ぷに海賊☆ホワイトデーアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/17〜03/21

●本文

『ぷにっと海賊団☆』

 それは、近頃人気の子供向け特撮番組☆ 
 画面の中では獣耳&尻尾や、翼をはためかせたぷにっとな少年少女たちが、これでもかというほど可愛く大活躍。
「ぷにっとぱーんちでぃす☆」
「ぷにっとぷにっと‥‥かも?」
「こんなこと、お天道様が許しても、僕たちぷにっと海賊団が許さない!」
 それぞれが必殺技を発動し、吹っ飛ぶ悪の海賊団。 
「「「正義はぷにっと☆」」」
 勝利のポーズ、きめっ☆


☆次回予告☆
 ほんわかほんわか。
 海賊船『ぷにっとぷにっと☆』のなかに甘い香りが漂う。
 それは、クッキーの香り。
 砂糖とバターとバニラエッセンスの甘い香りは、甘い物好きにはもちろんのこと、全ての人々に幸せな気持ちをもたらす。
「ホワイトデーのお菓子、完成でぃす☆」
 リス尻尾を揺らして、オーブンから取り出すと‥‥。
「ふえっ?!」
「これいったいなに?!」
 びよよよよん☆
 びっくり箱を開けたかのように、中からバネ付きの人形が飛び出した。
 匂いにつられて厨房に集まって来ていたぷにっと達はみんなびっくり。
 人形の口には一枚のカード。
「悔しかったら、取りに来なさい?」
「悪の海賊団!」
 どうやらホワイトデーのクッキーは、悪の海賊団が奪ってしまったらしい?!
「取り戻しにいくんだよ!」
「おうっ!」
 一致団結☆
 悪の海賊団にクッキーを取り返しに行くぷにっと達だった。  
 

☆『ぷにっと海賊団』キャスト大募集☆
 近日放映予定のぷにっと海賊団『ホワイトデー☆』のキャスト大募集!
 毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
 『ホワイトデー☆』では、悪の海賊団に奪われてしまったクッキーを取り戻していただきます。
 子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、そして敵役に大人のあなた、大募集です☆

●今回の参加者

 fa0115 縞りす(12歳・♀・リス)
 fa0318 アルケミスト(8歳・♀・小鳥)
 fa0587 猫美(13歳・♀・猫)
 fa1704 神代タテハ(13歳・♀・猫)
 fa2122 月見里 神楽(12歳・♀・猫)
 fa2340 河田 柾也(28歳・♂・熊)
 fa2341 桐尾 人志(25歳・♂・トカゲ)
 fa2604 谷渡 うらら(12歳・♀・兎)

●リプレイ本文

●プロローグ〜悪者は飛んでいけー?
「悪の海賊団なんて、ゆるさないんだよっ!」
「お空に帰ってくださいだよ〜」
「先輩たち頑張って! アルミも応援してるよっ、見てるだけだけど☆」
 タテポ(神代タテハ(fa1704))とカグラ(月見里 神楽(fa2122))が必殺技を繰り出し、見習いぷにっと海賊団のアルミ(アルケミスト(fa0318))が応援する☆
「特撮言うたら全身タイツ〜っ!」
「腹へって力がでぇへんかったのや〜!」
 二人の必殺技とアルミの応援パワーによって、全身タイツで顔にそれぞれA(河田 柾也(fa2340))とB(桐尾 人志(fa2341))のマークの付いた怪人二人が吹っ飛んでゆく。
 空の彼方に吹っ飛んでゆく全身タイツの怪人を見送って、ぷにっと達は勝利のポーズ、決めっ☆ 


●今日も美味しくお料理中☆ ‥‥でも?
 ぷにっと海賊団本部・海賊船『ぷにっとぷにっと☆』
 その厨房では、今日もふんわりリス尻尾を揺らしてリスリス(縞りす(fa0115))がお菓子を作っていた。
「そろそろ焼けたでぃすかねぃ?」
 そういって、リスリスはオーブンをチェックする。
 オーブンの中では大きな人型のジンジャークッキーがほんのりと色づき始めていた。
「もうちょっとでぃす♪」
 ジンジャークッキーより先に作り、冷やしておいた色とりどりのプチケーキを冷蔵庫から取り出す。
 このケーキを会議室に並べ終える頃には、クッキーも焼きあがっているだろう。
 リスリスはプチケーキをお盆に載せて、るんるんと厨房を後にする。
 けれどこの時、こっそりひっそり海賊船に忍び込み、クッキーを狙う怪しい人影があることにリスリスは気づいていなかった。


