てれぴこ☆アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/21〜05/25

●本文

 それは、ほんの些細な出来事から始まった。
 惑星『トウゲンキョウ』の名産物・スーパーピーチを敵性宇宙種族モーモー族の住む惑星『モノクロ』に届けた際のこと。
「こんなもんが食えるくぁあああああっ!」
 ガシャーン!
 差し出されたスーパーピーチをモーモー族の王、モーモー魔王は思いっきり壁に投げつける。
 なんと新鮮・ぴっちぴちが売りのスーパーピーチが腐っていたのだ。
 誰かがつついてしまったのか、それとも輸送途中でぶつけてしまったのか。
 真相はわからずともモーモー族は大怒り。
 頭に生えた大きな角がプルプルと震える。
「全軍、惑星トウゲンキョウへ突撃じゃーーーーーーーー!!!」
 怒りのままに惑星トウゲンキョウにモーモー族がなだれ込む!
 こうして。
 些細なきっかけから惑星トウゲンキョウに住む人類とモーモー族とのスーパーピーチをかけた戦いが始まるのだった。


〜『てれぴこ☆』色々設定集〜
◆『惑星トウゲンキョウ』
 食べると幸せになれるという色艶申し分ないスーパーピーチを全宇宙に向けて輸出しています。
 科学がとても発達しており、宇宙船はもちろんのこと、ワープ技術や光線銃、巨大ロボットも作り出せます。


◆『テレポートピーチコーポレーション』
 惑星トウゲンキョウの科学の粋を集めた大企業。
 略して『てれぴこ』
 トウゲンキョウのスーパーピーチはてれぴこによって生み出され、また、ワープ航路の開発を行ったのもここであり、モーモー族の攻撃からトウゲンキョウを守りぬくべく、日々防衛武器の開発に勤しんでいる。
 そしてこの企業に就職した正義感溢る社員達が老若男女問わずてれぴこの開発したパステルカラー戦闘服に身を包み、モーモー族と戦っています。
 

◆『モーモー族』
 惑星『モノクロ』に住む敵性宇宙種族の一つ。
 攻撃的な性格で、争いを好みます。
 トウゲンキョウの人間がこれといって特殊能力を持たないのに比べ、モーモー族は科学はもちろんのこと、失われた古の魔法も使えるとか。
 宇宙怪獣なども手下に出来るようです。
 頭に立派な二本の牛角を生やしているのが特徴です。
 

★新番組『てれぴこ☆』出演者大募集★
 お子様向け特撮番組『てれぴこ☆』出演者大募集です。
 惑星『トウゲンキョウ』を守るテレポートピーチコーポレーション☆、略して『てれぴこ☆』の戦闘員となり、トウゲンキョウに襲い来るモーモー族と戦ってください。
 もちろん、悪役モーモー族も募集。
 角はイミテーション&特撮技術でどうとでもできますので悪役をやってみたい貴方も大募集です☆
 
 

●今回の参加者

 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa0696 ボルティオ・コブラ(28歳・♂・蛇)
 fa1119 コンドル・魔樹(23歳・♀・鷹)
 fa1294 竜華(21歳・♀・虎)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa2939 橘 来夢(11歳・♀・ハムスター)
 fa3502 水無月鈴(16歳・♀・小鳥)
 fa3702 鮎川 雪(17歳・♀・狼)

●リプレイ本文

●凶悪スネーク宇宙人”クラッシャー”コブラ、登場!
「ここが惑星トウゲンキョウだな」
 モーモー族に雇われた凶悪蛇宇宙人”クラッシャー”コブラ(ボルティオ・コブラ(fa0696))は宇宙船のモニターに移るピンク色の惑星を見つめる。
「この星の奴等には何の恨みもないが‥‥これも仕事。地獄を見せてやろう」 
 くつくつと嗤い、先の割れた舌でちろりと唇を舐め、コブラは惑星トウゲンキョウへと降りてゆく。


