ぷにっと海賊団☆強敵!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
霜月零
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/20〜01/24
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●本文
『ぷにっと海賊団☆』
ぷにっと海賊団☆
それは、海といわず空といわず、悪の海賊団と戦うぷにっとな少年少女たちが主人公の特撮番組だ。
毎回パターンは同じだが、主役が毎回変わることが売り。
TVの中では今日も今日とて海賊服に身を包み、年代物の銃(もちろん偽物)を撃ち放ち、今回の主人公が悪の海賊団に止めを刺す!
「世界の平和は、誰にもこわさせない!」
海賊旗を掲げ、高らかに宣言する主人公。
いつものパターンでぷにっと海賊団に敗れ、逃げ去ってゆく悪の海賊団。
だが、今回はいつもと勝手が違っていた。
逃げた悪の海賊団の背後から、逆光を浴びて3人の男達が現れたのだ!
「ふふふふ・・・・ぷにっと海賊団! 我ら7色の顔を持つブラック海賊団が相手になろう!」
ヴイイイイイイインッ!
超音波が手にした楽器らしきものから撃ち放たれる。
顔の見えない、シルエットだけのブラック海賊団の攻撃に、耳を押さえながら退却するぷにっと海賊団。
どうなる、どうするっ?
待て、次号!
☆『ぷにっと海賊団』キャスト大募集☆
近日放映予定のぷにっと海賊団『ブラック海賊団参上!』のキャストを大募集!
毎回主役の違うこの番組では、海賊服に身を包んだ少年少女たちが悪の海賊団と戦います。
『ブラック海賊団参上!』では、新たに現れた強敵、ブラック海賊団と戦っていただきます。
子供から10代前半の少年少女、『ぷにっと感』に自信のある方、大募集。
そしてなんと今回は、ブラック海賊団メンバーも大募集!
七色の顔を持つという彼らは、その姿を老若男女、そして獣人へも変えられます。
いままではぷにっと感に自信がなくて応募できなかったそこのあなた!
あなたにも、特撮番組『ぷにっと海賊団☆』に出演のチャンスです☆
●リプレイ本文
●ブラック海賊団、参上!
その日は、いつもと違っていた。
悪の海賊団を見事打ち倒し、勝利を決めようとするぷにっと海賊団。
しかし、次の瞬間謎の音楽が鳴り響き、ぷにっと海賊団たちは苦しさに耳を押さえてその場に倒れ伏す!
「あたしの『ブレイクダンシング』であんたの精神壊してやるよ」
背に大きな翼を生やし、スケ番風に化粧の濃いブラック海賊団団員『ティス』(レティス・ニーグ(fa2401))
「あんた達が強いか、俺達が強いか。ガチ勝負といこうじゃん」
恐ろしい虎の顔を持ち、茶髪リーゼントで木刀を構えるブラック海賊団団員『トラヲ』(虎麻呂(fa0891))
「パララッタッタッター!」
そしてラスト。
悪魔を思わせる蝙蝠羽を開き、濃紺の詰め襟姿に度数のキツさを思わせるレンズの分厚い眼鏡をかけたブラック海賊団団員・トシ(Tosiki(fa2105))は言葉よりも雄弁に楽器を鳴らし、三人は夕日を背にジャングルジムのてっぺんにドンと構え、苦しむぷにっと海賊団たちを嘲笑う。
ラッパのようなホーンの付いたトシ専用ピアニカ『ブラピアニカ』をトシが再び吹き鳴らそうとしたとき、
「こ、子供をいじめては‥‥いけないんですっ!」
悪の海賊団・ナツキ(夏姫・シュトラウス(fa0761))がブラック海賊団とぷにっと海賊団の間に立ち塞がる!
ナツキは、ぷにっと海賊団に負けてとっさにブラック海賊団に助けを求めたものの、もともとぷにっと海賊団をとことん苦しめるつもりなどなかったのだ。
ただちょっと追い払えればそれで済むはずだったのに‥‥これはやりすぎだ。
ブラック海賊団が躊躇したその一瞬の隙に、ぷにっと海賊団本部・海賊船『ぷにっとぷにっと☆』のモニターで事態を把握した妖精がぷにっと海賊団を船に強制転移!
消え去ったぷにっと達がいた場所を睨み、
「ナツキには罰が必要だな」
ティスが残酷に笑う。
「あ‥‥う‥‥っ」
恐怖にその場を逃げることも出来ないナツキは、いつの間にか背後に回られたトシに白い虎を模したマスクを被せられた。
それには洗脳の魔法がかけられているのだ。
「‥‥この私がきっちりナシつけてやります!」
尊大にふんぞり返り、ブラック海賊団と共に嗤う彼女は、先ほどまでの臆病で心優しいナツキではない。
そこにいるのは、ブラック海賊団の忠実なるしもべにして不遜で不敵な自信家・ホワイトタイガー!
4人が嗤うその声に覆いかぶさるように、夜の帳がゆっくりと公園へ降りるのだった。
●ぷにっと達の容態はっ?!
