WT〜Anecdoteアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/09〜04/13
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●本文
灼熱の大地に沈む赤い夕日を背に、『Wonder Talk〜Anecdote』のロゴが映し出される。
それは中世ファンタジー世界カラファンを舞台に描く深夜特撮番組『WonderTalk』の外伝『Wonder Talk〜Anecdote』のオープニング画面だった。
本編と同じく、物語の中ではモンスターハンターと呼ばれる冒険者達がハンターギルドにて様々な依頼を請け負う。
モンスター退治はもちろんのこと、行方不明の子供を捜したり、羊の毛狩りを手伝ったり。
そんな彼らの今日の仕事は、蜂退治。
「‥‥仕事よ」
カラファンの東方に位置する城下町レザラディカのハンターギルドで、ぶっきらぼうな受付嬢がハンター達に羊皮紙を突きつける。
「ねえねえ? 蜂ってふつーの蜂なのかな?」
愛らしい少年魔法使いがちょっぴり身を乗り出して尋ねる。
「‥‥そんなわけ、ないでしょ。普通の蜂だったら、依頼にならないわ」
ぼそり。
幼いハンターにも情け容赦なく冷たく言い切る受付嬢。
その眼差しは氷点下。
「う、うん、そうだよね‥‥」
「おいおい、こんな純粋な少年にその態度は良くないぜ?」
あまりの対応に見かねた屈強な戦士が苦笑交じりに少年魔術師と受付嬢の間に割って入る。
けれど相変わらず受付嬢の対応は冷たい。
「殺人蜂が相手よ。キラー・ビー。大きさは、普通よりちょっと大きいぐらい。でも、危険よ。‥‥子供が行く場所じゃ、ないわ」
無表情なその表情からは読み取れないものの、もしかしたら心配しているのかもしれない。
受付嬢は、ほんの少しだけ目を伏せる。
「キラー・ビーか。まあ、時期的にそんなとこだろうな。発生場所はどこよ?」
「妖精の、森」
「了解。まあ、土産に蜂蜜でも採ってくるからさ、俺達にどーんと任せろや! なっ?」
戦士は豪快に笑って少年魔法使いにウィンク。
こうして、新たな冒険が始まったのだった。
☆WT〜Anecodote出演者募集☆
ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『WT〜Anecodote』出演者募集です。
剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、妖精の森に現れたキラー・ビーを退治していただきます。
☆モンスター情報☆
『キラー・ビー』
殺人蜂です。
体長は三センチから五センチと、普通の蜂より少し大きい程度です。
ですが集団で行動し、素早い動きとその身体から作り出される毒は強力で、刺されると一撃で全身が麻痺してしまいます。
そのままほうっておくと十分で死亡します。
また、キラー・ビーの作り出す蜂蜜は滅多に手に入らないことから高級品とされており、滋養強壮の薬にもなります。
☆地域情報☆
今回の舞台は、ファンタジー世界カラファンのレザラディカの北東にある『妖精の森』
レザラディカから妖精の森の間には『妖精の草原』があり、草原妖精が暮らしています。
その草原を抜けると妖精の森があり、この時期、様々な花が咲いていることでしょう。
☆選べる職業☆
戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
僧侶 :治癒魔法を得意としています。
魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
