WonderTalk〜錬金術学院アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
03/23〜03/27
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●本文
どこまでも澄んだ青空に、『WonderTalk』の文字が映し出される。
それは中世ファンタジー世界を舞台とした特撮番組のオープニングで、物語の中ではモンスターハンターと呼ばれる冒険者達がハンターギルドにてモンスター退治などを日々仕事として請け負う。
そして今日の舞台はカラファンの北方に位置する錬金術アカデミー『マルフィーネ』。
錬金術の金字塔と名高いその場所で、事件は起きた。
「ホムンクルスが、暴走してしまったんだ!」
錬金術アカデミーのある町外れのハンターギルドに、アカデミーの生徒らしき少年が駆け込んでくる。
「先生達は、丁度出張でみんないなくて‥‥僕たちだけじゃ止められないんだ。助けてっ!」
「‥‥どうやら急ぎのようですね。よろしい、すぐに向かいましょう」
丁度その場に居合わせたハンター達はすぐに行動を開始した。
☆Wonder Talk出演者募集☆
ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『Wonder Talk〜転移門〜』出演者募集です。
剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、暴走したホムンクルスを止めてください。
☆モンスター情報☆
『ホムンクルス』
錬金術により生み出された擬似生命体。
白い衣服を纏い、人とほぼ同じ姿をしています。
大小合わせて数体おり、正確な数は知らされていません。
体長は30cm〜3mあり、魔法を操れるものもいるようです。
☆地域情報☆
今回の舞台は、ファンタジー世界カラファンの北方に位置する錬金術アカデミー『マルフィーネ』
錬金術を研究しているアカデミーで生徒の失敗により暴走してしまったホムンクルスを止めてください。
☆選べる職業☆
戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
僧侶 :治癒魔法を得意としています。
魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
召喚士:精霊を召喚し、使役します。
吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。
シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
錬金術師:カラファンに存在する様々なアイテムを調合して薬や爆薬などを作り出します。
なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
今回追加職業は『錬金術師』。
色々なアイテムを調合して冒険の手助けが出来ます。
なお、水着と眼鏡は作れますが、光線銃などはまだ作れません。
今後も職業は順次増えてゆきます。
また、「こういった職業が欲しい!」などのご希望があれば採用の可能性もあります。
☆成長傾向☆
芝居、容姿
●リプレイ本文
●急いで!
「命は神が与えるもの、人が手を出してよい領域ではありませんわよ」
錬金術学院アカデミーでホムンクルスが暴走しだしたと聞き、東方大陸の巫女たるトール(トール・エル(fa0406))は不機嫌そうに金の髪をかきあげる。
「ホムン、クルス‥‥ニャ?」
踊り子のアヤカ(アヤカ(fa0075))の顔は心なしか青ざめている。
モンスターハンターとして日々それ相応にモンスターは見慣れているはずなのだが‥‥ホムンクルスが恐ろしいのだろうか?
「町潰れるのや。人が傷つくのも嫌」
幼い召喚術士のケーナ(美森翡翠(fa1521))もその小さな拳を握り締める。
一刻も早くアカデミーに向かいホムンクルスの暴走を止めなくては。
全員、小走りになりながらアカデミーに向かう。
「なんだかなぁ‥‥。切ったら緑色の液体が出てくるとか‥‥ないよね?」
一見学者にしか見えないシーフのスー(玖條 響(fa1276))は、ちょっぴりいやんな想像をして眉をしかめる。
ホムンクルスは大きさこそ三十センチから三メートルとまばらなものの、外見はほぼ人と同じ。
その状態で緑色の液体を出されると‥‥うん、かなりの視覚的暴力。
「本来なら兄が受けるべき依頼なのですが‥‥都合がつかず僕に白羽の矢が‥‥微力ながらお手伝いします」
戦士の紅龍(星蔵 龍牙(fa1670))は以前別の依頼でトール達と共に行動を共にしたこともあり、この騒ぎを聞いて駆けつけてくれたのだ。
微力などといっているが、ホムンクルスの戦闘力を考えると戦士系の味方がいてくれることは本当に心強い。
そしてもう一人、心強い仲間が現れた。
「ん? ケーナはんそんなに急いでどうしたんや?」
「リュオさんっ!」
黒髪の戦士リュオ・リューク(葉月竜緒)がケーナに声をかける。
「久し振りやな、元気やった?」
気さくな笑顔の彼女に、けれどケーナはもう必死。
「リュオさん、お願い! ‥‥避難誘導‥‥ケーナ、ハンターだとわかってもらえないし」
事情を手短に説明して、リュオに助けを求める。
「それやったらうちにまかしい。きっちり、避難誘導させてもらうで!」
胸を叩いて請け負うリュオは本当に頼もしい。
ケーナの表情がほっと和らぐ。
「あら、着いた早々に楽しいお出迎えよ。私も混ぜてくれないかしら?」
アカデミーの赤い門を見据え、魔法使いのキルシュ・ブリューテ(リーベ(fa2554))は青の瞳を冷たく細める。
その目線には、数体のホムンクルスが佇んでいた。
●錬金術アカデミー
ホムンクルスはハンターたちを目視すると、有無を言わさず攻撃を仕掛けてきた!
