ヒャクジュウオー!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
外村賊
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/30〜08/03
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●本文
いよいよ楽しい夏休みが始まった。しかし聖獣防衛組として世界の平和を守っている武野小五年一組は、そうそう遊んでもいられない。人気の少ない小学校に、防衛組の生徒達は、いつもと同じように登校してきた。
それと言うのも長期の休みであるこの時期を利用して、これまでの情報を整理しようと言うことになったからだ。
授業がある間は戦うことで精一杯だったが、これまでのデータを集め、まとめる事でより効率よく魔獣界と戦えるのではないかとみんなで相談してのことだった。もちろん、遊びたい子も何人かはいるみたいだけど‥‥
「いくぞ!」
みんなが揃った事を確認して、教壇から飛び出したレバーを引く。ぱっと緑の光が目の前に弾けた。
教室の真ん中当たりの天井がスライドして、人の頭ほどの八面体の宝石がふわりと降りてきた。
宝石が光を放ち、光を浴びた教室は、その姿を変えていく。
黒板や窓は大きなモニターに。机は浮き上がって、中央に集結。天板がひっくり返ると、大型スクリーンとメインコンピュータにアクセスするコンソールへと変わる。
教室の後ろのランドセルロッカーはそれぞれスクリーンになり、各聖獣のデータを映し出す。
メインコンピュータには今までの情報が記録されている。これを使えば、時間は掛かっても、より確実なデータを作る事が出来るだろう。
それから――前回手に入れた、破壊獣の残骸らしき黒い三角錐。これを調べられるような機能も、もしかすると備わっているかもしれない。
☆★☆★☆★
『獣王武神(じゅうおうむじん) ヒャクジュウオー』第七話・概要
ヒャクジュウオーとは‥‥地球征服をたくらむ魔獣界と、聖獣界の戦士から地球の防衛を託された武野小学校五年一組の戦いを描く、小学生をターゲットにしたロボットアニメーション。戦いを通して正しき心を成長させる子供達にスポットを当てる。
参加希望者は詳細をよく読み、希望届けに記入の上、締め切りまでに届けを出すこと。
☆演技指針☆
聖獣防衛組:データ整理と今後の方針について話し合おう
魔獣界:‥‥?
★新設定
とくになし
☆専門用語☆
・聖獣:聖獣ブレスに封じられた聖獣界の戦士。正義の心によって具現化し、動物をかたどったロボットになる。心の力が弱ければ弱体化、悪ければ召喚さえ出来ない。子供達はブレスで指示を出し、遠隔操作する。
・司令室:教室が変形。瞬間移動装置など、さまざまな機能があるが、全貌は明らかになっていない。
・聖獣合神:司令室にある宝石を核として、それぞれの聖獣を合体させる。各部分の制御が必要なため、生徒達がコクピットに乗り込む。
それぞれの聖獣が合体後どの身体の部位になるかは、操縦者の意思による。
頭部になった聖獣の操縦者がメインパイロット。その聖獣の能力に準じた強力な必殺技を、一度だけ使える。
・魔獣:聖獣と同じ獣型。この状態ではブレスによる遠隔操作。
・破壊獣:コワ・エネルギーから作られたモンスター。人々を怖がらせてコワ・エネルギーを吸収、徐々に巨大化していく。
・破壊魔獣:魔獣が破壊獣を取り込むことによって人型に変形した姿。聖獣よりも一回り大きく、強力になり、魔獣の必殺に加え、破壊獣の特殊能力が使える。エネルギー制御が必要なため、魔獣界人が実際に搭乗して動かす。
☆希望届け☆
1、希望役(いずれか)
・武野小・五年一組の生徒(前回出演者は同じ役柄が望ましい)
・魔獣界の戦士(同上)
・その他、前回担当脇役など
2、やりたい役柄
・名前
・性別
・外見(簡潔に)
・長所(一言で)
・短所(一言で)
・聖(魔)獣(獣人種族をモデルにしているので、その範囲で決定する事)
・必殺技(一つ)
3、破壊獣
