WonderTalk〜洞窟〜アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/20〜04/24
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●本文
青空を写した画面の中に、剣を構えた青年のシルエットと『Wonder Talk』の文字が重なった。
それはファンタジー特撮番組『Wonder Talk』のオープニング。
中世ファンタジー世界『カラファン』を舞台にモンスターハンター達が剣と魔法と知恵を使い、行く手を阻む魔物達を倒してゆく物語だ。
モンスターハンター達はハンターギルドにてモンスター退治や一般人には解決できない問題を依頼として請け負う。
そして今日も、ハンター達が訪れた冒険者ギルドでは依頼が溢れている。
「コウモリやっつけて欲しいのよーぅ」
城下町レザラディカのハンターギルドの受付嬢は、気だるげに頼む。
「コウモリぐらい、自分で追っ払え」
ギルドに依頼として出されるのだから、普通のコウモリじゃないとわかってはいるのだが、あんまり眠たげにいうのでついハンターは突っ込んでしまう。
「んー? ちょっと無理っぽく。エンメンドウ洞窟にレッドバットとブラックバットが仲良くタッグ組んじゃったのよーぅ。だからぁ、ね?」
有無を言わせず洞窟の地図を押し付けてくる受付嬢に、ハンターは苦笑しつつも依頼を請け負うのだった。
☆Wonder Talk出演者募集☆
ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『Wonder talk〜エンメンドウ洞窟〜』出演者募集です。
剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、モンスターを退治してください。
☆モンスター情報☆
『レッド・バット』
血のように赤いコウモリです。
大きさは普通のコウモリと大差ないのですが、生き物の血を吸います。
1〜数匹で行動しています。
『ブラック・バット』
体長30cmもある大きな黒いコウモリです。
主に音波を発し、敵を眠らせます。
確認されている数は1匹です。
この二種類のほかに、通常のコウモリが数十匹生息しています。
☆地域情報☆
今回の舞台は、ファンタジー世界カラファンの東方に位置する城下町『レザラディカ』の北東に位置する『エンメンドウ洞窟』
鍾乳石や良質の貴石の原石などが採掘できます。
☆選べる職業☆
戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
僧侶 :治癒魔法を得意としています。
魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
召喚士:精霊を召喚し、使役します。
吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。
シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
錬金術師:カラファンに存在する様々なアイテムを調合して薬や爆薬などを作り出します。
なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
今後も職業は順次増えてゆきます。
●リプレイ本文
●準備はOK?
「ま、頼まれたら行くが‥‥何だかな」
ハンターギルドの受付で、吟遊詩人のケイ(氷咲 華唯(fa0142))はあんまり乗り気じゃない。
「こんにちはニャ〜♪ なんか不満があるニャか?」
ヒラヒラと踊り子の衣装をなびかせて、明るく元気なアヤカ(アヤカ(fa0075))はケイの顔を覗きこむ。
「んー、退治するだけっていうのがちょっと、な。コウモリがタダで共同戦線組むなんて思えないし」
渋い顔のケイの背に、
「あら、それならわたくしの美貌を見たくてタッグを組んだに決まっているじゃありませんか。オーッホッホッホ!」
聞きなれたトール(トール・エル(fa0406))の声がかかる。
「トールさん、いつもと違う?」
幼い召喚士のケーナ(美森翡翠(fa1521))が小首を傾げる。
トールは、いつもは肩の出る巫女服の上にきらびやかな着物を纏い、豪奢な金髪をツインテールにしているのだが、今日は結わかずに下ろしている。
それどころか、今日は襟元まできっちりとつめた巫女装束なのだ。
「太陽神とちょっと喧嘩してしまいしたわ。これを見てくださいな」
トールはすっと巫女服の袖をめくる。
「ふにゃ〜。随分真っ赤です〜」
虎娘(稲荷 桜(fa3254))がトールの日に焼けて赤くなってしまった肌を痛そうに見つめる。
「この間の、砂漠でですか」
二種類の蝙蝠について愛用のモンスター辞典で調べていた魔法使いのセルム(相沢 セナ(fa2478))は、中指で分厚い眼鏡を押し上げる。
「ええ、そう。あれほどきちんと日焼け止めをしていたにもかかわらず、わたくしの肌を焦がすなんていくら天照大神でも許せませんわ。
当分、わたくしは月読命に仕えることにいたしますのよ。月ならわたくしの肌を焼くことなんてございませんからね」
高笑いしながら言い切るトールは、外見こそ違えど中身はいつものままのようだ。
「ははっ、相変わらずだな」
トールの高飛車振りに笑いながら蒼龍(星蔵 龍牙(fa1670))は「ひさしぶり!」と声をかける。
「やあ、キミ達はみんな知り合い? ボクも今回は一緒にエンメンドウ洞窟へ行くことになったんだ。宜しくね」
そんな一行に、シーフのアキ(志羽・明流(fa3237))が挨拶をする。
「初見だな。蒼龍と申す。そちらのお嬢さんもよろしく」
蒼龍はぱしっと拳を鳴らして初めて一緒の依頼を受けるアキと虎娘に改めて挨拶をする。
「今回も同行させて頂きます。皆さんよろしく」
セルムも礼をし、八人は問題の洞窟へと出発することになった。
●エンメンドウ洞窟
エンメンドウ洞窟は、妖精の森の隣、ゲオ山の麓にある。
「今回はコウモリか。しかもレッドとブラックの揃い踏みか‥‥ちょっと厄介かな。そのために‥‥これを持ってきておいたんだが」
蒼龍は腰に刺したサーベルに手を触れる。
普段は武器よりも主に鍛え上げた肉体の繰り出す脅威の拳で敵を撃破する彼が、サーベルのような武器を所持するのは珍しい。
もっとも、彼の習得している牙龍拳は武術、剣術共に優れた流派だから、扱いは手馴れているのだろう。
「あ、中に入る前に、ちょみっと待ってくださいです〜」
虎娘がごぞごそと鞄から銅鏡を取り出す。
そして何やら呪文を唱えると、そこに一人の女性が姿を現した。
「娘々さま〜、催眠効果に対抗できる護符かなにかありませんかぁ‥‥?」
鏡の中の女性は虎娘が仕えている天仙娘々なのだろう。
虎娘はトールの肌を焼いた先日の砂漠の依頼で、娘々から授かった呪符を大量に使用してしまい、涙目で娘々におねだり。
鏡の中の娘々は少々呆れ顔になりつつも、ふわりと扇をひらめかす。
するとどうだろう?
