ヒャクジュウオー!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
外村賊
|
芸能 |
1Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
1万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
05/27〜05/31
|
●本文
廃ビルの奥に隠された、魔獣界の水盤の間――。
地球に降り立った聖獣の数はいまだ不明。しかし今までの出現パターンから見て、少なく見積もっても十以上の聖獣が即座に連携を取る事の出来る形で、地球にいることは確かだ。
そしてその聖獣たちに、これまで魔獣や破壊獣はことごとく敗北を喫していた。
巨大な銀の水盤に、ぽつりぽつりと滴り落ちる、黒い恐怖の力、コワ・エネルギー。
全宇宙から集まる恐怖は、魔獣界の全ての物に力を与える。
魔獣しかり、破壊獣しかり、魔獣界の戦士も、またしかり。
エネルギーを多く注入すればするほど、強く、恐ろしい存在と化す。
だがコワ・エネルギーは無尽蔵ではない。征服した数十、数百の星で、恐怖を搾り取っても、水盤には滴り落ちるほどのエネルギーにしかならない。
そしてそのエネルギーは、魔獣界の悲願、悪しき神アーク・ゴーンを復活させるために、増やしていかねばならないのだ。
『そんな悠長な事は言っていられない、今コワ・エネルギーの力を使い、聖獣を殲滅すべきだ!』
ある戦士達は地球侵略作戦会議において、こう進言した。
『すぐにエネルギーに頼るのは愚か者。自らの知略と武勇で聖獣を叩き伏せる事こそ魔獣界の誇り‥‥違う?』
自らに絶対の自信を持つ戦士達はそう言って鼻で笑う。
どちらにせよ――
戦士達は聖獣が予想以上に、計画の妨げになっている事に気付いていた。
★
じりりりりりっ!!
『魔獣出現、魔獣出現!』
教室横の火災警報器が機械的な声で警告を発する。
聖獣防衛組、武野小五年一組のメンバーは、はっとして立ち上がる。
「あー。またか!」
授業を妨害された先生は、まいった、という表情で頭をかいた。
「先生、出動してもいいですか!?」
「ああ、もちろんだ。早めに行って、ちゃっちゃと帰ってこいよ!」
★
このままでは引き下がれない。
魔獣界の戦士は廃ビルの屋上でブレスを構え、自らの魔獣を呼び出した。
必ず、聖獣どもを倒す――
強い誓いの下、戦士は歩き出す。
戦場へと。
☆★☆★☆★
『獣王武神(じゅうおうむじん) ヒャクジュウオー』第四話・概要
ヒャクジュウオーとは‥‥地球征服をたくらむ魔獣界と、聖獣界の戦士から地球の防衛を託された武野小学校五年一組の戦いを描く、小学生をターゲットにしたロボットアニメーション。戦いを通して正しき心を成長させる子供達にスポットを当てる。
参加希望者は詳細をよく読み、希望届けに記入の上、締め切りまでに届けを出すこと。
☆演技指針☆
聖獣防衛組:心を一つにして、聖獣を合体させ、勝利する
魔獣界:悲願達成の行く手を阻む、聖獣を倒す
★新設定
聖獣の合体:司令室にある宝石を核として、それぞれの聖獣を合体させる。各部分の制御が必要なため、生徒達がコクピットに乗り込む。
それぞれの聖獣が合体後どの身体の部位になるかは、操縦者の意思による。
頭部になった聖獣の操縦者がメインパイロット。その聖獣の能力に準じた強力な必殺技を、一度だけ使える。
☆専門用語☆
・聖獣:聖獣ブレスに封じられた聖獣界の戦士。正義の心によって具現化し、動物をかたどったロボットになる。心の力が弱ければ弱体化、悪ければ召喚さえ出来ない。子供達はブレスで指示を出し、遠隔操作する。
