ぷにっと海賊団☆宿題!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/25〜08/29

●本文

『ぷにっと海賊団☆』

 TVのなかで、海賊服に身を包んだ少年少女は獣耳&尻尾を揺らして今日も元気に悪の海賊団をやっつけていた。
「正義はぷにっと☆」
 愛と勇気とけものっ子パワーで勝利のポーズを決めて、悪の海賊団をふっとばす☆
 けれど戦いの後、白いロップイヤーの少年が呟いた。
「僕、夏休みの宿題まだ終わっていないんだよ」
「「「Σ」」」
 ぷにっと海賊団の間に衝撃が走る!
「宿題は、初日に終わらせる物よ?」
 約一名を除き、恐怖の宿題に青ざめるぷにっと達。
 ぷにっと海賊団といえども普段は普通の学生達。
 夏休みがあれば当然宿題もあるのだ。
 目の前に詰まれた山盛りの宿題、さあどうする?!


☆『ぷにっと海賊団』出演者大募集☆
 ぷにっと海賊団『宿題!』の出演者を大募集!☆
 毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ、けものっ子な少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
 『宿題!』では、恐怖の(?)宿題をやっつけていただきます。
 今回OPに悪役が出てきていませんが、宿題をさらに増やそうとする悪の海賊団&ブラック海賊団、そして宿題怪人などなど、参加メンバーに合わせてどんどん出演OKです☆
 子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、そして悪役をやりたい大人の貴方も大募集です♪

●今回の参加者

 fa0044 猫見みゆ(15歳・♀・猫)
 fa0074 大海 結(14歳・♂・兎)
 fa0115 縞りす(12歳・♀・リス)
 fa0984 月岡優斗(12歳・♂・リス)
 fa1339 亜真音ひろみ(24歳・♀・狼)
 fa1449 尾鷲由香(23歳・♀・鷹)
 fa1521 美森翡翠(11歳・♀・ハムスター)
 fa2604 谷渡 うらら(12歳・♀・兎)

●リプレイ本文

●山盛りの宿題☆
「うわぁぁぁんっ! こんな量終わらないよー!」
 ぷにっと海賊団海賊船『ぷにっとぷにっと☆』
 その一室で山盛りの宿題を前に、ミユミユ(猫見みゆ(fa0044))はじたばと暴れ気味に叫び声をあげる。
「そろそろ宿題やらなきゃいけないってことはわかってるんだけどさ‥‥」
 白いロップイヤーが愛らしいムスビ(大海 結(fa0074))は現実から目を逸らす。
「二人とも、宿題は初日に終わらせるものよ。わからないところは教えるから、さっさと済ましちゃいましょう」
 色々忙しくて初日に終わらせることは出来なかったウララ(谷渡 うらら(fa2604))だが、みんなが遊んでいる間も必死に頑張ってきっちり宿題を終わらせてある。
「あたしも頑張らなくっちゃですの〜」
 見習いぷにっと看護婦のフルート(美森翡翠(fa1521))はポニーテールを揺らして数冊のドリルをかかえてくる。
「あれ、もう終わったって言ってなかったっけ?」
 ムスビがそれを見て小首を傾げる。
「最初に出たのは。でも登校日に追加で問題集3冊出ましたの〜」
「そんなこともあるんだねー。ミユミユがそんなことされたら泣いちゃうよ。今だってこんなにいっぱい‥‥いっぱい‥‥ぎにゃーっ!!!」
 鉛筆を猫尻尾で弄び、少しも進まないミユミユが頭をかきむしる。
「落ち着いてくださいでぃす。美味しいホットケーキが出来上がったでぃすよ」
 いつもの甘い香りを漂わせ、リスリス(縞りす(fa0115))が焼きたてのホットケーキをお皿に持ってきた。
「甘いものは、頭の栄養にすぐなるからいいですの〜」
 宿題を増やされたとはいえ、たっぷりと蜂蜜とメープルシロップをかけて幸せそうなフルートはきっとすぐに終わらせられるだろう。
 問題は、ミユミユとムスビ。
(「これは、しっかり見てあげなくちゃね」)
 ウララはさくさくと頭の中で作戦を練るのだった。 


