超高速の悪意アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
塩田多弾砲
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
9.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/11〜10/15
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●本文
とある番組制作会社は、とあるジャンルの番組をバカにしきっていた。
特撮もの。
そんなものなど、ガキかオタクの見るものだ。そんな番組を作ったところで視聴率が稼げるわけが無いし、大人向けの高尚なテーマを語れるわけが無い。正義の味方やら必殺技やら、馬鹿馬鹿しいことこのうえない。なにより特撮に金がかかる。あんなもんは笑いものにして楽しむもんだ。
それなりに有名なタレントや役者を使った大人向けで一般向けのドラマを作れば、視聴率など簡単に稼げる。ガキやオタクが喜ぶような番組なんか作れるか。ばかばかしい。
株式会社・管乱(くだらん)プロダクションの社長及び幹部たちは、そういう考えに凝り固まっていた。「大人向け」「一般向け」を事あるごとに口にしていたが、本人たちに行動と実力が伴っていなかった。その言葉に似合う作品は、ほとんど作られずじまい。結果じり貧になり、借金まみれになった管乱プロダクションは、ある時にTVをつけた。
そこには、自分たちがバカにしていたジャンルの番組、「ダーク・ラビリンス 吸血探偵ファイル」、ないしはそのセカンドシーズンが放送されていた。
それが結構人気を得ていると聞いた社長及び幹部たちは、敗北感を味わうとともに、あつかましい行動に出た。自分たちも特撮ものを作ろうという行動に出たのだ。
その内容は、狼男の主人公が、夜な夜な現われる怪物を見つけては戦うというもの。
が、正直なところアラが多くいい加減な設定・脚本であった。狼男を主役にしたのも、「あっちが吸血鬼なら、ウルフマンだ。獣化すればSFXはノーサンキューだし、イージーにハイクオリティなアートがコンプリートするし、クールなフィーリングにベストマッチするだろ」との事から(社長は海外かぶれのせいか、日本語や和名を嫌い、横文字を無駄に用いる癖があった。そのわりに英語は全く出来ないのだが)。
が、彼らの出鼻は真っ先にくじかれた。この作品は、永遠に作られないだろう。
社長の知り合いである、シンガーソングライターの栗原玲於奈。彼女は社長に誘われ、株式会社・管乱プロダクションの事務所に向かって行った。
「オープニングのテーマソングシンガー、OKしてくれないか? ユーのソングはパーフェクトにポジティブっぽいサムシングがフィーリングするんだ」との事だ。
平たく言えば、作品のOPを歌ってくれないかと依頼されたわけだが。
そんなことがあり、ある日の正午。曇り空の中を、彼女は事務所へと歩を進めた。フリーでやっている玲於奈は、挨拶も兼ねてとりあえずは直接話だけでも聞いて、その後で決めようと考えていた。
が、彼女はビルに入り、事務所の扉を目の前にした時、どこか違和感を感じた。
臭いと、音。それもゴキブリのようなカサカサという足音が、どこからか響いてくる。問題は、ゴキブリにしてはやけに大きい足音だと言う事。
事務所が入ったビルは、それなりの大きさであり、5階あるフロアのほとんど‥‥2階から4階までは、オフィスである。1階はコンビニ店舗だったが、今は撤収。5階もやはり獣人であるビルオーナーの倉庫として使われていた。
が、後で聞いた話では、元凶は5階の倉庫、ないしはオーナーの趣味で集められた贋作の油絵‥‥の中に潜んでいたらしい。
ともかく、玲於奈はオフィス受付に続く扉を開いた。が、そこには血みどろで死屍累々の情景が広がっていたのだ。
社員は全て倒れ、喉を食い破られ、死んでいた。
何があったのか。彼女は中に入り込み‥‥そして気が付いた。
何かが、いる。このオフィスのどこかに、何かが潜んでいると。その直感に従った彼女は、すぐさまフロアから出て扉を閉めると、社長室に向かった。
社長室は4階。内部には螺旋階段が備え付けられており、客用の階段を用いずとも2・3階を行き来できるようにはなっていた。
管乱社長は下品でいい加減でだらしない男だが、決して悪人ではない。少なくとも、怪我をしていたら助けたい。玲於奈は無事を祈り、携帯をかけた。
つながらない。ならば直接と階段を上がって4階に行ったが、そこで‥‥助けは無駄な事と知った。
社長室で、社長は倒れていた。その上に覆いかぶさっているのは、黒い光沢の、おぞましい生き物。まるで鎧を着込んだような、黒光りする外骨格。長大な触覚が、鞭のようにゆれている。
単眼を煌かせた頭部は、哺乳類と昆虫とをむりやりかけあわた、狂乱した前衛芸術家の理解不能なおぞましい作品のようにも見えた。
「そして私も襲われて‥‥殺されるところでした。が、なんとか逃げて、扉を閉める事ができたんです。そして、警察より前に連絡しました。WEAに」
