ぷにっと海賊団☆GOAL!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3.6万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/16〜06/20
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●本文
『ぷにっと海賊団☆』
それは、愛らしい少年少女達が悪の海賊団と戦う特撮番組だ。
お洒落な海賊服に身を包み、悪の海賊団と戦うぷにっとな少年少女達は、目の前の敵に苦戦していた。
「悪は、ぶにーっと!」
「「「ぶにーっと!!!」」」
悪の海賊団がぶにーっとと叫び、サッカーボールを蹴りまくる!
ちゅどーんちゅどーんと爆発してゆくボールたち。
「こんな風にものを粗末にしちゃいけないのです!」
「きっちり、ルールに乗っ取って勝負をつけましょう!」
反則を使いまくる悪の海賊団に挑戦状を叩きつけるぷにっと達。
悪の海賊団とぷにっと海賊団のサッカー勝負が、いま、始まる☆
☆『ぷにっと海賊団』出演者大募集☆
近日放映予定のぷにっと海賊団『GOAL!』の出演者を大募集!
毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、そして悪役をやりたい大人の貴方も大募集です。
●リプレイ本文
●ぶにーっと!
「悪は、ぶにーっと!」
悪の海賊団クラ何とか、略して『ク』ラザウルス・ギャオ『ー』ン・ウルト『ラ』(倉井 歩(fa0265))は、大分減った手下のぶにっと達にマントを振る。
いや、略してないしという突っ込みは無しで。
(「随分減っちまったよなぁ、俺の手下。ううっ、貧乏で戦闘員が雇えないのは辛すぎるっ」)
以前の戦闘で雇った戦闘員は、労働の割に時給が安いと逃げられ、クーラのところに残ったのはほんの数人の戦闘員だけ。
しかもかなりやる気ナッシング。
いまも、総帥(?)たるクーラがマントを翻して合図をしているというのに、『ぶにーっと!』の掛け声一つ戻ってこない。
みんな、ごろごろと横になってTVのサッカー観戦なんぞをしている。
(「ん? サッカー?」)
きゅぴーん☆
何かがクーラの脳裏に閃いた。
「ふっふっふ、これだぁ! お前達、サッカーをするぞ。ぶにーっと!」
「「「ぶにーっと!!!」」」
やる気のなかった戦闘員達がクーラの声に勢い良く跳ね起きる。
一体、クーラはなにをするつもりなんだ?!
●挑戦状?
「こんなものが届いたのよねー」
ぷにっと海賊団海賊船『ぷにっとぷにっと☆』の本部で、ウララ(谷渡 うらら(fa2604))はヒラヒラと手紙を振る。
「なんでぃすか、それ?」
いつものようにおやつを作り、皆に振舞うリスリス(縞りす(fa0115))が小首を傾げる。
「ウララさん、みせてもうヨ」
ひょいっ☆
ファリー(マリアーノ・ファリアス(fa2539))が細っこいのに力強い尻尾で手すりをくるっと回り、そのままウララの手にした手紙を片手でひょいっと受け取る。
「挑戦状、ですか?」
ナナ(七瀬七海(fa3599))も一緒に覗き込み、意外と流暢な筆文字のそれを読む。
「つぶれてコロコロと太った肉球マークに三本の串団子‥‥これ、悪の海賊団のぶにっと達ですっ」
ぷにっとぷにっとの操舵手・イズミ(森澤泉美(fa0542))も自動操縦に切り替えてその見覚えのあるマークにびっくり。
「サッカーで勝負ですって。これは、受けないわけにはいかないわよね」
ウララの言葉に頷くみんな。
「そうと決まれば、決闘場所までぷにっとぷにっとでGOです!」
イズミが海賊船の舵を取り直す。
●貯金箱
「俺の貯金箱、なんで空っぽなんだっ?!」
黒のミニ飛空挺のなかで、悪の海賊団の少年・ユート(月岡優斗(fa0984))は叫ぶ。
そのすぐ隣には、クーラの置手紙が。
「『旅に出ます。探さないで下さい。あと引き出しに、松坂牛食べ放題の為に貯めたお金なんて入ってないので、引き出しは開けないで下さい』‥‥って、なんだよ、これ?!」
手紙を読み上げて、ユートが引き出しを開けると、小銭がじゃらり。
特に一円玉の比率が多いそれは、なにをどーやっても松坂牛には遠く及ばず、ましてやいつの間にか消えていたユートのぎっしりと詰まっていた貯金箱の中身とは比べ物にならない。
とりあえず空っぽになってしまった貯金箱にスズメの涙なその小銭を入れて、ユートはマントを翻す。
「ぜったい、捕まえてやるじゃん!」
モニターでクーラの居場所を突き止めて、ユートはミニ飛空挺をふっとばす。
●サッカー勝負! でも、卑怯だってば?
