ぷにっと海賊団☆昆虫☆アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 3.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/11〜08/15

●本文

『ぷにっと海賊団☆』

 それは、少年少女たちの物語☆
 TVのなかで、夏仕様の海賊服で身を包み、少年少女は獣耳&尻尾を揺らして今日も元気に悪の海賊団をやっつける☆
「夏休みだろーと宿題やまもりだろーと、悪いことは許しません!」
「ぷにっとぷにっとアターックっ☆」
 肉球ぷにっ☆ なお手てでぷにっと海賊団は悪者達に正義のぱーんち!
「まーた来週〜?!」
 断末魔の叫びを上げて、大空高く吹っ飛んでゆく悪の海賊団。
「正義はぷにっと☆」
 カメラ目線で振り返り、ぷにっと海賊団勝利のポーズ、決めっ☆ 


☆次回予告☆
「虫って、どうしてこんなにかっこいいんだろー?」
「もっともっとおっきくなったら、きっと世界一強いんだよ」
 虫網と虫かごを下げて、たった今捕まえたカブトムシを幸せそうに見つめる兄弟。
 そしてその幸せそうな二人を物陰から見つめるあやしーい人影。
「‥‥巨大化させたら、さぞや素晴らしい兵器になるに違いありません」
 フードを目深に被り、その顔は良く見えない。
 けれどその人影が指をぱちりと鳴らした瞬間、虫かごの中のカブトムシが巨大化して飛び出した!
 泣き出す兄弟と、にんまりとほくそ笑む人影。
「ふふふ、カブキングよ、お前はこれからわたしの手足となって働くのだ。
 はーっはっはっはっはっは!」
 怪しい人影はカブキングを連れて街中へと走り去ってゆくのだった。


☆『ぷにっと海賊団』出演者大募集☆
 ぷにっと海賊団『昆虫☆』の出演者を大募集!
 毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
 『昆虫☆』では、悪の海賊団かブラック海賊団の怪しい人影が作り出した大昆虫―― カブキングをやっつけていただきます。
 子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、そして悪役をやりたい大人の貴方も大募集☆

●今回の参加者

 fa0074 大海 結(14歳・♂・兎)
 fa0115 縞りす(12歳・♀・リス)
 fa0244 愛瀬りな(21歳・♀・猫)
 fa0634 姫乃 舞(15歳・♀・小鳥)
 fa1521 美森翡翠(11歳・♀・ハムスター)
 fa1726 小鳥遊 日明(12歳・♂・蝙蝠)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)

●リプレイ本文

●プロローグ〜でっかいカブトムシ、その名はカブキング☆〜
「うっわーでっけぇ! あいつやるな!」
 悪の海賊団・ティニー(ティタネス(fa3251))は目の前の巨大カブトムシ『カブキング』を見上げて感嘆の声をあげる。
 そのカブトムシは悪の海賊団幹部のローブの男が普通のカブトムシを魔法で変身させたものだ。
「リナお姐さま、こんなに大きいカブキングならきっと世界征服できますわ。街中のスイカが売切れでしたけど‥‥でもきっと平気ですわ!」
 ティニーと一緒にカブキングを見上げ、先ほどまでカブキングのための食料調達に出かけていた見習い悪の海賊団・ヒメ(姫乃 舞(fa0634))は大好きな女幹部・リナ(愛瀬りな(fa0244))にぐぐっと拳を握って力説。
 カブキングは悪の海賊団の三人がその背に乗っても余裕なほど大きいのだ。
 ヒメとティニーが興奮するのも無理はない。
「え、えぇ‥‥本当に、大きい、ですわね‥‥」 
 けれどリナの顔色はなぜか真っ青。
「あんた気分でも悪いのか?」
 ティニーがそれに気づいて心配そうな顔になる。
「い、いえ。何でもありませんわ。これで街に繰り出しましょう!」
 リナはふるふると震える手でカブキングの背中にどうにか乗っかり、ティニーとヒメも乗っかって悪の海賊団の三人は世界制服目指して街へ飛び立つのだった。


