ぷにっと海賊団☆夏休みアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3.6万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
3人
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期間 |
07/28〜08/01
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●本文
『ぷにっと海賊団☆』
ぷにっと海賊団とは、悪の海賊団と戦う獣耳&尻尾つきでぷにっとな少年少女たちの物語☆
TV画面の中ではぷにっとな少年少女が今日も元気に走り回っていた。
でも良く見ると、いつもより3割り増しぐらい元気いっぱい?
それもそのはず、待ちに待った念願の夏休みがはじまったのだ!
「夏休みー!」
「遊ぶぞーーーーーーーーー☆」
おーっ! と掛け声も元気に、水着に着替えて、海賊船から海に飛び込むぷにっと達。
水着や浮き輪も海賊服をアレンジしたお洒落仕様なのはきっとデフォ。
宿題も勉強もみーんなわすれて、楽しく遊びまくれ☆
「なにか、わすれていませんか?」
薄暗い部屋で、遊びまくるぷにっと海賊団の様子を魔法の鏡でみていた悪の海賊団の一人がポツリと呟く。
「なんですの? なにかありました?」
美しい黒髪の女性が、小首を傾げる。
「‥‥私達の、夏休みは?」
「あ」
うん。
悪の海賊団に夏休みはないっぽく。
いやんな沈黙があたりに流れる。
「この展開は、やっぱりアレですか」
「ええ。アレですわね」
二人、目と目を合わせてにんまりと頷く。
「ぷにっと達だけ、遊ばせはせんっ!」
「妨害ですわーっ!」
叫んで、悪の海賊団はぷにっと達の夏休みを妨害しに赴くのだった。
「‥‥?」
ブラック海賊団黒の女王と呼ばれし女性は、水晶を弄びながら少し、悩む素振りを見せる。
悪の海賊団に手を貸すのも悪くはないし、ぷにっと達と直接『遊ぶ』のもまた一興。
何もせず、バカンスを楽しむのもいい。
「さて、お前達はどう思う?」
蠢く影達に、黒の女王は呟くように尋ねるのだった。
☆『ぷにっと海賊団』出演者大募集☆
ぷにっと海賊団『夏休み☆』の出演者を大募集!
毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
『夏休み☆』では、夏休みのない悪の海賊団が暴走したり、まったりゆったりぷにっと達がバカンスを楽しんじゃったり、はたまたブラック海賊団がちょっぴりちょっかいを出してきたりするかもしれません。
子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、そして悪役をやりたい大人の貴方も大募集☆
●リプレイ本文
●プロローグ〜それぞれの事情?
それは、こんな一言から始まった。
「特訓するぞ!」
白の女王の護衛騎士・リッターファルコン(尾鷲由香(fa1449))は、白いターバンを顔に巻いたまま夏休みなぷにっと達に提案する。
それというのも、ここ最近悪の海賊団もブラック海賊団もどんどん強さを増してきているからだ。
今のところぷにっと海賊団が勝利を収めているが、早めに戦力の増強を図ったほうがいい。
そう思ってファルコンはぷにっと海賊団本部海賊船『ぷにっとぷにっと☆』にやってきたのだが‥‥。
「夏ーっ! うーみーっ☆」
とうっ!
元気いっぱい夢いっぱい☆
世界のお天気猫娘・ミユミユ(猫見みゆ(fa0044))が肉球でファルコンにアターック!
