ぷにっと海賊団☆Candyアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
05/19〜05/23
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●本文
『ぷにっと海賊団☆』
画面の中では、愛らしい海賊服に身を包み、悪の海賊団と戦うぷにっとな少年少女たちが今日も今日とて悪の海賊団と戦っていた。
「わたくし達は絶対に負けませんわ!」
悪の海賊団は毎回毎回ぷにっと達にやっつけられているのに、ちっとも懲りない。
高らかに宣言し、指をパチン☆
するとどうだろう?
「うわー、これなんだ?!」
「キャンディーですー☆」
ぱらぱらぱらぱら☆
空の上から可愛くラッピングされたキャンディーがぷにっと達にはもちろんのこと、街中に降り注ぐ。
「ふふっ、街でよいことをする私を、倒せるものなら倒してご覧なさい!」
キャンディーを降らすのがよい事なのか?!
いや、子供たちは喜んでいるけれども、道路にも降り注いでいるから渋滞だぞっ。
助けて、ぷにっと海賊団?
☆『ぷにっと海賊団』出演者大募集☆
近日放映予定のぷにっと海賊団『キャンディー☆』の出演者を大募集!
毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、そして悪役をやりたい大人の貴方も大募集です。
●リプレイ本文
●始まりは良いことで?
「ホットケーキ焼けたでぃす☆」
ぷにっと海賊団海賊船『ぷにっとぷにっと☆』では、今日も今日とてリスリス(縞りす(fa0115))がおいしそうなホットケーキを焼いていた。
「あうあう〜、ゴールデンウィーク気分からまだ抜け出せないよ〜」
ミユミユ(猫見みゆ(fa0044))はそんなことをいいつつも狐色にふんわりと焼けたホットケーキを盛大にぱくつく。
「あっ、そんなに勢い良く食べたら、また火傷しちゃいますよ〜っ」
そんなミユミユを海賊船の操舵手イズミ(森澤泉美(fa0542))が慌ててとめる。
でもミユミユはまったく気にせずにおいしそうに食べている。
「ちゃんとミユミユさんの分だけ冷ましてあるから、大丈夫でぃす☆」
以前火傷させてしまったから、今回はミユミユの分だけ先に焼いておいて、きっちり冷ましておいたのだ。
「あふぅ‥‥今日のニュース見せてもらえるかしら?」
そしていつもきちんとしているウララ(谷渡 うらら(fa2604))が本部室に眠たげな様子で入ってきた。
「どうしたのウララさん? 珍しく眠たげだね」
「美少女も眠くなることがあるのね」
自称キャプテン・アザーことアズサ(あずさ&お兄さん(fa2132))と、その肩に乗るオカマ言葉のオウムの人形・ネイトが首を傾げる。
「家の裏の水道管がダメになったとかで、夜通し工事中だったのよ‥‥あふ」
受験勉強も終え、望みの学校へ進学できたウララは、最近はそれほど徹夜をしていなかったのか睡眠不足に弱くなっていたらしい。
口元に手を当てて、はふぅと欠伸をする。
「お布団用意しておいたほうがいいかな?」
チャンネルをピッと変えてモニターにニュースを映し出し、うかにゃん(角倉・雨神名(fa2640))は席を立ちかける。
「ううん、大丈夫。その内眠気も消えると思うから。‥‥って、これはなに事なの?!」
うかにゃんにお礼を言いつつ、モニターを見たウララは目を丸くする。
『本日未明、悪の海賊団を名乗る謎の女性が出現。街中に不思議なキャンディーを降らせています』
モニターの中では、柔らかくおっとりとした物腰のニュースキャスター(谷渡 初音)が少々困ったような顔をしながらニュースを読み上げていた。
そして彼女の周辺には、包み紙に包まれたキャンディーが本当に雨のように降り注いでいるのだ。
カメラが切り替わり、モニターは謎の女性をアップで映し出す。
『悪の海賊団は世界中に飴を降らせるのですわー♪ 良い事をするって幸せよね♪』
金の髪をなびかせて悪の海賊団のお姉さん(ライカ・タイレル(fa1747))はカメラににこっと笑いかける。
彼女が指を鳴らすたびに、パラパラと空から飴が降ってくる。
「え? 悪の海賊団がいい事をしてるの? うん、感心感心だよっ♪ 私も食べにいっちゃおうかな☆」
もぎゅもぎゅとお口の中一杯のホットケーキを一気に飲み込んで、ミユミユはご機嫌になるがウララの機嫌はウルトラ急降下。
「なにをいってるの? いいことなんかじゃないわ。ほら、飴のせいで渋滞が起こってる!」
ウララは画面の端に写る、飴に道を塞がれて渋滞になっている道路を指差す。
「美味しそうなんだよ。どうせなら私にくれればよかったのに」
「ねー?」
アズサはオウムのネイトと顔を見合わせ肩をすくめる。
「もうもう、人が寝不足の時に限って、どーして現れるかなーっ!」
ばんっ!
