ぷにっと海賊団☆青空!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 3.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/14〜07/18

●本文

 『ぷにっと海賊団☆』

 それは、海といわず空といわず、悪の海賊団と戦うぷにっとな少年少女たちが主人公の特撮番組☆
 TVの中では海賊服に身を包み、思い思いの必殺技で悪の海賊団をやっつける!
 ぷにっと海賊団の力によって吹っ飛ばされた悪の海賊団は、青空にきらりと吸い込まれてゆく。
「正義はぷにっと☆」
 ぷにっと海賊団勝利のポーズ、決めっ☆


☆次回予告☆
「青空が全部悪い」
 悪の海賊団は抜けるような青空を鬱そうとした髪の間から見つめる。
「つい最近までは、じめじめしとしと、本当に過ごしやすかったのに‥‥どうして、太陽なんて出てくるのか」
 悪の海賊団のその青年は、夏が嫌いだった。
 身体中が汗ばむし、子供達は夏休みで煩いし、それに何よりボーナスカットだったし。
 いや、ボーナスは夏とは関係ないのかもしれない。
 でもとにかく彼は暑苦しい太陽を憎んだ。
「ああ、じめじめしとしとが恋しい。うっそうとした暗い世界が俺の世界。
 ビバ! 雨!!!」
 なにやら熱射病にやられたのか、彼はふははははははと怪人らしい叫び声を上げて、マントを羽織って町に繰り出すのだった。
 青空から曇り空に変える為に。


☆『ぷにっと海賊団』出演者大募集☆
 近日放映予定のぷにっと海賊団『青空!』の出演者を大募集!
 毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
 『青空!』では、雨雲を呼び寄せる(?)悪の海賊団と戦っていただきます。
 子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、そして悪役をやりたい大人の貴方も大募集です。

●今回の参加者

 fa0074 大海 結(14歳・♂・兎)
 fa0115 縞りす(12歳・♀・リス)
 fa0295 MAKOTO(17歳・♀・虎)
 fa1463 姫乃 唯(15歳・♀・小鳥)
 fa1521 美森翡翠(11歳・♀・ハムスター)
 fa2132 あずさ&お兄さん(14歳・♂・ハムスター)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa3579 宝野鈴生(20歳・♀・蛇)

●リプレイ本文

●ぴーかんお天気☆ ‥‥でも遠くにあるアレはなに?
 梅雨が過ぎ去り、さんさんと太陽が輝く今日この頃。
 ぷにっと海賊団海賊船『ぷにっとぷにっと☆』ではユイ(姫乃 唯(fa1463))がポニーテールを揺らしながらご機嫌にお布団を干していた。
「今までは雨が多くてお洗濯も大変でしたが、これからの季節はばりっと渇いて気持ちいいです〜♪」
 るんるんるん。
 ついつい鼻歌まで出ちゃう。
「‥‥あれ?」
 高い空の果てに、ぽつんとなにやら黒い物が浮かんでいるようないないような。
 ぐんぐん広がり迫ってくるそれは洗濯物の大敵、雨雲!
「あらら? さっきまであんなに良いお天気でしたのに‥‥洗濯物が濡れてしまうと大変です!」
 慌てて干したばかりの洗濯物を取り込むが、間に合わない。
「今日は一日快晴で、雨なんか降らないってお天気おねーさんが言っていたでぃすよ?!」
 夏にぴったりの冷や麦を茹で、汗だくだったリスリス(縞りす(fa0115))が大慌てて取り込みを手伝う。
 けれど、こけっ☆
「あうっ?!」
 お布団持ったままころげるのはドジっ子なリスリスにとってはいつものこと。
「大丈夫ですの〜?」
 お布団にむぎゅっと押しつぶされてもがいているリスリスを、ぷにっと見習いのフルート(美森翡翠(fa1521))が救急箱を持って覗き込む。
「えうえうっ、大丈夫でぃすよ。それよりもお布団が〜っ」
 リスリスがころけているうちに辺りは一気に暗くなり、雨が嫌ってほど降り出していた。
「びしょ濡れは免れたけど、ふっくら感は無くなっちゃったんだよ」
 雨音を聞いて慌てて手伝いに来たムスビ(大海 結(fa0074))も、頑張って取り込んだお布団を抱きしめてはふっと溜息をつく。
 ムスビのふんわりと柔らかな髪も、心なしか元気がなくなっている気がする。
「なんだか悪の海賊団のにおいがするんだよ」
「そうね、怪しいわ」
 キャプテン・アザーことアズサ(あずさ&お兄さん(fa2132))は、鼻をくんくんとさせ、マッチョでオカマで喋るオウムのぬいぐるみ・ネイトがうんうんと頷く。
 そしてこの日から、毎日毎日雨が降り続くようになったのだった。