召喚士:精霊を召喚し、使役します。
吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。
シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
錬金術師:カラファンに存在する様々なアイテムを調合して薬や爆薬などを作り出します。
なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
今後も職業は順次増えてゆきます。
また、「この職業も増やして欲しい」などのご希望があれば、採用の可能性もあります。
☆成長傾向☆
容姿、芝居
☆テンプレート☆
【職業】『職業』の中から一つ選択
【心情】キャラクターとしての気持ちを書いて下さい
【戦闘】どのように戦うか
【台詞】各シーンで言いたい台詞など
〜台詞例〜
【挨拶】「殺人蜂か‥‥やっかいだな、おい」
【戦闘開始】「ちっ! ちょこまかちょこまかうっとおしいぜ!」
【必殺技使用時】「この清廉にして優雅、華麗にて美麗なる拳を受けてみろ!」
*台詞例以外にも色々台詞追加推奨です。
【その他】キャラクターの設定や口癖などありましたらこちらへ。
●リプレイ本文
●プロローグ
それは、今からほんの一年前の話‥‥。
ずっと男子禁制の修道院で修行してきた僧侶見習いのアイリ(霧島 愛理(fa0269))は、先生から渡されたロッドを握り締めて深く溜息をつく。
(「う〜、卒業検定って言って、本当の依頼じゃない! いきなり本番だなんて〜!!」)
今回の依頼は修道院の卒業検定として斡旋され、アイリは試験だからと気楽にハンターギルドに赴いたのだが内容を聞いて激しく眩暈。
「キラービーですか‥‥解毒剤を買っておくのがいいでしょうね」
おっとりとそう呟く剣士のヒカル・マーブル(ヒカル・マーブル(fa1660))の言葉が、より一層アイリの胃をキリキリとさせてたり。
殺人蜂の大量発生中の森に赴くなど、はっきりきっぱりアイリは遠慮したいのだが、この依頼をクリアしないと卒業出来ないし。
「‥‥森に行くのは久しぶり‥‥。お土産に花でも持って帰りたいな‥‥。ん? 私はヴェーナル。宜しく‥‥ね?」
召喚士ヴェーナル(春日 春菜(fa1299))はキラー・ビーよりも花が満開だという森に興味があるようだ。
カラファンの南大陸に多く住む虎人族と人とのハーフである彼女は、ずっと森で過ごしていたという。
しましま虎尻尾を揺らし、虎耳の生えたその姿はぱっと見には虎人族にしか見えないのだが、いろいろと苦労していたのかもしれない。
「召喚士のアザーだよっ。みんなよろしくね〜。危なくてしょうがないキラー・ビーを大変なことになる前に、私たちでなんとかしちゃおう♪」
ヴェーナルと同じく召喚士のアザー(あずさ&お兄さん(fa2132))は、お兄さんと呼ぶマッチョな人形を肩に乗せて元気にご挨拶。
そのちょっと人目を引く人形は、実は召喚の媒体で、アザーは様々な精霊をマッチョなお兄さん人形に憑依させて力を行使する。
「あ、私、イルレーレです。今日のお仕事よろしくお願いします」
丈の短い動きやすいローブと、白いワンピースを纏った清楚な吟遊詩人・イルレーレ(マリエッテ・ジーノ(fa3341))は竪琴を抱いて微笑む。
「とっとと終わらせて、花でも愛でたいわねぇ♪」
(「女王蜂が蜂退治とは笑えるわね。ま、死なない程度に頑張ろうかしら?」)
クィーン・ビーの通り名で知られるクィンシー(桜 美琴(fa3369))は苦笑しつつ燃えるような赤い髪をかきあげる。
「ちょっとそこのあなた。そう、あなたよあなた」
シヅル(シヅル・ナタス(fa2459))が屈強そうな茶髪の戦士に声をかける。
