WonderTalk〜奪われた宝アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/02〜03/06

●本文

 青空を写した画面の中に、モンスターと戦う中世ファンタジー風味の戦士や魔法使い、魅惑の踊り子達が立ち向かう。
 そうしてモンスターを倒し終えると剣を構えた青年のシルエットと『Wonder Talk』の文字が重なった。
 それはファンタジー特撮番組『Wonder Talk』のオープニング。
 中世ファンタジー世界『カラファン』を舞台にモンスターハンター達が剣と魔法と知恵を使い、行く手を阻む魔物達を倒してゆく特撮番組は今回で三作目。
 モンスターハンター達はハンターギルドにてモンスター退治や一般人には解決できない問題を依頼として請け負う。
 そして今日も、ハンター達が訪れた冒険者ギルドでは依頼があふれていた。

「女神の涙が奪われちまったんだよ」 
 そういって、髭面で禿頭のモンスターギルドの受付係が眉根を寄せる。
 カラファンの東方に位置する城下町レザラディカのさらに東、ワレント海域に面した港町『クアイエラ』。
 その町の宝として知られていた女神の涙が海賊に奪われたのだという。
 女神の涙とは大粒の真珠で作られた良質のネックレスのことで、天井知らずの価値がある。
「奪ったやつらはワレント海域を主な狩場にしている海賊団『レオナルド』
 黒ヤギのマークが目印だ。
 だが、ちぃとばかしおかしいんだよ。やつらはこれまで一度だって陸のモンに手を出したこたぁねぇんだ。
 やつらが狙うのはいつだって政府の船さ。
 高慢ちきな貴族のお偉いさん方がやつらにいいようにやられる様は見ていて爽快だったんだが‥‥おっと、いまのは誰にも言うなよ?
 役人に見つかったらしょっぴかれちまう。
 けんどまあ、奴等が奪っていくのを見たって奴がいる以上、ほうってはおけねぇ。
 お前さんたち、奪い返してきてもらえんかね?
 船は手配するからさ」
 やれやれといった風に肩を竦める受付係に、ハンター達は顔を見合わせた。
 

☆Wonder Talk出演者募集☆

 ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『Wonder talk〜盗まれた宝〜』出演者募集です。
 剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、見事奪われた宝『女神の涙』を取り戻してください。

 
☆海賊情報☆
『海賊団レオナルド』
 ワレント海域を主な狩場としている海賊団。
 黒ヤギのマークが目印。
 総勢12名の少数精鋭で、頭は『隻眼のグローリー』。
 腕っ節が強く、兄貴なお人。


☆地域情報☆
 今回の舞台は、ファンタジー世界カラファンの東方に位置する城下町『レザラディカ』のさらに東方に位置するワレント海域に面した港町『クアイエラ』。
 港町らしく活気があり、海の幸で溢れています。
 ここでは貴重品の塩も豊富で、特産品は『真珠』です。
 

☆選べる職業☆
 戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
 僧侶 :治癒魔法を得意としています。
 魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
 踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
 召喚士:精霊を召喚し、使役します。
 吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。 
 シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
 
 なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
 今後も職業は順次増えてゆきます。

●今回の参加者

 fa0406 トール・エル(13歳・♂・リス)
 fa0467 橘・朔耶(20歳・♀・虎)
 fa0672 エリーセ・アシュレアル(23歳・♀・竜)
 fa1521 美森翡翠(11歳・♀・ハムスター)
 fa1609 七瀬・瀬名(18歳・♀・猫)
 fa1670 星蔵 龍牙(23歳・♂・竜)
 fa2478 相沢 セナ(21歳・♂・鴉)
 fa2882 ユスカ(10歳・♂・狼)