●出撃! ぷにっと海賊団☆
「おいしいでぃすか〜?」
 ぷにっと海賊団海賊船『ぷにっとぷにっと☆』で、毎度お馴染みぷにっとコックなリスリス(縞りす(fa0115))はふんわかリス尻尾を揺らして切りたてのスイカをみんなに配る。
「スイカは今が一番美味しいんだから、いま食べなきゃね。ボクのカブトムシにも上げようかな」
 白いロップイヤーが愛らしいムスビ(大海 結(fa0074))は、リスリスのくれたスイカをぱくつきながら手元の虫かごを見る。
 木屑や土、クヌギの止まり木が入れられたその中には、小さめだけれど黒く艶やかな羽と角が元気そうなカブトムシが入っていた。
「おっ、それさっき捕まえにいった奴だな。やっぱりカブトムシはかっこいいな」
 ヒアキ(小鳥遊 日明(fa1726))もスイカを食べつつ、ムスビのカブトムシに目が釘付け。
 朝方、男の子二人で森に潜り、このカブトムシを捕まえてきたのだ。
「日が昇る前だったらもっといっぱいいたんだと思うけど、朝方だと結構難しいんだよ」
「夜中がいいけど、大人と一緒じゃないとダメだしね」
 朝方は日がある分、森の中でも周囲を見渡しやすいのだが、カブトムシや昆虫は基本的に夜間活動。
 深夜二時ぐらいが絶好の収穫時間だったりするのだが、良い子は寝る時間。 
「うかにゃんもいってみたかったな〜。今度一緒に連れてってね♪」
 男の子二人がわくわくと瞳を輝かせるのをみて、お掃除係のうかにゃん(角倉・雨神名(fa2640))もカブトムシを覗き込む。
 みんなに見つめられたカブトムシは角を大きく逸らしてポーズをとった。
「遅れてごめんなさいですの〜。わぁ、おいしそうですの」
 白いポニーテールを揺らして、見習いぷにっとのフルート(美森翡翠(fa1521))が部屋に入ってきて、みんなが食べているスイカに目を留める。
「フルートさんの分もちゃんとあるでぃすよ」
 リスリスがちゃんと分けておいたスイカを冷蔵庫から取り出した瞬間、警報が鳴り響いた。
「警報?!」
「悪の海賊団!」
 空中に投影されたスクリーンの中で、悪の海賊団達がカブキングに乗り街を荒らす姿が映し出された。 
「悪い海賊団! 相変わらず悪い事してるんだな。男の子の憧れ、カブトムシを操って悪い事しようだなんて、許さないぞ!」
 ヒアキが即座に立ち上がり、剣を手に取る。
「スイカは後で。出撃ですの〜」
 フルートは受け取ったスイカには手をつけず、全員、現地へ急行!