●テレポートピーチコーポレーション、略して『てれぴこ☆』
 きゅっきゅっきゅっ♪
 きゅっきゅっきゅっ♪
「うーん‥‥とっても素敵な色艶なのです‥‥」
 テレピコのスーパーピーチ地下出荷倉庫で、入社一ヶ月目の新入社員ユクル(湯ノ花 ゆくる(fa0640))は大好きなメロンパンを口にくわえつつ、惑星トウゲンキョウの特産品スーパーピーチを磨く。
 倉庫の中ではユクルや他の社員達の手により一個一個丁寧に磨かれたつやつやぴっちぴちのスーパーピーチが痛まないように丁寧にフルーツキャップに包まれて、出荷の時を今かいまかと待っている。
「んー美味しい♪」
 そんなユクル達のところへ、先輩テレピコのリューン(竜華(fa1294))が降りてきた。
 その手にはもぎたてのあまーいスパーピーチが握られている。
「先輩、まだ仕事終っていないのですよ?」
 長めの前髪で目元を隠し、でも少しも暗さを感じないベルベル(水無月鈴(fa3502))がほわわんと突っ込みを入れる。
「うふふ、だって美味しいんだもの」
 スーツの上からでもわかる魅力的なスタイルのリューンは悪戯っぽくウィンク。
 その時、けたたましい警報が鳴り響いた!
  

●てれぴこ、出動☆
「うわーっ、一体何が起こったのかな?!」
 新入社員のライム(橘 来夢(fa2939))がわたわたと本部のキーボードを操作してモニターを映し出す。
 そこには、牛の立派な角を二本つけた髑髏マークの宇宙戦艦が映し出されていた。
「くそっ、一体どうしたっていうんだ?!」
 アスカ(ブリッツ・アスカ(fa2321))はモニターを信じられないという目で見つめる。
 モーモー族は確かに戦闘的な種族だが、これまで上手くやってきたのに。
 警報はいよいよ強く鳴り響き、敵の宇宙戦艦は超特急で惑星トウゲンキョウの大気圏へ突っ込んできた。
 そして入る無線。
 モニターにモーモー族の女戦士、カウ・レディー(コンドル・魔樹(fa1119))と、令(鮎川 雪(fa3702))の姿が大きく映し出される。

『親愛なる惑星トウゲンキョウの諸君に告ぐ。
 我々は、我々のスーパーピーチを正当に入手する為に、惑星トウゲンキョウへ宣戦布告をする。
 腐った桃を送りつけたその愚考、あの世で後悔するがいい!』

 カウ・レディーが高らかに宣言し、モニターから姿を消した。


『緊急警報、緊急警報。全社員に告ぐ! 惑星トウゲンキョウにモーモー族の侵入を発見。
 総員直ちに戦闘配置につけ!』
 アスカが館内放送を流し、警報を止める。
「大変なんだよっ、第二倉庫、第三武器庫に襲撃がっ」
 一生懸命キーボードを操作して、ライムは涙ぐみながら破壊されてゆくテレポートピーチコーポレーションの倉庫をモニターに映し出す。
 燃え盛る倉庫を見つめ、アスカは赤いリストバンドをくるりと回す。
 リストバンドがカッと光り、アスカを包み込み、一瞬にしててれぴこ戦闘服に変身!
 パステルオレンジで、所々赤をあしらったそれはてれぴこの科学の粋を集めた攻撃力防御力共に常人の力をパワーアップさせる優れもの。
「今の電波‥‥それに警報は一体‥‥?!」
「どうやら、来るべき時が来たようね」
 ユクルとリューンがアスカと同じように変身して倉庫から駆け戻り、少し遅れてベルベルがノートパソコンを抱えて戻ってくる。
「今の無線映像に写しだされた女性はカウ・レディーと令です! モーモー族の主力幹部ですっ」
 焦る気持ちを必死に抑えながら、ベルベルがノートパソコンを操作して情報を伝える。
「敵は、どうやら本気らしいな。ライム、ベルベルはここで待機。リューンとユクルは第二倉庫へ! 俺は第三武器庫へ行く!」
「「「「ラジャー!!!」」」」
 アスカの指示に従い、それぞれの場所へと駆けて行く。


●てれぴこ☆VSモーモー族!
 第二倉庫は既に火の海だった。
 覆面をつけたモーモー族の戦闘員達が次々と桃を破壊してゆく。
「ああっ‥‥スーパーピーチの種が‥‥燃えているです‥‥あんまりです‥‥」
「連中、私の桃になんて真似を!」
 リューンが駆け、その拳をモーモー族の戦闘員に叩きつける。
「ブモーッ!」
 避けるまもなく吹っ飛ぶ戦闘員。
「さあ、どんどんかかってこい!」
「ユ、ユ、ユクルも頑張るです‥‥あうっ」
 素早さと力強さでリューンは次々と戦闘員を倒してゆき、ユクルはメロンパン色の戦闘服に助けられながら転びつつ、必死にサポートする。
 

