ぷに海賊☆バスジャックアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/10〜03/14
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●本文
『ぷにっと海賊団☆』
それは、海といわず空といわず、悪の海賊団と戦うぷにっとな少年少女たちが主人公の特撮番組☆
TVの中では今日も今日とておしゃれな海賊服に身を包み、必殺のぷにっとな武器で悪の海賊団をやっつける!
「ぷにっとは、無敵だよ☆」
勝利のポーズ、ぷにっと決めっ☆
☆次回予告☆
「子供に、どうしていつも負けるのかしらね?」
薄暗い部屋の中で、黒の女王と呼ばれしブラック海賊団上位幹部は水晶を覗きこむ。
そのなかには、遠足だろうか?
幼い子供達がバスの中で楽しそうにはしゃいでいる。
「ねえ、お前たち。子供には、子供で対抗すればよいと思わない? この子達は使えるかしらね」
黒の女王はカルテにメモを取り、背後に蠢く黒い影たちに嫣然と微笑む。
影達はただただ、蠢くばかりだった。
☆『ぷにっと海賊団』キャスト大募集☆
近日放映予定のぷにっと海賊団『バスジャック!!』のキャストを大募集!
毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
『バスジャック!!』では、ブラック海賊団上位幹部・黒の女王に狙われた幼稚園バスを救ってもらいます。
子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、そして悪役をやりたい大人の貴方も大募集☆
●リプレイ本文
●狙われた幼稚園バス
薄暗い一室で、ブラック海賊団上位幹部黒の女王(笹木 詠子(fa0921))は水晶を覗きこむ。
そこに映し出されているのは、幼稚園バス。
ぷにっと海賊団のメインメンバーよりも幼い少年少女たちが、汽車を模したカラフルなバスの中に乗り込んでゆく。
「そうねぇ‥‥あら、お前も行きたいのかい?」
いつの間にか側に控えていたブラック海賊団上位幹部翠黒の神官(浪井シーラ(fa3172))に気づき、黒の女王は目を細める。
黒のローブを纏い、艶やかな黒髪を肩の辺りで深緑のリボンで束ねた翠黒の神官は、黒の女王の問いに深く頷く。
「‥‥?」
黒の女王は胸元から封された黒いコンパクトを取り出す。
手の平の上でカタコトと動くそれを開くと、以前ぷにっと海賊団に倒された黒鏡の精が飛び出す。
『わたくしめにもチャンスを下され〜。やつらに着せられた汚名、今こそ返上のチャンスを〜』
「ふむ。ビショップ。二人で遊んでいらっしゃい?」
黒の女王はコンパクトを漆黒の神官に手渡し、呪歌の描かれた譜面を燃やす。
燃やされたそれは黒い影となり、神官に纏わり付いてその身体に染み込んでゆく。
「ありがたき幸せ。必ずや、勝利を手に入れてまいります。黒の女王」
翠黒の神官は右手を胸にあて、深々と頭を垂れた。
●大変! 幼稚園バスが狙われてるよっ
ぷにっと海賊団本部・海賊船『ぷにっとぷにっと☆』
「今日はカレーでぃすよ〜☆ 林檎と蜂蜜が入った甘めのカレーでぃす☆」
その厨房で、今日も今日とてリスリス(縞りす(fa0115))がお料理を作っている時に事件は起きた。
「大変っ、幼稚園バスが狙われてるみたいなんだよっ!」
妖精さんの代わりにモニターをチェックしていたタテポ(神代タテハ(fa1704))が厨房に飛び込んでくる。
「‥‥ばすじゃっく‥‥? それは‥‥大変‥‥」
うさぎ耳を揺らし、まったりとしたその口調からは少しも大変な印象を受けないリトルスノー(紗雪(fa2853))は、でも急いでいるらしい。
リスリスにウサギ型に切ってもらったリンゴをぽろっと落とした。
「妖精さんはどうしたでぃす?」
「お友達の蝶々さんと遠足に行ってしまったらしいんだよ」