「うおっ、元気だな、おい」
ぷにぷに肉球パンチを受けて、ファルコンはよろけたふりをして笑う。
「夏休みだからね。思いっきり遊ぶんだよ」
白いロップイヤーを揺らし、ムスビ(大海 結(fa0074))もミユミユに同意する。
実は夏休みの宿題がぜんぜん手付かずだったりするのだが、それはそれ。
最終日までに終わらせればきっとどうにかなるのだ。
「海に行くならバーベキューやりたいでぃすねぃ。食材とお料理道具を持ってゆくでぃす☆」
ぷにっと海賊団のコックさんなリスリス(縞りす(fa0115))は見た目も涼しいぷるんとしたゼリーをみんなに振舞う。
「皆さん無邪気ですねぇ〜」
海うみとはしゃぐ仲間達をみて、甲板を掃除していた操舵手のイズミ(森澤泉美(fa0542))はのほほんと目を細める。
一番小さくて見た目は子供らしいのに、ちょっぴりクール。
「あの、もし良かったら、カオリとも一緒に行きたいです」
学業とモデル業をこなしつつ、ぷにっと海賊団でも頑張るシオリ(稲川 茨織(fa3268)は、双子の姉妹であるカオリ(稲川 華織(fa3269))の名前を口にする。
ぷにっと海賊団に入ったことはカオリには内緒にしているのだが、出来ることなら一緒に遊びたい。
「カオリさんも参加するなら、船をどこかに隠しとかないとねー。どんな改造をしようかしら」
普段なら、ぷにっと海賊団の正体がばれそうなことには反対しそうなウララ(谷渡 うらら(fa2604))は、けれど船を隠す方法を思案しだす。
「でも元々ステルス機能ありましたよねー?」
それを使えば問題がないんじゃというイズミに、
「だって改造するのには理由が必要でしょ」
さくっと言い切るウララ。
うん、改造がとにかくしたいっぽく。
「アストラルストーンつかってシャボン玉で船全体を包んだら海の中を潜水できるわね」
わくわくと改造計画を口にするウララに、けれどイズミは食い下がる。
「海賊船は帆を張って航行するのがロマンだと思うです! 海にもぐったらそれは海賊船じゃありません!」
「じゃあ海賊船じゃなくて潜水艦でいいじゃない」
「え?」
「ぷにっとぷにっと☆海賊船改めぷにっとぷにっと☆潜水艦。イズミくんが駄々こねるなら名前変更するけど?」
唖然とするイズミに「どうするのー?」とウララは小首を傾げる。
「‥‥改造、手伝うです」
イズミ、惨敗。
潜水艇と名前を変えられるより、海にもぐれる海賊船のほうがまだいい。
(「イズミ君が馬鹿でした‥‥くすん。男のロマン‥‥」)
ウララの改造を手伝いつつ、イズミは心の中で涙するのだった。
●海!
「暑いけど、素敵ね」
淡いピンクのサマーワンピースを海風になびかせ、カオリは麦藁帽子を押さえる。
その隣のシオリも色違いのワンピースを着て、編カゴバッグを下げながら海のきらめきに目を細めた。
『海? シオリの友達‥‥ううん、行かないわ』
一昨日の夜。
ぷにっと海賊団で海に行く事を決めて、カオリを誘うシオリに、カオリは最初は断ったのだ。
モデルと言う職業柄、学校で友人を作る機会がなくてずっと二人でいたから、そのシオリの友人といえばもう誰なのか予想がついていた。
ぷにっと海賊団のことをシオリは隠しているつもりだがカオリはもう知ってたし、そしてカオリにはぷにっと海賊団に素性を知られるわけには行かない理由があったし。
けれど断ると一緒に行かれるのを楽しみにしていたのだろう、シオリの顔がくすむ。
『‥‥一日だけ考えさせて』
ぷにっと達にこちらの正体を知られるわけにはいかないが、でも、シオリのことが心配だし。
‥‥一緒にいたいし。
(「黒の女王にお伺いを立てなくては」)
カオリはシオリと別れ、自室に鍵をかけて鏡に向かう。
するとそこには、ブラック海賊団上位幹部黒の女王(笹木 詠子)の姿が現れる。
そう、カオリはシオリの入ったぷにっと海賊団の敵・ブラック海賊団の一員なのだ。
『楽しんでいらっしゃい?』
もうカオリが尋ねるまでもなく、女王は青く塗った長い爪を煌かせて鏡の中で微笑む。
女王の許可を得て、晴れてカオリはシオリと共にこの海を訪れた。
てっきり、ぷにっと海賊団の面々と一緒に来るのかと思っていたのだが、現地集合という形にしたらしい。
(「一般人であるはずのカオリに、正体がばれては困るものね?」)
でも、そのお陰でこうしてシオリと一緒にゆっくりと海を眺めることが出来る。
幸せそうに微笑むシオリに、カオリも幸せな気持ちになるのだった。
「いっちばーんっ!! 海ーっ!」
ぷにっとぷにっと☆を潜水仕様にし、海の中に隠して浜辺に降り立ったぷにっと海賊団。
元気いっぱいに叫んで速攻で走り出したミユミユは、けれど悲鳴を上げて飛び上がった。
「どうしたでぃす?!」
