WonderTalk〜魔導石アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.7万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
3人
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期間 |
06/22〜06/26
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●本文
遙か遠く、永遠に続くかのように思わせる青空に、『WonderTalk』のロゴが映し出される。
それは中世ファンタジー世界カラファンでの冒険を描く深夜特撮番組『WonderTalk』のオープニング画面だ。
物語の中ではモンスターハンターと呼ばれる冒険者達がハンターギルドにて様々な依頼を請け負っている。
そして、今回の依頼はというと‥‥
「魔導石、採掘してきてほしいのよねぇん」
城下町であり、商業の街としても栄えるレザラディカのハンターギルドで、受付嬢ははふうぅと欠伸を漏らす。
「‥‥天空の塔はどうなったよ?」
緊張感とか仕事中だとかそういったものを一切感じさせない受付嬢に呆れつつ、ハンターは冷静に突っ込みを入れた。
つい先日、伝説といわれていた天空の塔が突如として出現し、ハンター達はその調査に繰り出していた。
だから、今回もその続きを依頼されるものだとばかり思っていたのだが、肩透かしだ。
「んー? そっちも大事だけどぉ、転移門が本格的につかえなくなってきたのよーぅ。 だからぁ、魔導石をさくっと掘ってきてもらってぇ、転移門の魔力を安定させたいのよねぇん」
転移門は各都市に設置されており、魔力によって瞬時に別の転移門へと移動することが出来る転移装置だ。
だが、天空の塔の出現時期付近からなぜか使用できなくなってしまったのだ。
「あのなぁ、天空の塔の謎が解ければ転移門も治るんじゃねぇのか?」
だから、ハンターの青年がこう主張するのも当然のことなのだが、受付嬢は首を振る。
「確実性がないのよねぇん。王宮魔道師達の調査によればぁ、魔力を秘めた魔導石を加工すればそれなりの効果が期待できるのよぉん。
それに‥‥」
ちょいちょい♪
受付嬢が耳を貸せと合図する。
「ん? なんだよ?」
ちょっぴりどぎまぎしつつ、ハンターが耳を寄せる。
「今回のこの依頼、魔導石が配布されるわよん」
「なにっ、マジかよ?!」
思わずハンターは受付嬢に飛びつかんばかりの勢いで顔を寄せる。
「ほんともほんと。だからぁ、ゲオ山いってきて。ね?」
眠たげな極上の笑顔で受付嬢にウィンクされ、ハンターはホクホクと依頼を受けるのだった。
☆地域情報☆
今回の舞台は、ファンタジー世界カラファンのレザラディカの北東方にある『ゲオ山』
レザラディカからゲオ山までは徒歩で移動できます。
ゲオ山は険しい岩山ですが、珍しい鉱石なども取れることで有名です。
なお、魔導石は山の頂上で採取出来ます。
☆モンスター情報☆
『ゴーレム』
全長5〜6m。
岩で出来たモンスターです。
生半な攻撃ではダメージを与えることすら出来ません。
非常に強靭な身体と、凄まじい攻撃力を秘めています。
特に、腕を振り上げ地面に叩きつけた時の衝撃波は、攻撃を受けた本人のみならず、周囲の仲間達をも巻き込むでしょう。
但し、知能はそれほど高くありません。
☆アイテム情報☆
『魔導石』
魔力を秘めた鉱石。
ゴーレムのいるゲオ山の頂上に原石が埋まっています。
ツルハシで採掘してください。
ツルハシはギルドで希望数貸し出します。
☆魔導石の種類☆
魔導石は、加工して初めてその真の効果を発揮します。
効果には主に魔力の強化があり、加工方法によって魔法攻撃系か魔法防御系の効果が出ます。
お守りのように身につけているだけで効果が発揮されます。
☆選べる職業☆
戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
僧侶 :治癒魔法を得意としています。
魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
召喚士:精霊を召喚し、使役します。
吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。
シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
錬金術師:カラファンに存在する様々なアイテムを調合して薬や爆薬などを作り出します。
なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
今後も職業は順次増えてゆきます。
また、「こういった職業が欲しい!」などのご希望があれば採用の可能性もあります。
☆テンプレート☆
WT参加者は、下記テンプレートを埋めてプレイングを送付してください。
【魔導石】『攻撃系』か、『防御系』か、どちらか一つ選んでください。
【職業】『職業』の中から一つ選択
【心情】キャラクターとしての気持ちを書いて下さい
【戦闘】どのように戦うか
【台詞】各シーンで言いたい台詞
〜台詞例〜
【挨拶】「魔導石、どの種類がいいかな?」
【戦闘開始】「随分と卑怯だね!」
【必殺技使用時】「ねえ? 絶望するって、どんな気分? ふふふっ♪」
*台詞例はあくまで例です。なので色々台詞や設定追加推奨です。
【その他】キャラクターの設定や口癖などありましたらどんどんこちらへ明記ください。
●リプレイ本文
●挨拶
「‥‥うう、幾らなんでも電撃は酷いです‥‥お師匠様‥‥」
服のあちらこちらに焦げ目をつけた魔法使いのナツキ(夏姫・シュトラウス(fa0761))はハンターギルドの受付で、泣きじゃくる。
「魔導石発掘に参加されたのかな?」
そんなナツキに少々っ面食らいつつ、親友のカインと共にこの依頼に参加したサクヤ(橘・朔耶(fa0467))はハンカチを差し出して声をかける。
「ありっ、ありがとうございますうぅぅ‥‥。ええ‥‥魔導石を持って帰らないといけないんです‥‥ゴーレムよりも‥‥お師匠様が恐ろしいんですぅぅ‥‥!」
ハンカチを握り締めてナツキは号泣。
「なんだか壮絶な師匠のようね」
白衣に身を包み、思金神に仕える巫女・トール(トール・エル(fa0406))は肩をすくめる。
「魔導石は誰だってほしいよな。俺もだ。錬金術の素材になんねぇかと思ってさ」
流石に人に稲妻を落としてまで手に入れようとは思わないが、錬金術師のショウ(志羽翔流(fa0422))も同意する。
「魔導石かあ。ドリルでザクザク掘っちゃうってカンジぃ?」
トールの姉で魔器使いのメイは、小型の魔導ドリルを持参。
「まあ、その分少々厄介な依頼だが、皆で協力すれば問題ないな‥‥」
シーフのユウ(蘇芳蒼緋(fa2044))は、今回の依頼で倒さなければならない敵を思い浮かべる。
「‥‥どうしました?」
ツルハシを受付嬢から受け取っていた黒翼の魔術師・セルム(相沢 セナ(fa2478))は、分厚い眼鏡を抑えつつ、すぐ隣に居たケーナ(美森翡翠(fa1521))の顔を覗きこむ。
「‥‥大きくて使えない‥‥重すぎて運べない‥‥」
幼い召喚士である彼女は、受付嬢の手渡すそれに青ざめる。
魔導石はツルハシで掘り出す予定なのだが、鉄で出来ている為かなり重い。
成人男性のセルムはともかく、幼い少女に扱うのは無理がある。
「確かにこれ、重いなあ」
一緒に来ていた相棒の錬金術師・ユイの分ももってやりながら吟遊詩人のケイ(氷咲 華唯(fa0142))も頷く。
「お人形さんたち、やっぱり持つのは無理だよね」
ホムンクルスとは少し違い、ちいなさ小人の人形達に命を吹き込んで簡単な仕事をさせることの出来るユイは、お手製の爆弾とポケットから顔を出した小人の一人とツルハシを見比べる。
小人の数倍の大きさのあるツルハシなんて、持てっこない。
「ケイ君、ありがとうだよ」
ユイに礼を言われ、ケイは「べつにお前の為じゃないし」とちょっぴり照れてそっぽを向いた。
「じゃあ、そろそろ行くニャ?」
「そうですねぇ。いきましょうか?」
猫耳な踊り子アヤカ(アヤカ(fa0075))と戦士のヒカル(ヒカル・マーブル(fa1660))もツルハシを受け取って準備完了。
さあ、ゲオ山へ出発だ☆
●ゲオ山
「相変わらず険しい山ですね。ここはパピィを呼んで荷物運びを手伝って貰いましょう。
他のドラゴンの協力も得られれば、我々を山頂まで運んでくれるかもしれません」
転移門がつかえないため、レザラディカの街から徒歩でゲオ山に付いたハンター達は、ゲオ山の麓でその頂上を見上げる。
以前ここにきたことのあるメンバーも、ゲオ山の頂上までは登っていなかった。
その時でさえかなりの体力を消耗したのだから、頂上までとなれば押して知るべし。
「パピィが来てくれるなら、それに越したことはありませんわね」
ちゃっかり自分のツルハシをユウに持たせ、トールは豪奢な金髪をかきあげる。
「パピィ?」
二本分のツルハシを担ぎながら、ユウは首を傾げる。
セルムはそんなユウに頷き、
「少し、待っていて下さい」
懐から親指大の笛を取り出した。
随分と原始的なそれは土笛だろうか?