・司令室:教室が変形。瞬間移動装置など、さまざまな機能があるが、全貌は明らかになっていない。
・魔獣:聖獣と同じ獣型。この状態ではブレスによる遠隔操作。
・破壊獣:コワ・エネルギーから作られたモンスター。人々を怖がらせてコワ・エネルギーを吸収、徐々に巨大化していく。
・破壊魔獣:魔獣が破壊獣を取り込むことによって人型に変形した姿。聖獣よりも一回り大きく、強力になり、魔獣の必殺に加え、破壊獣の特殊能力が使える。エネルギー制御が必要なため、魔獣界人が実際に搭乗して動かす。
☆希望届け☆
1、希望役(いずれか)
・武野小・五年一組の生徒(前回出演者は同じ役柄が望ましい)
・魔獣界の戦士(同上)
・その他、前回担当脇役など
2、やりたい役柄
・名前
・性別
・外見(簡潔に)
・長所(一言で)
・短所(一言で)
・聖(魔)獣(獣人種族をモデルにしているので、その範囲で決定する事)
・必殺技(一つ)
3、破壊獣
・名前・外見・特殊能力・弱点
今回は全て自由に決定可。シナリオソースとして面白いもの。
ただし、強すぎる・設定無視などの場合変更される可能性あり。
●リプレイ本文
―声の出演―
獅堂 吼(熱血 獅子聖獣ブラスト・リオン)‥‥谷津・薫(fa0924)
大高屋 亮(ガリ勉 ユニコーン聖獣モノケロス)‥‥藤拓人(fa3354)
三雲 姫香(ミクロ)(噂好き 蝙蝠聖獣ルナティック・バット)‥‥ASAGI(fa0377)
姫野木 静夜(姫)(泣き虫 ハムスター聖獣シャンガリア)‥‥カナン 澪野(fa3319)
セシューム(妖艶 竜魔獣ドラグーン)‥‥星野 宇海(fa0379)
ペギリーフ(自称天才策略家 小鳥魔獣オキノタユウ)‥‥各務 英流(fa3345)
リオウネ(沈着冷静 蛇魔獣ブラックバイパー)‥‥RURI(fa3654)
カレンスキー(ナルシスト 狼魔獣フェンリル)‥‥ディノ・ストラーダ(fa0588)
★
「う‥‥どうしてみんな寝ちゃうの‥‥?」
姫はみんなが次々しゃがみ込み、倒れて眠り始めるのを見て、強烈な不安に駆られた。
防衛組は教室から瞬間移動でやってきて、聖獣を呼び出した。しかし破壊獣ユメユメが流す催眠音楽によって、すぐさま意識を奪われてしまったのだ。操縦者が意識をなくしたことで、聖獣も消えていく。
『ふふふ‥‥簡単ね。カレンスキーの聖獣戦闘データを使うまでもないわ』
ドラゴン型の魔獣から、魔獣界の戦士、セシュームのつやめいた笑い声が響く。
『でもセシューム姉さん。一体残ってるわ』
蛇魔獣のそばの茶髪の女性・リオウネが、静かに指摘した。
『お前の天才的な計画で作った破壊獣だったのではなくて? ペギー?』
『お姉ちゃん、また失敗?』
『は、はは! なな何を馬鹿な! そんなはずないのである!』
小鳥魔獣のそばの、直立したモグラのような女性・ペギリーフが慌てて首を振った。
姫は、一歩、二歩とあとずさる。
一人で魔獣三体を相手するなんて。絶対勝てない‥‥怖い‥‥
今にも逃げ出そうとしていた足が、何かに引っかかった。
「ふぎゃっ!?」
姫が引っかかって、その上に倒れこんだ『何か』は変な悲鳴をあげた。
「あ、ミクロちゃん‥‥」
「いや、牛乳いやーっ‥‥ってあれ、姫クン?」
ミクロは姫に乗っかられたまま、顔に疑問符を浮かべた。
「夢だったの‥‥? 牛乳ビンが走ってきて、あたしに無理やり牛乳飲まそうとするの‥‥」
「わああっ、許してママっ!!」
向こうで、亮が真っ青な顔をして飛び起きた。
