WonderTalk〜封印1〜アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.7万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
07/20〜07/24
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●本文
はるか遠く続く青空に、『WonderTalk』のロゴが映し出される。
それは中世ファンタジー世界カラファンでの冒険を描く深夜特撮番組『WonderTalk』のオープニング画面だ。
物語の中ではモンスターハンターと呼ばれる冒険者達がハンターギルドにて様々な依頼を請け負っている。
「封印を解くには、どうしたら」
天空の塔の上層部。
深遠の魔獣使いと呼ばれし者を撃退することに成功したハンター達は、また新たな難問に悩まされていた。
幼い召喚士を娘と呼び、ハンター達に逃げろと警告していた人物。
その人物は、深遠の魔獣使いとはべつの何者かに封印されていたのだ―― 氷の棺によって。
柱のように氷の棺に納められた彼女の言葉は声ではなく思念によるもの。
『どうか、封印を解き放ってください‥‥私を戒めるこの棺を、どうか‥‥』
途切れ途切れに語られるその言葉は聞き取りづらく、けれど何とか聞き出せた情報は三つ。
一つ、封印は四つの石によって成り立っている。
一つ、封印は、石を二つ壊せば解除できる。
一つ、封印の石は、それぞれ別々の場所に収められており、魔獣使いによって守られている。
「なかなか面白い事態よねぇん? ここから一番遠いのは聖なる乙女の洞窟よん」
あふう。
ハンター達から前回の調査結果を聞いたハンターギルドの受付嬢は、今日も眠たげな欠伸を漏らす。
「‥‥遠い場所より、近場を教えてもらいたいものですが?」
つ。
分厚い眼鏡を指で押さえ、冷静に突っ込みを入れるハンター。
「あとはぁ、精霊に縁の場所だとぉ、時の眠る遺跡なんかもそうよねぇん。
むかーし、地下迷宮があったとかなかったとか噂だけど?」
「‥‥封印が、精霊に縁の地にあると、話しましたか?」
まだ、そのことについては報告していないはずなのだが。
「言ったんじゃない? とにかく天空の塔も大陸も、伝説の出来事なのよん。正確な文献って言うのは難しいっぽく?
ま、好きなほうを調べてきてよ。ね?」
例によって例のごとく、眠たげな受付嬢はさくっとハンターの突込みを無視して話を進める。
ハンターはもう、毎度のこととはいえ、かなりお疲れモードになりながら封印について調べ始めるのだった。
☆Wonder Talk出演者募集☆
ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『Wonder Talk〜封印1〜』出演者募集です。
剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、封印について調べてください。
☆モンスター情報☆
『雪の精霊』
聖なる乙女の洞窟に住むといわれる雪の精霊たちです。
人嫌いで、主に水系(氷系)の魔法を駆使して襲ってきます。
知能は高く、会話も可能です。
『ゾンビ』
迷宮には必ずといっていいほどいるお約束なモンスター。
脅威の体力と攻撃力を誇りますが、動きは鈍く、また、知能も低いです。
『スケルトン』
ゾンビをさらに強力にしたモンスターで、人型の骨の姿をしています。
知能はゾンビよりも高く、また、好戦的です。
☆地域情報☆
今回の舞台は、二箇所です。
一つは、レザラディカの北西に位置する『聖なる乙女の洞窟』
常に吹雪が吹き荒れ、生きて帰ってきたものはいないといわれる極寒の地です。
もう一つは、『時の眠る遺跡』
こちらはレザラディカの南に位置し、その地下に迷宮が眠るという噂があるようですが、真実は定かではありません。
また、以前のハンター達の活躍により、魔導石による『転移門(瞬間移動装置)』が作動するようになりました。
その為、現地へは転移門を所要して移動することが可能です。
☆選べる職業☆
戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
僧侶 :治癒魔法を得意としています。
魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
召喚士:精霊を召喚し、使役します。
吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。
シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
錬金術師:カラファンに存在する様々なアイテムを調合して薬や爆薬などを作り出します。
なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
今後も職業は順次増えてゆきます。
また、「こういった職業が欲しい!」などのご希望があれば採用の可能性もあります。
☆テンプレート☆
WT参加者は、下記テンプレートを埋めてプレイングを送付してください。
【ルート】『聖なる乙女の洞窟』か、『時の眠る遺跡』どちらか一つ選んでください。
多数決で、多いほうに全員赴いていただきます。(別行動不可)
【職業】『職業』の中から一つ選択
【心情】キャラクターとしての気持ちを書いて下さい
【戦闘】どのように戦うか
【台詞】各シーンで言いたい台詞
〜台詞例〜
【挨拶】「君と冒険に出るのは、もう、何度目だろうね」
【戦闘開始】「誰に喧嘩を売ってるんだい? いいさ、かかっておいでよ!」
【必殺技使用時】「夢を、見せてあげる。とびっきりの悪夢をね。ふふっ♪」
【封印解除時】「この方法が駄目なら、もう、打つ手がないわ!」
*台詞例はあくまで例です。なので色々台詞や設定追加推奨です。
【その他】キャラクターの設定や口癖などありましたらどんどんこちらへ明記ください。
●リプレイ本文
●集まるハンターたち
ハンターギルドは、今日も様々な冒険者で賑わっている。
ツインテールの美女に黒翼の魔術師、幼い召喚士に吟遊詩人。
双子のシーフと巨大な刀を背負った戦士に色違いの双眸をした召喚士。
おっとりとした戦士と髪の毛の凍った魔法使い。
ぱっと見ただけでも魅力に溢れる面々が揃っている。
‥‥ん?
