児童会館の悪魔アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
塩田多弾砲
|
芸能 |
フリー
|
獣人 |
2Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
3.4万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
06/07〜06/12
|
●本文
児童会館。
子供向けの遊具が揃い、子供の好奇心をそそる科学的展示物が陳列した、児童の健全な発育を目指した施設。
都内某所の児童会館は、老朽化が進み取り壊し寸前だった。区の担当者、置田は定年まであと1〜2年の、やる気の無い男。彼はこのままのんべんだらりと定年まで過ごしたいと考えており、児童会館存続や維持のためにろくな行動を起こさなかった。
が、先日の区長選挙戦にて、投票により新たに選ばれた区長。彼は全身これやる気の若者で、この担当者と関係者全員に渇を入れたのだ。
児童会館は、あと数日中にリニューアルが終了し、公開されることになる。
ぼろぼろで維持をろくに行なっていなかった内装も新しくなり、古臭く壊れかけた展示物も修理されたり交換したりなどで全てが一新された。
二階の広い室内遊戯室は、それまではただの広いだけの殺風景な部屋。今はバスケやバレー、バドミントンなどが楽しめる室内の運動場へと変貌した。片方の壁には、壁に色々なものを埋め込んだロッククライミング施設。埋め込まれたものを手がかり足がかりに、上り下りを楽しむという遊具だ。もちろん、インストラクターが常駐するが。
そして、別の壁一面には、子供たちが描いた絵の壁画がでかでかと描かれていた。きっとこれを見たら、子供たちは喜ぶだろう。区長や担当した業者らはそう思った。
しかし、今までの置田はそうは思わなかった。これまでは書類整理と適当な日課を行なうだけで、定時に帰るのが普通。それがいまや、児童会館の建て直しのために東奔西走するはめになった。おかげで定時に帰れず、仕事が6時になっても終わらない事も多い。そのうち過労死しちまう‥‥と、彼はぼやいた。
が、彼は死んでしまった。過労でなく、別の理由で。
会館事務所は、一階と五階に置かれた。そして置田は、見回りの際に重要な書類を五回の事務所に置き忘れたのに気づいた。
リニューアル後は、直通エレベーターが稼動する。が、今はまだ公開前。エレベーターは調整中で動かず、置田はしぶしぶ階段で五階へと向かった。
「まったく、なんでガキどものご機嫌をとるために、俺がこんな下らん仕事をしなきゃならないんだ? 世の中間違ってるぜ、ったく」
ぶつぶつ言いつつ、彼は二階の壁画を望む場所に。
まだ照明は入っていない。そのまま三階へと向かおうとした時、彼は壁画の一部、アリが描かれた場所に何か動く影を見た。
それは、区立の小学校児童たちが描いたもの。女王アリが小さなアリに対し、お菓子を分け与え、皆で仲良く食べる‥‥といった内容のもの。普通の人間が見たら微笑ましく思うだろうが、置田は違っていた。ガキのへたくそな絵を見るたび、彼はうんざりしたものだ。こんな落書きに価値を見出すヤツは狂ってるぜ、と。
しかし、動く何かは気になる。泥棒か何かか? それとも‥‥。意を決し、彼はそれに歩み寄った。
闇からそれが、置田の前に現れる。光る目に鋭い爪を持つ肉食獣。
「なんだ、猫か。脅かしやがって」
黒い野良猫が、闇の中から現れた。安堵した置田だが、彼は次の瞬間、驚愕した。
獣人の桜井は、置田の部下だった。
幸いというべきか、閑職であったために彼は獣人としてWEAの活動と平行し、仕事を行うことが出来たのであった。
もっとも、彼はまた別の部署へと配置転換されることになっているため、今後も仕事と両立しての行動が出来るか否かはわからないが。ともかく、彼は置田に付き従っていた。彼に辟易していたが、それでも上司である事には違いない。
それに、悪いところばかりではない。少なくとも仕事では問題がある人物ではあったが、自身の母親に対しては別だった。もう寝たきりとなった母親を介護するのは、自分以外いない‥‥と、桜井は毎日のように聞かされていた。故に彼は、仕事帰りの寄り道を行なった事が無い。桜井が覚えている限り、彼は定時に帰り、母親の面倒を看続けている。実際、桜井も何度か家に赴き、彼の母親と会った事があった。
今日もまた、彼はすぐに帰宅する予定であった。が、「すぐ戻る」と言っておきながら、10分しても戻らない。