シルバー・アーデル(ユリウス・ハート(fa2661))が妖精さんの書置きを見て肩を竦める。
「イズミくん、現地に急行お願いだよっ」
「了解ですっ」
海賊船の舵を握るイズミ(森澤泉美(fa0542))が元気いっぱいに舵を回す。
●幼稚園バス
「はーい、これから先生がお歌を歌いまーす」
幼稚園に潜入し、本物の先生と入れ替わった翠黒の神官は、ジャージ姿で本物そっくりに変身し、バスの中で園児達の注目を集める。
小さな子供達が嬉しそうに笑う。
「いい子ね。さあ、みんな‥‥よーくきいてね‥‥」
ほんの少し口元をゆがめ、翠黒の神官は黒の女王より賜った呪歌を歌う。
――さぁ たゆたう黒に身を任せなさい
その黒はあなたに眠りを誘う
夢も希望もその黒に任せなさい――
歌い終えた時、子供達は安らかな寝息を立てていた。
「黒鏡。出ておいで」
コンパクトから黒鏡の精が飛び出す。
『ふふっ、全てをコピーしてやるぞ〜』
黒鏡の精が大きく膨らみ、バスを、そして子供達をコピーしてゆく。
●白の女王
虹色に輝く雲海の中に、その城は建っていた。
「闇が動きだしました。おいきなさい」
顔を城の外に向けたまま、黒の女王とは対照的な白いドレスに身を包んだ女性は傍らに控える少女に命ずる。
「でも、あまり無茶しないでくださいね」
すぐさま城を飛び出してゆく少女に、白の女王は苦笑混じりに呟いた。
●ぷにっと海賊団VSブラック海賊団!
「見つけたでぃす!」
リスリスが海賊船から身を乗り出し、国道を走る幼稚園バスを指差す。
「よし、いま助けるんだよっ!」
シルバーが帆につけられたロープを利用して一気にバスの上に飛び移った!
「うわわっ、危ないです、いま船を横に着けるですっ」
イズミが慌てて海賊船をバスにぴったりと横付けする。
次々にバスに乗り込むぷにっと達。
「ブラック海賊団、どこにいるでぃす! 幼い子供達を狙うなんて許さないでぃすっ」
「みんな、無事かな?! 助けに来たよっ」
リスリスとタテポが子供達に駆け寄るが子供達の様子がおかしい。
「‥‥何か悪い気配‥‥ぷにっと海賊団が‥‥おしおき‥‥です?」
子供達を見てリトルスノーは小首を傾げる。
「僕達はお前達なんか嫌いだいっ!」
「やーいやーい、ぷにっと海賊団のでーベーそー!」
そして幼児達は愛らしい顔で口々に悪口を叫び、ぷにっと海賊団を攻撃してきた!
「えっ、わっ、ちょっとまってだよ?!」
「ひゃあっ、くすぐったいでぃす〜っ」
イスが何故か消え、子供達がぷにっと海賊団を取り囲んで一斉にこちょこちょこちょ!
耐え切れずに笑うぷにっと達。
「うわわっ、運転手さんが消えちゃったです〜っ!」
海賊船を自動操縦に切り替えたイズミが咄嗟に運転席に座り、ハンドルを握る。
「くっ、足が辛いです‥‥っ」
小柄なイズミの足は、運転席に座るとギリギリ足がブレーキに届く位置。
めいっぱい背伸びをするようにイズミはハンドルを切り、どうにか国道から空き地へバスを下ろす。
「イズミくん、完璧だよっ」
「ふ、船とバスはかなり違ったです、怖かったですよ〜‥‥」
涙目になりながらイズミはキッと先生を睨みつける。
「この人が怪しいのです! だって、大人なのに子供のイズミくんにハンドルを握らせたままだったです!!」
バスから降り、園児達を楯にするように後ろに佇んでいた先生にイズミは指を突きつける。
するとどうだろう?
ジャージ姿の先生は、黒いローブの神官へと瞬時に姿を変える。
手にした杖をぷにっと海賊団にかざし、
「私は翠黒の神官だ。子供達よ、ゆくがいい!」
命じられるままに、園児達はぷにっと海賊団に襲い掛かる。
園児達にもみくちゃにされながら、けれどぷにっと海賊団は手も足も出ない。
「小さいお友達は、殴れないよ」
操られている(?)園児達と戦うなんて、ぷにっと達に出来るはずがない。
「子供を利用するなんて‥‥駄目‥‥かも?」
リトルスノーがそういいつつ、よろけてずべしっとこけた。
そしてそのまま園児の一人を押しつぶした!