●悪の海賊団ブラック・キティー参上☆
「ってゆーかぁ、お宝はどこなのってカンジぃ〜」
 海賊船に忍び込んだ怪しい影こと悪の海賊団ブラック・キティー(猫美(fa0587))はぷにっとぷにっと☆ の中を金目の物を探して彷徨う。
 キティーは、本当はとっても役立つ海賊なはずなのだ。
 テレポーテーションを使える海賊なんて、悪の海賊団幹部の中にだって数少ない。
 けれどいっつもなぜか失敗して『ミソッカス海賊』扱い。
 今日という今日はあの有名な正義の海賊・ぷにっと海賊団から新開発のぷにっとアイテムでも盗んでいつも馬鹿にするやつらに見せびらかしてやろうと思っていたのだがいかんせん、貴重品が早々簡単に見つかるような場所においてあるはずがなかった。
 たまたまキティーがお昼寝をしていた木の上をこの海賊船が通り過ぎて、チャンスとばかりにテレポートしてみたのだが‥‥早くも失敗の予感。
「お腹へって動けないでしょぉっ!」
 ぷにっと海賊団に見つかりそうになるたびにテレポートして物陰に隠れていたキティーだが、テレポートにはとっても体力を使うのだ。
 疲れてるしお腹減ったしで逆切れ気味のキティーに、しかし天は味方した。
「ん? 美味しい香りってカンジぃ♪」
 どこからともなく甘い香りが漂ってきて、キティーはロシアンブルーの猫尻尾をぴんと立てて匂いを辿ってゆく。
 匂いの元は、厨房のオーブンからだった。
 様子を伺っていると、ゆったりとした中華風コック服に身を包んだ少女がお盆の上にいっぱいのプチケーキを乗せて厨房を去ってゆく。
「う〜、あれもほしいってゆーかぁ、今ってばチャンスでしょぉ!」
 キティーは食欲のままにオーブンを開け、焼きたてのクッキーを火傷しないようにフキンで包んでポケットにいれ、自分が盗んだ証拠とカードを火を止めたオーブンに押し入れる。
「もう、完璧ってカンジぃ〜?」
 ぱちんと指を鳴らし、キティーはその場から一瞬にして消え去った。
 

●大変! クッキーが盗まれちゃったよっ‥‥て、妖精っ?!
「いま、クッキーも持ってくるでぃす☆」
 戦いつかれ、戻ってきたタテポとカグラ、そしてアルミにプチケーキを振舞いながら、リスリスはとてとてと厨房へ戻ってゆく。
「リスリスさんのクッキーが食べれるなんて、アルミ幸せだよぅ〜」
 ここしばらくクッキーなんて食べていなかったアルミは、プチケーキを方張りながらほっぺたを緩ます。
 けれどクッキーは彼女の口に入ることはなかった。
「これは一体、なんなのでぃす〜〜〜〜〜〜?!」
 リスリスの叫びが海賊船に響き渡る。
「どうしたのかな〜?」
「行ってみるんだよっ」
 慌てて厨房に駆けつけるぷにっと達が見た物。
 それは、オーブンから飛び出すびよよよよんとしたバネ仕掛けの人形と、悪の海賊団のメモ!
「なに何、一体どーしたの?」
 今までずっと整備室に閉じこもって何かを作っていたウララ(谷渡 うらら(fa2604))も出てきてみんなに声をかける。
「リスリスさんの作ったクッキーが盗まれちゃったんです〜‥‥あれ? ウララさん?」
 カグラが振り返り、きょろきょろと辺りを見回す。
 確かにウララの声が聞こえたはずなのに?
「って、ウララさんその姿どうしたのかなっ?!」
 タテポが見つけて、目を見開く。
 妖精サイズに変身し、身体は半透明に光り輝き、青いドレスに花のステッキを持っている。
 その姿はぷにっと海賊団の水晶の妖精そっくり!
「あはは、実はね‥‥」
 そういってウララがステッキを振ると、ぷにっと海賊団の一室が空中に映し出される。
 そこには大きなガラスの棺付きの機械があり、ウララがその中で眠っていた。
「あっちのウララさんが本物なのかな?」
「そうよ。こっちの姿はホログラムのような物かな。白の女王様から贈られたアストラルストーン、何に使えるかなーっと試しててね」
 ぷにっと海賊団創設者の白の女王が、先日シャークという少女を使いに寄越し、ぷにっと海賊団に魔力を持つ宝石を届けに来てくれたのだ。
 そのうちの一つが、ウララが作った機械の横に取り付けられている。
「それで、クッキーってどうしたのよ?」
「あっ、そうなの! リスリスさんが作ったクッキーが悪の海賊団に盗まれちゃったんだよ〜」
「アルミも楽しみにしてたのにぃ」
 食べはぐれたアルミは小さな白い羽を不満げにパタパタッと揺らし、カグラは先っぽがちょみっと折れた猫耳をぺったんこにしておろおろ。
「ん‥‥了解。ちゃんと悪い海賊団達のオーラも感じるわ。あたしが案内するから急ぎましょう!」
 ウララが意識を集中すると、本物の妖精のように悪のオーラを感じることが出来た。
 そして肝心のリスリスは‥‥。
「せっかく腕によりを掛けて作ったジンジャークッキーでぃすのに‥‥絶対に許せないでぃす!」
 怒り爆発!
 いつもほんわかしたリスリスも拳を握り締め、殺る気満々だっ。
 