おかしいと思った次の瞬間、悲鳴が聞こえてきた。
二階の壁画。その前で彼は見付けた。巨大な黒いもの。それは黒光りする甲殻を有し、一つ目のごとくぎらついたコアを光らせる。
カチカチと顎と鳴らしたそれは、つんとした酸の臭いを漂わせている。それは、猫と昆虫とを奇妙に混淆した鳴き声をあげた。そして、そいつは喰らいついていた‥‥置田の動かなくなった身体に。
「で、桜井氏は獣化し、近くに積まれたままの機材を手にした。幸いにも内装用の鉄パイプや鉄骨が近くに置かれてたので、そいつを引っつかんで投げつけたそうだ。が、直撃したも効果は無く、中には無効化されたものもあった。‥‥溶かされてな」
担当官が、君たちに説明する。
「そいつは、アリの身体的特徴を有したナイトウォーカーだ。アリのごとく、甲殻、鋭い顎、そして蟻酸よろしく酸を放つ事ができるわけだ。しかも、酸そのものをホースで放水するように放つだけでなく、霧状にして身を守ったり、不用意に突っ込んできたヤツにダメージ与えたりと、厄介な使い方もできるそうだ」
桜井はそのせいで、大怪我を負った。パイプの直撃を受けて倒れたナイトウォーカーから置田の遺体を引き上げようとして、こいつが放った霧状の酸に体を焼かれたのだ。
「硫酸ミストならぬ、蟻酸ミストってとこだな。お前らの今回の任務は、こいつを、コードネーム『アシッドアント』を殲滅する事だ。ただし、状況はあまり良くない。児童会館のある場所は都会のど真ん中だし(周囲は公園で囲まれてはいるがな)、壁画を壊すわけにはいかない。壁画は子供たちが作ったものだ。できれば、壊したくは無い。
都会のど真ん中。じきに公開する児童会館の二階室内運動場にて、壁画に感染しているナイトウォーカーを倒せ。壁画を傷つける事なく‥‥。平たく言えばそんなとこだ。ちなみに‥‥」
わざと動物を感染させ実体化させる作戦は、効かないらしい。
「WEAの調査員が、夜中に現場を調査に行った時の事だ。壁画の前に、また野良猫が入り込んでいた。それに感染したものと思い、調査員は観察していたが、彼らの目の前で壁画からアリ野郎が現れ、そいつを溶かし、食らい、暗がりへと消えていきやがった。原因は不明だが、少なくとも猫は壁画を見たのに、感染はしなかった。これは事実だ」
つまりは、なんとかして誘き出し、これを殲滅する方法を考えなくてはならないという事だ。
「あれから数日は経っている。おそらく、また壁画に感染しているだろう。奴を殲滅するのは簡単にいかないだろうが、世の中に簡単な事などない。やってくれるのならすぐに準備をしてくれ」
●リプレイ本文
「すると‥‥蟻酸は口から発射したんだね?」
病院、ないしは桜井が入院している病室にて、ベルシード(fa0190)は何度も念を押した。
「ええ。あいつは口から酸を吐き出しました。霧状にしたら、しばらくは周囲を漂っていましたね。コアの位置はよくわかりませんでしたが‥‥頭か、胴体あたりに何か光るものが見えたような‥‥」
包帯が痛々しい桜井の言葉には、苦々しい感情も込められているのが感じ取れる。ベッドの上で横になっている獣人は、ひどい怪我で重症ではあったが、命は取り留めた。しかし、彼は後悔の念に苛まれていた‥‥自分の行動しだいでは、置田を救えたかもしれないという後悔の念に。
そのような様子を見て、ベルシードはかけるべき言葉をかけた。ありがちだろうが、他にふさわしい言葉があるだろうか?
「置田さんの仇は、必ずとるよ。だから‥‥自分を責めないで?」
作戦行動、当日。
日が暮れ、夜の闇が徐々に辺りを黒に染め上げる。
夜の帳が落ちる中、ミカエラ・バラン・瀬田(fa0203)は作戦行動の舞台となる児童会館、ないしはその事務室にて、疑問を口にしていた。
「このナイトウォーカー、いったいどんなヤツなのヨ‥‥。絵の姿のままで出てくるってワケ?」
「いや、それなんだが‥‥。件の調査員に確認を取ってみたところ、絵そのものが抜け出したわけじゃないらしいな」
片倉 神無(fa3678)が、タバコをくわえつつミカエラの疑問に答えた。
「わしも少々そのあたりが気になってな、確かめたところ‥‥単純な理由ぢゃった」
DarkUnicorn(fa3622)ことヒノトが、片倉の言葉を継ぐ。
「出現した様子をビデオに撮っていたために、確認したところ‥‥消えたわけではないらしい。原因は、やつの酸じゃ」
霧状にした酸。それが、周囲の光を屈折させ、あたかも消えてしまったように見せた‥‥ということだ。アリは壁に張り付き、酸の霧をまとってカモフラージュ。霧の幕をやぶり表れた様を見て、壁からいきなり出てきた‥‥と勘違いしていたのだ。それが、つい先刻に届いた分析結果。
