WonderTalk〜封印2〜アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
2人
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期間 |
08/03〜08/07
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●本文
はるか遠く続く青空に、『WonderTalk』のロゴが映し出される。
それは中世ファンタジー世界カラファンでの冒険を描く深夜特撮番組『WonderTalk』のオープニング画面だ。
物語の中ではモンスターハンターと呼ばれる冒険者達がハンターギルドにて様々な依頼を請け負っている。
「海が光ってるのよねぇん」
あふぅ。
今日も今日とて眠たげな受付嬢は、出向いたハンターたちに唐突に告げる。
「あのー‥‥」
「ん? なにかしらん?」
「なにかしらん? じゃなくって! ちゃんと筋道立てて説明なさい」
冷や汗を流しながら困惑気味のハンターを押しのけて、高飛車な美女が命令する。
「んー? そのまんまの意味だけど?
海が光ってるのよーぅ。シェーレンティーラ海。
あの海にクラーケン現れてぇ、ついでに封印関係っぽく?
さくっといって、退治しちゃってちょーだい」
「だから、さくっとはやめましょうよ‥‥」
眠たげな笑顔で答える受付嬢に、高飛車美女の後ろで溜息をつくハンター。
人間、無駄だとわかっていても、どうしても期待してしまう物なのだ。
(「いつか、一人前のハンターになれたらこの人もまともな受け答えしてくれるようになるのかな‥‥」)
そんな夢を抱きつつ、ハンター達は依頼を請け負うのだった。
☆Wonder Talk出演者募集☆
ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『Wonder Talk〜封印2〜』出演者募集です。
剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、封印について調べてください。
☆モンスター情報☆
『クラーケン』
いわゆる巨大イカです。
突如輝きだしたシェーレンティーラ海の岬に出没中です。
十本もある足が主な武器で、水系の魔法、召喚呪文に対して強い耐性があります。
反面、風系に属する雷系の呪文には弱いようです。
知能はそれほど高くありませんが、貪欲で、魚はもちろんのこと、人も食すようです。
なお、深淵の魔術師に操られている可能性もありますが、確証はありません。
☆地域情報☆
今回の舞台は、レザラディカの南西に位置する『シェーレンティーラ海』 。
側には常に明かりの灯るロレナの灯台があり、海を照らしています。
☆選べる職業☆
戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
僧侶 :治癒魔法を得意としています。
魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
召喚士:精霊を召喚し、使役します。
吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。
シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
錬金術師:カラファンに存在する様々なアイテムを調合して薬や爆薬などを作り出します。
なお、職業は参加者八人全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
今後も職業は順次増えてゆきます。
また、「こういった職業が欲しい!」などのご希望があれば採用の可能性もあります。
☆テンプレート☆
WT参加者は、下記テンプレートを埋めてプレイングを送付してください。
【職業】『職業』の中から一つ選択
【心情】キャラクターとしての気持ちを書いて下さい
【戦闘】どのように戦うか
【台詞】各シーンで言いたい台詞
〜台詞例〜
【挨拶】「海! 泳ぐのはきほん?!」
【戦闘開始】「うにうに気味わるいったらっ」
【必殺技使用時】「その身体、焼き尽くしてあ・げ・る☆」
【勝利時】「わーい、僕の攻撃つうじたよっ♪」
*台詞例はあくまで例です。色々台詞や設定追加推奨です。
【その他】キャラクターの設定や口癖などありましたらどんどんこちらへ明記ください。
●リプレイ本文
●イカ退治
「はぁ‥‥面倒だよな‥‥イカ退治なんて」
いつもと同じハンターギルドの受付前に集まったハンター達。
『面倒くさい』が口癖のシーフのスー(玖條 響(fa1276))は短剣を弄びながら溜息をつく。
「あらあら‥‥クラーケンの足は美味だと聞きます。切り落として退治したら料理してみましょう☆」
そんなスーに、お料理上手な女戦士・ヒカル(ヒカル・マーブル(fa1660))は朗らかに提案する。
「イカか‥‥でも、モンスターを食べようとするその根性は‥‥見上げた物ですな」
竜神官たるノア(辰巳 空(fa3090))はシルバーロープを羽織り、額にちょっぴり冷や汗を浮かべる。
巨大イカの足は、どんな味なのだろうか?
