赤鬼丸・新忍者登場!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 塩田多弾砲
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 やや難
報酬 6.6万円
参加人数 12人
サポート 0人
期間 08/23〜09/01

●本文

「光よ轟け、炎よ叫べ! 鬼神忍者『赤鬼丸』ここに見参!」

 特撮忍者アクション、「鬼神忍者 赤鬼丸」。
 大ヒットとは言わずとも、そこそこの視聴率を得て、かの作品は製作・放送され続けていた。
 意外だったのは、海外からの評価を得たこと。営業が海外へと売り込んだところ、アメリカやヨーロッパ方面ではそれなりに評価を得たものの、それほどのヒット作にはならず。しかし、オーストラリアでは結構なヒットを飛ばし、スポンサーになってくれる企業も出てきた。
 なんでも「オーガ(鬼)のニンジャという発想が新鮮だ」との事。

 ともかく予算も確保し、海外版の玩具なども企画・開発されたりしている。
 が、そうなると派手っぽいテコ入れが成されるのは世の常。この作品においてもそれは例外でなく、赤鬼丸の新たな仲間が登場し、強敵相手に戦う‥‥という展開に相成った。
 かくして岩面(いわづら)プロデューサーは、いかつい顔を悩みにゆがませ、ミントティーをすすりながら、決定したテコ入れ案の概要に目を通していた。
 鬼神流の新忍者、その名も青鬼丸!
 水を操る槍使いの鬼神忍者で、クールな性格。普段は渡し守として働いている水野流助が化身し、赤鬼丸とは時に対立、時に協力し、妖怪忍者に立ち向かう!
 その初登場エピソードを、今回撮影するわけだ。

『‥‥大江戸にて、渡し守が河の途中まで渡したところで豹変し、客は何者かに水中に引きずり込まれ、溺死したのちに金品を奪われるという事件が発生。
 鬼神流からの、事件の犯人である悪鬼大将軍の妖怪忍群を捉え、殲滅せよという指令が下り、調査に出る火村。
 調べていくうち、怪しいと思われた渡し守数人にあたりをつける。
 しかし、調べている最中に、お百合がとある屋形船に同乗してしまう。果たして、その船は悪鬼大将軍配下の、妖怪忍者・牙魚陣内と、その配下・水ぐも下忍衆が操っていた船だった。水ぐも下忍に縛り上げられ、気絶してしまうお百合に客たち。
 河に飛び込んで、その隙に化身する火村。しかし、周囲は水。赤鬼丸の鬼神流火炎忍術は、水ぐも下忍衆や牙魚陣内を捉えることが出来ない。
 水上や水中から、そして水を用いた妖怪忍術で攻め込まれ、危機に陥る赤鬼丸。
 だが、危機に陥ったその時。ある渡し守の手裏剣が、赤鬼丸を救った。それは、最初に怪しいと思われていた渡し守であった。
 忍法鬼神変化で、青い鬼神忍者に化身したその男。水野流助こと、鬼神忍者・青鬼丸。
 水中で、水ぐも下忍の群れと戦い、「忍法・水分身(水から己の分身を作り出し、複数の敵に挑む)」「忍法・水霧隠れ(霧を発生させ、目くらまし)」など、鬼神流水流忍術にて、次々に倒していく青鬼丸。そして牙魚陣内と一騎打ちし、豪槍・水龍槍にて「忍法・豪流突」を放つ。爆裂する牙魚陣内。
 残りの水ぐも下忍衆も、赤鬼丸の「忍法・鬼炎木っ端斬」にて一掃された。
 赤鬼丸は、新たな頼もしい仲間を得て、握手を交わすのだった。
 そして今回も、瓦版の特ダネを逃し、悔しがる百合であった‥‥』