「悪の海賊団にやられたってほんとうなのかなっ?!」
噂を聞きつけて海賊船『ぷにっとぷにっと☆』にシルバー・アーデル(ユリウス・ハート(fa2661))が飛び乗ってきた。
縞々のバンダナにキュロットスカートのタテポ(神代タテハ(fa1704))は、
「うん。正確にはブラック海賊団にだけどね。対策考えなくっちゃだよ」
倒れたときに負傷した手の平を見て痛そうに顔をゆがめる。
「いきなりあんな強敵が現れるとは思ってなかったんだよ。油断しちゃったんだよね」
白く柔らかいロップイヤーを揺らし、ムスビ(大海 結(fa0074))が肩を竦める。
「ちゃんと、無事だよね?!」
銀色の猫尻尾――本人曰く、虎なのだが――をぎゅっと丸めて不安がるシルバーに、
「安心するんだよ。三人ともこれといって外傷はなかったんだよ。ただ、ブラック海賊団の超音波のせいで苦しくて力が出なくて倒れちゃったみたいなんだよ」
竹刀を元気に振るい、自己鍛錬を欠かさない袴姿のユーキ(風間由姫(fa2057))が笑う。
シルバーがほっとしたその瞬間、警報が鳴り響いた。
●大変、やりたい放題だよっ! 対策を考えなくっちゃ。
ビービービーッ!
緊急警報が海賊船に鳴り響く。
そうして映し出された海賊船本部の空間に、スクリーンが映し出される。
「あれはブラック海賊団!」
モニターの中では、ショッピングセンターで学ラン姿のブラック海賊団トラヲが、我が物顔で暴れているではないか!
あとの二人も一緒になって怯える店員を尻目に化粧品だのピックだのをポケットに詰めている。
「早くやっつけなくっちゃっ」
「でもどうやって? あいつらの超音波を防ぐ方法を考えないとさっきの二の舞なんだよ」
「妖精さんはどこかな。出て来て欲しいんだよっ」
『‥‥ここです‥‥』
慌てふためくぷにっと達に、妖精が消え入りそうな声をかける。
いつものような人型をとらず、水晶から出てこない。
「妖精さん? 声が遠いんだよ?」
「タテポ‥‥わたくしは当分‥‥この中から出られません‥‥転移に‥‥力を使いすぎてしまいました‥‥
だから‥‥戦いについてゆくこともできないのです‥‥」
「そんなっ、力を使いすぎたって‥‥妖精さん、大丈夫だよねっ!?」
駆け寄り、心配そうに水晶を覗き込むタテポに、妖精は水晶を二、三回点滅させて答える。
『あなたたちに‥‥これを授けましょう‥‥これで‥‥ブラック海賊団をやっつけるのです‥‥』
一際大きく輝き、四人の目の前に謎のアイテムが。
「わかったんだよ。タテたちはこれをつけて戦うんだよっ」
妖精から託されたアイテムを握り締めて、いざ、ブラック海賊団の元へ!!!
●怪しい武器
ブラック海賊団が暴れているその頃。
ホワイトタイガーは自室でその強大な魔力を用いて、とんでもないものを作っていた。
「これさえあれば完璧です」
出来上がったそれを、うっとりと眺める。
巨大な鐘の形をしているそれは、超音波兵器。
ホワイトタイガーが合図をすれば、その身を震わして超音波を出す。
もちろん、大きな赤い自爆スイッチも取っ手についていて完璧。
‥‥えっ、自爆スイッチ?
「自爆スイッチは科学者のロマンです」
きぱっと言い切るホワイトタイガーには、ナレーションの突っ込みも追いつかない。
幸せそうに微笑んで、ホワイトタイガーは超音波兵器を抱きしめる。
●決戦! ブラック海賊団VSぷにっと海賊団☆
ヒュオオオオオオオオッ‥‥。
冷たい風が校庭に吹き荒ぶ。
「遅せぇぞ。こんなところに呼び出しておきながらやつらはまだ来やがらねぇじゃん」
がぶりっ。
竹刀を地面に叩きつけ、トラヲはショッピングセンターで奪ったリンゴに噛り付いた。
「あたし達に会う為に無駄なおめかしをしてるのさ。こんな可愛い挑戦状を送りつけてくるぐらいだからね」
ブラック海賊団に届いたぷにっと海賊団からの挑戦状を、ティスはひらひらと見せびらかす。
そこには片言な感じで『ちょうせんじょう』と書かれていた。
きっとシルバーが書いたに違いない。
「パパッパパララッパッパー!」
トシがブラピアニカを鳴らして敵の接近を伝える。
「待たせたねっ、ブラック海賊団! これ以上の悪さはタテ達ぷにっと海賊団が許さないんだよっ!」
「「「ぷにっと海賊団、参上!」」」
ビシィっ!
タテポがブラック海賊団に指を突きつけ、ユーキ、ムスビ、シルバーの三人がポーズを決める。
「ふんっ、可愛いからって何やっても許されると思うんじゃないよ!