「さあ、きたでぃすよ。姿を現すでぃす!」
海賊船からグラウンドに降り立ち、リスリスは周囲を見渡す。
そしてなぜか衣装はいつものチャイナ風コック服ではなく、オリジナルのぷにっとサッカーウェア。
リスリスだけではない。
ファリーもナナも、ウララもイズミも、みんなぷにっとマークのオリジナルユニフォーム着用済みだ。
「良く似合っているな。少年少女。作った甲斐があるというものだ」
ぷにっと海賊団に近しい、けれどぷにっとではないシャーク(阿野次 のもじ(fa3092))がギターを手に褒める。
サッカー勝負と聞き、アストラルストーンをちょみっとつかってさくっとユニフォームを用意したのだ。
「ふははははっ、よく来たな、ぷにっと海賊団‥‥わっぷっぷ!」
べちゃりっ。
グラウンドに降り立ち、クーラはかっこよくマントを脱ぎ捨てようとして短い手が絡み、簀巻き状態になって倒れた。
「なにやってんだよ、クーラ!」
そこへ、ユートがミニ飛空挺から軽やかに舞い降りる。
貯金箱の事を問い詰めようと思っていたのだが、いまはそれどころではないらしい。
「へい! サッカー勝負をするんだろ? 早く始めるんダヨ」
サッカー好きのファリーがこきこきと関節を鳴らしてやる気満々。
「ふうん? そういう事なら受けて立とうじゃん」
バサリ。
にやりと笑い、いつも身に纏っているリアルな髑髏マーク入りの黒いマントを脱ぎさり、ユートはリス耳と尻尾をその身体に生やす。
「ユートが手伝ってくれれば、百人力だ。ぷにっと達よ覚悟しろ!」
絡まったマントから這い出して、クーラは高らかに宣言し、連れてきていた戦闘員達は『ぶにーっと!』と呼応する。
「望むところです。正義は必ず勝つんです!」
ナナも負けじと叫び、ゲームが始まった。
「いくよ! ファリーさん!」
ナナが叫び、FWのファリーにボールをまわす。
「いいパスね、もらったヨ!」
ファリーがそれを受け止め、ゴールに走り出す。
「ファリー、サイドからだ!」
ゴールを守るシャークが指示を飛ばす。
「OK! 攻めて攻めて攻めまくるヨ」
ファリーがウィンクして戦闘員達をぐんぐん抜き去る。
元々戦闘員達ははっきりきっぱりおデブの集団。
黒い服を着ているだけの彼らに戦闘能力は皆無。
恐ろしいのは、ユートとクーラだけだ。
「‥‥まって。クーラがいない?!」
ウララが異変に気づく。
悪の海賊団を守っていたはずのクーラがいないのだ。
「ふっふっふ、ここにいるぞ!」
「どこでぃす?!」
声はすれど姿は見えず。
きょろきょろと見回すぷにっと達は、道端を歩いていたおじさんに頼んだ審判の足元に不自然に転がるボールに気がついた。
いや、それはボールか?
「ファリーのとこにボーはあるヨ!」
「それはボールじゃないですっ、大きさがおかしいですっ」
イズミが叫び、その瞬間、大きなボールは擬態解除☆
「クーラ、おまえなにやってんだよ?!」
ユートが呆れて叫ぶ。
そう、巨大なボールはクーラの擬態。
白と黒のユニフォームを着て、ぷくぷくと太った丸い身体を利用してボールに化けていたのだ。
「でも、ボールに化けでどうするんでしょう? ゴール、がら空きです‥‥」
ナナの突っ込みどおり、ゴールを守るはずのクーラがいなくてがっらがら。
「くそっ、俺がとめてやるじゃん!」
イズミとにらみ合いを続けていたユートが叫び、ファリーに駆けつけるが時既に遅し。
「もらっタネ!」
ファリーが転がってる戦闘員を軽々と飛び越し、必殺のぷにっとオーバーヘッド。
フッとかっこよく着地するファリーの後ろでボールはものの見事にクロスバー直撃!