ウララはテーブルを思いっきり叩いた。
眠くって切れやすくなっているらしい。
「と、とにかく、現場に急行ですっ」
イズミが慌てて舵を取り、現地へ直行☆
●『ぶ』にっと海賊団?!
どこかの広場。
そこでは、全身黒尽くめのタイツ姿の戦闘員達がひしめき合っていた。
「ぶにーっと!」
広場に持ってきた子供用のイスの上に乗り、悪の海賊団・クラザウルス・ギャオーン・ウルトラ、略してクーラ(倉井 歩(fa0265))が右手のパンダ団扇を天に掲げ、叫ぶ。
「「「ぶにーっと!」」」
戦闘員達がクーラの声に呼応する。
拾った折り紙の金色でマイクを包んだお手製ゴールドマイクが太陽の光に辛うじてきらめいた。
「うむ、いい返事だ。さあ諸君! 今こそわれわれの活躍を世の中に知らしめる時がきたようだ」
広場にみっちりと溢れる部下達に、クーラは勿体つけてマントを翻す。
「これより、我々はキャンディー争奪作戦に入る。おまえたちっ、ぷにっと達に乗り遅れるなよっ!」
「「「ぶにーっと!」」」
クーラの命令に、再び呼応する部下達。
(「この作戦は失敗できねぇ。なんせ、この人数を集めるの費用のために、あいつのサッカーボール型貯金箱を壊しちゃったからな」)
クーラは同じ悪の海賊団仲間の少年を思い出す。
白い翼を持ったやんちゃな少年は、クーラの事を兄のように慕ってくれているけれど、口がちょみっと悪い。
彼の貯金を使い込んだのがばれたらどうなることか。
(「まぁ、今は本物のサッカーボールを置いてごまかしてあるが。しかし、これで世界の食べ物を独り占めだ」)
ぐぐっ。
クーラは拳を握り、部下達とキャンディーの降る街へと急ぐ。
●キャンディーぱにっく☆
「はわわ! ほんとにキャンディーだらけでぃす!」
現場に降り立ち、その凄まじい量の飴にリスリスは驚きで尻尾を膨らます。
「こらー! 悪い事はだめなんだよっ!」
ミユミユが楽しそうに飴を降らす悪の海賊団のおねーさんを即座に発見し、叱り飛ばす。
けれどおねーさんはきょとんとし、
「甘い幸せをプレゼントしているのに‥‥悪いことなんかしてないもんっ」
きぱっと言い切って指をパチン☆
パラパラとぷにっと達の頭上にも飴が降り注いだ。
「飴を何とかするんだよっ」
「ふえっ?! う、うん‥‥キャンディ、なんとかしなきゃねっ」
ごっくん☆
うかにゃんはいきなり話しかけられて飴を飲み込み、アズサはポケットに詰め込みだす。
って、こんな正体不明の飴を食べたり持ち去ったりしたら危険だしっ。
「Present For You」
おねーさんがウィンクして投げキッスすると、ロリポップタイプのキャンディーが手榴弾のようにぷにっと達に突撃☆
「いたっ、痛いんだよっ!」
「みんな、気をつけてね。特に、足元とか滑りやす‥‥わ、わ、わ‥‥きゃぁ〜っ!」
ミユミユとうかにゃんが避け損ねて思いっきり被弾、足元に転がる飴にコロコロと足を取られて盛大にすっころんだ。
そしてすぐ側の道路では、キキーッと嫌な音を立てて車が急ブレーキ!
「この音は‥‥まさか、このキャンディーで怪我をした人が出てるでぃすか?!」
リスリスが慌てて周囲を見回す。
幸い、車はやばげに斜めに止まっているものの、怪我した人はいないようだ。
ほっと胸をなでおろしつつ、
「このキャンディーを何とかするでぃすよっ!」
ぷにっとおたまを突きつけてリスリスが叫ぶ。
「今、避けましたね? 酷いです。わたしの想いを踏み躙るなんで悪い子です」
「キャンディーを撒くのが良いことなんて自己満足です。困る人がいることも考えて行動してほしいのです」
イズミは一生懸命おねーさんを説得しようとする。
と、その時。
「はーっはっはっはっは、ぶにっと海賊団参上!」
何処からともなくクーラとその戦闘員達が現れた。
●ぜーんぶ食べちゃえ? ぷにはぶににはならないもんっ?!