「なんでも東方では『イカ焼き』が美味だとか。キミはご存知ですか?」
分厚い眼鏡を人差し指で押し上げて、黒翼の魔術師・セルム(相沢 セナ(fa2478))は踊り子にして巫女であるトール(トール・エル(fa0406))に振る。
「ええ、イカ焼きは最高ですわよ。あの新鮮なイカを丸ごと墨で焼き上げて醤油を垂らして口にしたときの柔らかさと香ばしさは格別ですわね」
うんうんと大きく頷く東方大陸出身のトールの胸元には、魔導石を加工した勾玉が二個きらめいている。
「頼まれ物の勾玉作ってきたってカンジィ。これじゃメイの呪いは解けないみたいだからぁ、メイのもあげるってカンジィ」
トールの姉のメイ(メイ・エル)はこの間着ていた巫女服ではなく、いつものガンマンを彷彿とさせる姿で得意気に拳銃をくるっとまわした。
どうやらトールが貴重品である魔導石を二つも持っているのは、メイが自分の分をプレゼントしたようだ。
「余計にもらったからって、お礼など云いませんわよ」
本当はとっても嬉しいのだろう。
ぷいっとそっぽを向くトールのほっぺたはほんのり赤い。
「海‥‥ね。まあいいけどさ」
吟遊詩人のケイ(氷咲 華唯(fa0142))は、明るいトール姉弟から目を逸らし、愛用のリュートを奏でる。
どことなく音が冷たい感じがするところをみると、どうやらあまり海に良い思い出がないらしい。
「もしも溺れたら、僕の人形達で絶対に助けてあげるんだよ」
ケイの幼馴染で心配性の錬金術師・ユイ(大海 結)は、手作りの小人の人形達をケイのリュートに合わせて躍らせる。
「俺は泳げるっ」
ケイは慌てて否定するが、ユイはにこにこと微笑んでいるだけ。
「うっわー、これ可愛いんだよ。ボクにも触らせてなんだよ」
そして好奇心旺盛なフェイト(ベルシード(fa0190))はユイが答えるよりも早く、踊る小人の人形をひょいっとその手の平にのせる。
フェイトの手の平の上で、小人の人形はクルクルと踊り続ける。
「後1つ‥‥ママ」
踊る人形を見つめながら、風の精霊の娘・ケーナ(美森翡翠(fa1521))は母親を戒める封印に思いをはせるのだった。
●光る海
シェーレンティーラ海は凪いでいた。
ロレナの灯台に照らされた海を港町のギルドで借りた船に乗り込み、ハンター達は目的の場所へと移動する。
「オールで漕ぐ‥‥面倒だな」
航海士から手渡されたオールを見つめ、スーは溜息をつく。
「この海の何処か‥‥海底奥深くにあると言われる神殿に『海皇の秘宝』が眠るそうです。これまでも数多の強者が挑みましたが、持ち帰った者は未だいないとか‥‥」
いつも持ち歩いているモンスター辞典へクラーケンについて書き込みつつ、セルムはシェーレンティーラ海に伝わる伝説を口する。
「セイレーンに出てこられると、少々難儀ですね。彼女達の歌声は異性たる私達にはたまらなく魅力的に響くそうですから。幸い、伝説の岩山はもう少し東です。今回は出会わずに済むでしょう」
竜神官たるノアも伝説を知っていたらしい。
クラーケンの出現をそろそろ警戒しなければならない今、魅惑の歌声で知られるセイレーンとの遭遇は出来れば避けたいところだ。
「歌なら、負けやしない」
船の端には決して近づかず、海を見ないように中央で青い顔をしていたケイが呟く。
男性であっても、吟遊詩人のプライドとしてセイレーンの歌声などに惑わされたくないのだろう。
「うー、オールって、重い‥‥っ」
ものめずらしくて初めは元気良くオールを漕いでいたフェイトが根を上げる。
「風の精霊、頼んでみる。‥‥風の乙女達よ、帆に風を送って。水の乙女達、船の行く手を妨げないで」
ケーナが呪文を唱え、大気に遊ぶ精霊達に程よい風を願う。
精霊達は快く承諾し、凪いでいた海に心地よい海風が吹き始める。
船の白い帆は大きく膨らみ、目的地へと大きく進みだす。
「そういえば‥‥ケーナ様のお父様は今どちらにいらっしゃるのでしょう?」
風の精霊達と戯れるケーナにふと、ヒカルはそのことに思い当たる。
自分の愛する妻が封印されている今、その姿がまったく見えないというのは少々奇妙だ。
「パパ人間、水と大地仲良い。ママ好きで一緒に暮らしたくてここまで来たって前聞いた。