●助っ人登場☆
「おいおいおい、待ってくれ。あたしは宿題を手伝う為にきたわけじゃないんだぜ?」
 瞳を潤ませてつめよってくるミユミユとムスビに、ぷにっと海賊団創設者・白の女王の護衛士が一人リッターファルコン(尾鷲由香(fa1449))はじりじりと後ずさる。
 なんとなくぷにっと達の様子が気になって様子を見に来たのだが、よもやまさか宿題を手伝わされる羽目になろうとは。
「だってだってこんなにあるんだよっ?! 新学期までに終わるわけないんだよ〜っ」
「僕、本当は宿題残しておくの嫌なんだ。でも、数学と英語はほんとに苦手なんだ‥‥」
 錯乱気味に暴れるミユミユと、それとは正反対に絶望的な雰囲気を漂わして遠くを見つめるムスビ。
 はっきりきっぱり、このまま見捨てたら船から海に飛び込みそう。
「わかったわかった、直接答えを教えることは出来ないが、ヒントぐらいなら協力しよう。宿題は残りどれくらいなんだ?」
「あの机にあるものが全部と、自由研究に読書感想文も残ってるわ」
 根負けしたファルコンに、ウララが机を指差す。
「‥‥ちょっとまて。夏休みは、もうあと一週間で終わるんだぞ?!」
 いくらなんでも残しすぎだろう?!
 目を剥くファルコンに、だから手伝ってーっとミユミユは泣き叫ぶ。
「‥‥わかった。助っ人を呼んでくる」
 額に大粒の冷や汗を垂らし、ファルコンは更なる助っ人を呼びに走るのだった。 
 
 
●悪の海賊団、ユート☆
「おっ、あれはぷにっと達だな」
 真っ黒のミニ飛空挺で、たまたま森林公園を飛行していた悪の海賊団・ユート(月岡優斗(fa0984))は、アイスクリームを舐めながらモニターに映し出されたぷにっと達に目を留める。
 モニターの中で、ぷにっと達は昆虫の写真を撮ったり、森林の風景を写生していた。
「よし、お前達。憎きぷにっと達の邪魔をしに暴れてこいっ」
 ぱちん☆
 ユートが指を鳴らすと、黒尽くめの悪の海賊団戦闘員達が森林公園にこっそり落ちてゆく。
「俺はここからあいつ等が困るのをじっくり見物してやろうじゃん。‥‥おっ、当たった♪」
 食べ終わったアイスの棒には、『当たり!』の赤い文字が。
「今日はツイてるぜ」
 戦闘員達が悪戯するのをモニターで見物しつつ、ユートはご機嫌に足を組んだ。


●後残っているのは何の宿題?
「どうして景色が変わるのかな?」
 涙ぐみそうになりながら、ムスビは一生懸命絵を描き直す。
 さっきから森の絵を描いているのだが、黒い銅像が何度も形が変わっている気がするのだ。
「どうした? 難しい絵を描いているのか?」
 リッターファルコンに呼ばれ、急遽ぷにっと達の手伝いに参上したホワイトウルフ(亜真音ひろみ(fa1339))がムスビの手元を覗き込む。
「うん‥‥ぜったい、ありえないんだけど。僕がきっと、焦っちゃってるからだと思うんだけど。上手くいかないんだ‥‥」
 また形が変わってしまった像を、ムスビはもう一度描き直し始める。
「いや、まて。‥‥そこだっ!」
 ビシッ!
 ホワイトウルフが瞬時に像の裏に回りこみ、手刀を食らわす。
「あっ!」
 倒れ伏す像、いや、悪の海賊団の手下どもにムスビは小さく叫ぶ。
 形の変わる像は、悪の海賊団が変装してムスビを困らせていたのだ。
「これでもう、像が変わることはないだろう。安心して作業を進めるんだな」
「ありがとうだよっ」
 頼もしく笑う助っ人に、ムスビも精一杯絵を描き進める。