「あ、あれ‥‥合格発表は‥‥? 受験番号は‥‥?」
どうも受験に失敗した夢を見たらしい。姫は一気に安心して、おもわず目を潤ませる。
「良かった‥‥みんな起きてくれて‥‥」
「まだコイツは寝てるけど」
姉妹の言い争う声は、まだケンケンと響いている。ミクロは起き上がると、まだ眠気にふらつく足で吼に近づいた。吼はまだ夢にうなされていて、顔を青くしている。
「うーん‥‥嫌だ‥‥ミクロだけはぁ」
「どんな夢見てんのよコイツ‥‥」
『あっ、姉上、リオウネ、これを見るである!』
ミクロのコメカミにうっすら青筋が浮かんだのと、ペギリーフが声をあげたのはほぼ同時だった。魔獣オキノタユウの視界画像をブレスでズームアップする。
そこには吼を取り巻く防衛組が、はっきりと映し出されている。
その映像は姉妹のブレスにも転送され、二人は怪訝そうな顔で子供達を眺めた。
『この場で起きているのは我々以外にこの子供だけである! すなわち、聖獣を操っているのはこの子供の誰かである! これこそ我が輩の狙いであったのだ!』
『こんな‥‥子供が?』
三人は顔を見合わせる。どの顔にも明らかに焦りが浮かんでいる。
「いったん逃げよう。このまま魔獣に攻撃されたら、まずいよ」
「吼クン、起きなさいよ!」
ミクロが容赦ない蹴りを入れる。と、吼は呻いて、
「ううう‥‥姫、それだけはぁ」
「吼君‥‥ホントに何の夢見てるんだろ‥‥」
『覚悟、チビガキ!』
ペギリーフが叫び、オキノタユウが翼を広げる。羽ばたきから衝撃波が生まれ、四人に向かって放たれる。
「危ないっ!」
姫はとっさにシャンガリアで、みんなをかばった。二つの衝撃波が直撃し、ブレスを通じてつながっている姫も、胸に痛みを感じて後ろによろめいた。
『ふふふ‥‥姉さん達が聖獣をひきつけてる間に、私が捕まえてやるわ』
蛇魔獣ブラックバイパーを操りながら、リオウネは口元に笑みを浮かべる。ブラックバイパーは、魔獣の行動に伴う音を消せるのだ。ビル街の合間を縫い、こっそり防衛組の背後に回るなど、造作もない。
『背後はもらったわ!』
『って、めっちゃ正面やん!』
『‥‥あれ?』
なぜか、ブラックバイパーはオキノタユウと防衛組の間に入るような形だ。思わず関西弁で突っ込むペギリーフに、リオウネは首を傾げた。
『さてはこの子供、私の行動を予測して逃げたのね!』
『んな訳あるかいッ』
『全く、その方向音痴、何とかなさいよ!』
事あるごとにケンカを始める三姉妹である。
「とにかく今は、吼君が起きるまで守らなきゃ」
ミクロと亮はうなずきあってそれぞれ聖獣を召喚する。
『ふふ、あの一人寝てる子を動かすに動かせなくて、逃げられないみたいね』
セシュームのじっと子供達を観察する赤い眼が、妖しく輝いた。
『ならばあの子が起きる前に、全てを壊してしまいましょう』
『圧倒的な戦力差によって聖獣どもの戦意をなくさせ、またこんなチビガキに苦戦していた、あのキザったらしいカレンスキーめの鼻もあかしてやれる。姉上にしてはなかなか上策』
『えー。私は嫌よぅ』
『つべこべ言わない!』
上二人にどやされ、リオウネはしぶしぶ了承する。三姉妹は、それぞれのブレスを天に掲げる。
『破壊合体!』
三つの魔獣から、黒い雷が発せられる。雷はそれぞれ、破壊獣へと迸り、結びつく。それに手繰り寄せられるように三体はユメユメの方へと近づき、一つの黒い球体へと変じる。
ひときわ大きな雷が、球の上へ落ち、引き裂いていく。
そこから現れたのは、どの魔獣でも破壊獣でもない、一体の巨大なロボット。
『傍若舞人・ゴージャスクイーン!』