●リプレイ本文

●ギルドにて
「あら、宜しくお願いしますわね。見知った顔もあって喜ばしいわ、おーっほっほっほ!」
 魅惑の踊り子・トール(トール・エル(fa0406))がギルドに集まった面々を見回し高笑いをすると、
「初めてお目にかかる蒼龍と申す、よろしくお願いします」
 パシッと腕を鳴らし、戦士たる蒼龍(星蔵 龍牙(fa1670))が頭を下げる。
「また会えたね。嬉しいんだよ」
 魔法使いのユスカ(ユスカ(fa2882))はトールと召喚士のケーナ(美森翡翠(fa1521))に人懐っこく笑いかける。
「うん、あたしも嬉しい」
「よぉ、お前も召喚士か。俺はサクヤ。同じく召喚士だ。よろしくな♪」
 ほんわかと微笑むケーナの身につけた水晶のペンダントに気づき、同じ召喚士たるサクヤ(橘・朔耶(fa0467))は気さくに笑う。
「あのレオナルド海賊団が、そんな‥‥ショックです‥‥。と、普通なら思うところなのだけど。なんだか裏がありそうですね」
 細身の剣と短剣、二振りの剣を操るシーフ・リセ(エリーセ・アシュレアル(fa0672))はそう呟いて柳眉を顰める。
「どんな理由で盗んだにせよ、人様のものを盗むなんて許せないです」
 敬謙なる尼僧・梅花(七瀬・瀬名(fa1609))はアイアンクラブをぐっと握り締める。
 鉄で出来たそれはかなりの重量を誇るのだが、梅花はそれを苦ともしない。
 おっとりとした外見とは裏腹に、かなりの腕力を持っているようだ。
「ところで。そちらのイケメンも一緒の依頼を受けたのかしら? わたくしに跪かないなんて無礼ね」
 どこまで本気なのかトールはツンと顎を逸らし、ギルドの受付に腰掛け、何処となく影がある旅の剣士・ディアード(相沢 セナ(fa2478))を軽く睨む。
「‥‥名はディアードだ。傭兵稼業をしている」
 こちらにたった今気づいたというようにふと顔を上げ、ディアードは軽く会釈する。
「まあ、たったそれだけですの? わたくしへの賛美は?」
「請けた仕事を遂行する、それだけだ‥‥」
 トールを見もせずに、ディアードはぽつりと呟く。
 なにやら意思疎通が難しそうな八人だったが、女神の涙を取り戻すべく、街に繰り出すのだった。


●情報収集
「レオナルド海賊団って、どうして今までと違う盗みをしたんだろ。本当に本人だったのかな」
 ギルドや街で聞き込みを行っていたユスカは、それから得た情報で首を傾げる。
「大事なモノとるの、よくない」
 そう呟きつつ、ケーナはクアイエラの議会館に面した露店で売られている塩を手に取る。
 小さな小瓶に詰められたそれは、ケーナが振るとさらさらと音を鳴らした。
「初めて見るのか? それは塩だぜ」
「塩? たぶん、初めてみるの。砂みたい、キレイ」
「見た目は綺麗だけれど、なめるとしょっぱいのよ」
 リセがくすくすと微笑みながら、会計を済ませた。
「ねえ、店員さん? 海賊団『レオナルド』っているらしいんだけど知ってらっしゃいます?」 
 トールがすかさず露店の店員を誘惑するのはきっとデフォ。
 有益な情報を得るというよりも、トールの魅力に平伏す男達を楽しんでいるようだ。
 しかし誘惑された店員は大方の予想を裏切ってぽろっととんでもないことを言い出した。
「え? 役人がうろついていた?」
 店員の言葉にユスカが思わず聞き返す。
 女神の涙が盗まれた夜。
 たまたまこの場所に忘れ物を取りに来た店員は、とある役人がこの場所をうろついていたのを見たと言うのだ。
「その役人の名前は?」
 それまでずっと無口だったディアードが口を開く。
「ホセ? そのお名前はギルドでもお聞きしたのです。確かレオナルド海賊団を見たという方です」
「船を出すのもその方ですね」
 梅花が呟き、蒼龍は顎に手を当て考え込む。
 ギルドでケーナが聞いたのだ。「レオナルド海賊団を見たの、だれ?」と。
 その時聞いた名前がホセで、女神の涙が収められていたクアイエラ議会館の役人。
 ギルドで蒼龍達が依頼を請け負うと知ると、船を出す手配をすると申し出てきた。
「役人かぁ。なーんか臭いんだよな〜。やな感じ」
 ユスカが子供らしい素直さで、皆の気持ちを代弁する。
 そんなこんなで有力な情報を得、一同はホセの待つ港へと向かうのだった。


●逃がしはしないよ?
 ホセの印象を一言で言うなら、人の良いおじさん。
 中肉中背で程よい皺の刻まれた丸い顔で笑いかけられると、ついついこちらも気を許してしまいそうになるほんわかとした雰囲気がある。
「揺れますから、気をつけてくださいですよ」
 用意された船に乗り込むモンスターハンター達に、港からホセが声をかける。
「もちろん、あんたもくるんだよな?」
 サクヤに肩を捕まれ、ホセは冷や汗を流す。
「当然ですね。役所の方にきちんと事の成り行きを見て頂かなくては」
 蒼龍がもう反対側の肩をがっしりと抑える。
 二人のハンターに両肩を抑えられ、ホセは殆ど涙目になりながら船に乗り込んだ。
 ゆっくりと、船は沖を目指して動き出す。
 海独特の潮風が頬に心地よい。
「アクアとムーンライトの力感じる。宝石、大地の力多いのに」
 看板の上で、初めてみるはずの海に瞳を輝かせながら、ケーナはトールの真珠に触れる。
「まあ、この真珠は中々に良くってよ。ほーっほっほっほ!」
 トールがちゃっかり誑しこんだ露店の店員から貢がせ‥‥げふんげふん、頂いた真珠の腕輪は、海の宝石。
 月の精霊に選ばれた貝の身に宿る海の宝石からケーナには月の精霊の力を感じ取ることが出来るのだろう。
「そろそろ、だな‥‥」
 レオナルド海賊団が縄張りとしているワレント海域を見つめ、ディアードは気を引き締める。
 遠くのほうに、黒ヤギの旗がはためいた。


