ヒャクジュウオー!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
外村賊
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
2人
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期間 |
12/12〜12/16
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●本文
戦艦での宣戦布告を行って以来、魔獣界指揮官を名乗るハザードは魔獣や破壊獣を続けざまに送り込んでくる。休む暇もなく、防衛組は出撃しなければならなかった。
警報が鳴り響き、教室を司令室へと変化させる。ブレスで聖獣を召喚し、現場に駆けつける。
そうして戦い続ける聖獣たちに、かつての勢いは、ない。
聖獣の敗北。
さらわれたクラスメートの洗脳。
魔獣界の戦士はかつて聖獣が裏切ったために魔獣界が邪神の手に落ちたのだと言い、
先日の戦闘では、魔獣が聖獣をかばい、クラスメートの一人を指して『皇子』と言った。
聖獣防衛組は立て続けに起こった出来事に混乱していた。
みんな一人ひとりの中に、それぞれの思いが渦巻いている。悪を倒し、平和を守るという思いの中で繋がっていたみんなの心が、少しずつばらばらになろうとしていた。
恐れ、疑問、怒り、悲しみ、焦り。
みんなは、防衛組は、どうなってしまうのだろうか。
★
「ふん、他愛もない」
水盤の間でハザードは地球侵略の報告を聞いていた。聖獣たちは士気がさがっているらしく、弱体の一途をたどっている。ハザードは命じて、地球の多様な場所に魔獣や破壊獣を送り出し、聖獣と軽く戦っては撤退させる事を続けていた。そもそも魔獣界が戦うのは聖獣を倒すためではなく、邪神を復活させるためだ。聖獣に倒されずどこかに逃げ去った魔獣と破壊獣の影に、人々は怯え、コワ・エネルギーを放出し続ける。
「かつての地球侵略部隊員とその配下はどうされます? 探して捕らえますか」
「いや。城の防御に専念しろ。既に捕らえた者も牢に繋いだままでいい。まあ、中で使えそうな奴がいたらコワ・エネルギーを使って俺の人形にしてやってもいいがな‥‥クク」
ハザードは黒い鉄甲に包んだ手をコワ・エネルギーの満ちる水盤にかざす。ハザードの強攻策が始まってからコワ・エネルギーは瞬く間に増え、水盤は黒いエネルギーで今にも溢れそうだ。水底からは邪神の胎動、寒気を覚えるほどの恐怖の波動が伝わってくる。
「聖獣どもが大人しいお陰でエネルギーは予測以上の速さで集まっている。儀式を行う日も遠くない。アーク・ゴーンさえ復活すれば、奴らがこそこそと何を企もうが、地球にどんな秘密があろうが、もう知ったことではないだろう」
それは『そこにある』というだけで、誰もが無力に怯え、跪く。唯一絶対の恐怖の力を持つ神。その力を思うだけで、ハザードは喜びに震える。神を自らの手で蘇らせ、そして――
「全てが魔獣界に――この俺にひれ伏す!」
★
教室に繋がる異次元。
『地球の‥‥子供たち――』
司令室の宝石が、静かに瞬いた。
☆★☆★☆★
『獣王武神(じゅうおうむじん) ヒャクジュウオー』第十二話・概要
ヒャクジュウオーとは‥‥地球征服をたくらむ魔獣界と、聖獣界の戦士から地球の防衛を託された武野小学校五年一組の戦いを描く、小学生をターゲットにしたロボットアニメーション。戦いを通して正しき心を成長させる子供達にスポットを当てる。