●お腹すいたよ〜‥‥おっ、クッキー発見☆
「腹減ったなあ‥‥こんなになっても腹は凹まないし」
 桜のほころぶ公園のベンチで、ちょっぴり太った熊田耕作はぽっこりとしたお腹をなでる。
 見た目はこんなに膨らんでいるというのに、中身はもうぺっこペコだった。
 それというのも、悪の海賊団の女幹部達のダイエットにつき合わされ、下っ端海賊の熊田達もダイエットを強制されているのだ。
「熊田君はまだいいよ。元々皮下脂肪蓄えてあるんやからちょっとやそっとダイエットしたかて平気やろ? 僕なんか太れない体質だからひもじさもひとしおや」
 熊田と一緒にベンチに座り、アキト・カゲウラもはふーと溜息をつく。
 そしてその横に置かれた紙袋からは、あのAとBがそれぞれ顔に描かれた全身タイツが覗いていた。
 そう、この二人はついさっきぷにっと海賊団にふっとばされた悪の海賊団なのだ。
 ちなみにAが熊田でBがアキトだったりする。
「あのさ。いっそぷにっと海賊団に入れないかなあ?」
「熊田君、いきなり何を言い出すんや?」
「ぷにっと海賊団に入ったら、もうこんなひもじい思いしなく済むだろう?」
「確かにそうやなぁ。あいつら、甘い香りが漂ってたしなあ。きっと毎日美味いもんくっとるんやろなぁ」
 ぷにっと達から漂っていたバニラエッセンスの香りを思い出し、アキトのお腹がくうっと鳴る。
「な、名案だろ?」
「そうやな。俺らも今日からぷにっと海賊団の仲間入りや!」
 お腹が減りすぎているのだろう、二人は無茶苦茶な事をいいながら手を取り合って小躍りする。
 画面の下には『注意! ぷにっと海賊団は正義を志す『少年少女』の海賊団です』とすかさずテロップが流れた。
「よし、そうなったらまずは善い事しなくちゃね。‥‥ん? ぷにっと団の匂いが‥‥する」
 熊田が鼻をひくひくとさせる。
「あれやないか?」
 アキトがキティーに気づき、指差す。
 キティーは盗んだクッキーを包むフキンを解いて、今まさにぱくつかんとしていた。
「‥‥なんか怪しいね」
 熊田が鼻をさらにひくつかせ、目を細める。
 キティーからは確かにぷにっと海賊団の匂いがするし、外見的にもぷにっと海賊団にいておかしくない年頃なのだが、クッキーの香りに混じってなんとなく熊田達と同じ匂いがするのだ。
「お嬢はん、ちーとばかし話があるんや。そのクッキーうちらに譲ってくれへんやろか。金なら払いまっせ?」
 アキトがすかさずキティーに交渉を持ちかける。
「それお嬢ちゃんのクッキーじゃないな? 俺にはわかる。悪いことは言わん、持ち主に返そうな?」
 クッキーが盗まれた物だとあたりをつけた熊田はやんわりと諭す。
 けれどキティーは強情だった。
「ってゆーかぁ、おじさん達に関係ないでしょぉ! キティーの邪魔しないでってカンジぃ!」
 ぷいっとそっぽを向いて、おっきなジンジャークッキーをぱくつこうとする。
「しゃーない、背に腹は替えられへん。はーい、アナタはだんだん眠くナール、クッキーをあげたくナール‥‥」
 アキトが懐から紐の付いた五円玉を取り出してキティーにかざす。
 右に左にゆらゆらと揺れるそれは、猫的なキティーには抗いがたい誘惑。
 気持ちがぼんやりとしてきて‥‥気がつけば、アキトにクッキーを差し出していた。


