WonderTalk〜天空の塔3〜アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
霜月零
|
芸能 |
2Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
やや難
|
報酬 |
3.7万円
|
参加人数 |
10人
|
サポート |
2人
|
期間 |
07/06〜07/10
|
●本文
はるか遠く続く青空に、『WonderTalk』のロゴが映し出される。
そしてその青空を突き抜けるように、剣を模した青い塔―― 天空の塔が映し出された。
それは中世ファンタジー世界カラファンでの冒険を描く深夜特撮番組『WonderTalk』のオープニング画面。
物語の中ではモンスターハンターと呼ばれる冒険者達がハンターギルドにて様々な依頼を請け負っていた。
そして、今回調べるのは『天空の塔』
先日ジェルダラ渓谷の側に突如として出現した伝説の天空の塔の探索において、ハンター達は無理やり塔の外へと放出された。
下層、中層の探索を終え、記憶のない召喚士の少女の記憶が戻り始め、そして、謎の声がどんどん強まり、ハンター達が塔の上層へといたる手段を発見した瞬間、
『どうか、逃げて‥‥ドラゴンが‥‥闇の‥‥』
眩い光に包まれて、ハンター達は自らの意思とは無関係に塔の外へと放出されたのだ。
途切れ途切れに聞こえる謎の声の主の為か、はたまた罠が作動したのか。
真相はわからずとも、ハンター達は三度、塔に足を踏み入れるのだった。
☆Wonder Talk出演者募集☆
ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『Wonder Talk〜天空の塔〜』出演者募集です。
剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、天空の塔を調べてください。
☆モンスター情報☆
『深淵の魔獣使い』
おそらく、塔の上層部にいると予想される魔獣使いです。
ドラゴンすらも操るといわれており、その力は圧倒的です。
ありとあらゆる魔獣を警戒するべきでしょう。
『コカトリス』
深遠の魔獣使いの使役獣。
ストーンミストを発動し、敵を石化します。
石化は瞬時ではなく、一番多くミストを浴びた場所から徐々に変化してゆきます。
そのまま放置した場合、完全な石となるでしょう。
また、上記以外のモンスター出現の可能性もあります。
☆地域情報☆
今回の舞台も、レザラディカの西方にある『天空の塔』
レザラディカから天空の塔までは徒歩で移動します。
魔力が乱れ、転移門(瞬間移動装置)が上手く作動しません。
ジェルダラ渓谷の手前に天空の塔は出現した為、渓谷を越える必要はありません。
そして天空の塔の周囲には激しい風が吹き荒れていましたが、前々回の探索により今回も風は吹いていません。
☆選べる職業☆
戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
僧侶 :治癒魔法を得意としています。
魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
召喚士:精霊を召喚し、使役します。
吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。
シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
錬金術師:カラファンに存在する様々なアイテムを調合して薬や爆薬などを作り出します。
なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
今後も職業は順次増えてゆきます。
また、「こういった職業が欲しい!」などのご希望があれば採用の可能性もあります。
☆テンプレート☆
WT参加者は、下記テンプレートを埋めてプレイングを送付してください。
【職業】『職業』の中から一つ選択
【心情】キャラクターとしての気持ちを書いて下さい
【戦闘】どのように戦うか
【台詞】各シーンで言いたい台詞
〜台詞例〜
【挨拶】「三度目か。今度は登りきってみせるぜ」
【戦闘開始】「随分と、卑怯だね!」
【必殺技使用時】「ねえ? 絶望するって、どんな気分? ふふふっ♪」
*台詞例はあくまで例です。なので色々台詞や設定追加推奨です。
【その他】キャラクターの設定や口癖などありましたらどんどんこちらへ明記ください。
●リプレイ本文
●始まりはハンターギルドで
「今回はぁ、メイがトールよりすごいこと教えてあげるってカンジィ」
ハンターギルドの片隅で、美少女にしか見えない弟・トール(トール・エル(fa0406))をくすくすと笑いながらメイ(メイ・エル(fa3076))はからかう。
その姿はトールと同じ巫女服。
魔器使いである彼女にしては珍しい姿だ。
「何故、巫女の格好をしていますの」
そんな姉を心底嫌そうにトールは顔をしかめる。
冒険当初、巫女であるにもかかわらず踊り子をしていたのはこの姉のせいなのだ。
トールは八百万の神に仕え、神力を認められている巫女であるにもかかわらず、この姉に何故か勝てないのだ。
「姉弟そろって巫女だったんだ? それにしても、いいないいな〜、二人してレア物の魔導石を持ってるなんて〜。うぅ、寝込んでなきゃ僕も行ったのに」
虎人族の魔法使い・リンフー(MAKOTO(fa0295))は、仲良しの仲間達を見回して羨ましそうにしましま尻尾を丸める。
つい先日、リンフーは魔導石を掘り起こす依頼が出ていたのを知っていたのだが、なぜか体調を崩して依頼を受けることが出来なかったのだ。
「倒れてた? 大丈夫?」
幼い召喚士・ケーナ(美森翡翠(fa1521))は心配気にリンフーを見上げる。
「ん、平気平気。むしろ以前より調子がいいくらい。ありがとね?」
なでなでとケーナの頭を撫でて、リンフーは気さくに笑う。
「サクヤ。お前も調子が悪いのか?」
体験を軽々と背負ったカイン(ヴォルフェ(fa0612))は浮かない表情の相棒・サクヤ(橘・朔耶(fa0467))を気遣う。
「いや、大丈夫だ。魔獣も魔獣使いも、鬱陶しい事この上ないな」
苦笑しながらサクヤは呟く。
だが、魔獣使いの名を口にしたとき、その琥珀と赤茶色の色違いの双眸がなんともいえない悲しみを帯びたのは気のせいだろうか?