参加希望者は詳細をよく読み、希望届けに記入の上、締め切りまでに届けを出すこと。
☆演技指針☆
聖獣防衛組:自分と向き合う・みんなを励ます
魔獣界:それぞれの目的を果たす
★新設定
新武器:窮地を乗り越えようとしたとき、司令室のプロテクトが解除され、聖獣たちに新しい武器が装着される。
☆専門用語☆
・聖獣:聖獣ブレスに封じられた聖獣界の戦士。正義の心によって具現化し、動物をかたどったロボットになる。心の力が弱ければ弱体化、悪ければ召喚さえ出来ない。子供達はブレスで指示を出し、遠隔操作する。大ダメージを受けた時は、数日の修復期間を要する。
・司令室:教室が変形。瞬間移動装置など、さまざまな機能がある。
・聖獣合神:司令室にある宝石を核として、それぞれの聖獣を合体させる。各部分の制御が必要なため、生徒達がコクピットに乗り込む。
それぞれの聖獣が合体後どの身体の部位になるかは、操縦者の意思による。
頭部になった聖獣の操縦者がメインパイロット。その聖獣の能力に準じた強力な必殺技を、一度だけ使える。
・魔獣:聖獣と同じ獣型。この状態ではブレスによる遠隔操作。
・破壊獣:コワ・エネルギーから作られたモンスター。人々を怖がらせてコワ・エネルギーを吸収、徐々に巨大化していく。
・破壊魔獣:魔獣が破壊獣を取り込むことによって人型に変形した姿。聖獣よりも一回り大きく、強力になり、魔獣の必殺に加え、破壊獣の特殊能力が使える。エネルギー制御が必要なため、魔獣界人が実際に搭乗して動かす。
☆希望届け☆
1、希望役(いずれか)
・武野小・五年一組の生徒(前回出演者は同じ役柄が望ましい)
・魔獣界の戦士(同上)
・その他、前回担当脇役など
2、やりたい役柄
・名前
・性別
・外見(簡潔に)
・長所(一言で)
・短所(一言で)
・聖(魔)獣(獣人種族をモデルにしているので、その範囲で決定する事)
・必殺技(一つ)
3、破壊獣
・名前・外見・特殊能力・弱点
今回は全て自由に決定可。
●リプレイ本文
姫野木 静夜(泣き虫 ハムスター聖獣シャンガリア) カナン 澪野(fa3319)
春野 ウララ(天然ボケ 犬聖獣サイレント・ドッグ) ☆島☆キララ(fa4137)
羽田 涼子(活発 鷹聖獣バーニング・ホーク) RASEN(fa0932)
昴・A・栞(委員長 猫聖獣ワイルドキャット) 槇島色(fa0868)
大高屋 亮(ガリ勉 ユニコーン聖獣モノケロス) 藤拓人(fa3354)
林藤 桔梗(電波系 兎聖獣シンキングラビット) 美森翡翠(fa1521)
カレンスキー(ナルシスト 狼魔獣ケルベロス) ディノ・ストラーダ(fa0588)
ペギリーフ(自称天才策略家 小鳥魔獣オキノタユウ) 各務 英流(fa3345)
セシューム(妖艶 竜魔獣ドラグーン) 星野 宇海
リオウネ(沈着冷静 蛇魔獣ブラックバイパー) RURI
★
シャンガリアの小さな機体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。
「が‥‥頑張らなきゃ。みんなが、来るまで‥‥」
『そんなものか、聖獣よ!』
相対するカイザービーストの力強い一撃が、シャンガリアの装甲を引き剥がす。
(「夢に出てくる‥‥この人の声」)
静夜は戦いながらも、迷いが捨てきれないでいた。魔獣界の戦士、カレンスキー。これまで幾度も出会い、その度に懐かしく、しかし恐ろしい気持ちが心で揺らいだ。失くしてしまった過去の記憶、その中に彼の残像が見えるのだ。
(「あなたは‥‥僕のお兄ちゃんなの‥‥? 僕は魔獣界の人間なの‥‥?」)