 とりあえず、ロケ地の河は確保した。が、前回の「炎」に続き、今回は「水」。
この水という存在は、扱いが難しい。かつての炎を用いた戦い方とはまた別に、水を操る鬼神忍者をどう表現するか。
 火や炎は、本物の火を使ったり、爆発などで表現する事が可能だ。が、水はそうはいくまい。
 昇竜のようにも見える、猛る水の柱に立つ青鬼丸。それが槍を振るうごとに、水流が水ぐも下忍を一閃していく。
 必殺技の「豪流突」も、「水竜槍を構え、その先端の刃先に水が集中、それを回転させ、巨大な水のドリルと化して敵を貫き通す」というビジュアルとの事だ。
 ここは、特撮スタッフにまかせるしかあるまい。少なくとも、CGを使わない事にはこのような画は撮影できると思えなかった。
「他には、牙魚陣内と水ぐも下忍衆か」
 以前の妖怪忍者、邪眼一ツ目と、その配下のアリ下忍たち。それに匹敵するような魅力ある妖怪忍群をデザインしてくれるスタッフも欲しい。
「役者は、赤鬼丸・火村力丸役、青鬼丸・水野流助役、牙魚陣内役(化身後のみならず、化身前の人間体も欲しいな)、水ぐも下忍役‥‥これは少なくとも四〜五名くらいは欲しいところだ。そして、お百合役にその他大勢。
 スタッフは、殺陣に特技監督‥‥こんなところか」
 ぐいとミントティーを飲み干した岩面(いわづら)は、作成した告知の書類を読み直しつつつぶやいた。
 
 鬼や妖怪の忍者。これらをいかに魅力的に撮ってくれるか。
 今回もまた、そういうスタッフが集まってくれる事を期待する岩面(いわづら)だった。

●今回の参加者

 fa0269 霧島 愛理(18歳・♀・一角獣)
 fa0402 横田新子(26歳・♀・狸)
 fa0430 伝ノ助(19歳・♂・狸)
 fa1508 四ツ目 一心(29歳・♂・獅子)
 fa1805 音丸吉花(13歳・♀・リス)
 fa1873 條本 淳矢(23歳・♂・兎)
 fa2411 皐月 命(17歳・♀・アライグマ)
 fa3020 大豪院 さらら(18歳・♀・獅子)
 fa3141 宵夢真実(23歳・♂・蝙蝠)
 fa3623 蒼流 凪(19歳・♀・蝙蝠)
 fa3658 雨宮慶(12歳・♀・アライグマ)
 fa3928 大空 小次郎(18歳・♂・犬)

●リプレイ本文

「シーン01 テイク06 アクション!」

『河原にて、大勢の人々が土座衛門を遠巻きに。
 十手持ちなどが、溺死体や周囲を検分し調査。その様子を見る力丸。
お百合「何してんの?」
 後ろからお百合の声。
力丸「いや、事件かと思ってね」
お百合「そうよ、ここ最近起きてる事件。最近、あちこちの河の渡し守が、いきなり豹変して、金品を奪ってお客を溺れ死なすんですって!」
力丸「そいつは怖いなあ‥‥」
 事件現場へ目をやる力丸。
力丸「(心の中で)鬼神流からの指令‥‥この事件の真犯人を発見し、倒す事。この川のどこに潜んでいる」
 流助。人ごみから離れた場所より、思力丸と現場を見て、去っていく』

「‥‥カット! 休憩!」
 お百合役の霧島 愛理(fa0269)、力丸役の宵夢真実(fa3141)、そして流助役の條本 淳矢(fa1873)は一息ついた。
「宵夢君。久しぶり」
 現場にやってきた岩面(いわづら)が、宵夢の方へと歩み寄り、握手する。
「また『赤鬼丸』でご一緒できましたね。パイロット版の時は随分と勉強させて貰いました。順調なようで何よりです」
「きみも元気そうで何よりだ。條本くんに霧島くん。君たちにも期待してるよ」
「ええ、僕にとっても初めての役ですが、精一杯演じさせていただきます」
「私も、この役は自分に合っていると思います! がんばります!」
 励ましの言葉をもらい、二人は発奮した。
 少し離れた場所では、水ぐも下忍衆を演じる者たちが集まっていた。
「どこか動き難かったりする場合、すぐに申し出てくださいよ?」
 今回衣装係として参加した、大豪院 さらら(fa3020)。彼女が、造形担当の音丸吉花(fa1805)と作った衣装に、水ぐも下忍衆役の者たちは袖を通していた。その中には、横田新子(fa0402)、伝ノ助(fa0430)の二人の姿もある。
「もっと目立つ役をしたかったですけど、チョイ役でも全力でやります! むんっ!」 クナイを持ち、身構える横田。
 その隣では、伝ノ助も衣装を着込んでいた。
「またこの作品に参加できて嬉しいっすよ、岩面さん。良い作品にできるといいでやすね」
「ああ、君も久しぶりだね。僕も君に会えて嬉しいよ。今度も悪辣な小悪党を頼むよ?」
「へへっ、任せるでやす」
 小柄を持ち、伝ノ助は請合った。