「その当時は暗かったからな、実体化したように見えたのも無理らしかぬ事だろう。だが‥‥」
タバコの煙を深く吸い込み、鼻から出しつつ片倉はつぶやいた。
「からくりがわかったところで、やつの攻略ができたわけじゃあない。それに、かえって危険度が増したとも言えるな」
そう。ナイトウォーカー「アシッドアント」は、それが正しければまだ児童会館の内部に潜んでいるわけだ。
夜中。
銃を手にした樋口 愛(fa5602)が、建材のバリケードに潜みつつ、児童会館の壁画を見つめていた。
「するべき事は、全て行なった。そのはずだが‥‥」
前日までに、色々と用意し準備を整え、万端終わらせた。後は実際に事にあたるのみ。ではあるが、不安を払拭しきれない。
構内の図面はすでに受け取り、全員が頭に叩き込んである。酸に耐性のある建材は用意できなかったが、酸中和の消化剤に、石灰の袋は用意してもらった。足場も組みなおしてあり、戦闘時の用意はほぼ整っていた。
しかしそれでも、不安を消すには至らない。
「思った以上に広いし、入り組んでるね。どうすれば‥‥」
同じく、建材の陰に潜むMAKOTO(fa0295)もまた、不安に苛まれていた。これまで数多くのナイトウォーカーを葬った彼女だが、今回も勝てるとは限らない。こればかりは、どんな歴戦の勇士といえども同じ。例外は無い。
件の壁のある遊技場は広く場所をとってある。が、建材の他に遊具が多く置かれ、まだ整理がついていない状態。その雑然とした状況が、更なる不安を煽り不運を誘うかのよう。
しかし、二人の仲間は、マリアーノ・ファリアス(fa2539)とジョニー・マッスルマン(fa3014)の二人は、そのような不安におちいってない。少なくとも、そのように見えた。
「おねーさんたちに、カッコいいとこみせなくっちゃあネ!」
「YES! 後方からの支援はミーにお任せNE!」
陽気さを失わない二人を、MAKOTOは少しだけではあるが、ちょっと羨ましく思った。
夜中を過ぎた。
都会のど真ん中なれど、都市の中心部からは離れた場所に位置する児童会館。夜の街、ないしはその喧騒はここまでは伝わっては来ないものの、やはりどこか落ち着かない。人の気配は今のところ感じられないが、昼間には多くの人が行き来する場所。児童会館は、そんな場所に建っている。外観は装飾の無いビルなれど、壁画や彫像など、芸術作品を飾るスペースが空けられている。‥‥かの壁画と同じく。
遊戯室は広く大きいため、マリアーノことマリスが吊るした懐中電灯の明かりは、ほとんど役に立ってはいない。ヒノトは自身が設置したCCDカメラにて、死角を作ることなく壁画をカバーしてはいる。いるが‥‥それでもヒノトは他のメンバー以上に不安であった。なぜなら、彼女は外壁にて一人待機していたからだ。
幸いにして、作業用の足場はまだ組まれたまま。しかし、他のメンバーが内部にいるとはいえ、外で一人待機するのは心細さを感じずにはいられない。
手渡された片倉のトランシーバーに、連絡が入った。
『チェックメイトキング・ツー、チェックメイトキング・ツー、こちらホワイト・ロック。聞こえるか? どうぞ』
「こちらチェックメイトキング・ツー、感度良好じゃ。どうぞ」
『現在12:00時。これより作戦を開始する。しっかり頼むぜ。どうぞ』
「わかっておる。こちらに逃げ出してきたら即座に倒してやるとも。そちらも何かあったらすぐに連絡するんじゃぞ? どうぞ」
『ホワイト・ロック。了解。交信終了』
ベルシードとマリスの、奇妙な分身。正確には、灰代傀儡によって作り出された、魂無き分身。ベルシードには釣り針が、マリスにはアルカリ剤が、それぞれに仕込まれている。
これらを囮にして目標を誘き出し、片倉と樋口が狙撃。ダメージを与えたところで、酸に気をつけつつミカエラとMAKOTOらが近接戦闘でさらなるダメージを。
壁画の裏側に逃げた場合、ヒノトがそこには待ち受けている。
負傷した場合、ジョニーが治癒を。
「さて、それじゃ始めようよ。パーティの開始だ!」
「OK! イッツShow time!」
マリスとジョニーの言葉とともに、全員が獣化し、作戦開始した。