桔梗は生まれつきの不思議な共感能力で、静夜の心が不安定さを感じ取っていた。
「姫乃木君‥‥このままじゃ‥‥」
桔梗もシンキングラビットも損傷が激しい。腕のブレスに目を落とす。そこに、司令室の宝石の意志が不安そうに揺らいでいた。
「あなたの記憶を貸して‥‥シンキングラビットの力で、みんなを呼ぶの‥‥あなたの記憶、きっとみんなが思い出してくれる‥‥」
ブレスは今までと何も変わらないが、桔梗には強い力が胎動するのが感じられた。傷ついたシンキングラビットが、顔を上げる。小さなその瞳が輝き、上空に光を放つ。光は徐々に、何かの形を作り出していく。
★
「あたし達が行かなきゃ誰が行くってのよ!」
ベッドの中でうずくまる栞の姿は、防衛組司令官とは思えない。ハザードの立体映像を目撃してから、ずっとこの調子で入院している。まるで小さな子供のように首を振って、布団に潜り込むのを、涼子は乱暴に栞を引き起こそうとした。一緒にいた亮が、慌ててその肩を掴む。
「今組長に無理させちゃいけないよ‥‥それに」
涼子が凄い形相で振り返って、亮は次の言葉を呑みこんだ。
「それに、なによ」
「そんなに頑張らなきゃいけない必要、あるのかな‥‥」
促され、ためらいながらも、言葉を続ける。
「こんなに辛い思いをして、魔獣界には負けっぱなし‥‥それって意味がないよ‥‥いっそ、早く降伏してしまった方が楽な気がする」
「そうよ‥‥」
涼子の手を振り解き、栞が聖獣ブレスに目を落とした。
「こんなに辛いなら、その方が‥‥」
静かな病室に、さらに濃密な静けさが広がった。涼子の肩が震えているのが、亮の掌を通して伝わってきた。そう感じた瞬間、涼子は大きく右手を振り上げた。
ひゅっと腕が風を切り――病室に鋭い音が木霊した。
ベッドが揺らぎ、弾みで隣の棚においてあった物が床に散らばる。
「馬鹿ぁ!」
頬に走った痛みに栞は目を見開き、涼子は掌の痛みをこらえて栞を睨みつける。その目に涙が光っていた。呆然とする栞を強く、強く抱きしめる。
「何よ‥‥何それ! あたしだって怖いわよ! でもさ、地球を、みんなを守りたいって戦ってきたんでしょ! 防衛組みんなで‥‥。防衛組だったから、あたし、ここまで戦って来れたんだよ!」
「これは‥‥」
散らばった物の中から亮が黒い三角錐のペンダントを拾い上げる。それはかつて、破壊獣であることを飛び越え、栞と友達になった犬、カエサルの欠片だった。
『クゥーン‥‥』
その時、不意に犬の声が聞こえた。聞き覚えのあるその声に窓の外を見やる。
そこには嬉しそうに尾を振るカエサルがいた。空をスクリーンにして映し出されているのだ。それだけではない。今まで防衛組が戦った様々なシーンが、次々に映し出されていく。
破壊魔獣を一撃の下に倒すヒャクジュウオー。りりしいその姿が、青空に大きく描き出された。
★
桔梗の耳に、聖獣駆動音が聞こえた。
『桔梗! 姫!』
栞と涼子、そして亮だ。三体の聖獣はシャンガリアたちを守るように前に立ち、三人は仲間の元に駆け寄る。
「遅れて、すまない」
「あ、いつもの組長だ‥‥」
静かに頭を下げる栞に、辛そうながらも静夜は微笑む。
「どうしたの? ほっぺが赤いよ?」
栞は苦笑してまだ少し赤い自分の頬を触った。
「涼子特製の根性焼きだ」
「変な言い方しないでよ栞!」
慌てて涼子がそっぽを向く。隣で亮は頭を下げた。
「僕もごめん。負け続きで、自信がなくなってた」
「ううん、怖いの、僕も分かるから‥‥」
静夜は視線を上げた。続いてみんなもそちらを見やる。静かに防衛組を見下ろすカイザービースト。涼子が拳を振り上げた。