「ちっ、武器庫を狙うとはいい判断だよ」
 第三武器庫にたどり着いたアスカは、その惨状に舌を打つ。
 第二倉庫同様、第三倉庫も火の海だった。
 これでは、今まで開発してきたてれぴこの武器は殆ど壊滅状態だろう。
 平和が長く続き、警備が手薄だったのも災いした。
 だが、まだ無事な武器もあるはずだ。
 アスカが一歩倉庫に足を踏み入れた瞬間、
「おっと、そこから先には行かせないんだよ」
 ザンッ!!
 ジャパニーズソードがアスカの行く手を遮った。
「っ、あんたはモーモー族の令!」
 そこには、先ほどモニターに写っていた中世的なモーモー族の戦士・令が悠然と佇んでいた。
 アスカはすぐさま後方に飛び、光線銃を構える。
 だが男物の背広を羽織り、ジャパニーズソードを構える彼女には隙がない。
(「こいつは、厄介だね」)
 じりじりと、二人はにらみ合う。


「どどど、どうしようっ?! ライムもなんか手伝いたいんだよっ」
 おろおろおろ。
 本部でモニターを通してアスカ、リューン、ユクルの戦闘を見ていたライムはわたわたと焦りまくる。
「あなた落ち着いて。いま、敵の弱点を割り出していますから」
 そうゆうベルベルも内心は焦りまくり、額には大粒の汗が滲んでいる。
 入社したばかりで、しかもこんな風に敵性宇宙種族が本格的に攻めて来たことなどなかったのだ。
「でも、ライムじっとなんてしてられないんだよっ」
「あっ、あなた待って!」
 ベルベルの制止を振り切って、ライムは本部から地下倉庫へと走ってゆく。
 そこには、みんなで日々磨きあげたスーパーピーチがある。
 もしかしたら桃を渡せばこんな。戦争終わるかもしれない、
 ライムはかすかな望みをかけて、スーパーピーチの元へ急ぐ。
 ‥‥そこに、モーモー族よりも恐ろしい存在がいるとも気づかずに。


●リューンVSカウ・レディー
「てれぴこぴこぴこ〜☆」
 ユクルが殆ど乱射状態で光線銃を撃ち放ち、戦闘員達がほぼ全て吹っ飛んだ時だった。
「あたしの部下を苛めるのは、そこまでにしてもらおうか」
「カウ・レディー!」
 赤い髪を爆風に靡かせながら、カウ・レディーは炎の中から悠然と歩み寄ってくる。
「お前の部下はもういない。大人しく降参するんだな」
 カウ・レディーの余裕に少々訝しく思いながら、リューンは降参を促す。
 その瞬間、カウ・レディーは弾けた様に笑い出した。
「馬鹿だな。私達の目的がこんな倉庫の破壊だとでも思っているのか?」
「どうゆう‥‥ことですか?」
 ユクルが震える手で光線銃を構える。
「目的はスーパーピーチただ一つ。こんな、実になる前の種に興味はない」
 グシャリ。
 床に転がった硬い桃の種を踏み躙る。
「すべては、予定通りということだ!」
 カウ・レディーが刹那の動きでユクルの光線銃を吹き飛ばす。
 その手には、ライトソードが握られていた。
「‥‥ユクル。あなたは本部へ戻って」
「でもっ」
「いいから! こいつの相手をするのは、この私だ!」
 リューンはカウ・レディーの力量を即座に見極め、その拳を握る。
(「こいつは、私の獲物だ」)
 そしてカウ・レディーも逃げて行くユクルには目もくれず、目の前のリューンだけを見つめる。
「少しは、楽しませておくれよ?」
「それは、こちらの台詞だ!」
 二人の剣と拳が、炎の中火花を散らす。