「街中のキャンディーを、部下どもと奪いまくるぜ」
高らかに宣言し、クーラはマントを翻す。
ぶにーっとと叫んで部下達はキャンディーをスーパーの袋に詰めだした。
「クレージーよねー」
ぷくぷくコロコロと太ったぶにっと海賊団に思わず現実逃避したくなりながら、ウララは遠い目をして呟く。
「うわぁ! 増援?! ‥‥じゃないみたいだね」
ミユミユを思わず身構えたが、ぶにっと達はぷにっとには目もくれず一心不乱に飴を回収している。
「はわわっ、どうしよう? どっちから先にやっつけたらいいんだろう?!」
「‥‥どうせあっちは心ゆくまで飴が食べたいだけでしょ。邪魔はさせないわ!」
混乱するうかにゃんにウララが叫んでぷにっとフォンにカードスラッシュ☆
ぷにっとフォンが光り輝き、ぷにっとクリーナー出現。
一見小型の掃除機なそれは、アストラルストーンを使用して体内にブラックホールを形成、吸引したすべての物を異世界へと誘う!!!
ごうっ!
ウララがスイッチを入れた瞬間に凄まじい勢いで飴が吸い込まれていく。
「ウララさん完璧なんだよ‥‥って、うわわっ?!」
側にいたアズサがおもいっきしぷにっとクリーナーに吸い込まれてゆく。
「‥‥って、ちょ、ちょっと、ウララさん、ア、アズサさんが吸い込まれ‥‥お兄さん、ウララさん助けてあげてくださぁ‥‥あ、あれ?」
きゅぽん☆
助けに入ったイズミまでも吸い込まれてゆく。
そして恐怖の掃除機と化したぷにっとクリーナーは暴走、クーラに突撃!
「ふははは、順調順調ー‥‥ぐはあっ!」
口をめいっぱいあけて空からとめどなく降ってくる飴を回収していたクーラのお尻にクリーナーがくっついている。
でも、アズサやイズミの時と違い、一気に吸い込まれない。
「‥‥? そうか、太りすぎで詰まっちゃったんだわ!」
ウララが気づき、今のうちにとアストラルストーンを操作してイズミとアズサを救出☆
ぽふんとクリーナーの外に飛び出したイズミとアズサは顔面蒼白。
「もう二度と飴は見たくないんだよっ」
「イズミくん、トラウマになりそうですっ」
二人がクリーナーの中で見てしまったものは一体なんだったのか?
それは二人にしかわからないが今は戦闘中!
「もうもう、私の邪魔をするなんて駄目なのです。
甘い物食べ過ぎで虫歯になって、糖分取りすぎでぷにっとがぶにっとになってしまえば良いのよ!」
おねーさんが痺れを切らして両手で指をパチン☆
ペロペロキャンディーが二刀流の剣のようにその手に出現、ミユミユに突っ込んできた。
「ぶ‥‥ブニッにはならないもん!!」
肉球パンチで応戦しつつ、ミユミユは力強くぶにを否定。
うん、だって女の子だし。
「食べたら三分以内に磨くですー!!」
イズミも叫び、必殺魔法炸裂☆
巨大ハブラシでおねーさんを泡泡にしてふっとばす。
「世界に甘い物がある限り、プニがブニになることに怯えるが良いわーっ」
きらんっ☆
おねーさんは捨て台詞を残し、青空に吹っ飛んでいった。
「やった、とれたわ‥‥って、うわっ?」
ぎゅおおおおおんっ。
クーラに引っ付いていたクリーナーをウララが引っぺがすと、クリーナーは一気にクーラの戦闘員達を吸い込んだ。
「って、部下達全滅っ?!」
一瞬にして全てを奪い去られたクーラは真っ白に。
「こうなったら自棄だー、とりゃー!」
ほんとにやけっぱちで力の入らないキックをリスリスにとうっ☆
「返り討ちにしてあげるでぃす!」
ぱっこーん☆
ぷにっとおたまがぷにっと麺棒に早変わり。
「あーれーーーーーーーーーー!」
クーラも青空に吹っ飛んでいった。
●エピローグ
『本日未明、謎の女性によるキャンディーパニックは、ぷにっと海賊団と名乗る少年少女達の活躍により解決しました』
どこかのテレビから、ニュースキャスターの声が響く。
「うっきゃー、せっかく集めた飴が消えてるんだよ」
アズサのポケットに回収しておいた飴がいつの間にか消えている。
後でいっぱい食べようと思ったのにと涙ぐむアズサに、リスリスは、
「当分キャンディーは見たくないでぃすね。またホットケーキやいてあげるでぃすから元気出すでぃすよ」
と慰める。
「でも、この泡どうしましょう?」
イズミがおねーさんを吹っ飛ばした時に泡泡にしてしまった周囲を見回す。
「みんなも街も、雨でキレイキレイだよ☆」
うかにゃんが指を鳴らすと、飴ではなくほんとの雨が泡の上に振り出して綺麗に流してゆく。
くるっ!
カメラ目線でぷにっと達が振り返る。
「「「「「「正義はぷにっと!」」」」」」
勝利のポーズ、きめっ☆
こうして、今日も世界の平和が守られたのだった。