「うわっ、ミユミユさんの尻尾にカニがついてるんだよ。早く取ってあげないとっ」
バーベキューセットをイズミに手伝ってもらいながら運んでいたリスリスにはちょうど死角になって見えなかったが、ムスビの場所からは良く見えた。
ミユミユの尻尾を真っ赤なカニがその両手のハサミでちょっきんと挟んでいるのだ。
「暴れるな、いまとってやるから」
ファルコンがぎにゃーぎにゃーと叫んで暴れるミユミユを片手でひょいっと抱きかかえ、その尻尾からカニを引き剥がす。
「新鮮な食材でぃすねぃ。美味しく焼いてあげるでぃすよ」
ふーふーと挟まれた尻尾に息を吹きかけるミユミユをリスリスはなでなでなで。
「みんな、日焼け止めはもう塗ったかな? しっかり塗っておかないとあとで日焼けした痕が痛くなっちゃうもん」
ムスビはリュックに入れておいた日焼け止めをきっちり塗りながら、みんなにも確認を取る。
色白なムスビは、もしかしたら日焼けで痛い目に合っているのかもしれない。
「ありがとうございます〜。イズミくんもお借りするです〜」
ムスビの背中に日焼け止めを塗ってあげながら、イズミは自分の腕にもそれを塗る。
「いいか、みんな。今回は特訓に来たんだからな、それを忘れるなよ? ってもういないしっ!」
ファルコンが訓練道具を用意する頃には、みんな海に突撃☆
浮き輪でぷくぷく浮かんだり、思いっきり潜水してみたり。
思いっきり遊びまくるぷにっと達に、
「まぁいいさ、たまには息抜きも必要だろう。ん?」
ファルコンは苦笑して、ふと、ビーチパラソルの下で一心不乱なウララに目を留める。
その手元を覗いてみると、小難しい問題集。
「最近の子供はこんな難しい問題をやってるのか‥‥大変だな。でもせっかく海に来たんだし、ウララも遊ばないか?」
「あたしはいつも夏休み初日に宿題を終わらせる主義なのよ」
捻り鉢巻を締めなおし、ウララは丸メガネを押し上げる。
おでこ全開にして髪をすべて後ろで一本に編みこみしたエビテール姿はまるで受験生。
「‥‥がんばれよ」
ファルコンはそれ以上ふれず、買い出しに出かけた。
●悪の海賊団vsぷにっと海賊団。じつはブラック海賊団もいるぞ☆
「ふははははははっ、悪の怪人Aやで〜!」
「Bです!」
カオリとシオリもぷにっと海賊団と合流し、―― もちろん、ぷにっと達はカオリと合流前に耳と尻尾は消してある―― しばらく経った時だった。
シナリオ展開的空気を読んだ悪の海賊団下っ端ーズの怪人A(河田 柾也)と怪人B(桐尾 人志)参上!
(「せっかく皆で楽しんでたのに」)
はーっはっはと高笑いする怪人’sに、カオリはこっそり舌を打つ。
「カオリ、隠れていてね。すぐ戻るから、目を瞑ってじっとしていてっ」
咄嗟にシオリはカオリを岩陰に残し、走り出す。
カオリの前では変身できないし、ぷにっとのみんなだってそれは同じ。
シオリのいう事を聞くふりをして、しばらく目を瞑って岩陰に隠れていたシオリは、周りに人がいないのを確かめてからコンパクトを開く。
「奴ら、どう致しましょう?」
『好きになさい?』
鏡の中の黒の女王はやはりフフッと笑いながら全てをみている。
好きにしていいのなら、出来れば邪魔者には早々に退散してもらいたいのだが。
悩むカオリの前で、ぷにっと達と怪人の戦闘が始まった。
「ふっふっふっ、このミユミユがいれば鬼に金棒だよ!」
「楽しいのを邪魔する悪の海賊団は許さないんだから!」
ミユミユは猫特有の身体の柔らかさをアピールするかのようにぐいぐいと身体をそらして準備運動をし、浜辺で砂のお城を作っていたムスビはビーチボールを構える。
何故そうなったのかはきっと大人の事情だが、悪の海賊団とビーチバレーで勝負することになったのだ。
「夏休みの宿題をやり遂げたあたしに怖いものなんてもう何もないわ! かかってらっしゃい」
微分積分だの仮定法過去完了だのの文字が躍るドリルの山から這い出し、ウララは丸メガネをちゃきっとしまって悪の海賊団に指を突きつけ、ファルコンに審判を頼む。
「まかせろ」
身近く頷き、ファルコンは砂浜に棒で線を引いてコートを作り、さらに中央ラインの脇に立って得点を書き込む枠を作る。
「暑い日に出てこないでほしいですぅ!」
「ご退場願うでぃすっ」
イズミとリスリスもファイティングポーズをとる☆
負けられないとばかりに怪人’sもマッスルバリヤービーチバレーボールバージョン―― ただ単に水着でマッスル☆―― に変身してみたり、色々頑張るのだがなんせ多勢に無勢。
怪人’sは二人しかいないのに、ぷにっと達は六人。
勝てるわけがない。
「こうなったら、助っ人を探すんや!」
「あっちのほうから仲間のにおいがするっ」
怪人Bが言うが早いかカオリが潜む岩陰に駆け出した!