●対決! レオナルド海賊団。
「『女神の涙』を返していただけないでしょうか?」
 黒いヤギのマークをはためかせ、悠然とそこに構えるレオナルド海賊団キャプテン・隻眼のグローリーに梅花はアイアンロッドを突きつける。
 十二人の少数精鋭の海賊団を乗せた船はそれほど大きくはなく、モンスターハンター達の船を一回り大きくした程度。
 一定の距離を保ち、二つの船は睨み合う。
「そんなものは知らねぇな。お嬢ちゃん、怪我したくなかったらとっとと陸に帰るんだな」
「どうしても返しては頂けぬのですね! 何とか話し合いで決着したかったのですが仕方ありません。力であなたをひれ伏させるまで‥‥いざ!」
「さぁ、いつでもかかってくるがいい!」
「一緒に遊ぼうぜ!」
 蒼龍、ディアード、サクヤがすぐさま戦闘体制をとり、ケーナが祈りを捧げる。
「カラファンの風の王! 貴方が名を付けし娘の声が聞こえたらその加護を! 正しき者を導く為に、自由の船の帆に良き風を送りたまえ!!」 
 ケーナの祈りに応え、風の精霊達がレオナルド海賊団の船にハンター達の船をぴったりと横付けにする。
「痛くないですよ? ‥‥それほどは」
 軽やかに船から船に飛び移り、そのままひらりとリセは細身剣で手近な海賊を切り裂く。
「キサマッ、ルードに何をする!」
 リセが切り裂いた海賊はルードというのだろう、その彼を庇うようにもう一人の海賊がリセに襲い掛かる!
 けれどその剣はリセに届くことなく、ルードに折り重なるように倒れ伏した。
「運が悪かったな」
 リセを守り、あっさりと海賊を切り払ったディアードは、もう次の敵を見つけている。    
「さぁ、わたくしの舞台が始まりますわよ。真武舞術奥義・舞姫!」
 東洋の舞を思わせる幻想的な舞を舞い、トールは鉄扇子を閃かせながら海賊団を幻惑する。
「清き麗しの歌姫よ、そなたの力で彼の者を導き給え」
 そしてそれを補佐するようにサクヤの召喚魔法が完成する。
 水の精霊ウィンディーネがその魅惑的な微笑でトールの舞を補佐し、二人の美女に魅了された海賊団はいきなり大砲を海に撃ち放った!
 ドーンと言う破裂音と共に、大きく傾ぐ海賊船。
「おいおい、お前ら、しっかりするんだ!」
 隻眼のグローリーが手下に指示を飛ばす。
 その眼前に、蒼龍が立ち塞がった。
 リセとトール、ディアードに目を奪われている隙にボスを叩く。
 それが蒼龍の作戦だった。
 けれど後ろから狙うような卑劣な真似はしない。
 正々堂々、真っ向からの勝負だ!
「お手合わせ、願います」
「‥‥いいぜ、かかってこい!」
 漢と漢の真剣勝負が始まった!


 死闘は続いていた。
 拳と拳、肉体で語り合う漢達。
 そこに言葉はいらない。
 あるのは鍛え抜かれた拳のみ!
「貴様は龍の息吹を感じたことはあるか? 牙龍拳究極奥義‥‥龍吼拳!」
 蒼龍の拳が光り輝き、体内の気を極限まで練って生み出されたオーラが隻眼のグローリーに向けて撃ち放たれる。
 その拳はあたかも竜のようで、撃ち放たれる光は竜の咆哮。
「うぉおおおおおおおっ!!」
 避ける事をせず、隻眼のグローリーはそれを全身で受け止め、けれどそのまま後方へ吹っ飛んだ!
「お頭ぁっ!」
 事の成り行きを固唾を呑んで見守っていた海賊達が駆け寄る。
「ふっ、俺の負けだ‥‥かはっ!」
 血を吐いて、隻眼のグローリーは意識を失った。