「シーン05 テイク09 アクション!」

『流助、渡し守の姿で。僅かな客を渡している。
流助「着きましたよ」
客「いやあ、悪いわね。急がなきゃならなかったんだけど、橋までは遠いしで大変よ」
流助「全く、私たちの縄張りでこんな事件が起きるなんて商売あがったりですよ」
 代金を受け取り、客を見送る流助。しかし、鋭く周囲を見回す。岸辺を見回り、水の加減などを見ている。
 そこに現われる、力丸。
流助「‥‥何か?」
力丸「さっきから、何をかぎまわっている?」
流助「渡りたいのなら、安くしときますよ」
力丸「とぼけるな! 何をかぎまわっている!?」
流助「ならば、一つだけ。水は火を打ち消します‥‥気を付けることですね」
 そのまま去り、藪の中へ。
力丸「待てっ!」
 藪へと入り込むと、すでに流助、そこには居ない。
力丸「奴は、一体‥‥?」』

「シーン13 テイク14 アクション!」
 
『大きな渡し船。金持ちが多いようで、身なりが良い客ばかり。その中に、僧侶に変装した力丸の姿が。
力丸「(心の中で)この船着場の船が怪しいと事だが‥‥。奴らの狙いは金品。ならば、この船を狙うはず。しかし‥‥やつは何者だ?」
 流助の顔を思い出す。
渡し守1(実は水ぐも下忍衆の一人)「船が出るぞーッ!」
 船が出る。河を進む渡し船。船首と船尾に渡し守が立ち、それぞれ前方を確認し後方へ水をかき進む。
 何事も無いように、進む船。力丸、客や周囲を見回す。
 ふと、客の中に、流助の姿を。
力丸「あいつは‥‥!?」
 更に、その隣にお百合が乗っているのを見る。
力丸「(心の声)お百合ちゃん? やれやれ、よくよくあの娘は、巻き込まれるのが好きと見える」』

 ‥‥一時前。撮影にあたり、牙魚陣内役の四ツ目 一心(fa1508)は、撮影に際しての心構えを、皐月 命(fa2411)、雨宮慶(fa3658)らと打ち合わせていた。
「牙魚は、いきなり現われ化身して、驚かす! ‥‥みたいなのを心得てや」
「アイデアイメージのスケッチを見てもらったと思いますが‥‥変身のときも、あんな感じでお願いします!」
 二人の特技撮影担当からの熱い指示を受け、四ツ目はそれらの言葉にうなずいていた。
「任せとけ。化身する前は、なるべく目立たず‥‥だな?」
 白髭と白髪によるメーキャップが終わり、化身前の牙魚陣内がそこに立っていた。
「化身後のコスチュームも、用意できてます」
 音丸の手には、完成したての牙魚陣内の衣装が。それはまさに魚の妖怪忍者。自分が演じる怪人の面相を見て、四ツ目は気持ちを新たにした。

「シーン18 テイク10 アクション!」
 
『渡し船が止まり、周囲が静かに。いつまで経っても船が進まない。
客1「どうした?」
客2「ねえ、何かあったの?」
 渡し守、含み笑いしつつ、顔を上げる。
渡し守1「(船尾にて)さぁお客さん、ここからは三途の川の渡し船にお乗り換えっすよ」
渡し守2「(船首から)おおっと、逃げようとしても無駄だよ。ここは河のど真ん中。泳いだところで、岸に着く前に溺れるだけさ」
牙魚陣内「(ゆっくりと立ち上がる)ま、あきらめるんだな。この船に乗った時点で、お前たちは死ぬ運命にあったのだ」
 お百合を含め、周囲の客、牙魚陣内を見ている。
 牙魚陣内、印を組み、化身する。そこには、妖怪忍者の姿が。
牙魚陣内「妖怪忍者・牙魚陣内参上!」
 それとともに、船首と船尾の渡し守。二人同時に化身。
渡し守1・2「「妖怪忍群・水ぐも下忍衆参上!」」
 それと同時に、周囲の水面にも水ぐも下忍衆が。彼らの手から放たれる糸が、客たちを包み込んでいく。
 客たち、みな悲鳴を上げつつ糸にくるまれる。
お百合「い、いやあーっ!」
 お百合も糸に包まれる。力丸、糸をかいくぐり、水中に。
 同様に、流助も水中へと飛び込む。それに気づかない水ぐも下忍衆に牙魚陣内。
力丸「(心の声で)お百合ちゃん! 必ず助ける!」』