今回登場なし
●リプレイ本文
―声の出演―
昴・A・栞(組長)(委員長 猫聖獣ワイルドキャット)‥‥槇島色(fa0868)
大高屋 亮(ガリ勉 ユニコーン聖獣モノケロス)‥‥藤拓人(fa3354)
飯田 公恵(物静か 大熊猫聖獣アイニー)‥‥笹木 詠子(fa0921)
羽田 涼子(活発 鷹聖獣バーニング・ホーク)‥‥RASEN(fa0932)
獅堂 吼(熱血 獅子聖獣ブラスト・リオン)‥‥谷津・薫(fa0924)
姫野木 静夜(姫)(泣き虫 ハムスター聖獣シャンガリア)‥‥カナン 澪野(fa3319)
ペギリーフ(自称天才策略家 小鳥魔獣オキノダユウ)‥‥各務 英流(fa3345)
カレンスキー(ナルシスト 狼魔獣ケルベロス)‥‥ディノ・ストラーダ(fa0588)
★
今日も夏の暑い日ざしが照りつける武野町。
「その恰好‥‥暑くないんですか?」
「黒いコートに目深帽は、探偵なる職業の正式な制服なのである!」
「へえ、探偵さんですかぁ‥‥お仕事ご苦労様です」
最初不審そうだった女性はそれを聞くと、にっこりと微笑んだ。魔獣界の自称天才策略家ペギリーフは、コートの中のモグラ顔を笑ませた。地球人に近づき、防衛組の弱点になるものを探そうと言うのが目的である。天才に掛かれば地球人を騙す事など訳もない事だ。
黒革の手帳を取り出すと、もったいぶった態度で『―証言1―』と書き込んで、聞き込みの姿勢をとった。
「それよりも、あの小賢しいチビガ‥‥いや、聖獣を操る子供達の事について聞きたいのである」
「あの子達は、自主性があって、とってもいい子ですよ! でも‥‥」
女性は急に元気をなくして、涙ぐみ始める。
「もう少し先生の言う事、聞いてくれてもいいかなって‥‥」
黒板消しは、的確に涼子と吼の後頭部を捉えた。すこーん!と小気味よい音が聖獣防衛組・司令室に響き渡った。
「サボろうとするとは何事だ! お前達は自分の聖獣のデータ整理もまだだろう!」
栞は司令室の扉のまん前で頭を抱えてうずくまる二人に怒鳴った。黒板消しを投げたとき手についたチョークの粉を、憤然とした態度で払う。
「え、えへへ‥‥ほら、午前中もぶっ続けだったしさ、ちょっと休憩しようかなって‥‥」
「それはみんな同じだ」
「こんな事しなくたって今までだって勝って来たじゃんかー」
「これからの戦いを有利に運ぶ為には必要な事だ、と言ったはずだ」
色々と言い訳をする二人だが、栞は全く取り合わない。組長とあだ名されるだけはある、いつもの厳しい態度だ。彼女の統率のお陰で切り抜けられた部分も多いが、今回ばかりは言い分がある。吼は勢い良く立ち上がって、栞に詰め寄った。
「今は夏休みだぞ、な・つ・や・す・み! 子供は遊ぶってソウバが決まってるだろ!」
「私達は世界の平和を守っているのだ。普通の小学生と同じ扱いで許されると思っているのか」
「防衛組だって夏休みは夏休みだろー!」
吼はじたばたしながら主張する。そんな姿を見て、栞は鼻で笑った。
「都合のいい時だけ小学生ぶるとは、五年生にもなって、まだまだ子供だな」
「小学生はまだ子供ですー! あ、さてはお前、小学生のフリしたオバハンだなっ!?」
「な‥‥何!」
栞の表情が一気にこわばるのを、その時吼以外の全員が感じ取った。
―証言2―
「防衛組ぃ? あの子達は野蛮ザマス! 亮チャマのほかは全員、ロクに勉強もせずに暴れまわっているオチコボレザマス!」
「おお、あのいつも訳の分からんロボットに乗って戦ってる奴だろォ? あれが出るたんびに町が壊れまくるってんで、こちとらいい迷惑してんだ!」
〜ザマス眼鏡の女と青果店の主人〜
「ふ、二人とも、ケンカは良くないよ‥‥!」
「そうだよ吼、組長怒らせちゃったら逃げるに逃げらんな‥‥じゃなくて駄目だよ!」
亮と涼子が止めようとするが、すでに只の悪口の応酬になっている二人の耳には届かないらしい。二人とも今にも組み付かん勢いでにらみ合っている。姫と公恵は険悪な雰囲気に立ち入る事が出来ずに距離を置いて眺めていた。
「このオトコオンナ!」
「万年0点が!」
「‥‥っ、誰が0点なんて‥‥!」