髪の毛が凍った魔法使い?
「‥‥うぅ、もうどんな寒さもへっちゃらです‥‥」
髪の毛だけでなく、服も所々凍った魔法使いのナツキ(夏姫・シュトラウス(fa0761))は魔導石を握り締めながら涙ぐむ。
「また師匠にやられたんですの? 一度会ってみたい師匠だわ」
何度かナツキと依頼を共にしたことのある巫女のトール(トール・エル(fa0406))は、ウェーブのツインテールをなびかせて呆れ顔。
ナツキの師匠は気弱な彼女に無理難題を押し付け、その度に断るナツキに攻撃呪文をお見舞いするというゴージャスなお方なのだ。
「寒いの、苦手? でも、ママ助けるの手伝って、お願い」
失っていた記憶が徐々に戻り、天空の塔に母親が封印されているケーナ(美森翡翠(fa1521))は、ナツキを心配そうに見上げながらもお願いする。
今回赴くことになった聖なる乙女の洞窟には、ケーナの母親の封印があるのだ。
封印は全部で四つあり、その内の二つを壊せば母親の封印は解けるはず。
「急がば回れともいうし、遠くからでもいいか」
不安げなケーナの頭にポンと手を置き、吟遊詩人のケイ(氷咲 華唯(fa0142))は「極寒の地の雪の精霊だなんて、歌の題材にももってこいだし」と付け加える。
「なるべく精霊は傷つけたくないんだよな‥‥」
雪の精霊というケイの言葉に、サクヤ(橘・朔耶(fa0467))の表情が少し曇る。
「なるようになるさ」
長年の相棒であるサクヤが召喚士として、一人の人として精霊をどれほど大切に思っているか良く知っているカイン(ヴォルフェ(fa0612))は、サクヤを思い、わざと軽い口調で呟く。
「ねえ? 今回の依頼って、あなたの母親に関係あるの?」
双子のシーフの片割れ・デリーラ(稲川 華織(fa3269))は狐尻尾を揺らしてケーナに尋ねる。
「あなた方は『野狐の民』ですか? 最近は南方大陸からの方を良く見かけますね」
学者でもある魔術師のセルム(相沢 セナ(fa2478))は分厚いメガネの奥の瞳を興味深げに細める。
「野狐の民さま、ですか? 南方大陸といいますと、猫人族の友人と同じ出身地ですね。幼いのに大陸を渡ってのハンター業、偉いですね」
おっとりとした物腰からは想像もつかない凄腕の剣士であるヒカル(ヒカル・マーブル(fa1660))は、双子の揺れる狐尻尾に友人の猫尻尾を思い浮かべる。
「シャミラよ。よろしくね。でも見た目は子供でもちゃんとした大人なのよ」
「デリーラよ。今回はよろしく。子供じゃないわ、立派なレディよ。そこんとこヨロシク」
デリーラと同じ顔で、色違いのオレンジの薔薇を髪に挿したシャミラ(稲川 茨織(fa3268))は愛らしい口を尖らし、デリーラも示し合わせたように同じ顔をする。
「あらあら、ごめんなさい。美味しいクッキーで許してもらえると嬉しいです」
ヒカルは蜂蜜入りのクッキーを荷物から取り出して二人に差し出す。
甘い香りがほわわんとあたりに広がって、にこにこと微笑むヒカルに二人はほっぺたを赤らめて機嫌を直す。
「準備は万端ですわね? さぁ、行きますわよ! ほーっほっほっほっほっほ!」
ヒカルからちゃっかり自分の分のクッキーも受け取って、トールは相変わらず高飛車に笑うのだった。
●聖なる乙女の洞窟
そこは、極寒の地。
吹き荒れる吹雪は激しく、ハンター達の行く手を遮る。
「寒い‥‥」
「うん‥‥」
シーフらしく半袖とハーフパンツという軽装姿の双子は、常春のレザラディカとは余りにも違うその気候に肩を寄せ合い青ざめる。
「これ着ときなよ」
そんな二人に、予め防寒対策をしていたケイは予備のマントを差し出す。
心配性の幼馴染とよくいることが多いから、今回は一緒じゃないのについつい余分に装備を持ってきていたのだ。
小柄な双子はファーのついたそのコートを二人で一緒に羽織り、ケイに礼を言う。
「‥‥大丈夫か?」
そしてカインは相棒に自分のマントを羽織らせる。
獣人族であるカインはある程度の寒さにはその体毛で耐えれるのだが、サクヤは人間。
声すらも凍りそうなこの地で無理はさせられない。
「すまないな」
寒さに震える唇を動かし、サクヤもマントを羽織る。
「鬱陶しい吹雪ですわね。視界がわるいったらありませんわ」
寒さと視界の悪さに悪態をつきながら、トールは金の髪をかきあげる。
「この、眼鏡がある限り視界が遮られる心配はありませんので大丈夫です」
そんなトールに、セルムは吹雪で真っ白になった分厚いメガネを指で押さえる。
スノゥヴェールを唱え、みんなの寒さを軽減してくれているセルムだが、いや、それ、見えてるの???