竜の模様が刻まれている。
「おい、アレはなんだ?」
セルムがその笛を数回吹いた時だった。
ゲオ山の上空に影が落ち、ショウが即座に手榴弾を構える。
カインは剣を構え、その背にサクヤを庇い、サクヤはいつでも精霊を召喚できるように精神を集中させる。
けれどセルムはもちろんのこと、トールもメイもケーナも、臆病なナツキでさえも無防備なままだ。
「相変わらず綺麗な赤ニャね☆」
アヤカがその大きな影を見上げ、目を細める。
影―― 二匹のドラゴンはゆっくりとハンター達の前に降り立った。
「ほぅ‥‥ドラゴンの親子か‥‥」
ユウは珍しそうに二匹を見つめる。
「ビーストマスターにクラスチェンジ?」
ケーナが小首を傾げる。
「いえ、そういうわけではないんですがね。パピィ、元気にしていましたか? 来てもらえて嬉しいですよ」
セルムは久しぶりに会ったパピィの身体を抱きしめるように撫で、パピィはドラゴンとは思えない愛らしい鳴き声でセルムに甘えた声を出す。
「竜笛なんて珍しいな。作れるやつも限られているだろうに」
吟遊詩人の宿命か、珍しい物、歌の題材に出来る物にはケイは興味をそそられる。
「昔、竜族から頂いたんです。‥‥ところで、どなたか竜語を話せる方はいますか?」
「「「えっ?」」」
セルムの言葉に、一同、聞き返す。
「その、実は、パピィとは仲良しなんですが、私たちを頂上へ連れて行ってほしいと伝える術がないんですよね」
分厚い眼鏡を抑え、ほっぺをちょっぴり赤らめながらセルムは唖然としている仲間達に説明する。
以前、パピィと出会った時は竜語を解する青年が一緒だったのだ。
だが今回はいない事をさっくりと忘れていた。
「なんとなく理解は出来るんだけど‥‥会話は、まだ無理」
ずっと過去の記憶をなくし、最近、少しずつ思い出すことの出来ているケーナだが、竜語を操れるほど全てを思い出してはいないようだ。
「わ、わたし‥‥やってみます。お、お師匠様の所で‥‥少し習ったんです‥‥」
ナツキがおどおどしつつもパピィとその親ドラゴンに話しかける。
とても流暢とはいえない会話だったが、なんとか通じたようだ。
パピィと親ドラゴンがその背をハンター達に向ける。
そしてさらに親ドラゴンが鳴くと、もう二匹、ドラゴンが現れた。
これだけいれば、全員乗ることが出来るだろう。
「ゴーレムなんかさっさと片付けて、魔導石GETしちゃおうか♪」
生まれて始めて相棒とドラゴンの背に乗り、サクヤは長い髪を風になびかせた。
●ゴーレム
頂上へは、すぐに着いた。
自分達を運んでくれたドラゴンに皆で礼を言い、ショウは飲みやすい傷薬を風呂敷に包んでドラゴンの足に結んでやる。
「ありがとな? これ、怪我した時に飲むんだぞ?」
ナツキに訳してもらいながらショウは説明し、ドラゴン達は頷きながら自分達の住処へと帰ってゆく。
「さて、魔導石探しを始めたいわけだが、ゴーレムは何処だ?」
ユウは油断無く周囲に気を張り巡らす。
「出てこないでくれるニャら、それに越したことは無いニャよ」
「そうですねぇ。でも‥‥いらしたようです」
愛用の短剣でジャグリングをしつつ、希望的観測を口にするアヤカに、剣を構えたヒカルが冷静に突っ込みを入れる。