「うわっ、なんてことを‥‥え?」
潰された園児はあわや大惨事と思いきや、黒い煙になって消えてゆく。
「わかった! この子達は黒鏡の精が作った偽者だよっ!」
以前黒鏡の精と戦ったことのあるタテポが正体を見抜く。
正体がばれた園児達は次々と黒い煙になって消えてゆく。
「く‥‥っ、なかなかやるな。黒鏡よ!」
翠黒の神官が叫び、杖を振り上げる。
そしてぷにっと達の目の前に巨大怪獣が現れた。
●助っ人登場! その名はシャーク☆
怪獣は、翠黒の神官の歌う呪歌を増幅し、ぷにっと達を苦しめた。
「身体の自由が、効かないんだよっ」
「眠くなって‥‥きたでぃす‥‥」
呪歌により身体の自由を奪われ、眠くなるぷにっと達は、絶体絶命のピンチ!
「さあ、楽にしてやろう」
翠黒の神官が再び杖を振り上げたその瞬間、杖が吹っ飛んだ。
「なにっ?!」
「無粋な子守唄はもういいだろう‥‥お目覚めと反撃の時間だ、少年少女」
ぷにっと海賊団を守るように、カウボーイハットとギターを手にした少女・シャーク(阿野次 のもじ(fa3092))が翠黒の神官の前に立ち塞がる。
「お前は一体‥‥!」
翠黒の神官の声に多い被せる様に、シャークはギターをかき鳴らす。
「身体が、動くんだよっ」
「イズミくんも怒ったですよ〜!」
「反撃でぃすっ」
「怒ってる‥‥かも?」
「ぷにっと☆ペット、いくよ☆」
怒りを正義の力に変えて、シルバーの持つぷにっと☆ペットに注ぎ込む。
「この音でやっつけてやるんだよ!」
「力を貸そう、少年」
シルバーがぷにっと☆ペットを吹き鳴らし、シャークがギターをかき鳴らす。
壊滅的音痴のシルバーの音と、シャークのギターから奏で出される超音波、そしてぷにっと達の歌声が合わさってとてつもない破壊力を生み出した!
ちゅどーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ☆
お約束的な音とともに、吹っ飛んでいく巨大怪獣。
「‥‥ぷにっと達よ。また会おうぞ」
自らの負けを確信し、翠黒の神官は黒鏡の欠片と共に掻き消える。
くるっ。
シャークを中心に、ぷにっと達がカメラ目線で振り返る。
「「「「「「正義は、ぷにっと☆」」」」」」
勝利のポーズ、決めっ☆
●エピローグ
「シャークさんが言っていたこと、本当なのかな?」
海賊船に戻り、リスリスが温めなおしてくれたカレーライスをぱくつきながら、タテポは悩む。
『君達に告げないといけないことがある』
そういって語りだしたシャークは、ぷにっと海賊団を作り出した白の女王の直属の部下だという。
いつもぷにっと達に指示を与える妖精が海賊団の創設者だと思っていたぷにっと達には、衝撃の事実だった。
「ぷにっと海賊団の白の女王と、ブラック海賊団の黒の王様。二人の間には、何があったのでしょう」
イズミも首を傾げる。
『浅からぬ因縁があるが、それはまた、次の機会に。さらばだ、少年少女達』
シャークはそういって全てを話してはくれなかったのだ。
だから真実はまだ、闇の中。
「よくわからない‥‥かも?」
「そうでぃすねぇ。いまはとりあえず、美味しくいただくでぃす☆」
甘くて美味しいカレーライスの香りが、悩むぷにっと達を癒すのだった。
「女王、申し訳ありません」
薄闇の部屋で、翠黒の神官は黒の女王にひざまずく。
「いいデータが取れたわぁ‥‥。お疲れ様、ゆっくりおやすみなさい」
けれど黒の女王は負けたというのに一向に怒る気配がなく、コロコロと心底楽しげに笑いながらカルテに今回の記録を記入する。
そう、黒の女王は一部始終を水晶で見ていたのだ。
シャークが誰の手の者かも。
「‥‥随分遅かったわねぇ。キングもお待ちかねよ? じっくり楽しみましょう‥‥『白の女王』」
冷笑を浮かべ、黒の女王はカルテを閉じた。