みんなの無言の突込みが吹雪の中を突き抜けた。
●雪の精霊
吹雪を方位磁石を頼りに乗り越え、ハンター達はなんとか目的の洞窟へとたどり着いた。
「『遥か昔、純白の翼を持ちしもの‥‥天よりかの地へ舞い降りたる。傷つきし翼、其を癒したるは精霊姫なり』‥‥伝承ですよ」
中も外も雪で覆われたその洞窟で、セルムは伝説を口にする。
王宮図書館で調べた天空の塔及び天空大陸にまつわるものだった。
「確かに氷、でも精霊の力一切感じなかった。ここには、精霊の力が満ちてる」
ケーナが母親を封じていた氷の棺を辛い気持ちで思い起こしつつ、周囲に満ちた精霊達の気配に首を傾げる。
(「封印を解く事が良い結果だけを出すとは思えないが‥‥」)
母親を封じられているケーナの前では間違っても言えないが、カインは封印を解くことへの不信感を募らせる。
「雪女の好みのものってないですの? やっぱり色男なのかしら」
洞窟の奥に進むにつれて増してくる冷気を振り払うように、トールは軽口をいう。
「ゆ、雪の精霊は、花が好きらしいです‥‥」
いつ雪の精霊が襲ってくるかとビクビクしながら、ナツキは黒いローブのポケットから、お師匠様が凍らせた小さな花を取り出す。
常に持ち歩いている魔導書はお師匠様からの贈り物で、その本に精霊達のこともある程度載っていたのだ。
「話が通じるようならそれに越したことはないんだが‥‥そう簡単にいきそうもないな」
一瞬にして切り裂かれた頬を拭い、ケイは前方を見据える。
そこには、雪をそのまま人化させたかのような真っ白い精霊が佇んでいた。
「お願い通して! ママを閉じ込める封印解くのっ」
ケーナが雪の精霊に駆け寄ろうとし、ケイが咄嗟にその腕を引いて抱きとめる。
今まさにケーナが居た地面に氷の刃が突き刺さった。
「!」
「大人しく話を聞き入れてくれそうにはないようだな」
「せっかく、贈り物を用意しましたのに‥‥天にあまねく極光の帳、フローディア!」
カインはサクヤを背に庇いながら大刀を構え、ナツキは魔導石により強化された七色に輝く光のカーテンを張り巡らし、敵の攻撃を緩和する。
雪の精霊の銀色の瞳は全てを拒絶し、そしてどこもみてはいないようだった。
『消えて‥‥』
短く呟かれた言葉と共に、氷の刃が次々とハンターたちに襲い掛かる!