その目線には、岩山としか思えなかった巨体が、ゆっくりと起き上がりだしていた。
「大人しく引き下がっては‥‥くれるわきゃないか‥‥」
カインの背に守られながら、サクヤは召喚呪文を唱えだす。
召喚士や魔術師の最大の弱点は、詠唱中の無防備さだろう。
敵の攻撃を気にしながら唱える呪文は、失敗することも多い。
だが、幾度もの戦いを共にしてきたカインが側にいれば、サクヤは安心して詠唱に集中できた。
「出たな。邪魔立てするなら容赦はしない」
「では‥‥参ります‥‥」
「勝てば官軍って言葉、知ってるか? その身でたっぷり味わいな。いくぜっ」
「いっくニャ〜!」
ユウとヒカル、そしてショウとアヤカが囮となり、前衛でゴーレムに攻撃を繰り出す。
ゴーレムはたった一匹でもまともに戦って勝てる相手ではない。
ありとあらゆる剣をその硬い身体は弾き返し、また、多少の攻撃ではビクともしない膨大なHPを誇るのだから。
だからハンター達は綿密な作戦を立てたのだ。
まず、数人でゴーレムの気を引く。
身軽さと素早さでゴーレムの攻撃をかわし切り、術者と錬金術師がゴーレムを弱体化できるように時間を稼ぐ。
錬金術師であるショウも前線に出ているのは、足止め用の爆弾が至近距離で無いと効果を発揮できないからだ。
「天にあまねく極光の帳‥‥光よ、仲間をお守りください!」
「大地に眠る魔導の力よ、その片鱗を貸し与えたまえ‥‥プレセクト!」
ナツキとセルムの呪文詠唱が完了し、ハンター達を光のベールが包み込み、蒼い光がその身を守る布や鎧に吸収されてゆく。
防御力の強化魔法だ。
ゴーレムの破壊力を考えるとその効果は覚束ないが、即死は免れるだろう。
「まって。みんな、今すぐ下がりなさいっ!」
思金神の力でゴーレムの弱点を探っていたトールが、はっとして叫ぶ。
だが、時既に遅し。
「「「!!!!!!」」」
言葉に出来ない破壊音と、大地を揺るがす衝撃波でハンター達はことごとく吹っ飛んだ。
「う‥‥くっ?!」
特に前衛で戦っていた四人のダメージは凄まじい。
身体中の骨が壊れたかの様な傷みが全身を襲った。
「熾火を纏う我が愛しき獣よ、大切な仲間を助けたまえ! 大地に愛されし邪竜よ、我が敵を撃ち滅ぼさん!」
カインに守られていたお陰で衝撃波のダメージが一番軽かったサクヤは、二体同時に精霊を召喚するという離れ業をやってのける。
いままさに倒れ伏す仲間に打ち下ろされようとしていたゴーレムの腕から、サクヤの放った炎の獣が仲間を次々と救い出し、パピィとは違う東洋の龍を思わせる大地の精霊がゴーレムの身体を締め上げ、一時的に束縛する。
「腕が動かないニャ〜」
セルムとナツキの防御魔法に守られていた為に、一番防御力の低いアヤカも何とか意識がある。
「怪我したんだったらこれ飲め。あっという間に直っちまうぜ」
ショウは自分自身も痛む身体に我慢しつつ、腕の動かないアヤカに飲ませてあげる。
甘く、飲みやすく仕上げてあるそれに、アヤカはほっと息をつく。
「精神のないゴーレムに歌は効果無し‥‥だな」
ずっと歌い続けていたケイは、きゅっと下唇を噛む。
以前、極限まで追い詰められた時に歌えたあの古代語の歌は、ケイすらもよく知らない歌で、だからいつでも歌えるわけではない。