いくら可愛くったって、かわいくったって‥‥きゃーっ! ぎゅっとしたい! ぎゅーっとしたいーっ!」
ぷにっとタテポの可愛らしさにティス大興奮☆
ティスは実はかわいいもの好きだったのだ。
「アホかあっ! あいつらは敵なんだ、抱きしめたくなってどうするんだよ、無駄じゃんっ」
トラヲの突っ込みもタテポの可愛さにたがの外れたティスには効果なし。
連携も何もあったものではなく、ティスはタテポに襲い掛かる!
「タテポはあたしがいただくのよーーーーーっ」
激しく何かが間違った掛け声と共に突撃してきたティスに、
「させないんだよっ。ぷにっとバルーン発動!」
ムスビが石鹸水の詰まった風船を足元に転がす。
「うきゃっ?!」
「ふえっ!」
すってーんっ!
ぱーんと小気味良い音を響かせてぷにっとバルーンが破裂して、ティスがもんどりうってすっ転び、そのままタテポにどっかーんっ☆
「ああ、この感触、タテポはあたしの、も、の」
ぎゅうっ。
すっ転んでしたたかお尻を打っているはずなのにティスはタテポを抱きしめてうっとり。
「タテポさんをはなせっ! くらえぷにっとガンっ」
シルバーがタテポを守るべく、ぷにっとガンを構える。
「おっと。おまえさんの相手は俺だぜ。かかってきな、おチビのニャンコちゃん!」
トラヲがティスとシルバーの間に割ってはいる。
「にゃんこっていうな、ちびっていうなー!! 俺はタイガーで俺は成長期だぞ、オジサンっ!」
銀色の猫尻尾を逆立てて真っ赤になって怒るシルバーは、やっぱりどう見ても可愛いニャンコ。
「手助けするんだよっ、ゆーきスラッシュ!」
ユーキが長刀を振りかざし、必殺技発動☆
無数のカマイタチがトラヲめがけて襲いかかるっ。
「パラッパッパッパッパパー!」
けれどトシの鳴らす楽器から出る風を震わす超音波がそれの軌道をずらし、トラヲは寸でのところで攻撃を免れた。
そして空間を転移して現れる悪の海賊団ナツキ、いやさブラック海賊団の忠実なるしもべホワイトタイガー!
「この鐘の音に耐えられるものなどいないのです!」
ホワイトタイガーの合図と共に、巨大な鐘を模した超音波発声装置が地獄の音楽を奏で出す。
だが。
「きゃああああっ!」
「うがあっ」
「パパパラッパー!!!」
苦しんだのはブラック海賊団。
そしてホワイトタイガーも耳を押さえてうずくまる。
けれどぷにっと海賊団たちは微動だにしなかった。
「これのお陰なんだよ」
ティスの抱きゅ攻撃から開放されたタテポが耳からアイテムを取り出す。
それは丸くてぷにぷにとした耳栓!
「妖精が力を振り絞って出してくれたんだよ。あなた達の攻撃にタテ達が耐えられるように!」
妖精の力が込められたそれは、普通の音はちゃんと耳に届いても、超音波はきっちり防いでくれる優れもの。
「パパッパッパッパパッパッパーパパパッパッパー!」
トシがぷにっと海賊団主題歌を恐ろしい曲調にアレンジして吹き鳴らす。
「無駄だっていってるだろっ」
シルバーがぷにっとフォンを取り出して、カードスラッシュ!
光り輝くそれは、ぷにっとローリングキャノン☆
「「「「いっけえええええっ!」」」」
ローリングキャノンにぷにっと海賊団全員手を添えて、発動!
ちゅどおおおおおおおおんんっ!
盛大な爆発音を響かせて、ブラック海賊団を撃破っ☆
「見事だ‥‥ぷにっと海賊団。だが、俺達はお前達の能力を測るために送り込まれたただの尖兵‥‥魁にしか過ぎん。
俺達を倒しても第二第三のブラック海賊団団員が〜」
自慢のリーゼントがボッキリと折れ、ベタな捨て台詞をはいて吹っ飛ばされてゆくトラヲ。
「あ、あれ欲しいーっ、ねー、あれ欲しいっ」
タテポを指差して諦めきれなくともやっぱり吹っ飛ばされてゆくティス。
「パラッパッポッピ〜〜〜〜〜」
最後まで一言もしゃべらずじまいだったトシももちろん一緒に夜空の彼方へ。
そうしてキャノンの効果でふっとばされまいと超音波発声装置を抱きしめたホワイトタイガーは。
「あっ」
ぽちっ!
自爆スイッチまで一緒に抱きしめて自爆☆
吹っ飛ぶ虎のマスク。
「あ‥‥私‥‥いままでなにを‥‥ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」
マスクが取れてブラック海賊団の洗脳が解け、元の気弱で優しい悪の海賊団ナツキに戻った彼女は、真っ赤になってわびながら逃げ去ってゆく。
くるっ!
タテポを中心に、カメラ目線で振り返るぷにっと達。
「「「正義はぷにっと☆」」」
勝利のポーズ、きめっ☆
こうして、今日も世界の平和は守られたのだった。