「貴方達の望みは何? どうか、何も判り合えていない俺達を恐れたり拒んだりしないで‥‥」
言葉が通じるのに、そして大切に思う精霊を傷つけたくなくて、サクヤは必死に説得を試みる。
だが、サクヤの思いは雪の精霊の凍えさせられた心には届かない。
『侵入者‥‥破壊』
白すぎる腕を上げ、雪の精霊は呪文詠唱を開始する。
「恨みもないけど‥‥こうなったらやるしかないか。行くよシャミラ」
「仕方ないわ。デリーラ、気をつけて」
デリーラとシャミラはお互いに頷き、マントを脱ぎ捨てその身軽さで一気に雪の精霊に間合いを詰める。
呪文は、完成させしなければただの呟き。
双子のナイフが空を煌き、雪の精霊が呪文を完成させるより早くその身体を、喉を切り裂いた。
だが。
「二人とも、下がるんだっ!」
ケーナを腕に抱きかかえたまま、ケイが叫ぶ。
『‥‥‥』
喉を裂かれたというのに、雪の精霊の呪文は止まらなかった。
そして目の前に居た双子を瞬時に氷の彫像へと変えたのだ。
「それ以上は、させませんっ」
二人に手を伸ばした雪の精霊めがけ、ヒカルは剣を振るう。
双子を破壊するかのような雪の精霊の腕は切り落ち、雪の結晶が血の様にはらはらと舞い落ちる。
「おかしい。精霊だって傷みを感じるはずなのに‥‥熾火を纏う我が愛しき獣よ、大切な仲間を助けたまえ!」
自分の腕が切り落とされたというのに表情一つ変えず、なおもハンターたちに攻撃を繰り出す雪の精霊に、サクヤは炎の精霊を召喚しながら異変を感じ取る。
「深淵の魔獣使いの仕業か?」
召喚魔法を唱え、無防備状態のサクヤを守りながらカインは雪の精霊だけでなく周囲に異変はないかと気を張り巡らす。
「カラファンの風の王、貴方が名を付けし娘の声が聞こえたならその加護を! カラファンの水の王、貴方の友の娘の声を聞き給え。世界の均衡を崩そうとする魔の尖兵に氷風の嵐の裁きを!」
ケイに守られたケーナが召喚魔法を完成させ、吹雪がケーナの願いに答えて敵に襲い掛かる。
だが、氷の嵐が攻撃したのは雪の精霊ではなく、その後ろの壁だった。
ぼろりと崩れたその壁に、ヘビがお互いを食い殺しながら蠢く呪刻印が浮かび上がった。
「それはっ‥‥みなさん、それは深淵の魔獣使いの刻印です! 雪の精霊は操られています!」
セルムが叫び、イレイズを唱えて呪刻印からの魔力を吸収し、魔法威力を半減させる。
『あ‥‥ぐっ‥‥!』
そして今まで一切の表情という物を感じさせなかった雪の精霊が喉を押さえ、初めてその表情を苦痛に歪ませた。
「精霊にも効くんだろうか? いや、効いてくれ」
ケイがリュートを取り出し、苦しげに泣く雪の精霊の為に癒しの呪歌を歌いだす。
「わたくしの舞台が始まりますわよ。その凍えた瞳に焼き付けなさいな」
トールが本領発揮といわんばかりに輝かしくも軽快なステップで雪の精霊に施された呪刻印の魔力を打ち消すべく、神楽舞を舞い踊る。
「では‥‥破壊して差し上げます」
ヒカルが雪の精霊を避け、背後の呪刻印に深々と剣を突き刺す。
ピシリと音を立てて呪刻印は砕け散り、そうして雪の精霊は呪縛から開放されるのだった。
●エピローグ
「温かい飲み物が欲しいですね」
雪の精霊が正気に戻ったことにより、氷の解けたデリーラとシャミラを毛布で包んであげながら、セルムはポツリと呟く。
寒さに震える二人の愛らしい唇は真っ青で痛々しい。
「あらあら、それならご用意します」
ヒカルがすぐさまいつも持ち歩いているティーセットを荷物から取り出し、サクヤに頼まれた火の精霊がお湯を作り出す。
温かい飲み物で、みなの身体も心も温まる。
『娘、この男を知っておるか』
ケイの不思議な声の混ざった呪歌と、トールの舞いにより傷の癒えた雪の精霊は、言葉と共にケーナにイメージを送り込む。
「‥‥パパ」
ズキズキと痛み出す頭を抑え、ケーナはその人物を口にする。
『ふむ。通るがいい』
その答えに雪の精霊は封印への道を譲る。
そしてふと、ナツキに目を留めた。
「な、なんでしょう‥‥?」
銀色の瞳に見つめられ、怯えるナツキは、けれど雪の精霊の次の言葉に息を呑んだ。
『魔獣の匂い』
「!」
けれど精霊はそれ以上問おうとはせず、ナツキも口をつぐむ。
「雪の精霊、パパの事知ってるの?」
『風の娘の夫となったあの召喚士が、大陸でどうなったのかは我等も知らない』
「そう‥‥」
「そのうち、見つかるといいな?」
肩を落とすケーナの頭を、サクヤはそっと撫でる。
全ての精霊は大切な存在で、仲間であり精霊の娘たるケーナもまた、大切な存在だった。
「ふ、封印は、この方法で解けそうです」
ナツキが魔導書を開き、何もない空間に手をかざす。
「手伝いましょう」
高い魔力を秘めるセルムがナツキの魔力にシンクロさせ、封印を解く。
氷が砕けるような音が、どこか遠くで響いた。