けれど、
「一体だけ? おかしいな。本には、この魔物は常に数体で行動するって書いてあったような‥‥」
縁起でもない言葉をユスカが呟いた途端、その言葉を肯定するかのようにもう一匹が地中から姿を現した!
「大地と火の子、砂よ、蠍の足元から退去して!」
咄嗟にケーナが精霊に願い、もう一体の敵の足元を崩す。
けれど一体でも苦戦しているというのに二体では絶望的。
徐々に、けれど確実にパーティーは追い詰められてゆく。
絶望感が漂いだす中、ジャカジャカと場違いな音が流れ出した。
「砂漠の一人旅中に、モンスターとの戦闘を見て助力するのが正義よね♪ プリティ・ヨウ、参上だよっ♪」
きらーんっ☆
リュートを構えてヨウは意気揚々とかき鳴らす。
ジャカジャカジャカジャカと無意味に無敵にかき鳴らされるその音は絶望感も音階も吹っ飛ばして激しい騒音!
音でもハンター達の居場所を判断していたビッグ・スコーピオンがのた打ち回る!
「俺が攻撃の機会を作ってやるから、必ず仕留めろよっ!」
叫んで、ケルヴィンはマントをなびかせビッグ・スコーピオンの尾をウォーハンマーで叩き潰す。
一番恐ろしいのはこの尻尾から繰り出される猛毒だ。
これさえ潰してしまえば後はただ硬いだけの木偶の棒。
「怪物だけど、熱帯や乾燥帯に生息する生き物であることに変わりは無い。弱点は‥‥冷気だ! Benumbed air!!」
ナツキに毒消しを飲ませ、冷静に判断したユスカが敵の動きを鈍らすべく、呪文を唱える。
一瞬にして零下の空気で包みこまれた敵はその動きを制限された。
「カラファンの風の王! 貴方が名を付けし娘の声が聞こるならその加護を! 我らの命を脅かす魔物に風の刃の裁きを!!」
そしてケーナが最大限の力を用いて祈りを捧げ、風の精霊たちが一気に敵を切り裂いた!!
「もう一体は?!」
「任せろ。キッチリ仕留めたぜ」
「完璧やでー♪」
リュオとケルヴィンがビッグ・スコーピオンの上に乗り、その背に深々と剣を突き刺していた。
「終わった‥‥?」
「勝った! やったー!!」
ユスカはぴょんぴょんと勝利の歓声を上げて飛び回る。
こうして、無事にビッグ・スコーピオンを仕留めた八人は、ギルドでたっぷりと報奨金をもらい、また、新たな冒険へと旅立っていくのだった。