●悪の海賊団! 呼べ、悪のパワーで雨雲を?!
「ウフフ‥‥ウフフッ、こ、困っているようね‥‥い、いい気味、だわ‥‥」
 悪の海賊団海賊船の一室で、薄く、華奢なイメージのローブを頭から纏い、分厚い眼鏡をかけたアナマリア(宝野鈴生(fa3579))は陰湿な笑いを漏らす。
 見つめる黒鏡の中では、長雨に右往左往する人々が映し出されていた。
「ふははははっ、キミ、いー感じだよ。僕も思いっきり暴れて来るんだよ♪」
 バズーカを担ぎ、サラサラの金髪をかきあげながらトリィ(MAKOTO(fa0295))はハイテンション。
 アナマリア特別製の雨雲呼び寄せ機『雨雲ほいほいβ』に吊るされた逆さてるてるボウズのふるふるボウズをぴんっと中指で弾く。
「は‥‥晴れなんて、暑いし、日焼けするし、あ、汗は流れるし、海は青いし、バカップルばっかりだし、笑顔は弾けるし‥‥楽しそうだし‥‥私にはいないし‥‥」
 じめじめじめ。
 外の雨より数倍じめっと感を漂わせたアナマリアの手には、愛しのあの方の写真が握られていたりする。
 太陽を憎み、雨をこよなく愛する彼の為に、そして雨なら室内で一緒にいられる時間もちょみっと増えたりするから、雨はいいこといっぱい。
「‥‥彼氏、‥‥愛しのあの人‥‥晴れててもいい事なんて、ないんです」
「いっつも楽しみにしてた遠足は中止、うっかり出しっぱなしな洗濯ものはびしょびしょ‥‥みんな同じ目に遭わせてあげるんだから!」
 ぶつぶつと誰に聞かせるでもなく呟くアナマリアに、うんうんと大きく頷いて実は究極に雨女だったブルー・レイン(角倉・雨神名(fa2640))は拳をきゅっと握り締める。
 でもうっかり出しっぱなしの洗濯物が雨に濡れたのは悪の海賊団の仕業な気がするのは気のせい?
「僕、暴れてくるんだよ。もっともっと雨いっぱいにしてやるんだよっ」
「お供するんだよ」
 バズーカを構えなおし、髑髏マークの漆黒のバイクにまたがるトリィのリアシートに、ちょこんとブルー・レインが乗る。
「い、行ってらっしゃい‥‥あ、雨雲‥‥い、いっぱい、呼んできてね‥‥ウフフっ」
 走り出す二人を見送って、アナマリアは愛しのあの方のところにいそいそと席を立つ。
 

●ぷにっと海賊団☆vs悪の海賊団☆
「ご飯‥‥今日はいいですの‥‥湿気でだるいですの‥‥病気じゃないから治せませんですの‥‥」
 ぐったり。
 リスリスが作った見た目も栄養も満点の料理をみつつ、ピンクのナース服のフルートは呟く。
 美味しい香りが鼻をくすぐっても、気持ち的には食べたくても、身体がだるくて受け付けてくれないのだ。
 怪我や病気なら、いつも持ち歩いてる救急箱とフルートの能力で治しようもあるのだが、じめじめしとしとからくる身体のだるさはちょっと無理。
「これではお洗濯物が渇かなくなってしまうです〜」
 一向に晴れる気配のない空を見上げ、ユイも溜息。
 その瞬間、船内に警報が鳴り響いた。
「悪の海賊団だよっ」
「バズーカ持ってるわね」
 スクリーンに映し出された映像を見て、アズサとネイトが叫ぶ。
 そこには、ふははははと高笑いしながら雨雲発生バズーカを打ちまくるトリィの姿と、なぜか頭上にちっこい雨雲背負って鞭を振るうブルー・レインの姿が。
「やっぱり、悪の海賊団だったんだ! 僕、一生懸命練習してやっと野球の試合に出させてもらえるようになったんだよ。
 ここずっと雨で練習できなくて、ずっごく悲しかったんだから!」
「リスリスのお料理が食べれなくなるぐらい酷い雨なんて、許せないでぃす! 悪の海賊団、覚悟するでぃす!」
 おっとり&ほんわかしたムスビとリスリスが珍しく怒りに燃える。
「お天気を‥‥返してもらうんですの‥‥ぷにっと海賊団、出撃ですの〜」
 ちょみっとよろめきそうになりながら、フルートも救急箱を抱きしめる。
 ぷにっと海賊団、出動だっ☆


「ふははははははっ、たーまやー☆」
 ちゅっどーんっ!
 思いっきり豪快にバズーカをぶっ放し、トリィは叫ぶ。
 空に向かって放たれたそれは、雨空にさらに雨雲を作り出す。
「これだけ分厚い雨雲なら、そっとやそっとじゃ晴れないんだよ。もう二度と、日に焼けたりしないんだ!」
 雨に打たれて喜ぶトリィの豊満な胸元には、去年の日焼けあとだろうか?
 薄っすらとまだらにあとが残っている。
 日焼けをとっても目の敵にしているあたり、去年何かあったに違いない。
 鞭を振るいながら頭上の雨雲と仲良しなブルー・レインと共に雨雲をどんどん作りだしているときだった。