 大空 小次郎(fa3928)の言葉に、岩面(いわづら)は苦笑した。
「アイデアは買うが、そのネーミングはちょっと再考の余地があるなあ」
「そう? ファイヤーショットってカッコよくない?」
「‥‥いや、時代設定は江戸だからさ。横文字は違和感があるだろ? とりあえず、スタンバっといて。あと‥‥」
 彼は、蒼流 凪(fa3623)の方を向いた。
「青鬼丸の師匠『青龍尼』役? 脚本に無い新キャラかね‥‥尺もないし、そんなに出番は無いよ?」
「分かってます。一応、回想シーンのみと言う事で」
 既に蒼流は、尼のコスチュームを着込んでいる。その分、物語に重みを出せれば良いのだが。

「シーン20 テイク16 アクション!」

 力丸。水上に跳躍し、印を組む。
力丸「忍法・鬼神変化!」
 空中で炎となり、船上に降り立つ力丸。そこには、赤鬼丸が。
赤鬼丸「鬼神忍者・赤鬼丸見参! 覚悟しろ、妖怪忍者!」
 牙魚陣内、それを見て馬鹿にするように鼻を鳴らす。
牙魚陣内「現れたか赤鬼丸! ウヌを倒せばこのようなケチな任務ともおさらばよ。わしは邪眼一ツ目と違う事を教えてやろう!」
 そう言いつつ、誘うように水中に。赤鬼丸も誘われ水中へ。
 水中にて、赤鬼丸。周囲を泳ぎ回る水ぐも下忍衆に翻弄される。
赤鬼丸「忍法・火炎手裏剣!」
 炎の手裏剣を投げつけるも、届かず、火も消える。
牙魚陣内「水中でわしと会うたのが運の尽き! 妖怪忍法・牙魚竜巻!」
 赤鬼丸の周囲を、牙魚陣内。高速で回転する。竜巻に巻かれ、赤鬼丸。身動き取れない!
赤鬼丸「だ、だめか! 炎さえ使えれば‥‥!」
 竜巻に捕らわれ、空中に投げ出される。牙魚陣内、空中に飛び出し、落ちてくる赤鬼丸に噛付かんとする。
 が、刹那。腕に手裏剣を受ける。その僅かな時間で身体をひねり、なんとか船上に着地する赤鬼丸。
牙魚陣内「何奴!」
 彼のみならず、周囲の水上の水ぐも下忍衆も、その手裏剣を投げた者を探す。
 船首に、優雅に立つ流助。
流助「己の力を過信し自らの術に不得手な敵の領域に、なんの策も講じずに飛び込むからこの様な目に遭うのだ」
赤鬼丸「なっ‥‥!?」
 流助、印を組む。
流助「忍法、鬼神変化!」
 水面から、竜巻状の水流が流助を包み込む。そして、水が晴れた時。鬼神忍者がそこに。
青鬼丸「鬼神流忍者・青鬼丸‥‥見参」
 それを見て、驚く妖怪忍群。そして、赤鬼丸。
 優雅に跳躍し、水上に立つ。そのまま、水面に立つ水ぐも下忍衆へ突撃する』

「シーン20 テイク16 アクション!」

『背中から槍を取り出し、構える青鬼丸。水ぐも下忍衆を次々に薙ぎ払い、打ち据える。
青鬼丸「赤鬼丸! 船を頼む! 乗客を陸へ揚げてくれ!」
赤鬼丸「分かった! 恩にきる!」
 船の櫂をとり、こぎ始める赤鬼丸。船上では、マユにされた乗客たち。お百合も含めうなっている。
牙魚陣内「逃がすか! 追え!」
 青鬼丸、水中で、牙魚陣内の前に立ちはだかる。
青鬼丸「鬼神流水忍術の技、その身で威力を味わうがいい」
牙魚陣内「こしゃくな、かかれ!」
 水中から迫り来る、水ぐも下忍衆。
水ぐも下忍1「水中はあっしらの領域。ここでこの連携が見切れやすか?」
水ぐも下忍2「鬼神流敗れたり! 我らが攻撃の前に倒れよ!」
 上下前後左右から高速で翻弄しつつ、青鬼丸に同時攻撃。
 クナイで切りかかる下忍。それをかわすが、クモ糸が青鬼丸を包み込む。
水ぐも下忍1「もらった! 死ねぃ!」
 小柄で青鬼丸を突き刺す。しかし、それは水ぐも下忍2だった。
水ぐも下忍1「変わり身だと!?」
 見ると、周囲の下忍衆も既に破れている。
青鬼丸「(声のみ)次はこちらの番だ。忍法・岩砕水!」
 頭上から、手裏剣を投げつける青鬼丸。それは水中で回転しつつ。水龍のごとく巨大な渦巻きとなり、下忍たちを巻き込む。
青鬼丸「はーっ!」
 槍とともに突撃する青鬼丸。そのまま下忍たち、沈黙。
青鬼丸「私の領域で、好き勝手してくれたお礼。たっぷりとさせていただきます」
牙魚陣内「水中で、このわしにかなうと思うな!」
 先刻同様に、周囲を泳ぎまくり、竜巻を起こす牙魚陣内。それを受けて、動きを封じられる青鬼丸。
牙魚陣内「妖怪忍法・牙魚竜巻! そして、くらえぃ! 斬鉄牙!」
 高速で動き、青鬼丸に少しづつ噛み付いていく。
青鬼丸「くっ!」』

