’05 W−1 Premium Opアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 想夢公司
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/28〜01/01

●本文

 その日、すらりとしたスーツ姿の女性がなにやら企画書を眺めて暫く考え込んでいました。

『’05 W−1 Premium』
 そう銘打たれた企画書に並ぶ名前は、今注目の『Destruction』クライス・リース&カイル・アーシア、『BEAST CAGE』のグレッグ“キングベア”レックスに“ライオンハート”レオン。
 番組構成、当日の流れなどを確認しながら、女性は別紙の人員募集につらつらと書き出しているよう。
「あれ? 穂積さん、何してるんですか?」
 ひょっこりとめがねにポニーテールな、いかにも元気という女性が覗き込むようにするのに顔を上げると、穂積と呼ばれた女性は軽く首を傾げます。
「何をって、これのオープニングセレモニーの人間を募集するのよ。今回は難しくてね‥‥」
「難しい?」
「今まではとりあえず『W−1大好きです♪』って言う芸能人を呼んでコメントをさせたりしていたでしょ?」
「ええ、それが?」
「あれ、一部では物凄く評判が悪くてね‥‥芸能人ってだけで出てきて得々と話したり、自分は戦わないででかいことばっかり言っている人間を出すぐらいなら、いっそもっとイベントとして盛り上げられないかってことになったのよ」
「あー‥‥苦情出す人の気持ちがわからなくもないですけどねぇ‥‥でも、あれもひとつの売りなきも‥‥」
 苦笑しつつ顔を見合わせる女性が二人。
「解説やコメンテーターには相変わらずの面々を呼ぶとして、OPはありきたりの『どの選手にも頑張って欲しいですね〜』という芸能人では無く、参加選手への直前インタビューや、盛り上げるためのミニライブなどを入れて貰えれば良いのだけど、それならいっそ‥‥」
「新人に、ですね?」
「ただ、問題はこれからやるイベントは総合格闘技だ、というのを忘れてもらっては困る、ということなのよね」
「運を天に、ですね」
 眼鏡の女性の言葉にうなづいて、穂積は改めて書き上げた募集要項を確認するのでした。

●今回の参加者

 fa0034 紅 勇花(17歳・♀・兎)
 fa0167 ベアトリーチェ(26歳・♀・獅子)
 fa0378 九条・運(17歳・♂・竜)
 fa0683 美川キリコ(22歳・♀・狼)
 fa1679 葉月竜緒(20歳・♀・竜)
 fa1985 名賀井・稔則(27歳・♂・鴉)
 fa2249 甲斐 高雅(33歳・♂・亀)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)

●リプレイ本文

●Opening
 遠くから響いてくる歓声、モニター室に座る甲斐 高雅(fa2249)の後姿が映り、そこに被る様にロック調のBGM。
 カイ君の見るノートPCのモニタにはなにやら可愛らしい三又の首の犬が映っており、『がう〜』と噴いた火がモニタを飛び出し画面を埋め尽くし。
 炎が晴れればベアトリーチェ(fa0167)が複数冊の綴じられた資料を左手に、右手に持った用紙をカイルに差し出し談笑する姿が映ります。
 名賀井・稔則(fa1985)が手にする紙を覗き込んでブリッツ・アスカ(fa2321)が出番を確認すると、画面は通路から階段へ。
 そこから漏れこむ光の中に踏み出す女性の姿を画面が追い、開ける視界、割れるような大歓声。
 光が飛び交う超満員の観客席を見回し映像はどんどん高く、上から見下ろし映し出され、真っ暗なリング中央・浮かび上がる文字。
『’05 W−1 Premium』
 文字が消えると、歓声は徐々に収まり、やがて沈黙へと落ちるのでした。

●Live&Dance
 真っ暗なリング上、微かに見える輪郭の女性。
『Welcome to the W−1 Plemium!』
 会場内に響き渡る、凛と響く声と同時に一斉にライトリングを照らせば、そこにはギターを手にした紅 勇花(fa0034)とベース・ドラムの3人の姿、そして一斉に湧き上がる大歓声。
 にと笑いライトを一身に受ける勇花がエレキギターに手を滑らせれば、打ち鳴らされるドラム、掻き鳴らされるベース。
 腹の底へと響いてきそうな音楽、オーロラビジョンに表示されるメタルな光沢を放つ文字『IRON BLOOD』。
「Build Your Body Iron!」
 高らかに歌い上げる勇花の声と響き渡る力強い音楽に、会場の熱気は最高潮。
「全国のW−1ファンの皆様、今年もまたこの季節がやって参りました!」
 一曲目が終わると、ナガがマイクを手に興奮気味の様子で言いました。
「解説とコメンテーターにはもはやお馴染みの方々が、そしてこの度実況はわたくし、名賀井稔則が務めさせて頂きます」
 ナガの声と共に画面へと映し出され紹介される『お馴染みの方々』の後再び画面はナガへ戻り。
「この様な大役を仰せつかり、喜びと不安で胸一杯ではありますが、会場の熱気と選手の気迫、そして前回までの実況を務めた先輩方に負けない様に頑張りますので、本日は宜しくお願い致します!」
 まさに勢いで一息に言い切ると画面は再びリング上の勇花へ。
 会場が暗転、そして轟き渡る雷鳴にいくつも走る青い閃光。
 オーロラビジョンに映し出された妙に可愛いケルベロスが炎を吐くと、その炎の中から現れたのは前半戦・後半戦の対戦表。
 リングのライトが消えオーロラビジョンでは各試合の対戦選手が順々に映し出されます。
 勇花の歌と演奏が突如終わり、割り込まれる著名なクラシック曲。
 リングに再びライトが向けられると、ラメ煌く鎧をイメージさせる舞台衣装の稲妻娘の姿があります。
 稲妻娘は穂積に叱責され半獣化はしておらず、W−1とイメージの違う突然の鎧姿に会場に微かにざわめきが。
「さぁ、紅勇花の演奏の後は、『ブリッツ・アスカ』のDance!」
 勇花の演奏を背負い踊る稲妻娘、一曲踊り終えるとリングが暗転、ぴたっと止まる音楽。
 再びライトがつくとそこには鎧を脱ぎ捨てた稲妻娘の姿が映し出され、再び勇花の演奏再開、スピーディーで明るい曲に合わせ、稲妻娘は躍動感ある動きのダンスを披露するのでした。