傀儡の囮が、壁画をなめるように歩いていく。改めて見ると、実に大きな壁画だ。この壁画に隣接し、バスケットボール、及びバレーボールが出来るコートが設けられている。すぐ隣には、各種スポーツに用いる機材やボールなど、スポーツ用品が詰め込まれる予定の倉庫。必要に応じ、常駐している係員が取り出し、設置するというものだ。現在は、工事用の機材や建材、道具各種が入れられている。奇妙な形のブロックが十数個に、曲がりくねった鉄骨が数十本。これらもコート隣の遊戯室にて、遊具として設置される予定のもの。
そのブロックのひとつが、折りたたまれた脚を伸ばし、徐々に動き始めた事に、獣人たちは気づかずにいた。
ベルシードは、傀儡を歩かせつつも、改めて壁画に見入っていた。
件のアリ家族以外に、そこには下手で稚拙ながらも、子供らしい発想と色使いとが混在した夢の世界が描かれている。別の場所には蜂蜜を振舞うハチの家族、また別の場所には擬人化されたカブトムシとクワガタが戦いを繰り広げている。どうやら全体として「虫・昆虫」のテーマで統一したらしい。稲を両手の鎌で刈るカマキリや、ファッションドレスのように翼を広げている蝶と蛾、カタツムリと一緒に日傘を差して歩いているテントウムシのおばさんの姿もある。
片倉は望遠視覚と鋭敏視覚を発動させ、鷹のように、まさに自身が獣化した猛禽と同じ、鋭い視線を投げかけていた。のどかな壁画も、怪物が関わっていると知るとおぞましい感情が同時にわきあがってくる。
その原因が、いきなり出現した。
「!」
倉庫からいきなり出現したそれに、灰代傀儡のマリスは対処できなかった。喰らいつかれたそれは、瞬く間に灰の塊と化して崩れ落ちる。
が、六本足をせわしく動かし、そいつはもう一体の傀儡に襲いかからんと迫り来た。
「野郎!」
狙撃担当の二人、ないしはその片方である樋口が手持ちの銃を構え、狙いを定める。
「アシッドアント」の姿が、突如として揺らいだのだ。そして、背景に溶け込むがごとく、その姿が不明瞭に。
「これが、噂の蟻酸ミストか!」
片倉もまた、うめいた。その鋭い視線にてコアの位置を確認しようと試みたが、それがうまく行かない事を知った。
アリの身体には、コアらしき器官が認められた。が、それは頭部と胴体部にひとつづつ鎮座していた。片倉の視覚にも、それはどちらが本物のコアかまでは分からない。
R−RAYを構えた樋口と飛羽針撃を仕掛けようとした片倉だが、それは躊躇われた。外したらもちろん、当てたとしてもダメージを与えられるか否か、難しい状況だ。
『こちらヒノト、どうした!?』
「こちら片倉、出やがった! 十分に注意しろ!」
『わかった! 気をつけよ!』
トランシーバーより、ヒノトの声が響いてきた。大慌てで片倉が出て、状況を説明する。が、それとともにそいつは吼え、傀儡をよそに向かってきた!
南無三! それとともに、R−RAYの引き金を引く樋口。光線が銃より放たれ、アリの頭部、ないしはコアらしき球体を貫いた。
痛みを感じたせいか、そいつはのたうち回り、苦しげな声をあげる。そいつの身体より流れ出た体液が、床にこぼれ汚していった。
「後は‥‥」
「私たちに任セテ!」
倒れたアリに対し、MAKOTOとミカエラが進み出た。見たところ、蟻酸ミストは振りまかれていない。ならばなんとか、近接接近戦に持ち込み、直接コアを叩く事ができるだろう。
「怪我したら、ミーにお任せネ! 心配無用だっZE!」
ジョニーの声を背中に受けつつ、二人は突撃した!
「青毒黒爪!」
生成した毒を爪に乗せ、アリへと流しこむミカエラ。固い甲殻なれど、攻撃できないほどではない。
「!」
毒がまわり、アリの身体が麻痺し始めた。目に見えて動きが鈍く、緩慢になる。完全に動かなくなるその前に、MAKOTOが襲い掛かった。
虚闇黒衣の虚無をまとい、鋭敏視覚にて視力を増強。金剛力増にてパワーを増し、細振切爪にて更なる甲殻を切り苛む。悪魔のアリは、悪夢を見た事だろう‥‥見られればの話だが。
胸部より抉り出された、コアが潰されるのも時間の問題だった。
「ふむ、終わったようじゃな」
ヒノトが外から戻り、彼女はずたずたになったナイトウォーカー、ないしはそれの残骸があった場所を見つつ呟いた。
「いやあ、MAKOTOおねーさんとミカエラおねーさんの連携がすごかったからね。マリスも援護したかったけど、そんな必要なかったよ」
マリスが、ヒノトへとその様子を説明する。
「ああ、あと必要なのは、後始末くらいなもんだ。ま、これで犠牲者も浮かばれるだろう」
樋口が、それに続けて言う。
少なくとも、子供を脅かすナイトウォーカーは倒した。後片付けを行い、帰る頃には夜明けになっていた。
夜明けの朝日に照らされる児童会館を見つつ、獣人たちは思った。二度とここに、悪魔が潜まないようにと。