「みんな! やられた分、きっちり返すわよ!」
「ああ、聖獣合神だ!」
円陣を組み、ブレスをはめた手を重ねる。緑の光が輝き、上空に司令室の宝石が召喚される。光のを浴びた聖獣たちは変形し、組み合わされて――
『待ってぇ〜!』
「えっ?」
素っ頓狂な声と共に、緑の光に黄金の光が混ざった。合体中の聖獣の中に金色の輝く犬型聖獣が飛び込んでくる。
「な、何‥‥?」
「でも、さっきの声って‥‥確か」
首を傾げつつも完成したヒャクジュウオーのコクピットにワープする。と、搭乗人数が一人多い。
「ウララちゃん?」
ウララはみんなのほうを向くと、『さっきの声』でえへへ、と笑った。
「ちょっと色々大変でぇ、遅れちゃった‥‥ごめんね」
「じゃあ、あの金色の聖獣は‥‥」
問われて、ウララは照れたように笑う。
「実はわたし、聖獣界の王女様だったみたいなんです。その力でサイレント・ドッグがパワーアップして‥‥金色に」
周囲の計器が、定期的に音を立てる。
「え、ええーっ!?」
「う、ウララさんって、女の子だったんだ‥‥?」
「ばらす機会を完全に逃していたんですけど‥‥実はそうなんです」
「いや、今の問題はそこじゃなくて‥‥」
『ふ、生き残りがいたとはな』
カレンスキーがモニターに映ったヒャクジュウオーの姿を眺める。黄金のパーツを身にまとったそれは、力強いオーラを発している。
「ビューティスです、カレンスキー皇子」
本来の名をウララは名乗った。
「邪神の襲撃のときに、地球に逃れてきたんです。その時お母様が、私を心配してペンダントに記憶を封じたんです。それを大和先生が‥‥いえ、魔獣界の戦士リオウネが、術を使って戻してくれて‥‥。皇子、今までの非礼ご容赦ください。私を始め、地球の聖獣の戦士は事実を何も知らなかったのです。邪神復活の原因が、聖獣界にある事さえも」
「それ、本当だったんだ‥‥」
聖獣界が邪神を復活させた事は、以前もカレンスキーが言っていた。とても信じられない話だったが、ウララは神妙な面持ちで頷いた。
リオウネもヒャクジュウオーのそばへ駆け寄ってきた。
「過去の罪で争っている場合ではない事はお分かりのはずです! 邪神の復活は、すぐそこまでせまっています。今こそ聖魔の力で‥‥」
『出来んな。今の私には、邪神よりも聖獣界のほうが悪しく思える。共闘など言語道断』
カイザービーストは手にした獣斬剣をヒャクジュウオーに向けた。
『戦え、ヒャクジュウオー。お前を倒さない限り、私の恨みは晴れない!』
「なら‥‥僕は、戦う」
呟いたのは、亮だ。
「別に正義の味方をしたいわけじゃないし、認めて欲しいわけじゃない。でも、防衛組として、自分が大事だと思う物を守りたい。確かにちょっと挫けたけど、そのまま負けて終わりたくないよ」
桔梗はモニターからシンキングラビットの部位に働きかける力があることに気がついた。その瞬間、モニターの映像が全て切り替わる。
地上でヒャクジュウオーを見上げる、人々だ。様々な表情で、誰もが聖獣たちの戦いの行方を真剣に見守っている。
「‥‥宝石が‥‥応援してくれてるわ‥‥」
「地球の力を、感じます‥‥」
桔梗とウララが心に伝わる事をそのまま言葉にする。メインコクピットに座る静夜は目を閉じる。兄かもしれない相手。でも今は防衛組の静夜でいたかった。
「‥‥行こう」
静夜の言葉にみんなが答える。気配を察したカイザービーストが戦闘の態勢をとる。
『来い!』
二体のロボットは同時に動いた。カイザービーストの姿が掻き消える。光速の一閃、魔狼斬影剣だ。