「ああ、逃げちゃいましたですの〜」
 ミユミユ、ファルコンといっしょに森林を巡るフルートは、揚羽蝶が飛び立つのをみてはふーっと肩を落とす。
「もうもうっ、今くしゃみしたの誰なのかなっ! 写真が取れなかったんだよっ」
 デジカメを振り回し、ミユミユは周囲を見回す。
 ほんとは昆虫採集を夏休みの自由研究として提出するつもりだったのだが、フルートが生き物を殺してしまうのはかわいそうだといい、急遽、写真を沢山撮ることに変更したのだ。
 だが、さっきから綺麗な蝶や珍しい昆虫を見つけるたびに派手な物音やら小石に驚き、虫達は写真を撮るよりも早く逃げてしまう。
「そう焦るものじゃない。もう少ししたら、きっと虫達も落ち着くさ。ちょっと、野暮用済ましてくるな」
 周囲に潜む黒い影に気づき、ファルコンはぷにっと達を優しく諭しながらその場を離れる。
 数分後。
 森に潜む悪の海賊団の戦闘員はことごとく吹っ飛ばされていた。
 

●本気も本気! 宿題も山場だぜ☆
「アイツら、ぜーんぜんつかえねー!」
 護衛士の二人にことごとく吹っ飛ばされた戦闘員達をモニターで確認し、ユートはイライラと失敗した原稿用紙を丸めてゴミ箱に投げ捨てる。
「俺だってまだ終わってないのに、あいつら着々と終わらせてるじゃん。こうなったら俺が邪魔してやるっ」
 ユートはマントをバサリと脱ぎ捨て、悪の海賊団ルックから普段着の少年にぱちんと変身☆
 そして伊達眼鏡も着用。
「これで俺だってバレないはずだぜ。いっくぜーーーーーっ!」
 ぷにっと達とおなじくらい山盛りの宿題をかかえ、ユートは図書館に紛れ込む。


 図書館では、ウララ愛用の捻りハチマチを締め、ムスビとミユミユが必死に問題集を解いていた。
「ムスビ君はケアレスミスが多いのよ。ほら、ここの数式、桁が一個ずれてるわ」
 うんうん唸っているムスビに、ウララはつきっきりで教えてゆく。
「これが終わったら、またホットケーキ焼くでぃすよ。だからもう少し頑張るでぃすよ」
 ムスビより、さらに激しくぐったりしているミユミユを、リスリスは励ます。
 図書館は飲食禁止だから食べ物は持ち込めないけれど、外には一般人には見えないようになっているぷにっとぷにっとを待機させてある。
 この宿題が終わったら、すぐに焼き立てを用意できるようにもう準備は整えてあったりするのだ。
「あはは〜‥‥ありがとうだよ〜‥‥」
 いつもの元気が欠片もないミユミユは、ぐったりと、でも根性で宿題に向かい合う。
「あれ4冊だったっけ〜? でも薄いし、いいか」
 ミユミユの隣で、フルートが見覚えのないドリルを手に首を傾げつつ解き始める。
 なんだかさっきまでの宿題よりもぐんと難易度が高いような気もするけれど、きっと気のせいなのだろう。
 かりかりと解いて行くフルートは、その問題集が2個も上の学年の物だと気づかない。
(「しめしめ、俺の分もちゃーんと解いてくれよ?」)
 ぷにっと達の横を通ったときにさり気なーく自分の宿題を紛れ込ませたユートは、本棚の影でくふふとニヤ笑い。
「むきーっ、もう絶対むりっ! ウララちゃん、お願い、手伝ってだよっ」
 一般人もいるというのに、思わず肉球お手てになりそうなぐらい、ミユミユの頭はもういっぱいいっぱい。
 ムスビについているウララに泣きつく。
 けれどウララは厳しい。
「先生達は生徒の学習能力と自主性向上目的に宿題出すんだから、人にやって貰ったら本末転倒でしょ?」
 TV画面の下に、『宿題はきちんと早めに終わらせましょう』とテロップが流れる。
 ごもっともな意見に、ミユミユはぱったりと机に突っ伏した。
 