玲於奈が、WEAのオフィスにて事の次第を説明していた。彼女は携帯でWEAに連絡した後に保護され、ようやく落ち着いたところだったのだ。体中に巻かれた包帯が痛々しい。
「それは、目に見えないほどの高速で動き、私に襲い掛かってきたんです。自分が蝙蝠獣人だったのは幸いでした。そのおかげで眼でなく音で、だいたいどのあたりから襲い掛かってくるか見当がついたので、なんとか攻撃をかわし、致命傷を負わずにすんだんです」
玲於奈が言うには、怪物はかなりの超スピードで動き回り、視認することすら難しいとの事だった。なんでも、「目の前にそれを見て、後ろを向くと同時に目の前に接近されていた」くらいの速度で、床や天井を走り回るという。そう、まるでゴキブリのように。
傍目には「黒い何かが目の前を横切った」ようにしか見えない。ともかく、それくらい素早いのだ。
「ただ、その動き方にはなにか法則性があるように感じました。なんというか‥‥まっすぐにしか走れないようで、時々立ち止まって曲がったりしていましたね。また、予想外の出来事が起きたら、それに対処しきれないようにも見えました。偶然、戸棚の上に置いてあったトロフィーのようなものが落下してぶつかり、混乱するように動きを止めましたから」
その隙に階段のほうへと逃げ出し、携帯で連絡したのだった。
「社長は三毛の猫たちを飼っており、たいそうかわいがっていました。社長室にはいつもその子たちを放し飼いしていましたが‥‥おそらくは、餌食にされたのでしょう。ひょっとしたら‥‥感染されたのかも。ともかく、あの怪物を放置するわけにはいきません。早急に退治するべきです」
今現在、WEAの職員数名、が事情を説明したビルオーナーと協力し、芸能関係者及びリフォーム業者を装ってビルそのものを閉鎖・監視している。ビルの両隣は、現在閉鎖中の立体駐車場と、人が入っているのかいないのか分からない、古びた雑居ビル。後ろの方は倉庫と駐車場、資材置き場だ。
「だが、この状況も長くはもたないだろう。早急に排除し、事態を解決する必要がある。ナイトウォーカーの抹殺に、協力してくれるな?」
●リプレイ本文
ビルを前にして、獣人たちは緊張を隠しきれなかった。
周囲はWEAの職員たちが、怪しまれない程度に封鎖し、一般人を寄せ付けないようにしている。ダミー撮影もしていたようだが、逆に人が集まる恐れがあるため、早々に切り上げたらしい。
ともかく、現時点で確認できる範囲では、建物に入った者も出て行った存在も無い‥‥との事だ。管乱プロダクション、ないしはその事務所が入ったビルは、来る者を待ち受けるかのように佇んでいる。
「作戦が一本化してないけど‥‥どうしましょう?」
豚獣人の小峯吉淑(fa3822)が、獲物であり天敵が潜んでいるビルを目の前にして、仲間たちに問いかけた。
仲間たちの能力を知るにつれ、不安を吹き飛ばすほどの実力を有している事は理解した。信頼を寄せるに値するのも理解した。が、それでも不安を消すまでには至らない。
「ともかく完全獣化し、みんなで襲い掛かればなんとかなるだろうよ。罠だの何だのといったもんは、適当に用意しておけば良いんじゃないか?」
虎獣人のクルディア(fa0771)が、自信に満ちた口調で言った。彼はWEAにて戦闘のシミュレーションを何度も行い、武道家としての修練も十分に積んでいる。が、実際にこの手の相手と戦うのは初めてだった。
「‥‥クルディア殿。僭越ながら、この相手には用心に用心を重ねすぎてもやりすぎではない。おそらく、罠を十仕掛けていたとしても、そのうち九は無駄になるだろう。拙者とて、僅かにしか相対しておらぬが‥‥奴らに関しては『適当』という言葉は『失敗』と同義である事を心得えられよ」
腰に指した得物があっても、雨堂 零慈(fa0826)は、この相手と相対するたびに恐怖が体を襲い、判断を鈍らせる。
今回の任務も、無事に済めばいいが。ビルを見上げた雨堂は、これから対決する敵‥‥ナイトウォーカーとの戦いを思い描き、気を引き締めた。
「じゃあ、それぞれの確認をするっすね」
リュアン・ナイトエッジ(fa1308)が、作戦行動の確認をとっている。
「夏姫・シュトラウス(fa0761)さんと朱凰 夜魅子(fa2609)さんが、小峯君とともに獣化し鋭敏視覚や鋭敏聴覚などの特殊能力で探索。サポートに、美角やよい(fa0791)さん。それで、雨堂さんや美角さん、自分・リュアンが可能ならば罠を仕掛ける。
目標が出現したら、クルディアさんや大間 仁(fa1201)さんらで目標を足止めし、全員で連携しつつ戦闘に臨む。‥‥っと、こんなとこですかね」
「ん‥‥」
こくりと、夏姫・シュトラウスはうなずいた。彼女はレインコートにゴム手袋と、できるだけ肌を露出しない服装で身を固めていた。
今度のナイトウォーカーは、ゴキブリのそれに近い特徴と外見を有している。そう聞いてから、彼女は直接触れる事など真っ平御免であった。