ヒャクジュウオーはその身に黄金の光をまとう。地上で見守る一人一人の思いが、力となって胸の宝石を輝かせる。
まばゆいばかりの閃光。一瞬遅れて、交差した二体が互いに背を向けて姿を現した。しばしの沈黙の後、カイザービーストの機体に、青白いスパークが走った。
『強くなったな‥‥我が弟よ‥‥』
「‥‥!」
カレンスキーの呻くような声が聞こえたと同時に、大きな爆発が起こった。途端、静夜の胸に鋭い痛みが走る。
「姫!?」
気がつくと、静夜は押し寄せる記憶と激痛に立っていられなくなっていた。みんなが席から身を乗り出し静夜に呼びかける。苦しむ静夜が押さえる胸から、黒い光が漏れはじめる。
地上のリオウネは静夜に闇の力を注ぐ者がいることに気がついた。妖艶な女性――
「セシューム姉さん! 止めて! 核を奪えば邪神が‥‥!」
ひときわ大きな声で静夜が叫ぶ。黒い光はコクピットを満たし、静夜の胸から漆黒の球体が飛び出した。それはコクピットをすり抜けて空中に躍り出、凄まじい速さでセシュームの胸へと吸い込まれていった。
「ふふ、アーク・ゴーン様はじきに目覚められる。全ての宇宙よ、心して待つがいい‥‥」
リオウネの召喚した魔獣が飛び掛るが、セシュームは一瞬早く黒い光となり、空気に溶けて消え去った。
★
魔獣界、アーク城。
「ハザード! 観念するである!」
高々と叫ぶと、水盤に向き合っていたハザードがこちらへと顔を上げる。
「通気孔とは、随分な所からご登場だな。降りてこないのか?」
「ふんっ、お前みたいな戦闘バカ一代と同じフィールドに立つなど願い下げである!」
実は大きなお尻がつかえて抜け出られなかっただけだが、そこは語らない。ハザードがいきがっていられるのも今のうちだ。ペギリーフは恐怖に震える心を叱咤し、不敵に笑みを浮かべて見せた。
「魔獣界の悲願であるアーク・ゴーン様の復活を一人だけの手柄にしようとは随分大胆な発想であったが、お前は致命的なミスを二つも犯しているである!」
ビシッと指で二を示して突きつけるペギリーフを、驚きで声も出ないのか、ハザードは無言で見据えている。
「まず一つ! この城のカラクリはほとんど我輩の設計! その我輩をこの城に閉じ込めるなどできはしないである! そして二つ目! 貴様がどーんなに儀式を行おうが、アーク・ゴーン様は復活しない! 復活には儀式のほかに鍵が必要なのである! そしてそれはねーちゃんしか知らんのだ! ふふふっ、どーだハザードめ! ざまーみろである! やーいやーい!」
「そうなのかセシューム?」
『私を受け入れれば、アーク・ゴーンは蘇る』
「なっ!?」
突然響いた声に慌てたのはペギリーフである。ハザードがわずかに身体をずらす。水盤の上に黒い光が立ち、セシュームの映像が浮かんでいた。すでに鍵が手の内にあるとは、完全な計画ミスである。全身にだらだらと脂汗が伝う。そのお陰でお尻がすっぽりと抜け、悲鳴と共にペギリーフはハザードの足元に墜落した。
「同じフィールドに立つ覚悟が出来たらしいな」
くつくつと、ハザードは陰湿に笑う。
「確かに、お前の科学力は俺にはない力だ。どうだ、広い宇宙でも今この場でしか出来ない実験をする気はないか」
「な、ななっ!?」
「アーク・ゴーンの力を、この俺の中に取り込むのだ。成功したなら、好きな星を幾つでもくれてやる。失敗は許さん」
ハザードはペギリーフの鼻先に掌を突きつける。その中に、コワ・エネルギーを凝縮した光が灯る。一度開放されたなら、ペギリーフの頭など軽く消し飛んでしまうだろう。
この状態では魔獣を呼び出す暇もない。ペギリーフは選択を迫られた。