虎娘の上に数枚の護符が降ってきた。
「娘々さま〜、ありがとうございますぅ〜」
「転移法術? 随分と力のある方なのね。わたくしに張り合えそうでしてよ」
いそいそと護符を受け取る虎娘をみつつ、トールは呟く。
西方大陸の生まれでありながら東方大陸で巫女をつとめていたトールですら、転移法術は心得ていない。
どうやら虎娘の仕える天仙娘々はかなりの力の持ち主のようだ。
「奥深くには何が眠っているのでしょう? 実に興味深い。おや? これは‥‥蝙蝠の糞ですね」
セルムが眼鏡の奥の瞳を細める。
黒く干からびた丸い物体は、匂いもなくぱっと見は小石と、見分けが付かない。
だが魔法使いにして学者のセルムにはすぐに判別できたようだ。
「糞か。いくら珍しくとも、それは欲しくないな」
ケイは「何か貴重で珍しいモンでも見つかるといいんだけどな」と呟く。
「ボクも宝石とかのほうが好きだけど、それを辿っていけばわかるね♪」
「蝙蝠、音で位置掴む。ケーナ手伝う」
アキはマイペースに喜び、ケーナは風の精霊を呼ぶ。
「ふむ。どうやらここ以外には出入り口は無いようだな」
蒼龍は洞窟につくまでも、そして洞窟についてからもよくよく周囲を観察し、不意打ちなどを食らわないように己の気を高める。
「ニャハハッ、いっくニャ〜♪」
二つのナイフをジャグリングしながらアヤカも洞窟へと足を踏み入れる。
●コウモリの大行進!
洞窟の内部は当然のことながら太陽の光が届かない。
奥へ奥へと進むにつれて、視界はどんどん悪くなってゆく。
「暗いの嫌」
ケーナが怯え気味に、光の精霊に周囲を明るくするように願う。
光の精霊達がケーナの胸に下げた水晶のペンダントから蛍の光のように舞い、ハンター達の周囲をいくつもの光球が照らし出す。
「今のうちに張っておくのです〜」
先ほど天仙娘々から受け取った護符を、虎娘はいそいそと青龍刀に貼り付ける。
護符を張られた青龍刀はパリパリと青い火花を散らす。
「ボク達以外がここに来られないように、入り口からこのへんまで罠を仕掛けておいたから。お宝を横取りされたくないからね」
アキはこれから戦うモンスターよりも、この洞窟に眠っている貴石の原石が気になっているようだ。
先ほどからきょろきょろと周囲を見回し、少しでも光る石があると貴石ではないかと確認している。
何個目かの石をアキが確認している時、
「シルフが騒いでる、危ないって!」
ケーナが叫び、洞窟の奥から無数の羽音が響き渡った。
「よ〜し、娘々さまの護符もあるし! きゅうきゅうにょりつりょ、我が剣に力を!」
「いっくニャ〜!」
アヤカがナイフを構え、虎娘は青龍刀を構える。
「コウモリなんかの好きにはさせないぜ」
「わたくしにお任せなさい」
ケイが呪歌を奏で出し、トールが月読命に祈りを捧げてハンター達の周囲にバリアを張り巡らせ、ハンター達を月の光が包み込む。
そして羽音はどんどん大きくなり、ついにその姿を現した!
ブラック・バットと複数のコウモリが一斉にハンターたちに襲い掛かる!!