苛立ち任せに吼はコンソールのパネルを思い切り叩いた。
――ブン――
と低い音がして、パネルが光った。今まで見たことのない反応だ。
「吼‥‥!」
「な、お、俺は何もしてないぞ!」
急に勢いは消えうせて、吼はあとずさった。てっきり壊したものと思ったのだ。しかし、そうではなかった。
「宝石が‥‥!」
中央に浮かんでいる宝石が急に輝きを増し、さっと光を放った。照射された光は黒板のモニターに一つの像を映し出す。
真っ暗な空間。白い点が無数に散らばっている。宇宙だ。
そこに、聖獣と魔獣の姿があった。二体の獣は、勢いをつけて互いに交錯する。瞬間、火花が舞い散り、星々に紛れて消える。互いに距離をとってはぶつかり合う事を、延々と続けていた。
その映像に、みんなはケンカの事なんかすっかり忘れてしまった。
「ブラスト・リオン‥‥?」
白銀の獅子聖獣は、吼が操るブラスト・リオンに良く似ていた。
「どういう事‥‥?」
みんなは目を凝らして見入る。防衛組はもちろん宇宙に出た事なんかない。映像の端に時折文字らしき物が現れるが、知っている文字とはどれとも似つかなかった。
「聖獣界の文字‥‥なのかな?」
「それじゃあ、これは聖獣界の戦いの記録?」
確かに映像にはところどころノイズが混じり、古い印象を持たせる。
「あっ」
戦いに動きがあった。聖獣がその爪で魔獣の喉笛を切り裂いたのだ。激しい爆発。銀の獅子の勇姿に、赤々とした炎が照りかえると、映像が途切れ、画面が切り替わった。
また宇宙のどこかだ。
今度は集団戦闘の最中だった。どちらの陣営も入り乱れ、聖獣や魔獣が爆発し、砕け散る様が、目を瞬かせる間に何度も起こる。その中にあって、目覚しい動きを見せる聖獣――また、ブラスト・リオン似の聖獣だ。そしてその背後にもう一体、銀に光る狼が、迫ってくる。それもみんなが良く知った、魔獣だった。
「フェンリルだ!」
「危ない!」
しかしフェンリルは獅子聖獣を飛び越え、その側面から獅子を狙っていた魔獣を打ち滅ぼした。その後も二体は共闘を続けて魔獣を倒し続ける。
まるで長年付き合った戦友でもあるかのように、互いの息は合っている。
「どうなってんだ‥‥?」
みんなが首をひねる中、姫は無意識に胸に手をやっていた。一見、聖獣の快進撃に見える。だが、姫の心は得体の知れない恐怖を覚えていた。違う、こんなことでは終わらない。もうすぐ、もうすぐ‥‥
「やだ‥‥」
震えた声がもれ出た。画面が急に暗くなった。
「やだ、来ないで!」
「姫‥‥?」
姫が耳を塞いで屈みこんでしまったのは、同時だった。
画面では突如として現れた黒い影が、巨大な波のように戦場を取り囲んでいた。影は津波となって、聖獣・魔獣の別なく襲い掛かり、飲み込んでいく。
「闇が‥‥悪しき闇がくる‥‥! 誰か‥‥お兄ちゃん‥‥助けて!」
影は全てを押し流しつつ、徐々に画面に迫る。そして、闇に飲み込まれ、映像が途切れた。
「お兄ちゃん‥‥お兄ちゃん‥‥」
「姫! ‥‥姫!」
はっとして姫は顔を上げた。迫りくる闇ではなく、みんなの心配そうな顔が取り巻いていた。隣でしゃがみ込んだ公恵が、優しく背中を撫ぜた。
「どうしたの? ‥‥顔色、悪いわ」
「う‥‥ん‥‥なんだか‥‥凄く、怖くて‥‥ごめん」
まだ混乱が残る中、姫は頭を下げた。
「‥‥気分が悪いのなら、今日はもう帰った方がいい」
「あ、じゃあ私が送ってくわ! こんな姫、一人で帰しちゃったら心配だし!」
勢い良く涼子が手を挙げた。が、すかさず栞の睨みが涼子を捕らえた。
「待て。お前はまだデータ整理が残っているだろう‥‥」
「あっ、あはは‥‥!」
言葉尻の余韻に、今度逃げたら只では置かんという無言のメッセージを受け取って、涼子は引きつった笑みを浮かべた。栞は涼子から亮に視線を移す。
「すまないが、姫を送ってくれるか」
「うん。いいけど。歩ける?」
姫は蒼白な顔で頷いた。二人はゆっくりと司令室から出て行った。栞の錨のオーラを受けながら、涼子は肩をすくめてデータ整理に戻っていく。思わず、呟きがこぼれる。
「‥‥破壊獣より組長の方がよっぽど怖いって‥‥」