何でパパ、ママと一緒じゃないのか、テラと別れた理由、パパがどうしてるのか‥‥ママの傍にいないから、封印解こうとしてるんだと思う‥‥」
語尾がだんだんと小さくなるのは、わからないことが多く不安だからだろう。
「安心なさいな。封印ぐらいすぐに破壊してあなたのお母様を助けてご覧にいれますわよ。
そうすればお父様のこともわかるはずですわ。おーっほっほ!」
ケーナの不安を吹き飛ばすべく、トールは自信満々に高笑いをする。
その笑い声を聞いていると、なんでも出来そうな気分になってくるから不思議だ。
でも。
「4つある封印のうち、2つ壊して解除って、変じゃない?」
ケーナは胸にわきあがる疑問を口にする
彼女の母親を封印する石は四つ。
そして解かなくてはならない封印は二つだという。
その内の一つは先日『聖なる乙女の洞窟』にて破壊出来た。
だから、今回の光る海の原因が封印なら、それを解けば母親は解放されるはずなのだが‥‥。
「皆さん、目的地が見えてまいりました。光る海です」
背に生える黒竜の翼で空に舞い上がり、周囲を伺っていたノアが声をかける。
船の向かう先には、光り輝く海が広がっていた。
●クラーケン
「うっわー、夕焼けみたいだねっ」
輝く海を前に、フェイトははしゃぐ。
青い海の中で金色に輝くそこは、宝石をちりばめた夕焼け空のようだ。
「船に耐久強化魔法をかけてありますが‥‥」
いつ現れるとも知れない敵を警戒しつつ、セルムは人差し指で眼鏡を押し上げながらライトサーチも唱える。
敵の数や大きさ、その方向を探知することが出来るこの魔法は、セルムの右手中指にはめられた指輪と魔導石の力によって増幅され、広範囲に及んでいる。
この範囲ならば、奇襲だけは避けられるだろう。
「‥‥これ、壊れてない? なんかおかしいんだけど‥‥」
魔法発動時に光り輝いたセルムの魔導石をみて、スーは古い友人から貰った自分の魔導石を取り出す。
ネックレスに加工されたそれはセルムのものと同じく防御系の魔力を帯びているはずなのだが、普段は何の反応も示さないらしい。
「ふむ。特に魔力の乱れ等の違和感は感じませんね」
ノアがセルムとスーの魔導石に手をかざし、その魔力の波動を調べるが特に異常はないらしい。
「っ、来ました! 右斜め前方から巨大生命体反応ですっ!」
セルムの警告に全員、戦闘体制にはいる!
「さぁ皆さん、わたくしのためにがんばってくださいませ。おーっほっほっほっほ!」
久しく仕えていなかった天照大神に仕えたトールは、頭上に輝く太陽を浴びて金の髪を煌かせながら舞を舞う。
その舞は光り輝き、光は仲間達を包み込んでその身体を軽くする。
「聴覚さえあれば、歌の効果はあるだろ」
決して海を見ようとはしていなかったケイも覚悟を決めてリュートを奏で出す。
ケイの声と曲に合わせてノアも歌い、呪歌はその威力を増幅させる。
「うっわーうっわー、でっかーいっ!!!」
クラーケンの姿を目視できたフェイトが、船から身を乗り出さんばかりに驚く。
恐怖というより、その金色の瞳は好奇心できらきらと輝いている。
だが、その好奇心も次の瞬間に恐怖に摩り替わった。
「避けてくださいっ‥‥うっ!」
咄嗟にヒカルがフェイトを突き飛ばす。
そしてクラーケンの太い足がヒカルを吹っ飛ばした。
「風の乙女、仲間を助けて! 海魔の触手を断ち切ってっ」
「これをお見舞いしてあげるってカンジぃ!」
ケーナが風の精霊を召喚して尚も攻撃を繰り出そうとしていたクラーケンの足を切り刻み後退させ、メイの魔光銃が炸裂!
黒く焼け切れた足を残してクラーケンが後ろに下がる。
「キミ、しっかりしてっ」
フェイトがヒカルを抱き起こす。
「まあまあ、これくらいなんともありません。大丈夫ですよ」
泣きそうなフェイトにヒカルは微笑んで身を起こす。
おっとりしていても、ヒカルは熟練の剣士。
あの勢いで繰り出された攻撃を受ければ吹っ飛ぶことはわかっていたから受身を取っておいたのだ。
フェイトが変わったものを見ると周りが見えない性格なのも以前の冒険で知っていたし、常に側で様子を見ていたから庇うこともできた。
だが、足は一本ではない。
まだ九本も残っている!