●地下倉庫
「おや? 可愛いお客さんだな」
 地下倉庫に駆けつけたライムを出迎えたのは、コブラだった。
「どどど、どうして本部に進入してるのかなっ?!」
 コブラの蛇の鱗に覆われた姿に心の底から逃げ出したい衝動に駆られつつ、ライムは根性でその場に踏みとどまる。
「ん? お前も隊員なのか?」
 コブラがライムの戦闘服に気づき、眉を潜める。
「そ、そ、そ、そうだよっ。ライムが来たからにはもう許さないんだから〜」
 カチカチに震える手で、光線銃を構える。
「こんなガキが隊員とは。フン、ここの警備も底が知れたか?」
 ドスッ!
 情け容赦なく、ライムの鳩尾にコブラの拳が叩き込まれ、ライムは成す術もなく吹っ飛んだ。
 綺麗に積み上げられたスーパーピーチが無残にも床に転がり散らばる。
「他愛もない」
 くつくつと嗤い、コブラは手にした小型転移装置で目的のスーパーピーチを次々と宇宙船に転移させてゆく。
(「みんな‥‥気づいて‥‥」)
 朦朧とした意識の中、ライムは祈る。


●アスカVS令
「意外だね」
 楽しげに令はアスカの剣を受け流す。
 何の能力も持たない、少々科学力で強化されただけのトウゲンキョウの人間族が、モーモー族の戦士である令と対等に渡り合えるなどとは思っていなかったのだ。
 だが意外にも、アスカは令の予想を遙かに超えて、剣を合わせるたびに強さを増してゆく。
「この星は、俺が守る!」
 傷だらけになりながら、アスカは令を再び斬り付ける。
 その剣を避け‥‥。
「っ!」
 懐に踏み込んできたアスカを避けきれず、令の胸が赤く染まる。
「油断したわ。今日はここまでにしておいたほうがよさそうだね」
 胸に手を当て、魔力により傷口を治療しながら、令は大きく後ろに下がる。
「逃げる気か?!」
「これは逃げるとはいわないよ。戦術的撤退というの。またね、ボクの好敵手」
「待つんだっ!」
 ふっとその場から掻き消えた令をアスカが追おうとすると、ベルベルから無線が入った。
『大変です、本部に侵入者です!』
「くそっ、こっちは囮だったのか?!」
 アスカは全力で本部へと走り出す。


●エピローグ
 そして時を同じくして。
 リューンとカウ・レディーの一騎打ちにも終止符が打たれていた。
「お前を私の好敵手として認めてやろう。だが、今日はここまでだ!」
 リューンとの戦いで傷付いたカウ・レディーは、その場に掻き消える。
「ふん‥‥あんなに強い奴がいるんじゃ、特訓でもしないとね」
 パールホワイトの戦闘服を血に染めて、リューンは自嘲した。


「そこまでだ!」
 ライムの気を失わせ、今まさに惑星トウゲンキョウから飛び立とうとしていたコブラを、アスカが止める。
「盗んだものを‥‥返してくださいです‥‥」
「悪いことはしちゃ駄目なんだよっ」
 ユクルに支えられながら、ライムもアスカの側に寄り添う。
「残念だな。これが俺の仕事なんでね。この桃は全て頂いてゆく」
 宇宙船に載せられている筈のスーパーピーチをコブラが指差す。
 だが、コブラとテレピコの間に不意にエアスクリーンが出現した。
『残念なのはあなたです。あなたが転移したスーパーピーチは、全て本部に再転送させていただきました』
 半透明なスクリーンのなかで、スーパーピーチに囲まれたベルベルが得意げに笑う。
 彼女はみんなが戦っている間、不審な転送情報をノートパソコンでチャッチ、すぐさま転移先を本部に変更したのだ。
「ふむ。引き際というやつか?」
 コブラが頭上を飛び去るモーモー族の宇宙戦艦を見上げ、呟く。
 どうやらモーモー族は失敗したようだ。
「やつらが失敗したのなら、報酬はないも同じだな」
 無駄な労働をする気はないとばかりに、コブラは瞬時に宇宙船に転移し、飛び去ってゆく。
「終わったな」
 アスカはほっと、溜息をついた。


 それから数時間後。
 燃やされた武器庫の地下から、旧世代のロボットが見つかった。
「これからの戦いには‥‥これが必要になるです‥‥きっと」
 モーモー族との戦いは、まだまだ続く。
 ユクルの呟きに、てれぴこ達は気を引き締めるのだった。