「シーン21 テイク10 アクション!」

 赤鬼丸。岸まで船をこぎつける。客たちを炎の手裏剣で糸を焼き払い、助け出す。
赤鬼丸「!? ぐっ!」
 水中から、クモの糸が。三人の水ぐも下忍衆が水中から。
 水中に引っ張りこまれそうになる赤鬼丸。
赤鬼丸「くそっ、また水の中に‥‥!」
 赤鬼丸、体中の力をもって、クモ糸を掴む。
水ぐも下忍3「くらえ!」
 手裏剣を同時に放つ、三人の水ぐも下忍。しかし、命中した瞬間。空蝉でそれは丸太に。
水ぐも下忍4「何ッ!?」
水ぐも下忍5「奴はどこだ!」
 水中から出てくる三名。だが、それを見計らい水中から出てくる赤鬼丸。
水ぐも下忍3・4・5「なにっ!?」
赤鬼丸「水から出たら、こっちの物だ!」
 下忍三人。刀を構えて迫る。しかし赤鬼丸、炎上する火炎丸を手に、同じように突撃。
赤鬼丸「忍法・火炎木っ端斬!」
 スレ違い様、三人を連続でなで斬りし、そのまま決める赤鬼丸』

「シーン24 テイク09 アクション!」

『(回想シーン)青鬼丸。修行時代。
 どこかの池の水面。水上で目をつぶり、槍を持ち立っている。相対しているのは、青龍尼。
青龍尼「流助、水と一体となれ。さすれば、お主は水の力を得て、無敵になろうぞ!」
 悟ったように、目を開く(回想終了)。
 それと同時に、青鬼丸の顔と被る。
青鬼丸。目の前に牙魚陣内の顔が迫るのを見る。
牙魚陣内「とどめ!」
 しかし青鬼丸。流れに身をまかせるかのように、その攻撃をかわす。
牙魚陣内「なっ!」
青鬼丸「動きは見切った。お前の負けです」
牙魚陣内「ほざけ!」
 再び竜巻を起こし、翻弄しようとする。が、青鬼丸。槍を構える。
青鬼丸「忍法・豪流突!」
 槍の穂先に、水流が集まる。それは渦巻きのごとく回転し、螺旋のように尖る。
 凄まじい回転とともに、青鬼丸。槍と突撃。
青鬼丸「悪鬼突貫!‥‥貫けっ!」
 牙魚陣内、動けず、そのまま恐怖の声とともに断末魔の悲鳴を上げる。
 赤鬼丸。岸から巨大な水柱が立つのを見る。そして、水しぶきが岸の方にも。
 水しぶきから、青鬼丸が出現する。
赤鬼丸「お前も、鬼神忍者だったのか‥‥」
青鬼丸「名乗るのが遅れ、すみません。(手を差出し)彼方も鬼神流を収める強者。共に頑張りましょう、平和を守るために」
赤鬼丸「(うなずき)ああ、平和のために、ともに戦おう!」
堅く握手する二人。その後ろには、寝ぼけているお百合‥‥』

「いや、これもひとえにみんなのおかげだよ。ありがとう!」
 撮影終了後。皆にミントティーとお菓子を振舞いながら、岩面はちょっとした打ち上げを行なっていた。
「ときに雨宮くん‥‥」
「え? 何ですか?」
「君は今まで、色んな作品に関わり、大した実績を残してきた。君は一人前だ。見習いという肩書きは外すべきだよ。そしてできれば、現在私が企画している特撮ドラマにぜひ参加して欲しい。考えておいてくれたまえ?」
 岩面の言葉に、ちょっぴり誇らしく思う雨宮だった。そして、再びこのような作品に参加したいと、思いを馳せる皆だった。