「皆さんにお伝えしたいことがあります」
そしてほぼ全員のハンターが集まったのを見て、黒翼の魔術師・セルム(相沢 セナ(fa2478))が分厚い眼鏡を抑えながら重い口を開いた。
「‥‥王立図書館で調べたところによれば、天空大陸へ渡る『道』は現在固く閉ざされており、開く為には『鍵』が必要なのです。
しかしそれが何なのかまでは‥‥すみません。『塔の管理者』ならば‥‥」
「鍵? ‥‥シーフであけられるような物の類じゃなさそうだな」
吟遊詩人のケイ(氷咲 華唯(fa0142))は愛用のリュートをピンッと爪弾く。
そしてその言葉に、シーフのスー(玖條 響)は方眉を上げ、
「罠の解除には自信があるけれど、魔導関係はちょっとね。面倒くさいな‥‥」
緑のバンダナを締めなおす。
「これを持っておけ」
そういって、漆黒のシーフ・ユウ(蘇芳蒼緋(fa2044))がペンダントに加工した魔導石をスーに投げる。
「っ、これ魔導石じゃないか。なんでアンタからこんなもの‥‥!」
「再会祝いだ、受け取れ」
投げられたそれを受け止め、魔導石であることに付き返そうとするスーに、ユウは微笑んで受け流す。
しばらく音信普通だったが、どうやら二人は過去に何度も仕事をこなした仲らしい。
「魔導石って、ケーナも持ってる?」
二本の短剣を操り、シーフのフィオナ(エルティナ)はケーナに確認を取る。
幼いケーナを守ると決めているものの、塔の中には深淵の魔獣使いがいるという。
魔導石による加護があるなら、それに越したことはない。
「うん。ちゃんと持ってきてる」
頷くケーナの胸元で、水晶と共に魔導石が虹色に輝いた。
「そうですねぇ。塔の上部は、危険そうですからね。万全の準備で赴きましょう」
前回、一歩間違えば即死だったヒカル(ヒカル・マーブル(fa1660))は、もう決して無茶はしないと心に誓いながら魔導石を握り締めた。
●天空の塔
「相変らず高いですわね。生意気ですわ」
大地を貫き、天に聳える天空の塔を見上げ、トールは変な嫉妬心を出す。
「へぇ、これが例の塔なんだねぇん。結構、力を感じるってカンジィ」
そんなトールに苦笑しつつ、メイは塔から感じる魔力に気を引き締める。
「‥‥どうしてだろうな」
ケイは塔を見上げ、ポツリと呟く。
「ん?」
「いや、なんでもない」
小さく呟かれたその言葉に耳の良いリンフーが小首を傾げるが、ケイは軽く首を振って誤魔化す。
(「何でこんなにも、懐かしい気分になるんだか」)
こんな塔にはなんの見覚えもないというのに。
ケイは不思議な気持ちに捕らわれつつ、塔の扉を押し開く。
ひんやりと冷たい空気を帯びる塔の中を、ハンター達は常に周囲を警戒しながら足を進める。
「魔法陣を作動させれば、塔の上部へとたどり着くことが出来るはずですが‥‥」
セルムは分厚い眼鏡を押し上げ、塔の上部を見上げる。
「声、聞こえない」
ケーナが不安げに胸を押さえる。
塔に入るたびに、何度も逃げろと警告し続けた謎の声が、今回に限って一度も聞こえてこないのだ。
「もしも〜し、僕達なら大丈夫だから事情説明ぷり〜ず」
リンフーが謎の声を思い浮かべながら声をかけるが、静まり返った塔の中に答えは返らない。
「塔の真相か‥‥さて、今回で解明されるといいんだがな」
なんともない振りをし続ける相棒に常に気を配りながら、カインは大剣を背負い直す。
塔の罠をセルムが感知し、スーとユウ、そしてフィオナが解除しながら、ハンター達は先へと進んでゆく。