(「ちょ、ちょっとちょっと?!」)
こっそり覗いていたカオリは青ざめ、咄嗟に変身!
「おお、やはり味方がいたっ」
「‥‥一緒にビーチバレーをやれと?」
怪人Bにみつかり、銀の仮面で顔の半分を隠して黒い衣装に身を包んだカオリ、いや、ブラック海賊団ポーンは溜息をつく。
「そこに、女の子がいたはずですっ、彼女をどうしたのっ?!」
シオリが半狂乱になりかけながら叫ぶ。
「それなら別の場所に転移させました。わたしがここで休むのに邪魔でしたから。‥‥ああ、安心してください。一般人を傷つける趣味はありませんから」
水晶のはまった杖をかざし、自分を心配して真っ青な顔色のシオリに心を痛めつつ、カオリはポーンとして振舞う。
「すんごい助っ人やないかっ、これでわいらの勝利確定や!」
怪人Aがビーチボールを思いっきりマッスルにぷにっとに投げつけるっ!
「そんな攻撃、まけないっ。くらえ、ぷにっと肉球スパイクっ!」
ビシイッ!!!
ミユミユの顔面にボール炸裂☆
「‥‥それはそうゆう技なのか?」
顔面で弾き返すミユミユにファルコンは冷や汗混じりに突っ込みを入れる。
「落とさないんだよっ」
落ちたらミユミユの根性が台無しだと、ムスビはコートギリギリのそれを思いっきりレシーブ!
「カオリさんをとっとと返しやがれですーっ!」
頭上に飛んできたボールをイズミが思いっきりぷにっと巨大団扇を仰ぎ、大きく吹っ飛ばす。
ついでに悪の怪人’sも吹っ飛んでゆく?!
「「あんまりなーっ!!」」
ちゅどーん☆
お空の彼方に消えてゆく悪の海賊団。
「残るはあなただけね。どうするの?」
一人残ったポーンに、ウララは油断なく構える。
「邪魔者は消えた方がいいでしょう?」
ビーチバレーに殆ど参加していなかったポーンは、杖を振ってその場から掻き消えた。
●エピローグ〜夏はまだまだこれからだよ☆
「無事でよかったっ!」
シオリはどこからともなく戻ってきたカオリを抱きしめる。
もちろん、みんなぷにっとから普通の姿へ変身を解いている。
そしてウララは抱きしめあうカオリの後姿をじっと見つめる。
(「カオリさんには何か違和感を感じるのよね‥‥気をつけないと、ね」)
「ウララさん?」
彼女の目線に気づき、カオリは小首を傾げる。
「ううん、なんでもないわ。花火でもしましょうか」
「暗くなってきたし、丁度いいんだよ」
ウララの言葉にムスビも頷く。
さっき浜辺に作った砂のお城はまだ残っていて、そこに花火を立てたらきっと綺麗だ。
「バーベキューをしながら楽しむでぃす☆」
リスリスは朝顔がらの浴衣をまとい、お肉はもちろん、さっき捕まえたカニや新鮮な野菜をふんだんに刺して焼いた串をかざす。
「♪〜マシュマロぷにっと大福ぷにっとババロアぷにっとたべちゃって〜♪」
ミユミユは肉球がらの浴衣を着て、冷ましてもらったお肉を片手に歌を歌う。
「♪〜悪い海賊ぷにっと、暗闇ぷにっと、泣き顔ぷにっと倒しちゃって!〜♪」
ミユミユにあわせてイズミも歌う。
砂のお城の後ろから打ち上げられた花火が夜空に大きく輝くのだった。