かざされた手の平から魔力が練りだされ、大地が揺らぐ。
「なんだかぁ、色々実験できそうで面白そうですぅ♪」
手荒い歓迎を受けているというのに、錬金術師のナツキ(佐々峰 菜月(fa2370))はのほほんと微笑んでいる。
でもその右手にはちゃっかり導火線に火のついた爆弾が。
「全部壊してもいいのよね?」
キルシュもやる気満々だ。
「‥‥チャンスやな」
メスを握る錬金術師ゼフィリア(ゼフィリア(fa2648))は、手にしたそれをダーツのごとく投げ、鋭い先端がホムンクルスを突き刺した瞬間、爆発を引き起こした。
錬金術で生み出した生物の血に触れると爆発を引き起こすアルカードを予めメスに塗って置いたのだ。
叫び声をあげることもなく蒸発するホムンクルスに、紅龍は胸を痛める。
「錬金術は因果応報‥‥作るためにはそれなりの代償があったはずだ‥‥元の状態に戻すことは出来ないのか」
「完全に失敗しちゃってますからぁ〜、元に戻すのは不可能ですぅ〜。完成品ならぁ〜、魂が宿るんですけどねぇ〜」
残っていたホムンクルスにお手製の爆弾を投げつけながら、ナツキはのほほんと答える。
錬金術師の彼女はホムンクルスなど見慣れているのだろう。
ホムンクルスは人とほぼ同じ姿をしているというのに躊躇いがない。
「奴等には、感情がないニャ。あったとしても、ただの破壊兵器ニャ!」
アヤカが断言し、残ったホムンクルスを剣で切り裂く。
その蝶の様に華麗で素早い動きにホムンクルスは成す術もなく崩れ去る。
「やるしか、ないんだな‥‥」
どうしても人と同じ姿に惑わされてしまう紅龍だったが、覚悟を決めて拳を握る。
「道は開けたわね。さあ皆さん、わたくしの為にもがんばって戦ってくださいませ」
高飛車に笑いながらトールが祝福の舞を舞い、全員に加護を施す。
「いっくニャ〜!」
全員、門をくぐってアカデミーへGO!
●VSホムンクルス
アカデミーの中に入ると、吹き抜けのホールになっており、大理石の床には数人の学生らしき少年少女が血を流し横たわっていた。
「まさか殺され‥‥っ」
キルシュが息を呑む。
「まだ息はあるわっ‥‥天照大神よ、彼らに天の癒しを与えたまえ」
トールがすぐさま天に祈りを捧げ、癒しの光が学生達に降り注ぐ。
「こいつらはうちが守ったる! あんたらはホムンクルスを退治してくれや」
リュオが意識のない学生達を担いでフロアの隅に運ぶ。
その時、ケーナに異変が起こった。
「‥‥いや、嫌、イヤーッ!!」
「ケーナ?!」
震え、泣き出しながらケーナは呪文を唱える。
「カラファンの風の王‥‥!!」
「おやめなさいっ! こんな場所でそれを使ったら建物も学生も何もかも吹っ飛んでしまいますわよ」
咄嗟にトールが彼女の口を塞ぎ、呪文詠唱を止める。
けれどケーナの震えは止まらない。
その目線は二階に向いている。
「一体、何を見て‥‥」
「危ないっ!」
ケーナを抱きしめたまま振り返るトールを、スーが突き飛ばす。
そして風の刃がスーと、そして床を切り裂いた。
「スーさんっ」
「あそこにホムンクルスがいるニャ!」
アヤカが気づき、二階を指差す。
そこには、先ほどの門番たちとは異なるホムンクルスがこちらに手をかざし、残忍に微笑んでいた。
切り裂かれた頬からうっすらと血を流し、スーはゆらりと立ち上がる。
「もう終らせたいんだよね。つまんないからさ」
いつの間にか握っていた短剣をそのままホムンクルスに投げつける。
けれど二階に佇むホムンクルスに届く寸前でそれは爆ぜた。
「厄介だわ。結界を張れるのね。でもこれはどうかしら?」
挑戦的な台詞と共にキルシュの身体から数十本の魔力の矢がホムンクルスに打ち放たれた。
魔力で作り上げられた矢はホムンクルスの結界に突き刺さり、見えない空間に亀裂が走った。
「わわわっ、こっちからも来たニャ〜」
アヤカが指差す方向からは、数十体のホムンクルスが向かってきていた。
「ちょっとだけ待っててくださいねぇ〜? あたし達、まだ死にたくないですからっ♪」
ナツキが懐からビンを取り出しホムンクルス達の足元に投げつける。
割れたビンから冷気が溢れ、瞬時にホムンクルスたちを凍らせた!