胴にドラグーン、足にオキノタユウ、右手の鞭にブラックバイパーの面影がそれぞれ見える。そして胸には、ユメユメが集めたコワ・エネルギーの結晶たる黒い宝石が輝いている。
『これが私達の魔獣の特殊能力。破壊獣のコワ・エネルギーを全て使う事によって、三姉妹の全ての魔獣と破壊合体できるの』
優越的な、セシュームの声が響く。
『更なる悪夢の中に‥‥落ちなさい!』
セシュームは歌を歌いだした。甘く、まどろむようなその声は、ユメユメの能力を倍増し、防衛組に睡魔を襲い掛からせる。
「だめ‥‥眠っちゃ‥‥」
自分に言い聞かせつつも、だんだんミクロのまぶたが重くなっていく。ルナティック・バットの飛行もおぼつかなくなり始める。
「歌を‥‥やめさせなきゃ‥‥!」
亮も再び襲い始めた眠気を吹き飛ばそうとするかのように、頭を振った。姫も気を持ち直してブレスを構える。
「僕が、足止めするよ!」
シャンガリアの口から発射された種型の銃弾は、ゴージャスクイーンの足に蔦を生やし、動きを封じた。そこへ、角のドリルを回転させたモノケロスが突進する。
『無駄よ!』
ゴージャスクイーンは蔦を事も無げに引きちぎり、鞭を振りおろしてモノケロスを打ち据える。鞭を引き上げる動きで、空中にとどまったルナティック・バットにも打撃を与える。
聖獣と防衛組はあっという間に吹き飛ばされてしまった。
『お姉ちゃん、もうちょっと静かに振ってよ‥‥バイパーには私が乗ってるんだから‥‥』
『うるさいわね。すぐ済むわよ』
やはりケンカする姉妹だが、それは言い換えれば普段と変わらないほどの余裕があると言う事だ。痛む身体をかばいながら、亮はずり落ちた眼鏡越し――意外にも涼やかな目で、破壊魔獣を見上げる。
「強い‥‥一体、どうしたらいいんだ‥‥」
その頃、吼は大絶賛うなされ中であった。
目の前には、ウエディングドレス姿のミクロと、姫。二人は瞳を潤ませ、一緒に叫んだ。
「吼クン‥‥結婚して!」
「い、嫌だ!!!」
逃げ出しては追いつかれ、求婚されては逃げ出す事を、延々と繰り返して、もういい加減、一体何が何だか分からなくなっていた。
ずいっと、二人が顔を寄せてくる。吼は疲れ果て、もう動く事も出来ない。
もう駄目だ。こんな言葉が頭をよぎった時。
――ブラスト・リオンを操りし戦士よ――
聞き覚えのある声が響き、一瞬でミクロと姫の姿が消え去った。
「‥‥百獣王!」
忘れるはずもない。吼は叫んで、辺りを見渡した。だがブレスを授かった時見た、堂々たる姿はどこにもない。
――君の仲間に、危機が迫っている‥‥恐るべき、魔獣界の力‥‥。危機を打ち破る方は、ただ一つ――
飛び起きてまず視界に入ったのは、疲れきったみんなと、ボロボロの聖獣達。
そして、巨大な破壊魔獣だ。
「みんなっ!」
「吼君‥‥」
みんなが振り返る。いつもなら真っ先に不平不満をぶつけてくるミクロも、今はそんな余裕がないらしい。吼は自分のブレスを差し出して叫んだ。
「聖獣合神だ! ブレスに呼びかけるんだ!」
「何‥‥?」
「百獣王が教えてくれた! これで、危機を打ち破れって!」
百獣王。その名を聞き、みんなの顔に少し赤みが戻ってくる。
「聖獣、合神、ね‥‥?」
降りかかる眠気をこらえながら、ミクロが吼の方へブレスを差し出す。亮と姫も、同じようにする。
四人が輪になって、中央にブレスを差し出すような格好になった。
『聖獣の動きが止まったのである! 今がチャンスである!』
『分かってるわよ!』
『はわわわわわーっ!?』
鞭が、四人に向かって振り下ろされる。
「聖獣合神!!!!」
カッ――!