●真実
「ここにはない、ムーンライトの力、何処にも感じない」 
 戦闘が終わり、レオナルド海賊団を縛り上げるハンター達に、ケーナは告げる。
 女神の涙は大粒の真珠のネックレスだ。
 それがここにあるならば、月の精霊の力を感じることが出来るはずなのだが‥‥どこかケーナの力の及ばないところに隠されているのだろうか?
「暴れないで下さいね? いま、癒して差し上げます」
 梅花は縛り上げた海賊達の手当てに当たる。
 かなりの深手を負っていた者もいたのだが、見る見るうちにその傷は塞がってゆく。
 もちろん、そのうちの数人は梅花の怪力によるアイアンロッドの打撃で負傷していたのだが。
「さぁ、わたくしを奪ってもよろしいですわよ。そのかわり、さっさと女神の涙をお返しなさい。わたくし以外がつけても意味のないものなんですから」
 ふっと艶っぽい吐息をトールは縛り上げられた隻眼のグローリの耳に吹きかける。
 白く真珠よりも滑らかな肌を露出した和服姿の美女に、流石のグローリーも赤面する。
「残念だがな、俺達は本当にしらねぇんだ」
 トールの見えそうで見えない胸元から目を逸らし、次の瞬間グローリーは目を見開いた。
「おい、あれ、お前達の船じゃねぇのか?!」
 驚いて振り返るハンターたちの目に映ったのは、遠ざかってゆこうとする自分達の船。
「海神の息吹を我が前に示せ‥‥吹き荒れろ暴風!」
 咄嗟にユスカが魔法を唱え、暴風を巻き起こし船が遠ざかるのを阻止する。
「熾火を纏う我が愛しき獣よ、悪しき者達へ制裁を与えよ」
 サクヤの召喚魔法が完成し、真紅の炎をまとった狼が逃げようとしていた船に降り立った。
「た、たすけっ、助けてくださいっ〜っ」
 いままさに飛び掛らんとする召喚獣に甲板の上で泣いて土下座するホセに、ハンター達はやれやれと顔を見合わせた。


「つまり、こうゆうこと? 政府の官僚が冒険者と海賊をやり合わせるために裏から手を引いてたってこと?」 
 ずらりと並ぶ海賊とハンター達に怯えながら、ユスカの問いにホセが頷く。
「どうしてこのように人様を騙す行為をなさったのですか?」
 梅花はかなり怒っているようだ。
 アイアンロッドを握り締める手が力の入れすぎで白くなっている。
「わたしは、もう、生きていけないっ!」
「あっ!」
 全てを話したホセは、懐から小瓶を取り出して一気に煽いだ。
 ハンター達が止めるまもなく中身を飲み干したホセは、しかし何も起こらないことにきょとんとする。
「あなたが探しているのはこれですか?」
 いつの間に盗んだのだろう?
 リセはホセが飲み干したのと同じような小瓶を片手に振る。
「そ、それはっ!」
「えぇ、先ほどすり替えさせて頂きましたわ。あなたはさっきから胸元を気にしていましたからね。何かあると思ったの。中身は、毒薬ね?」
 透明な水にしか見えないそれは、恐らく自害用の毒薬。
「お金が‥‥娘が病で‥‥この仕事が上手くいけば、薬を買えたのに‥‥!」
 大粒の涙を流し、泣き伏せる。
 恐らく、病気の娘を楯に取られこの仕事を受けざるを得なかったのだろう。
「ふんっ、相変わらず政府のやり方は汚ねぇぜ」
 隻眼のグローリーの瞳が険しく光る。
「おいおい、グローリー。気持ちはわかるが政府に殴りこみなんかかけるなよ?」
 今にも飛び出しそうなお頭を、サクヤが止める。
「部外者は黙っていてもらおうか。これは俺達レオナルド海賊団と政府の問題だ」
「いいや、黙らんね。いま政府に殴り込んだら、ホセはどうなるんだ? その娘は? 強気を挫き、弱きを助けるのがあんたらのやり方じゃなかったのか?」
「確かにあんたの言うとおりだな。だが、どうすりゃいいんだ? 濡れ衣を着せられたままでいろと?」
「いい考えがあるんだ♪」
 サクヤはにやりと笑う。


●エピローグ
「号外号外ーっ! あの政府の官僚グバディカ様のお屋敷から女神の涙が見つかったよーっ!! 号外号外ーっ!」
 港町を、瓦版屋が忙しく走り回る。
 昨日の夜、何者かの通報を受けた政府の警備兵が件の官僚の家に押し入ったところ、女神の涙が見つかったのだ。
 館の主は「知らない、これは何かの間違いだ!」と喚いたが、現物がそこにある以上言い逃れは出来なかった。
「ありがとうございます!」
 小さな娘と共に、ホセがハンター達に頭を下げる。
 娘は梅花の癒しの呪文とユスカの持っていた薬草で見る見る元気になった。
「これで、全て終わったな」
 ディアードが乱れた前髪をサラリと掻きあげた。