ヴェーナルよりも幾分毛深く、腕も虎の獣毛に覆われた虎人族の青年は、大振りのバスターソードを背に背負ったまま「俺か?」と席から立ち上がる。
「そうよ。あなたもわたくしたちと一緒に来て頂戴。女性ばかりのメンバーでは、少々危険が伴いすぎますわ。それにわたくしの荷物持ちも必要ですし」
数多くの優秀な魔法使いを世に送り出している魔法使いの名家の生まれで、派手好きなシヅルの荷物はかなり多い。
依頼遂行にはどう見ても関係ない香水やら装飾品やら果てはドレスまであるとかなんとか。
シヅルは魔法使いの象徴たる杖だけは重くとも自分で持つようだが、そのほかの荷物を持つ気はなく、また、ギルドに預ける気もないようだ。
運悪く(?)ご指名を受けてしまった戦士は元来人が良いのだろう、苦笑しつつもシヅルの荷物を快く請け負った。
●妖精の森
レザラディカの街を北東に進むと、問題の妖精の森はすぐに見えてきた。
咲き乱れる花の甘い香りが森に足を踏み入れる前から風に乗って漂ってくる。
「ヒカルさんのお弁当と同じくらい良い匂いだよ。‥‥キラー・ビーの蜂蜜って、やっぱり香りも味も違うのかな?」
アザーは先ほど食べたばかりのヒカルの手作りお弁当を思い出しつつ、肩に乗せたお兄さんと一緒に鼻をくんくんさせる。
やっぱりまだまだ育ち盛り食べ盛り。
花より団子なのだろう。
「そうですねえ‥‥。キラー・ビーの蜂蜜は最高級品といわれていますからねぇ。バターと小麦粉、それに牛乳を一緒に混ぜて焼き上げた温かいケーキにたらしてみると、甘みが引き立って美味しいかもしれませんね」
お料理上手なヒカルはまだ幼いアザーが好きそうな甘いお菓子を想像してみる。
もしも蜂蜜が手に入ったら、アザーに作ってあげるのもいいかもしれない。
ハンターたちはそんな他愛もない会話をしながら、妖精の森に足を踏み入れる。
森の中は、妖精達が手入れをしているかのように花の道が出来上がっていた。
「こんだけ綺麗なら、蜂も寄って来たくなるだろうね」
クィンシーが一際大きく咲き誇る赤い薔薇の花びらに触れる。
「摘むのは‥‥少し‥‥可哀想かな‥‥」
花を摘んで街に戻りたかったヴェーナルは、けれど精一杯咲く花々を愛でるだけにとどめる。
「‥‥待って下さい。なにか、音がするんだよ」
ランララと明るい歌を歌っていたイルレールが、突然立ち止まる。
吟遊詩人たる彼女の良質な耳には、風に乗り、自分の翼の音とは違う微かな羽音が届いていた――。
●キラー・ビー
「ちょっとちょっと、一体何匹おりますのっ?!」
「ふえぇ、なんか思ったよりいっぱいいるよっ?!」
アイリがその美貌が壊れそうなほどに動揺し、アザーもおろおろと焦る。
ブーン‥‥ブン、ブーン‥‥ブンブンブンブンッ!!
嫌な羽音を響かせて、キラー・ビーの大群がハンター達に襲い来る!
「あらあら‥‥やんちゃな蜂さんたちですねえ」
ヒカルはそのおっとりとした容姿には似合わない剣を構える。
「えっと‥‥お手柔らかにどうぞ‥‥?」
ヴェーナルも慌てず騒がず、召喚詠唱に意識を集中する。
「わたくしの前にその下賎な姿を晒したことを後悔なさいませ」
シヅルは冷たく言い切り、その身体の周囲に瞬時に光り輝くクリスタルを生み出す。
荷物を預かっていた虎人族の戦士も剣を構える。
「女王蜂の毒の味、思い知りなさい」
押し殺した声でクィンシーは剣で襲い繰る小さな強敵を次々と刺すように切り落としてゆく。
「風の精霊っ、頼むからなんとかしてっ!!」
初めての戦闘におろおろしつつもそこはそれ、幼くとも召喚士。
風の精霊に呼びかけて肩に乗せたお兄さんに憑依させる。
『アザーを攻撃なんてダメダメ!』