「あらあら、これはこの間の魔法陣起動システムでしょうか?」
ヒカルがそっと壁に手を当て、そのすぐ横に小さな凹みと精霊文字を見つける。
「間違いなさそうですわね。この間は見つけたとたんに外に放り出されてしまいましたけれど、今回は大丈夫なようですわね」
「ってゆーかぁ、押しちゃえってカンジぃ♪」
頷くトールの横から、えいっとメイが手を伸ばして凹みを押す。
次の瞬間、眩い光が塔の中に充満し、ハンター達のいる床に魔法陣を出現させた。
「いくか」
短く呟くユウの言葉が光の中に飲み込まれた。
●深淵の魔獣使い
塔の上層部。
そこに待ち受けていたのはやはり、深淵の魔獣使いだった。
「あらあなた、中々にいいペットをお持ちのようね。わたくしのペットになりません? 可愛がって差し上げてよ」
コカトリスを従えた深淵の魔術師にトールは臆することなく挑発を口にする。
「くくっ、生意気な小童どもよの‥‥ここは人ならざるものの住まう場所。招かれざる客がどうなるか、その死を持って知るが良い‥‥行け、コカトリス!」
竜の文様が刻まれた漆黒の杓丈を魔獣使いは振るい、側に控えるコカトリスがハンターたちに襲い掛かる!
「本人じゃない、身代わりのホムンクルス! でも魔獣使う力あるからっ」
ケーナが記憶の欠片を元に、目の前の魔獣使いの正体を見破る。
「手加減も容赦もしないぞ」
「さすがにここまで来るととんでもないモンが出てくるな。‥‥天と地を繋ぐ時の狭間、魔力眠りし悠久の地、深淵に打ち勝つ芽吹きを仲間達に‥‥」
サクヤ達術士が呪文詠唱に集中できるようにカインはコカトリスの気を引き、ケイは呪文詠唱速度を速めることの出来る士気向上の曲と詩を奏でだす。
(「恐らく、塔の管理者はこの塔のどこかに監禁されている筈」)
セルムは仲間達の武具に即座に耐久度強化魔法・プレセクトをかけてダメージの軽減を図りつつ、空間の歪みを探し出す。
「無理はしません。でも全力を尽くさせていただきます」
緑の皮鎧にセルムの魔法を受けたヒカルはセルムに礼を言い、コカトリスのストーンミストを避けながら間合いを詰める。
「生憎と、容赦はしてあげないよ?」
魔獣使いに使われるコカトリスに、一瞬胸を痛めつつ、サクヤは召喚呪文を唱えだす。
『キシュウウウウエエエエエウウウ!!!』
「「「!!!」」」
コカトリスが叫び、一際大きなストーンミストを吐き散らす。
それほど大きな身体ではない分、そして翼を持つ為に動きは素早い。
ハンター達が避けるより早く、その身を灰色のミストが包み込む。
「くっ、これはっ?! げほっ」
歌い続けていたケイはミストを吸い込み、大きく咳き込む。
「わたくしの後ろに下がりなさい!」
咄嗟にケイをその背に庇い、トールは両腕を広げる。
大直毘神の力を借り、周囲の空間を祓い、負の攻撃を退ける。
「レーザー! レーザー! レーザー! ボムボムボムって、またレーザー!!!」
派手な音を撒き散らし、リンフーは四肢の魔力増幅装置を輝かせながらコカトリスがこれ以上近づかないように息告ぐ間もない連鎖攻撃で撃退を試みる。
「これを食べて。早く!」
ケーナがナルカ大平原で予め採取し、錬金術師に頼んで加工しておいた石化解除の薬草をケイの口に流し込む。
「ん‥‥くっ‥‥」
よりによって肺から石化を初めてしまったケイは、息も絶え絶えにケーナの薬草を嚥下する。
「足がお留守ですよ?」
いつの間にそこまで間合いを詰めていたのだろう?