●悪の海賊団vsぷにっと海賊団☆
「怯える人々‥‥ふふ、いい眺め‥‥ですわね」
 顔色ばかりか唇までそろそろ青くなりだしたリナは、なるべく自分が乗っているカブキングをみないように目を逸らす。
(「これは車、これは絶対に車、漆黒のフェラーリなのですわっ!」)
 そして心の中で呪文のようにリナは唱えていたりする。
 どうやら虫が苦手っぽい?
「すごいぞカブキング! あんたの羽で街のやつらが吹っ飛んでいくんだ。最高だぜっ‥‥おっと!」
「ティニーお姐さまっ、危ないですわっ」
 カブキングの上ではしゃぐティニーは、思わず立ち上がってカブキングから落ちそうになり、ヒメとリナに腕をつかまれる。
「気をつけて、ですわ。落ちたら怪我じゃすみませんのよ?」
「うん、悪かったよ」
 青ざめながらもそこはそれ、女幹部。
 リナはきちんと仲間をフォローする。
 ティニーはちょっぴり赤面しつつ、カブキングの角にしっかりと掴った。
 その目の端に、見慣れない物が映る。
「ん?」
 首を傾げるティニーに、ヒメとリナが即座に反応した。
「お姐さまっ、あれ!」
「ぷにっと海賊団!」
 羽の巻き起こす風圧で人々を吹き飛ばしていたカブキングに海賊船・ぷにっとぷにっと☆が立ちはだかる!
「夜空の剣士、ヒアキ見参!」
「ぷにっと海賊団お掃除係、うかにゃん参上☆ この世の悪をお掃除しちゃいます!」
 ヒアキとうかにゃんが勇敢に前口上を述べ、甲板から地上にとうっ、と降り立つ。
 リスリス、フルート、ムスビも後に続き、悪の海賊団も戦闘体制を取る!
「ここで会ったが百年目! ですわ」
 リナがカクカク笑う膝のまま、ぷにっと達に対抗して見得を切る!
「膝が笑っているでぃすよっ。落ちちゃいますっ」
「震えてますよ〜? 無理はいけませんの〜」
 リスリスとフルートが今にも倒れそうなリナに突っ込みを入れるが、
「ふふん、悪の海賊団は、む、む、無敵、なのですわっ」
 リナはぷにっと達にばれた恥ずかしさから座り込みたいのを我慢してふんぞり返る。
「ぷにっと海賊団、お姐様をいぢめたら許しませんっ、食べ物の恨みも恐ろしいのですわよ! カブキング、やっておしまいっ」
 尊敬するリナを守る為、先ほどカブキングのためのスイカを買い損ねたヒメが逆恨み怒りパワーでカブキングに命令を下す。
 ヒメに命じられたカブキングは瞳を赤く輝かせ、その逞しい角を大きく一振り。
「す‥‥すごい! やっぱりカブトムシって、強いんだ!」
 風圧と角に引っ掛けられそうになったところを紙一重で避けて、ヒアキは蝙蝠羽で地面に着地する。
「うん、カブトムシは格好いいんだよ。だからおっきいカブトムシはすっごくいいと思うんだけど、でもそれを悪いことに使うのはダメなんだよ」
 ムスビが操られているカブキングに憧れと同情の入り混じった目を向ける。
 大きなカブトムシは男の子の憧れ。
 それをこんな風にすることは絶対に許せないのだろう。
「やっちゃえカブキング! ぷにっとなんて、ぷちっと踏んづけちゃえ!」
 はしゃぎまくるティニーに、ムスビのいつもおっとりとしたその雰囲気が今日だけはきつくなっている。
「うわわっ、高いところは苦手です〜っ」
 ティニーの命令でぷに達に襲い掛かったカブキングのその角に、避け切れなかったうかにゃんが引っかかった。
「ふふっ、人質ですわ〜♪」
 そしてさっきまで巨大昆虫に青ざめていたリナは一気にご機嫌☆
 人質とは名ばかりの愛してやまないぷにっ子をその腕に抱きしめてぷにっと感を満喫。
「うわああんっ、離して下さい〜っ」
 じたばた暴れるうかにゃんのぷにぷにパンチがほっぺにあたっても、リナは決して離さずすりすりすり☆
「あれ?」
 そしてティニーとヒメに命じられるままに暴れるカブキングに、フルートが小首を傾げる。
 なぜかさっきから、カブキングはフルートには攻撃してこないのだ。
 それこそ目の前にいても。
「皆とフルートの違いって‥‥スイカ? カブトムシさん、お腹空いてるの?」
 フルートだけは遅れてぷにっとぷにっとに着たから、リスリスのスイカを食べていなかったのだ。
 カブキングは操られながらも甘いスイカの匂いにつられているに違いない。
「それなら、まだスイカが残っているでぃすっ」
 フルートと一緒にリスリスもぷにっとぷにっとに全力で戻り、スイカを取って帰ってくる。
「こっちのスイカはあーまいよ〜。成長促進剤入りですの〜」
 フルートが道端に切り分けたスイカをお皿ごと置き、いつも持ち歩いている救急箱からぷにっと成長促進剤を振り掛ける。
 彼女の邪魔をさせないように前線で戦うヒアキとムスビの後ろで、スイカはみるみる蔦をはやし、根を張って大きなスイカを実らせる!  
 そしてえいっとフルートがうかにゃんの落っことしたデッキブラシで叩き割ると当たり一帯に甘いにおいが充満しだした。
「お、おい? カブキングッ?!」
「ぷにはそっちでなく、こっちですわ〜っ」
 強烈な匂いにつられ、カブキングは悪の海賊団を乗せたままぷにっとを無視してスイカに突進!
 おいしそうに食べだした。
「作戦、大成功ですの〜」
「今の内に悪の海賊団をやっつけるんだよっ」
 ムスビが目でヒアキに合図する。
 ヒアキは頷き、即座にぷにっとフォンにカードスラッシュ!
「今週はこれだっ! カブトムシカード。カブトムシ君も力を貸して!」
 フォログラフィで出来た巨大カブトムシが出現、カブキングから降りた悪の海賊団の前に立ち塞がる!
「うかにゃんは返してもらうでぃす、そーれっ!」
「あうっ」
 悪の海賊団が巨大カブトムシに機を取られた瞬間に、ぷにっとおたまを変形させたぷにっとたも☆で、リスリスがうかにゃんを救出☆
「ああっ、わたくしのぷにっ子が〜。でも巨大カブトムシになんて、ち、ちかづけませんわっ」
 リナが涙ぐみながらティニーとヒメの背中に隠れて名残惜しそうにうかにゃんを見つめる。
「ずるいぞカブキング! あたしにもスイカよこせ!」
 そしてなぜかティニーはカブキングが食べるスイカに激しく空腹を刺激されてプチ切れ。
「お姐さま達はこのヒメが守ってみせますわ!」
 ヒメだけが勇敢にぷにっとと巨大カブトムシの前に剣を構えてみたりするが、悲しいかなヒメは見習い。
 カブキングが使えなくなった今、彼女に勝ち目はなかった。
 ヒアキに手を重ね、叫ぶぷにっと達。