「どんな生き物も適度が一番なんです。大きすぎるのはご遠慮頂きたいですね」
セルムが呆れたように呟きながら、蒼龍のサーベルにライトセイバーの術をかける。
光の魔力で攻撃力と命中率をアップされたサーベルは、金色に輝いた。
「やけにおっきいニャね〜。これだけおっきいと切り刻むのも楽ニャ〜♪」
黒く、覆い被さるマントのように巨大なブラック・バットにアヤカは怯むことなく短剣を振るう。
キラキラと光球に照らされて舞うアヤカに、ブラック・バットはなす術もない。
ブラック・バットは大きさこそ普通のコウモリの数倍あり、攻撃力も高いのだがその分狭い洞窟内では思う存分飛行能力を発揮できずにいる。
動きの鈍いブラック・バットは通常の小さなコウモリよりも余程切付け易いのだ。
けれど切り刻まれて黙っているほど大人しいものでもない。
キキッ‥‥キイィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
狭い洞窟にブラック・バットの鳴き声が反響する。
「ちょっ、この音いやすぎだよ!」
ブラック・バットの音波にアキは耳を塞いで座り込む。
「ふにゃ〜‥‥? あれ? なんだか‥‥眠くなっちゃった‥‥」
まとわり付く普通のコウモリをぺちぺち切り落としていた虎娘が音波にやられてへなへなとその場で眠り込む。
「はニャ‥‥」
「くっ、目が霞む!」
至近距離で音波に当てられてしまったアヤカも倒れ、そして魔法に対してあまり耐性のない武道派戦士の青龍も片膝をつく。
「くそっ、みんな目を覚ませ!」
レッド・バットに噛まれても大丈夫なようにフードを被り、自身の奏でていた曲でブラック・バットの音波を防いで眠らずに済んだケイは、眠り、動きの鈍くなる仲間達を起こすべく、目覚めの歌を奏で出す。
ケイの白い指がリュートを軽やかに爪弾くと、ブラック・バットの音波が掻き消えた。
「風の乙女、黒蝙蝠の出す音を全て封じて!」
ケイの音色に持ち直したケーナが、風の精霊に願う。
すぐさま旋風が巻き起こり、ブラック・バットを包み込み、シルフ達は音波を奪う。
「ふにゃ〜‥‥おはよう‥‥‥じゃなくて痛いですぅ〜?!」
寝ぼけ眼だった虎娘がぶんぶんと首を振る。
その白く細い首には真っ赤なレッド・バッドが食いついていた。
「自分の身は、自分で守ってねー。そこまで面倒見きれないからー‥‥って、言ってる側からヤられてるしっ」
アキが慌てて円盤状のチャクラムを投げ、見事に虎娘の血を吸っていたレッド・バットを叩き落とす。
「むむむ、これは聞くかニャ〜? 文献で昔読んだニャ〜!」
アヤカが短剣から腰に刺しておいたブーメランに持ち替え、襲い繰るコウモリを攻撃!
狙っていたコウモリにはすっと逃げられてしまったが、ブーメランの軌道上にたまたまいたレッド・バットに見事命中☆
多少練習していたものの、実践では初めて使う武器にしては見事といえよう。
「ニャハハっ、やったニャ〜♪」
アヤカはご機嫌に敵を叩き落してゆく。
「随分とお行儀の悪いコウモリですね。‥‥アイスミスト!」
セルムがケーナを狙おうとしていたレッド・バットに気づき、絶対零度の霧を発生させてその身を瞬時に凍らせた。
ギギギッ‥‥キーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!
レッド・バットを次々と落とすハンター達に、音波を封じられたブラック・バットがブチ切れた。
その羽根がボロボロになるのも構わず、狭い洞窟の中をハンター達めがけて突撃してくる!
「牙龍拳‥‥剣術奥義‥‥第三節の1、牙突!」
蒼龍が必殺技を繰り出し、サーベルをブラック・バットを串刺しにする。
余りにも一瞬の出来事にきょとんとした表情を見せたブラック・バットは、次の瞬間絶命した。
●エピローグ
「ありがたく思いなさい」
トールが血を吸われてぐったりしている虎娘に治癒魔法を施す。
「血吸われちゃった? 病気かかってたら大変‥‥世界を存在させる精霊達よ、人が持つ力を正常に保って」
ケーナも心配して病気を追い払うように精霊たちに願う。
二人の術士に治療された虎娘は元気はつらつ☆
「ありがとうです〜。いっぱい頑張ったから娘々さまもきっと褒めてくれますぅ♪」
ご機嫌にぴょこんと跳ねる。
そしてセルムはそんな三人の横に、変わった石が落ちていることに気づく。
「原石も磨かなければ只の石ころとは‥‥本当ですね。これどうしましょう?」
手に取ったそれは、間違いなく貴石。
「うっそ、マジ? ボクも探してたのに見つからなかったよ。ボクも探してくるね♪」
アキは止めるまもなく駆け出してゆく。
そして虎娘はいそいそと天仙娘々に報告書を書く。
「んっと〜、今日は『エンドウマメの洞窟』でコウモリをやっつけました。まるっ!」
えんどう豆の洞窟じゃなくて、エンメンドウ洞窟なのだが、虎娘は少しも気づかない。
きっと後ほど天仙娘々に目いっぱい怒られることだろう。
「お宝見つけたんだよ♪」
お宝目指してはしゃぐアキの声が洞窟に響いた。