憑依した風の精霊が女性なのか、マッチョな人形はオカマ言葉でキラー・ビーを否定、今まさにアザーを刺そうとしていたそれを勢いよく吹っ飛ばす。
「まぁまぁ‥‥キリがございませんわねえ」
そう呟きながら微笑を絶やさないヒカルの額にも薄っすらと汗が滲む。
どうみても素早い動きが苦手そうな彼女は、しかし凄腕の剣士で飛来するキラー・ビーを刺される前に次々に切り落としていた。
けれど数が数なだけに厄介だ。
魅力的な女性美に溢れる彼女の豊満な胸は、動きやすいように晒しを巻いていても重く、素早く動き続けなければいけない彼女の体力をどんどん奪い去る。
「‥‥いたっ?」
呪文詠唱をしていたヴェーナルが腕の痛みに顔を顰める。
白い肌がみるみるうちに赤く腫れ上がった。
「大変っ、刺されたのね?!」
アイリが駆け寄り、解毒の呪文を唱える。
けれど、なかなか腫れがひかない。
ただでさえ初めての戦闘、しかも命がけ。
冷静になれば出来る事でも気持ちが焦り、集中力が削がれているのだ。
「落ち着きな! 僧侶のあんたになら出来る筈だよ!」
クィンシーがアイリとヴェーナルに襲いかかるキラー・ビーを叩き落とす。
「わかってるわ、でも普通の回復魔法とは勝手が違うんです! わ、私だって一生懸命ですよっ!」
けれど励ますクィンシーにアイリは焦りのあまり逆切れしてしまう。
ヴェーナルの顔色はどんどん悪くなり、意識のない彼女に死の影が忍び寄る。
(「こんなところで、仲間を失うの?!」)
絶望がアイリの脳裏を掠めた。
その時、イルレールが歌を歌いだした。
朝の小鳥のさえずりのような、明るく涼やかなその声に安らぎの呪歌を込め、イルレールは焦り、苛立つ仲間たちの気持ちを解きほぐす。
そして安らぎの歌は仲間達に安心感を与えるのと同時に、キラー・ビーを深い眠りの淵へと誘う。
攻撃的だったキラー・ビーの動きが鈍くなりだした。
「虫さんを傷つけるのはイヤだけど‥‥。ごめんなさいっ」
謝りながら、イルレールはえいっと竪琴で飛んで来たキラー・ビーを叩き落とした。
(「そう、そうよね‥‥。私はいままでずっと、修行を積んできたのだもの。出来ないはずがないわ!」)
冷静さを取り戻したアイリは、指先に意識を集中する。
白い光が発生し、ヴェーナルの傷口を、そして体内に残る毒を浄化してゆく。
「あり‥‥がと‥‥」
まだ顔色は青いものの、意識を取り戻したヴェーナルはアイリに微笑む。
「あー、もういらいらしますわ! 汝、貫く事能わず、汝、避ける事と叶わず」
シヅルがその強力な魔力を用いてハンター達の周辺に乱気流を生み出しキラー・ビーの接近を防ぎ、そしてその指先から無数のレーザーを発して敵を焼き尽くす。
「蝶が舞う‥‥戦慄の風よ‥‥私の願いに答えて‥‥」
そうして、アイリから治療を受けたヴェーナルが風の精霊に願い、残りわずかとなったキラー・ビーを吹き飛ばす。
「あぁ、これでまた足がついちゃうわねぇ」
最後の一匹をクィンシーは切り落とし、肩を竦めた。
●エピローグ
「蜂蜜、蜂蜜〜♪ ね、ちょっとなめてみていいっ?」
アザーがキラー・ビーの巣を見つめてわくわくと舌鼓を打つ。
「そうですねえ‥‥そのままでも食べれるとは思いますが、きちんと精製したほうがより一層おいしく食べれますよ」
ヒカルは今にも全部食べちゃいそうなアザーにそういいつつ、街に戻ったらお菓子を作ってあげる約束をする。
「今回は、助けられてばっかりで‥‥とても依頼をこなしたとは言えません‥‥。
充分に自信がついたら、もう一度、今度は本当の意味での初依頼を受けようと思います!」
アイリはロッドを握り締め、高らかに宣言する。
そうして、その一年後。
無事に修道院を卒業できた彼女はこの時の宣言のままに、改めて依頼を受けることになる。