――コワイ‥モノ‥‥クミチョウ――
「何だって!」
涼子は慌てて身を竦ませたが、栞が睨んだのは涼子ではなかった。
誰もいない。
「今‥‥誰か私を」
「組長、これ、見て‥‥」
公恵が指さしたのは、今まで栞と公恵で調べていた三角錐を入れたケージだ。小刻みに震えている。
「これが今、言葉を」
「‥‥私が怖いって?」
――クミチョウ コワイ――
今度ははっきり耳にした。震えながらその三角錐は言葉を発した。言葉と震えは、段々と微弱になって、やがて沈黙する。
「組長は鬼のように怖い!」
吼が叫んだが反応はない。代わりに、栞から再び黒板消しの洗礼を受けた。
「きっと、もう力が残ってないのよ‥‥倒した破壊獣の中から出てきたものだから‥‥」
公恵は静かに意見を述べた。
「よし、この反応を元にもう一度調べなおしてみよう」
―証言3―
「確かに町を壊しますけど、後でパンダの聖獣がきっちり直してくれますよ。そういえば、防衛組の女の子なんですがね、学校の帰りに、時々この公園の掃除を手伝ってくれるんですよ。今時感心な子ですよ」
〜武野中央公園管理人〜
「ふむ、なかなか見上げたチビガキではないか‥‥ってちがーう!」
美談を神妙に書き写した後で、ペギリーフは当初の目的を思い出した。
「そー言うのでなくてだな、もっとこう、弱点とか、基地の場所であるとかな‥‥」
「武野小ですよ」
「何‥‥っ?」
「知りませんか? 武野小からいつも光が‥‥」
その時、つんざくような超音波が管理人の声を掻き消した。
「むう、誰かが破壊獣でも暴れさせたかっ!?」
超音波の方に顔を向けると、大勢の人間がこちらに向かって逃げて来る所だ。だがその後ろに破壊獣らしき影はない。むしろ後ろを追っかけている人間達が発しているように聞こえる。
「きゃああっ、待って貴公子様〜!」「お顔をお見せくださいーっ!」
人間が、一番前を走っている一人の男を追いかけているようだ。段々近づいて来るうちにその男が見慣れた顔であることに気付いた。
「カレンスキー!?」
魔獣界の戦士、カレンスキーである。元々色の白い肌を青白くして、必死に逃げている。ペギリーフには気付く様子もない。というか、前方に誰かいることにも気付いていない。避けるそぶりなど全く見せず、真っ直ぐこちらへ突っ込んでくる!
避けていくものと思い込んでいたペギリーフは反応が遅れた。
「なっ、ちょ、待‥‥!」
台詞を言い終わる前に、肉薄したカレンスキーと人間達はペギリーフを跳ね飛ばし、そのまま駆け去っていった。
まだ日差しのきつい町を、姫と亮は並んで歩いた。
「姫の家族って何人だっけ?」
「ん? 普通に、三人家族だよ‥‥お父さんと、お母さんと、僕‥‥何で?」
「いや‥‥さっきさ、お兄ちゃん、って言ってたから」
「うん‥‥何でだろ‥‥気付いたら、言ってたの」
自分でも不思議だった。映像を見た時、その場にまるで居合わせたかのような気分になって、思わず叫んでしまった。少し思い出しただけでも、得体の知れない恐怖が押し寄せて、姫は胸の前で強く手を組み合わせた。
「貴公子様ーっ!」
まるで超音波のような声が、聞こえたのはその時だった。前の方から土煙を上げてたくさんの人が走ってくる。危険を感じて道の端に寄った二人のそばを、すさまじいスピードで通り過ぎていく。
すれ違う瞬間、姫は先頭を逃げる青年と目が合った。
それは遠足のとき、霧の中でであった――そして。
脳裏に、まだ幼さの残る、同じ青年の笑顔が蘇っていた。
その傍らには、司令室の映像で見た、フェンリルに似た聖獣を従えて。
(「お兄‥‥ちゃん‥‥?」)
カレンスキーもまた、驚いたようにこちらを見ている子供を見、思わず立ち止まりかけた。しかし鬼気迫る追っかけの力が圧倒して、そのまま逃げ続けざるを得なかった。
戦いの中で生き別れた弟がいる。その波動が先程の子供に感じられた気がしたのだ。
(「お前なのか‥‥キレイスキー‥‥我が、弟‥‥」)
「せめて、せめてお名前を〜〜!!」
おぼろげで儚い弟の面影は、追っかけ達の黄色い超音波にを前に掻き消えてしまいそうだった。