他の皆も、それぞれ武器を持つ者は武器を、そうでない者は格闘術などの戦闘手段を用いて、超高速で動く怪物と戦う予定であった。が、全員が全員とも、夏姫と同じ感想を抱いていた。
当然だろう、ゴキブリを、それも等身大に近いジャンボサイズのそれを好む者など、そう多くは居ない。たとえそれが、獣人であっても。
五階から開始された探索であったが、彼らは、切り上げざるを得なくなった。
五階はビルのオーナーにより、倉庫として用いられている。そして、内部は荒らされておらず、目標が潜んでいる様子も無い。扉が僅かに開いていたが、それ以外には怪しい様子など欠片も見当たらなかったのだ。
そして、四階の扉は閉じたまま。内部にも、通風孔など通じていそうな通路は無し。となると、導きだされる推論は一つ。
「‥‥ここから始めたのは、間違いだったかもしれないですね。そもそも、四階の扉は閉じてたし、四階から五階のここには通じる道も無いですし」
「‥‥そうね。私もキミに同感。それに、床には埃がたまったままで、何かが入り込んだ様子は見られないしね。となると‥‥」
小峯と美角、豚と牛の獣人が出した結論に、残り全員も従わざるを得なかった。ここに潜伏している可能性が高いと仮定したのは、早計だったようだ。
「‥‥一応、ワイヤだけは仕掛けておこう」
仕掛けをし終わった雨堂は、仲間たちとともに速やかに下フロアへと向かって行った。
腐臭が漂い始めている。腐敗がはじまった多くの遺体には、喉など急所に食い破られた痕が例外なく付いており、明らかに犯人‥‥ナイトウォーカーが、危険なる存在である事を連想させた。
四階・社長室。そこにある目前の死体、すなわち管乱プロの社長だった者の死体は、何かに齧り撮られたかのように食われていた。近くには、トロフィーが転がっている。
「ふん、どうやら言われていたように、かなり凶暴で貪婪な奴らしいな」
両手に警防を携え、二刀流で構えている龍獣人‥‥主凰は、すぐに出会うだろう目標に対して挑戦的につぶやいた。戦い甲斐のある相手ならばなおの事大歓迎だ。
七枝刀を手にしていた大間も、獣化したままで部屋を仰ぎ見た。
「‥‥確かに、あちこちに走った跡が見られる。となると、ここか、でなければこの下のフロアか‥‥?」
狼獣人のスタントマンは、下の階へと続く螺旋階段へと視線をやった。
絵に、ポスターに、書類。こちらにも、五階の倉庫と同様か、それ以上に存在している。潜伏するための情報媒体が。
考えてみれば、こちらの方が利に適っている。潜伏できる媒体がすぐ近くに、それも多くあるのに、わざわざ扉から出て五階に行く必要もあるまい。
が、それが分かったところで、事態は獣人たちにとって有利になったわけではなかった。
四階のみならず、二階、三階と、極細ワイヤーを取り付け、クラッカーなど意表をつくためのものも用意し終わった。窓にも取り付け、おいそれと外に出られないように。
しかし、まるでそいつは焦らし、焦らせるかのように姿を現さない。
全員が獣化し、鋭敏視覚で見て、鋭敏聴覚で聞き、鋭敏嗅覚で嗅いだ。
腐敗しかかった社員たちの遺体が、無念を訴えかけるように倒れ、佇んでいる。それを見るたび、大間は胸が悼むのを覚えた。
どこだ、どこにいる。
ただ、待った。待ち続け、そいつの姿を追い求めた。
螺旋階段を中心に、二・三人ずつに別れて、獣人たちはそれぞれの階で見張る事になった。五階で用いてしまったため、ワイヤーの数も減り、その結果、仕掛けたトラップもそれほど多くは無い。
夏姫・美角・雨堂が四階を、リュアン・クルディア・小峯が三階を、大間・朱凰が二階を見ている。
ただ、待ち続けるしかない。現われる事を祈り、待った。
それは、いきなりだった。
三階。書類が詰め込まれた戸棚。その隙間から、そいつは突然現われた。まるで、書類そのものに擬態しなりきっていたかのように。もしくは、書類そのものがその化け物に変身したかのように。
「ふん、出やがったな!」
クルディアのうなり声が、戦闘開始の合図となった。それを聞いても、そいつはのそのそと動き、逃げるそぶりすら見せない。獣人たちをバカにするかのように、ゴキブリにも、猫にも似た姿で尻を向け左右に振っている。腹が減ったのか、そいつは遺体の一つにかぶりつき、肉を食らっていた。
「行くぜ!」
クルディア、リュアン、そして小峯は、怪物‥‥ナイトウォーカーの狼藉を止めるべく駆け出した。クルディアはそいつの正面に、その後ろにナックルを付けたリュアンが、そして離れた場所には小峯が、それぞれ位置に付いた。
じりじりと近付き、飛びかかろうとした刹那、クルディアは何が起こったかわからなくなった。そして後ろに気配を感じた彼は、振り向き拳を突き出す。
「消えた? ‥‥いや、後ろか!」
そいつは、クルディアの脇を通り抜け、後ろから襲い掛かってきたのだ。拳を振るい、そいつにカウンターを食らわそうとしたが、そいつはクルディアを嘲笑うかのように「拳のリーチギリギリのところ」で立ち止まり、「直角に曲がって」、姿をくらました。
超スピードが速すぎて、補足できない! こうなるのは分かっていたはず、なのに、捕らえきれない! 思ったように動けない!