「時間稼ぎです〜」
「高みから見下ろされるのは好きくないねん。これでもくらいや!」
ゼフィリアがバックから砲身を取り出し、鉛玉を勢いよく打ち出す。
それは狙い違わずホムンクルスの足元にあたり、崩れた床と共にホムンクルスが落ちてくる。
「やったぁ! ‥‥えっ?!」
キルシュが喜んだのも束の間、ホムンクルスは分裂してハンターたちに襲い掛かる!
「必殺ローリングソードニャ〜♪」
アヤカがそれでも余裕の表情を崩さずに、剣でホムンクルスを切り裂く。
でも。
「まさかと思うが‥‥攻撃しても再生を繰り返すってことは‥‥不死ってことはないだろうな」
紅龍の頬を冷たい物が伝う。
アヤカに切り裂かれたホムンクルスの傷はみるみるうちに再生してゆくのだ。
「あのホムンクルスさんはぁ〜、普通とちょっと違うみたいですぅ〜」
完成品でさえ再生を繰り返すなどということはない。
口調こそのほほんとしているものの、ナツキの表情も厳しい。
その時、トールに傷を癒され、リュオに守られていた学生の一人が目を覚ました。
「あなた方が作ったのなら、何とかしてくださいません?!」
「ホムンクルスは何体居るんだ?! 弱点とか、知っている限りで良いから教えてくれ!」
美女と戦士に詰め寄られ、混乱気味の学生は、それでも何とか状況を把握して口を開く。
「‥‥なるほど。魔法を無意識で唱えて再生しているんだね。面倒くさいなぁ‥‥」
スーはホムンクルスから繰り出される攻撃を避けながら、武器を構える。
「‥‥魔法、止めないと‥‥風の乙女、彼等の空気の震えを止めて。その声と思いを封じて!」
青ざめたまま、それでも気丈にケーナは呪文を唱える。
ケーナの思いに応えた風の精霊達がホムンクルスを包み込み、その呪文の流れを止めた。
「‥‥四聖獣の爪を使うしかないな」
紅龍はその拳に白虎を思わせる白い鍵爪を装備する。
「牙龍拳‥‥爪術奥義‥‥白虎‥‥虎掌撃!」
白い軌跡が伝説の白虎のようにホムンクルスを切り裂き、再生できなくなっているホムンクルスが怯んだ。
「フリーズボールくらいなはれ!」
錬金術で生み出した碧い水晶を思わせるそれをゼフィスは投げつける。
ホムンクルスにぶつかると破裂し、周囲の温度を一気に下げる液体が飛び散り、ホムンクルスは凍りつく。
「‥‥面倒だよ、本当に」
そしてスーの短刀がホムンクルスを打ち砕いた。
粉々に砕け散ったそれは、ただの白い結晶となり、消え去る。
「‥‥これで、全部倒した? もう、いない?」
ケーナはきょろきょろと辺りを見回す。
「やったニャ〜☆」
アヤカが元気に腕を振る。
●エピローグ
「あなた方が不甲斐ないから、多くの方に迷惑がかかりましたのよ」
完全に目を覚ました学生たちに、トールは相変わらず高飛車に説教をする。
「失敗は成功の元ですからねぇ〜? これにめげずにがんばってください〜」
ナツキも失敗したことがあるのだろうか?
錬金術師として優しく学生たちを励ましている。
「‥‥心の動きのないヒトガタ‥‥キライ‥‥コワイ‥‥でも、何でそうなのか‥‥わからない‥‥」
全てが終わっても、ケーナの不安はまだ消えない。
「なんか嫌な思い出があったのかも知れニャいニャ? でもみんなが付いてるニャ〜♪」
ニャハと笑いながら、アヤカはケーナを励ます。
本当ならケーナよりもアヤカのほうがホムンクルスは恐ろしかったはずなのだ。
欲に目の眩んだ錬金術師の作り出したホムンクルスに、大切な両親を目の前で惨殺されたのだから。
けれどそんなことはおくびにも出さず、アヤカは明るく振舞う。
「まあ、悪気はなかったんだし。でももう二度と失敗すんなよ? 面倒だからさ」
スーは面倒面倒といいつつも、学生達にたいした怪我がなかったことに安堵する。
「それでは、一件落着ということで、うちが盛大にいわっちゃるで♪」
ポーン☆
ゼフィリアが空に向かって虹色に輝く球体を打ち上げる。
それは高い高い空の上でポンと弾けて光の粉を降り注ぎ、アカデミーに平和が戻ったことを告げるのだった。