●悪の海賊団VSぷにっと海賊団☆
「悪の海賊団、見つけたんだよっ!」
 タテポが熊田を見つけ、叫ぶ。
「クッキーを盗むなんて許せないでぃす! おしおきでぃす〜っ」
「アルミの、クッキーなんだよぅ!」
 口々に叫ぶぷにっと海賊団に、熊田とアキトはおろおろ。
「いや! 盗んだのは僕等やのーて‥‥ってお嬢さん居ないし!」
 クッキーを握り締め、キティーを振り返ったアキトはさらにおろおろ。
 ぷにっと達の登場で正気に返ったキティーはさっさとテレポートして逃げていたのだ。
「言い訳は無用よ! さあ、みんながんばって!」
 妖精ウララがステッキを振り、ぷにっと達に光の粒子が降り注ぐ。
「元気が出てくるでぃす♪」
「頑張るよ〜」
 カグラがぷにっとフォンにカードスラッシュ、ぷにっとキーボードで音楽を奏でだす。
 それは子犬が踊るかのような軽快で可愛いテンポで、虹色の音符が飛び出して悪の海賊団を攻撃☆
「おわわっ、ほんとに違うんだってっ! ‥‥しかたないっ、変身っ!」
 熊田とアキトが腕を交差させ、全身タイツの怪人に変身!
「マッスルバリアーっ!!」
 怪人Aとなった熊田が怪人Bを背に庇い、むっきむきな筋肉の壁でカグラの攻撃を防ぎきる。
 でもそれははっきりきっぱり諸刃の剣。
 なぜならマッスルバリアーとは名ばかりで、ただ単に全身で攻撃を受け止めているに過ぎないのだ。
「げふっ、やっぱり‥‥ぷにっとは‥‥強い‥‥がくっ!」
「熊田君、しっかりするんや、僕をひとり残して逝ってはだめなんや!」
 ひしっと桜舞い散る公園で抱きしめあう二人。
「な、なんだかやりにくい敵ニャね」
 むさい男二人が抱きしめあうというなんともコメントしづらいその光景に、タテポの口調もちょっぴりおかしい。
「と、とにかく、クッキーを返すでぃす、人様の物を盗んではいけないのでぃすっ!」
 リスリスが石のように硬いクッキー爆弾を投げつける。
「おわっ、いたい、いたい、あんまりやー!」
「やっぱり真面目に悪として働いた方がいいのかなぁーーー!」
 ちゅどーんっ☆
 おもいっきり直撃して吹っ飛んでゆく二人。
 ぽーんと人型クッキーだけがリスリスの手元に戻ってきた。
 くるっ。
 リスリスを中心にカメラ目線で振り返るぷにっと達。
「「「「正義はぷにっと☆」」」」
 勝利のポーズ、きめっ☆


●エピローグ
「このクッキー、カグラのだけど、全部あげる〜」
「チョコチップクッキーもつくったでぃす」
 リスリスとカグラが悪の海賊団がいたベンチにクッキーを置く。
 そこには二人の荷物が置きっぱなしになっていて、日記も落ちていたのだ。
『お腹がすいた。もう死んでしまいそうや‥‥』
『もうあかん‥‥』
 毎日毎日、お腹がすいたとつづられたその日記を読んで、はっきりきっぱりぷにっと達は同情の嵐。
「盗むのは良くないことでぃすけど、美味しく食べてくださいでぃす」
 ぷにっと達みんなで手紙を添えて。
 きっと悪の海賊団怪人コンビが戻ってきたら、もう悪の道からは足を洗ってくれることだろう。
「アルミの分も、忘れちゃいやだよぅ?」
 リスリスの服の裾を引っ張るアルミに、みんな笑顔になるのだった。