「「「「ぷにっとビートルアターーーック!!!」」」  
  
 ちゅどーーーーーーーーーーんっ☆
 光り輝く巨大カブトムシが悪の海賊団を吹っ飛ばす!
「あたしのスイカが〜!」
「覚えてらっしゃい、ですわ〜〜〜!」
「ぷにぷにでしたわ〜っ」
 捨て台詞と断末魔の悲鳴を残してお空の彼方に吹っ飛んでゆく悪の海賊団。
 くるっ。
 ヒアキを中心に、カメラ目線で振り返るぷにっと達。

「「「「「正義はぷにっと☆」」」」」

 勝利のポーズ、きめっ☆
 

●エピローグ
「はいっ、元に戻ったよ! 大事に育ててあげてね」
 ヒアキが元に戻ったカブキングをそっと手に取り、泣いていた兄弟達に手渡した。
 カブキングとの戦闘中、この兄弟だけは逃げずにずっとみていたのだ。
 それで戦闘終了後に事情を聞いてみたところ、悪の海賊団に大事なカブトムシを連れて行かれてしまったことがわかったのだ。
「背中には乗れなかったけど、でも、僕もこの子を大事にするんだよ」
 ムスビは元に戻って幸せそうにしているカブキングと兄弟を見て、ついつい持ってきてしまっていた虫かごの中のカブトムシを見る。
 そしてお礼を言う兄弟の後ろでは、うかにゃんとフルート、そしてリスリスが散らばってしまったスイカのお掃除を一生懸命していた。
「ぷにっと海賊団、今週のやくそく!
 一つ、生き物は、大事に。みんな生きてる友達なんだよ。
 二つ、スイカはおいしいけど、食べ過ぎちゃダメだよ〜。身体に気をつけて夏休み、楽しんでね!」
 ヒアキがカメラ目線で手を振る。
 こうして、今日も世界の平和は守られたのだった。