コカトリスに詰めていたはずのヒカルは、深淵の魔獣使いに剣を突きつけていた。
大きく薙ぎ払われたその剣に、魔獣使いは体勢を崩す。
「カイン?!」
「大丈夫だ。まだ完全に石化はしていない」
固まりだしたカインの腕を見て叫ぶサクヤに、カインは不敵に微笑む。
動かないものの、痛みがないのは救いかもしれない。
これなら、多少の無茶も出来るというものだ。
既に石になった左腕を楯にミストを防ぎ、カインは大剣をコカトリスに振り下ろす。
「無理はするなよ?」
スーを気遣いつつ、ユウはカインとともにコカトリスを攻撃する。
「面倒くさいな‥‥でも、アンタにばかり任せておけないし」
面倒くさいと口癖を呟きつつ、スーはユウを援護する。
邪悪な鳴き声を残して絶命するコカトリスに、ハンター達はほっと息を漏らした。
だが、運命は何処までも残酷。
「コカトリス如きが、わしの真の魔獣じゃと思うておるのか? 片腹痛いわ。‥‥いでよ、ドラゴンゾンビ!」
ぐにゃり。
魔獣使いの背後の空間が歪む。
次の瞬間、ハンター達の前には腐臭を撒き散らすゾンビと化したドラゴンが姿を現した!
(「いま、確かに‥‥!」)
捕らわれているはずの人物を探すことに気を払っていたセルムは、魔獣使いが開いた空間からかすかに零れた聖なる気配にさらに気を研ぎ澄ます。
「アレは、俺が止める!」
死したドラゴンの成れの果てとはいえ、ドラゴンはドラゴン。
(「俺の紋章で、止めてみせるっ!」)
古の竜語を解するスーの腕に刻まれた紋章が鈍く輝く。
「あらあら、大物ですわね? でも、やられたりはいたしません。‥‥獅子、紅蓮剣!」
ヒカルは炎を思わせる苛烈さで、深淵の魔獣使いを切りつける。
ドラゴンよりもなによりも、大元を絶たなければいくらでも召喚されてしまう。
「カラファンの風の王、貴方が名を付けし娘の声が聞こえたならその加護を! カラファンの炎の王、貴方の加護を受けしテラノーファの友の声が届いたならその力を! 世界の均衡を崩そうとする魔の尖兵に炎風の嵐の裁きを!!」
ドラゴンを貶める魔獣使いに深い怒りと、そして聞こえない自分を呼ぶ声に不安を抱きながら、ケーナは風の王と炎の王の力を借り、炎の嵐を生み出し、ドラゴンと魔獣使いを焼き尽くす。
だが深淵の魔獣使いは手ごわかった。
ドラゴンゾンビをもう一体召喚し、それを楯に生き延びたのだ!
「なんて、卑怯な! 自分の召喚獣でしょうに!」
「何とでもいうがいい‥‥こんな魔獣ども、いくらでも呼び出せるのじゃからのう、くくっ」
「‥‥同じものとして、絶対に許せはしない!」
歪な声で嗤う魔獣使いに、サクヤの怒りが頂点に達した。
「アルマ‥‥我が声に応えよっ!」
サクヤの双眸が輝き、6枚羽根の金色の魔獣がその姿を現す。
長い五本の鉤爪は、サクヤの怒りに呼応してすぐさま深淵の魔獣使いを引き裂いた。
「おお、このわしが敗れるとは‥‥」
ケーナの言葉通り、魔獣使いは本体ではなかったのだろう。
切り裂かれたその身体は瞬時に灰となり消え去った。
●エピローグ
「メイの力で癒されてぇん!」
うきうきと軽い口調でメイが舞を舞い、カインの石化した腕を癒してゆく。
「わたしは‥‥」
そんなカインに、気まずそうにサクヤは目を伏せる。
「だから、どうした?」
けれどカインはそんなサクヤに態度を変えない。
「お前が何であろうと、誰であろうと、関係ない」
「カイン‥‥」
サクヤの目に涙が浮かんだ。
「見つけた、ここに!」
そしてずっと探し続けていた空間の歪みを魔力によって正したセルムが叫ぶ。
「ママ‥‥?!」
ケーナが瞳を見開く。
セルムが解き放った空間は天空の塔の一部。
氷の棺を思わせるその中で、ケーナに良く似た女性が眠っていた。
‥‥どうか、封印を解き放ってください‥‥私を戒めるこの棺を、どうか‥‥
途切れ途切れに語られる、聞き取りづらいその言葉に、ハンター達は必死で耳を傾けるのだった。