●いっしょに頑張ろう?
 pipipipipipipi‥‥。
「あっ、ごめんね。ちょっと席外すわ」
 鞄に忍ばせておいたノートパソコンが鳴り出し、ウララは席を外す。
 人気のない場所でノートを開くと、悪の海賊団の存在を示す小さく明るい黒のオーラが。
「このオーラは見覚えが‥‥ユートあたり?」
 きょろきょろと図書館を見渡すと‥‥。
(「いた! あの子、さっきから私達の周りをうろついてて、怪しかったのよね」)
 眼鏡をかけ、こっそりほくそ笑んでいる眼鏡の少年=ユートを見つけ、ウララは頷く。
「ねえ、君」
「おわっ、なななな、なんだよ?!」
 急にウララに声をかけられ、ユートは慌てふためく。
(「お、落ち着け、落ち着くんだ、俺っ」)
「もしよかったら、いっしょに宿題やらない?」
「い、いっしょにっ?!」
「うん」
(「一緒にやっていたほうが、行動を見張れるしね。ユートは小物だけど、宿題が終わらないのは困るもの」)
 ウララのそんな思惑も知らず、ユートはユートでここで断ったら怪しまれるからと、ウララの提案を受け入れる。
「いっしょに頑張りましょうですの〜」
 ユートの宿題までやらされてるとは少しも気づかないフルートは、ウララに連れられてきたユートにニコニコと笑いかけ、ユートの良心はズキズキ。
(「なんか、雲行きが怪しくなってきたじゃん‥‥」)
 さり気なく両脇を護衛士の二人に囲まれ、目の前にはウララというどうやっても逃げれない席で、ユートはしぶしぶと自分の宿題に手を伸ばす。


●最後は花火でチュドーン☆
「おわったーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
「僕、やったよ。みんなありがとうだよっ」
 ミユミユとムスビが図書館の側の公園で喜びに叫ぶ。
「よく頑張ったな、打ち上げの準備は出来てるぞ」
「これはあたし達からのプレゼントだ」
 リッターファルコンが途中で買っておいた花火を取り出し、ホワイトウルフはサンドイッチや唐揚げの入ったバスケットを差し出す。
「これはなんでぃす?」
 お料理にすかさずリスリスが反応する。
「? あたしの手料理だが?」
 一つ頂くでぃすと断りを入れ、リスリスはサンドイッチを口にする。
「!」
「不味かったか?」
「美味しいでぃすっ。辛しマヨネーズがほんのりピリッと効いてて、食欲をそそるでぃすよ!」
「ならよかった。実は結構得意なんだ」
 リスリスに手放しで褒められ、ホワイトウルフはちょっぴり照れ笑い。
「勉強のあとの花火は最高だねっ」
「あ、ああ」
 逃げそびれて打ち上げまで付き合うことになったユートは、花火を片手に笑うミユミユにどぎまぎと頷く。
「そういえば、これ、もしかしてあなたのですか?」
 フルートがふと気づき、鞄から先ほど終えたドリルを差し出す。
「ん? そうだけど良くわかったな」
「名前が後ろに書いてありましたの〜」
 そういって差し出すそのドリルには、ユートの名前が!
「ユート‥‥って、悪の海賊団のユートじゃん!!! ばかーーーっ!」
「なんか今日一日おかしいと思っていたら、ユート君の仕業だったんだね!」
 宿題を邪魔されたミユミユとムスビの怒りは一気にMAXハート!
「バカにバカ言われたくないじゃん、バカ。今の今まで気づかなかったお前らのほうがよっぽど馬鹿じゃん!」
「なにおーっ、むきーっ!」
 正体のばれたユートは変装を脱ぎさり、いつもの悪の海賊ルックに早代わり。
 ぷにっとに速攻変身して猫尻尾を逆立てて怒るミユミユの攻撃を、さくっと避ける。
 もちろん、既に周囲にはウララが作動させたアストラルストーンの結界で一般人からは見えなくなっている。
「へへん、ここまでおいで‥‥って、おい、お前それはやばいじゃん?!」
 ぴょんと街灯の上に避けたユートは、ウララの手にしたものをみて青ざめる。
「実はウララ特製花火玉を試してみたかったんだっ☆」
 ぷにっと印の大きな筒は、間違いなく巨大打ち上げ花火。
 護衛士の二人とぷにっと達、全員、ウララの作った巨大打ち上げ花火に手を添える。
 TV画面の下には、赤字で大きく『人に花火を向けてはいけません。絶対に真似しないで下さい』とテロップが流れた。
「ままま、待て、話せばわかる話せば‥‥うわああっ」

 ちゅっどーーーーーーーんっ☆

 慌てふためくユートごと、夜空高く打ち上げられるぷにっと花火。
「今日ツイてるはずなのにー!」
 きらんっ。
 ユートの断末魔の叫びと、肉球マークの花火が輝く。
 くるっ。
 全員、カメラ目線で振り返る。

「正義はぷにっと!」
  
 勝利のポーズ、きめっ☆
 こうして、世界の平和と宿題は今日も守られたのだった。