「ねえ、これを使ってなんだよ」
ユイが爆弾がいっぱい詰まった鞄の中から、錆色のそれを取り出す。
「これは‥‥?」
「石を劣化させるんだよ。錬金術で使うんだけど‥‥ゴーレムも石で出来ているなら、弱体化できないかな?」
「試してみる価値はありそうだな」
ショウの薬を受け取って、傷をある程度回復できたユウは、ユイからその爆弾を受け取る。
「みんな、あと少ししか持ちそうに無い‥‥すまない」
大地の精霊によりゴーレムを抑えていたサクヤが詫びる。
「いいえ、あなたのおかげで助かりましたわ。‥‥このわたくしを地面に這わせたこと、後悔させて差し上げますわっ!」
前半はサクヤに、後半はにっくきゴーレムに向けてトールは言い放つ。
白衣を脱ぎ捨て、いつの間にかその手には剣が握られていた。
「まさか、須佐之男命に仕えなおしたのかなっ」
メイが瞬時に悟る。
「わたくしの身体は、皆様に預けましたわよっ」
慌てる姉に頷き、そして仲間達に言い切り、トールは束縛の解けたゴーレムに立ち向かう。
「もうもうっ、その力使うと倒れるんだよっ」
といってももう手遅れだけどねっ。
メイは無謀とも思える弟を心配しながら、魔器を操り補佐に当たる。
「これで動けるもんなら動いてみな! デカブツ!」
トール、そして戦線復帰したアヤカとヒカルに翻弄されるゴーレムに、ショウはお手製の爆弾をその足元に叩きつける。
爆ぜた爆弾からは粘々とした液体が溢れ出し、ゴーレムの動きを鈍らせた。
「いまだっ」
ユイから受けとった爆弾を、ここぞとばかりにユウは発動させる。
閃光を撒き散らし、まともにその光を浴びたゴーレムは一瞬怯む。
「頭、良くないのよね? ‥‥大地よ、ゴーレムの足元から退去して!」
ケーナが大地の精霊に願い、ゴーレムの足場を崩した。
ゴーレムは倒れ、だが、次の瞬間再び腕を振り上げた!
「この攻撃は、さっきのっ‥‥!」
凄まじい衝撃波は、けれどハンター達を襲うことは無かった。
「何度も同じ攻撃は受けませんよ?」
地面に手を突き、リフライ―― 地面より瞬時に仲間を浮遊させる呪文を詠唱無しで発動させたセルムは、眼鏡を光らせる。
「終わりニャね? 必殺ローリングソードニャ〜♪」
「獅子紅蓮剣!」
アヤカとヒカルの剣が、ユイの薬で脆くなったゴーレム身体を切り刻む。
ゴーレムはついに消え去るのだった。
●発掘発掘♪
「魔導石〜♪」
元気なメイが魔器でどんどん山掘ってゆく。
掘る場所はケーナが精霊に願い、魔導石の在り処を聞き出せたからとても簡単だった。
「ま、自分の分もあるんだし少しくらいはやっておかないとな」
ケイはツルハシを岩に叩きつける。
「本当に動けなくなってしまうんだな」
須佐之男命の力を使ったせいで倒れたトールを抱きかかえ、ユウは呟く。
「ゴーレムさん‥‥いっぱい掘ってくださいですよ‥‥」
ゴーレムの残骸からミニゴーレムを作り上げたナツキは、やっぱり半べそで採掘を手伝う。
「邪魔者がいなくなったから、ゆっくり探すかね」
ショウもこきこきっと肩を鳴らして探索開始☆
虹色に輝く魔導石の原石を見つけたのは、それから数分後のこと。
数日後。
無事にハンター達の元には加工した魔導石が届けられた。