ブレスから、まばゆいばかりの緑の光があふれ出した。みんなの光が集まって、大きな宝石の形を作り上げる。それは見る間に質感を持って、さらに明るく輝きを増した。
溢れる光の中に、みんなは飲み込まれる。
聖獣達はその光に導かれるように、動き出す。空に浮き上がった聖獣は、それぞれ変形し、一つの姿に組みあがっていく。
やがて現れた巨大な人型――ブラスト・リオンを頭部に据えたロボは、胸の空洞に宝石が組み込まれ、命を得たように、瞳を輝かせた。
『ヒャクジュウオー、爆誕!』
子供達は、自分がいつの間にか、その操縦席に座っている事に気付く。
「これって、聖獣の中なの?」
恐る恐る、姫が辺りを見渡す。自分の目の前に現れているモニターは、見慣れたシャンガリアのものと同じだ。周りでは同じように、驚いているみんながいる。
「すごーい、パワーもケタが違うよ。これなら楽勝ね!」
「でもエネルギーの消費が激しい。五分持つか分からない‥‥」
ミクロと亮はそれぞれのモニターを眺めながら、的確に合体後の状況を判断する。
「簡単だ、必殺の一撃で倒せばいいんだ!」
みんなより一段高い所に座っている吼が叫ぶ。黒かったはず髪が、なぜか首もとで束ねていた髪の先端と同じ、銀の色に変わっていた。
「何よ、その色〜!」
「今はそれどころじゃないだろ!」
夢の中で聴いた百獣王の声。あの頼もしいイメージが吼を導いているかのようだった。何度もそうして戦ってきたような動きで、右手を上へ突き上げる。メインパイロットを取り囲むセンサーが反応し、頭上に剣の形のホログラフィーを浮き上がらせる。
『ヒャクジュウソード!』
まさしく吼と同じ動作で、ヒャクジュウオーが虚空に現れた剣を、はっしと掴んだ。
その一連を見ていた三姉妹は、目の前の光景に少なからず慌てる。
『向こうも合体するなんて、聞いてないわよ!』
モニターから見えるヒャクジュウオーが、ゆっくりと剣を構え――と、その姿が掻き消える。
『高速で巨大エネルギー体接近である!』
『奴だわ、避け――』
距離を置くべく、セシュームはレバーを動かすが、ゴージャスクイーンの動きは、驚くほど鈍い。
『エネルギー切れ? こ、こんなときに‥‥!』
「脚部出力最大!」「各部エネルギー安定!」「標的、ロックオン!」
『うおおおおーッ!!』
みんながヒャクジュウオーを支えてくれる。ブースターで極限までスピードを上げたヒャクジュウオーは、ゴージャスクイーンを残像で取り囲むようにして斬りつける。一撃ごとに、ゴージャスクイーンは確実に傷ついていく。
連撃が終わる頃には、ほとんどの機能が破壊され、ここかしこにスパークが飛び散っていた。
『あんたらとつきあっ取ったらろくな事ないわ! もう止めさせてもらうわッ!』
ペギリーフが叫ぶか叫ばないかの瞬間。
『必殺・獣王武神斬!!!』
天空より、ヒャクジュウソードが打ち下ろされる。ゴージャスクイーンは頭から胴までを、真っ二つにされ、爆発した。
『獣王武神 ヒャクジュウオー!!!』
天にも轟けとばかりに、剣を振りかざし、ヒャクジュウオーは高らかに名乗りを上げた。
★
爆発に巻き込まれ、魔獣すら維持できぬままに空中に放り出された姉妹は、銀色に光を放つ狼魔獣に助けられた。
どこか見知った面影のある、しかし、さらにたくましくなった印象を受ける。
「‥‥カレンスキーの‥‥フェンリル‥‥」
「いや、これはフェンリルの新しき姿。ケルベロスだ」
ビルの合間の陰から、ゆっくりとした足取りで、カレンスキーが現れる。
「美しき姉妹達よ。君達が死力を尽くしてくれたお陰で、フェンリルは生まれ変わる事が出来た。礼を言うよ」
「‥‥時間稼ぎに使ったの?」
セシュームの美貌に、険悪な色が宿る。カレンスキーは真っ向から、怜悧な笑みでそれを受けた。
「君達の開いた道は、私とケルベロスの美しき勝利の前奏となる。これほど君達の美を活かせる場はない‥‥そう思わないかね?」