化け物でも痛みは感じるのだろう、残った足を激しく船に打ち当ててくる。
セルムの補助魔法の効果がなければ今頃沈没していただろう。
そして相手は海の生物。
「剣が届かないんだよっ!」
フェイトがヒカルを守ろうとしながら、そしてほんとは守られながら大剣を振るい、けれど届かない攻撃に苛立ちを露わにする。
「中々に苦戦するものですね。‥‥ですが、ここで敗れるわけにはまいりません」
ケイと共に呪歌を唄っていたノアがその背の羽を大きく開く。
次の瞬間、その姿は黒竜へと姿を変えた!
「マジか?」
船とさして変わらない大きさへと変化し、船の側に浮かぶノアを見て、スーは使い慣れた短剣を思わず落としそうになる。
「乗ってください」
ノアに促され、スーは唖然としながらもその背を借りる。
「僕も乗せてなんだよっ‥‥うわっと!」
そしてクラーケンに向かって飛び立とうとしていたその背に、フェイトが飛び乗り、よろけて落ちそうになるのをスーが抑える。
「‥‥面倒くさいな」
スーはロープでフェイトとノアの身体をつなぎ、決して海に落ちないようにする。
「これならもう大丈夫だね。いっけえっ!」
「ちょ、まって!」
スーが止めるのも聞かず、フェイトは一気にクラーケンに大剣を突き刺した。
もちろん、ノアの背から飛び降りてだ。
「無茶をしすぎですわよっ、神よ、その力を具現化させたまえっ!」
激しく暴れるクラーケンに吹っ飛ばされそうになるフェイトに叫び、トールは舞を舞う。
その舞を妨害させないようにノアは闇の力を弾丸に変え、口から高速で吐き出すダークネスボルトを連射してクラーケンの気を引く。
「‥‥そういや水と炎って相性わる‥‥。あっ。‥‥面倒くさいな‥‥」
魔力を帯びさせた特殊な短剣をクラーケンめがけて投げつけ、そして魔力が発動して炎を纏った短剣は、けれど暴れるクラーケンの浴びせる海水の前にその火を消滅させる。
(「呪刻印は‥‥あそこですわねっ!」)
舞いながらも深淵の魔術師に施された呪刻印を探し出し、トールはそこに一気に神の力―― 神の威光により稲妻を迸らせた。
「まぁまぁ、剣で切るだけが戦士の戦いではありませんよ? 秘剣・霞斬り!」
それを援護するように、そして向こう見ずなフェイトがクラーケンの足に叩き落とされないように、ヒカルは高速の剣技でカマイタチを発生させてその足を切り落とす。
「理由は何にせよ暴れたら最後は‥‥終わるのみ」
ケイは呪歌をそのまま音波に変えてクラーケンの鼓膜を破壊する。
甲板に一本の巨大な足を残し、クラーケンは断末魔の叫びと共に海の奥へと沈んで行くのだった。
●エピローグ
「海の底に、これがありました」
ヒカルが甲板に打ち上げられたクラーケンの足を本当に料理していた時。
アクアフィートを唱え、水中での呼吸を可能にしたセルムがケーナに手の中のものを見せる。
「封印‥‥?」
小さな石は、海の中での輝きが嘘のように淡い光のみ発していた。
「竜の刻印が刻まれていますね」
ドラゴンの姿から人型に戻ったノアは、ローブの襟を詰める。
「この紋章‥‥確か‥‥」
セルムがスーを見る。
「ああ、うん。俺の腕に刻まれているのと同じだな。それに、深淵の魔術師が持っていた杖にも刻まれていたはずだ」
「つまり、封印とは別物か」
ケイが結論を口にする。
どうやら、ハンターギルドの情報は今回はガセだったらしい。
(「『海皇の秘宝』を導く石があるとも聞いたことがありますが‥‥まさか、ね」)
セルムは胸に浮かんだ可能性を軽く頭を振って否定する。
「ママ‥‥」
もう少しで母親を助けれると思っていたケーナの落胆は大きい。
小石をぎゅっと握り締めて涙をこぼす。
「さあさあ、いつまでもめそめそするのはおよしなさい。
貴方のお母様はこの私が救ってみせましてよ。おーっほっほっほっほ!」
先が見えない冒険だというのに、トールはずっと共に冒険を続けてきた仲間に最後まで付き合うつもりなのだろう。
「うん。がんばる」
涙を拭いて、ケーナは小石を大切にしまう。
「さあさあ、皆様、お料理が出来ました。食べましょう☆」
ヒカルがタイミングを見計らって声をかけ、みんなでクラーケンのイカ焼きにぱくつくのだった。