「くそっ、なめやがって!」
「クルディアさん! 下がって! 円陣を組んだほうがいい!」
『正面から襲い掛かってるときに、側面から狙えばいい』‥‥その程度の戦法など、そいつには通用しない。それを認めざるを得なかった。ナイトウォーカーは追い詰められたのでなく、追い詰めたのだ。相手を分断し、襲いやすい状況にする事で。
壁や天井、床、そして机や棚などの陰に、高速で移動しながら、そいつは迫ってくる。どこに、どういう風に出てくるか分からない。まるで、テレポートしているかのようだ。
仲間たちも螺旋階段から出てきて、その周囲を固めた。部屋中を高速で移動し、補足させずに動き回るそれ。明らかに、翻弄し混乱を誘っている。
外に続く扉は、分厚く頑丈な金属製。破る事はまず不可能。窓ガラスも全てが閉まっている。耐震ガラスであるそれも、ちょっとやそっとでは敗れない。そして先刻に、ワイヤーで縛り出入りを不可能にしてある。
そして螺旋階段も、獣人たちが張っている。逃げられる事はないだろう。獣人たちが殺されなければ。
「‥‥どうやら、戦い方を誤ったようだな」
雨堂はうめいた。
罠を仕掛けたところには、そいつは近付かない。もとより二〜四階、そして五階と、全てに罠を仕掛けてしまったため、罠の数が減ってしまっていたのも原因だろう。
「!?」
クルディアが膝を折った。周囲を回っていたナイトウォーカーは、小峯の視界に入ったと思ったら、次の瞬間には消え、クルディアの背後に瞬間的に接近し、体当たりを食らわせたのだ。
リュアンが側面から攻撃をしかけたが、それを易々と交わしたナイトウォーカーは、そのまま三人から離れた。
が、ナイトウォーカーは知った。追い詰められたと思い、追い詰めた‥‥と思ったら、再び追い詰められた事に。
五人が、三人の周囲を囲んでいたのだ。
「俊敏脚足!」
携えていた剣で空中に跳躍し、大間もまた、超スピードで宙を舞った。
そして、そいつを見た。ゴキブリと、猫を合わせたようなその姿を。そいつは、俊敏脚足での超スピードを更に上回るスピードで、室内を縦横無尽に駆け巡っていた。
が、ようやくそいつの姿を補足できた。あとは、そいつの足をいかに止めるか。反射的に大間は、マタタビ入りの大量の粉が入った袋を、そいつにぶつけた。
「!?」
マタタビは、そいつにとって別に影響は与えていないようだ。が、白い粉を大量に浴びた事に、混乱し動揺していた。そいつは、雨堂の目前に転がった。
「!」
極細ワイヤーを放ち、そいつに絡める。ぬるぬるした体表の体液が、そいつの体から流れた。逃げようとするが、雨堂の放ったワイヤーからは逃れられない。
躊躇することなく、雨堂は剣を振るい、動きをとめたそいつに突き刺した。
「成功‥‥とは、言えないな」
状況を確認し、ナイトウォーカー殲滅を確認した後。WEAが後始末に奔走してるのを見つつ、朱凰は言った。
目的は果たした。が、罠を仕掛けるにしても、それを効果的に用いるにしても、考えが足りなかった。
「見通しが、ちょっと甘かった事は否めません。ま、怪我も無く終わったことですし、これを今後に生かす教訓としましょう」
リュアンが、総括するように言った。
少なくとも、怪物は退治し、皆は生き残った。大事なのはそれだ。
今後もナイトウォーカーに相対したとき、再び生き残れるようにと、獣人たちは改めて気を引き締めるのだった。