って、だめじゃん!
「うおっ、命拾いしたのだよ。ぶにーず! 0−0−10フォーメーションだ!」
「「「ぶにーっとっ!」」」
クーラの命令で、戦闘員達が全員一丸となってぷにっと達に突撃☆
なす術もなく吹っ飛ばされ、ボールをゴールへと入れられてしまうぷにっと達。
「卑怯でぃす!」
「正々堂々と勝負なさいっ」
リスリスとウララの声に、クーラはふふんと笑う。
「審判! ハーフタイム!」
咄嗟にシャークが休憩を入れた。
●特訓? ドリンク?
「少年少女。敵がああな以上、このままでは勝ち目がない。そこでだ。究極の特訓メニューを伝授しよう」
ばああーんっ!
シャークは鉄下駄を履き、テーブルに特訓メニューを貼り付ける。
メニューの中にはタイヤ引きだとかうさぎ跳びだとかグラウンド百週だとか夕日に走れだとか、なにやらめちゃくちゃハードそうな特訓内容が。
「はい、先生質問です」
ナナがちょっぴり額に冷や汗を垂らしつつ手を挙げる。
「なんだい、少年?」
「ハーフタイムの時間内で、どうやって特訓するんでしょうか?」
「‥‥‥‥‥‥‥」
気まずーい沈黙が流れた。
「みんな、リスリス特製のスポーツドリンクで後半戦を乗り切るでぃす☆」
「そ、そうですね。リスリスさんのドリンクで頑張るですっ」
美味しいドリンクを飲んで、後半戦は巻き返しだっ☆
●正義はぷにっと!
「あたしフィジカルに難あるしねー。大人の戦闘員さん達と競り合いしても不利。スタミナ不足でへばるの目に見えるもの。だから‥‥」
ボールを受け取ったウララは、太っていても背の高い、足の長い戦闘員の股の下をぎりぎりまで腰を低く落としつてドリブルで駆け抜けた。
周囲から歓声が湧き上がる。
「大きな志を持った者は、ささいな恥辱を意に介さないのよーだ」
ポニーテールを揺らし、ウララはイズミにパスを回す。
「ウララさん、ナイスパスですっ‥‥おっと!」
「ここから先は通行止めだ、残念だな」
パスを受け取り、ゴールへ駆けつけようとしたイズミを、ユートが止める。
右に、左に。
ボールを動かしつつ、にらみ合いが続く。
「そうそう、言い忘れてた。負けたらお前ら、俺の部下じゃん。パシリとして使ってやるぜ」
ニヤリ。
余裕の笑みを見せるユートがイズミのボールに足を出す。
だが、その足がボールに触れる寸前にイズミはさっとそれを避けた。
「いままでの戦いで、ゆーとさんの癖は把握したのですよ☆ ウララさん、受け取ってです!」
イズミの動きを見極め、軌道上に移動していたウララがボールを胸でキープし、敵側のヘディングでも届かない高さでやり過ごす。
「いっけぇ☆」
ウララのシュートがものの見事に決まった。
だがしかし。
「ボールは二つあるのだーっ!」
クーラが叫び、ユートがなぜか大きなボールを蹴りながらぷにっと達のゴールへと向かう。
ウララの会心のシュートに目を奪われていた全員、ユートの動きを止める術はなかった。
「いただきじゃん!」
ユートのシュートがシャークの手を潜り抜け、ゴール!
「でも待って下さい。あれって、クーラ君ですよね?」
ナナが冷静に突っ込みを入れる。
きゅうっ。
ゴールの網に引っかかり、クーラは擬態をといて伸びていた。
ピィーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!
試合終了の笛が鳴る。
「審判、いまの得点は?!」
もちろん、無効だ。
「やったあ!」
「あたし達の勝利よ!」
勝利に喜ぶぷにっと達。
「ふんっ、次はこうはいかないぜ。覚えてろよ!」
目を回して気を失っているクーラを戦闘員達と抱えて、ユートは捨て台詞と共にさってゆく。
くるっ。
カメラ目線で振り返るぷにっと達。
「「「「「「勝利はぷにっと!」」」」」」
勝利のポーズ、きめっ☆
こうして、今日も世界の平和が守られたのだった。