「そこまでだよ、悪の海賊団!」

 ざんっ!
 ムスビ、リスリス、ユイ、フルート、そしてアズサとオウムのネイトが海賊服に身を包み、悪の海賊団の前に立ち塞がる!
「雨が降るのは大切なことだけど、晴れと雨の両方があるからバランスが良いんだから。
 雨ばっかりだと農作物が取れなくなっちゃうんだよ。ご飯食べれないんだよ。悪の海賊団だってご飯は食べるでしょ?」
「ご飯やお菓子は皆のエネルギーなんですの。その為にはお日様の恵みが必要なんですの!」
 ムスビとフルートの説得に、けれどトリィはふんと鼻を鳴らす。
「生憎、ナイスバディには困ってないんだ。それにご飯は輸入でも何とでもなる! 僕は太陽を憎むんだーっ!」
 ちゅどーんっ☆
 ぷにっと達に向かってバズーカが打ち放たれる。
「うわわっ、身体中がじめじめなんだよっ」
「きゃーっ」
 バズーカを浴びたぷにっと達は、ただでさえじめじめ雨で濡れていた身体がさらにしっとりじめじめに!
「ふふ、レイン特製花火爆弾で、目くらましのどっかーん☆ だよっ!」
 レインもいそいそとお手製の花火に着火!
「‥‥‥?」
 慌てて身を伏せたぷにっと達は、けれど何も起こらないことに顔を上げる。
「あーん、湿って火がつかないよぉ〜!」
 がくっ☆
 トリィもぷにっとも、そして黒鏡で様子を見ていたアナマリアもこけた。
「今度はこちらから攻撃ですっ、悪の海賊団、許さないのですっ!」
 ユイがぷにっとステッキを構え、くるっと回転☆
 瞬間、あふれ出すシャボン玉イリュージョン!
 虹色に輝くシャボン玉があたりいっぱいに溢れ出し、悪の海賊団を包み込む☆
「ちょっとちょっと、これなんなのかな?! 綺麗だけどくらくらするんだよっ」
「あうあうっ、鞭が上手くふれないんだよ〜」
 程よく混乱している悪の海賊団から距離を取りつつ、アズサはぷにっとフックを手近なオブジェに引っ掛ける。
「ぷにっとフックは戦闘向きじゃない。でも、これならどうかなっ!」
 くるくるくる、えいっ!
 オブジェを引っこ抜き、ハンマー投げの勢いで雨空に投げつける☆
 その凄まじい勢いでほんの少し分厚い雲に切れ目が生じ、眩しい太陽が零れだした!
「ナイスアイディアよ♪」
 オウムのネイトがご機嫌にくちばしを鳴らす。
「うわああっ、太陽がっ、日焼けがっ」
 トリィはイリュージョンで目くらましをされつつも、大っ嫌いな太陽には素早く反応!
 辺り構わずバズーカをぶっ放しだした!
「あうあうっ、私に当ててどうするのかなっ」
 ちゅどーんっ☆
 すぐ側にいたレインは避けきれずに盛大な爆発音と共に身体中ぐっしょり。
 ついでになぜか大当たりで髪がアフロに!
「さっさと悪の海賊団を懲らしめて、美味しくご飯を食べるでぃす!」
「夏休み遊びに行く計画だっていっぱいあるんだからっ」
「ぷにっとトラップ、発動ですの〜」
 リスリスがぷにっとおたまを、ムスビがぷにっとバットを構え、フルートは包帯で悪の海賊団をぐるぐる巻きに!
「「「いっけえっ☆」」」
 かっきーんっ☆
 ムスビのバットが大きく振られ、レインをお空の彼方へふっとばし、リスリスのおたまがバズーカ攻撃を討ち払い、そしてアズサとネイトは、
「ネイト、準備はいいかな?」
「いつでもOK!」
「「ぷにっとバードアタック!」」
 ぴかーんっ☆
 太陽を背に、巨大化したネイトがトリィに突撃☆
「眩しいっ、何も見えないんだよっ」
 ちゅどーんっ☆
 逆光で避けることができず、トリィもお空の彼方に吹っ飛んでゆく。
「うそっ、レインの雨女パワーが通じなくなっちゃうなんて! あーれーっ」
「雲を突き抜け星になる〜?! や〜ら〜〜れ〜たーーー!」
 断末魔の叫びを上げて、吹っ飛んでゆく悪の海賊団。
 くるっ。
 カメラ目線で振り返るぷにっと達。

「「「「「正義はぷにっと!」」」」」

 勝利のポーズ、きめっ☆
 こうして、今日も世界の平和と太陽は守られたのだった。 
  

●お・ま・け☆
「ど、どうして‥‥ふるふる坊主が壊れた‥‥?」
 ぷにっと海賊団により吹っ飛ばされたトリィとレインに巻き込まれ、雨雲も綺麗さっぱり消えうせた空を見て、アナマリアは唇をかむ。
 そして側にいた愛しのあの人の機嫌が一気に下落!
「あ、あの‥‥え、えと‥‥」
 しどろもどろにご機嫌を取ろうとするアナマリアを、けれど愛しのあの方はぷいっとそっぽを向いて部屋を出て行ってしまった。
「た、太陽の、ばかーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
 アナマリアの叫びが晴れ渡った空に響くのだった。