●Warriors
 いい加減観客達が焦れ始め、オーロラビジョンに映る美川キリコ(fa0683)と、画面分割で別の控え室にいる九条・運(fa0378)に切り替わります。
「さぁ、ちゃきちゃき行ってみよう!」
 運がいるのは今回募集を受けて参加の選手達の前半戦・選手控え室。
「それぞれ対戦相手に一言!」
 前半戦の試合順に声をかける運にきりりと男前な女性が口を開きます。
「全力で行かせてもらうよ」
 対するミカのいる『Destruction』&『BEAST CAGE』の控え室にいたラテン系のスレンダーな女性はクス、と笑い。
「ふふふ‥‥悪いけど、勝たせて頂くわ」
 髪を掻き上げミカの向けるマイクに告げる『Destruction』サポートの女性ボクサー、リタ・ベルナール。
 二試合目の選手同士が運の向けるマイクを挟んで‥‥特に色眼鏡の兄さんはちょっとだけ微妙な表情。
「売り出しのチャンスだし、バリバリに燃えちゃうってかんじぃ?」
「‥‥お手柔らかに願いたいね」
 ドンと偉そげな30男の発する台詞に返す色眼鏡。
「正々堂々と戦おう」
「はいっ、よろしくお願いしますっす!」
 正々堂々と言いながらポケットからなにやら不穏な物がチラつく男に、道着をしっかりと身につけた男がびしっと答え。
「鍛えた己を試す場ぞ。鬼の血が滾る宴ぞ。今宵は思いっきり楽しませて貰おうぞ」
 カメラに向かって言う男に、その対戦相手キングベアはマイクを向ける美香に手を伸ばしてカメラを退けます。
「ちょいと、ファンにコメントするぐらい、減るもんじゃないだろう?」
 不適に笑うミカにぐいと拳を突きつけ。
「勝ちに行く以外にあるのか?」
 言って離れるキングベアを見送ると、ミカはカイル・アーシアに笑って見せます。
「はぁい、カイル、試合に向けて一言くれるかい?」
「さっき映った最前列にいる彼女達の為にも頑張らないとね」
 画面が転じると観客席の最前列、『Detraction』と書き込まれたボードを手にする女性たちが映ります。
「相手が誰であろうと、一生懸命全力で正々堂々と戦う」
 カイルに実力未知数の声優兼俳優が言えば、運が絡んでいる間に画面は切り替わります。
 オーロラビジョンに切り替わって映し出されたのは各試合の対戦表、そこが第一試合の2人の写真へ切り替わります。
「さぁて、選手達のテンションも上々のよう。、まずは前半戦の選手紹介へと参りましょう!」
 そう言って映し出される選手達。
「前半戦一回戦の‥‥」
 選手名を上げ、所属を告げるナガからマイクを奪って上がってきたのは葉月竜緒(fa1679)。
 画面脇で演出家やスタッフが走り回り、予定外にマイクを取られたナガは慌てて実況用のマイクを取り戻し、ちょっとしたアクシデント勃発です。
 どうやら試合直前それぞれ選手紹介が入るようで、オープニングセレモニー内では名前と所属、前身や格闘スタイルを告げられ顔見せをする予定ですが、お竜はなんだか納得いかないよう。
 演出家の指示を蹴ってリングへと上がってきたのでした。
「うちはな、選手一人一人を大切にしたいんや! そのために皆に分かりやすく紹介したらんとな」
「いや、だから、選手紹介では抑えめに、選手入場の時に!!」
 群がるスタッフ達、お竜に狙われたマイクをナガが抱えて逃げる一幕もあり、画面切り替わると画面端に退場の様子のお竜が。
「流石に乱闘は不味かったようですね〜小林さん」
「その情熱を次回上手く行かして欲しいですね」
 その様子を試合の解説者である小林さんが頷きながら見送っているのでした。
『はーい、こちら控え室前、後半戦の選手達に集まって貰ったよ』
 会場に映し出される控え室、運が向けたマイクの先には色の違う虎マスクな女性2人。
「勝つよ」
「あ‥‥あの、頑張ります‥‥」
 柔軟を見せつつ言い切る女性に、もう一人は控え室のためかまだ入り切れてない様子。
「お若いの、ドンと来やしゃんせ」
「W−1のファンの諸君には悪いが今までの歴史は忘れてくれ。そう、これからは俺がW−1の新しい歴史を作ってみせるさ」
 巨躯の格闘家へカンフースーツの男性が言えば、その選手はカメラへアピール。
 こちらも覆面レスラー同士、ルチャドールからコブラ仮面とプロレスからの虎仮面。
「コブラの毒牙を見て頂こう‥‥」
「フハハハ! ジャングルの悪魔の力、見せてやろうっ!」
 別の物を見ているようでなんだか不思議な光景です。
「胸を借りる気で本気で行かせてもらおう」
「ふ、弱肉強食の掟を知るがいい」
 第四戦のレスラーとライオンハートは分割画面で互いに火花を散らし。
「ボクシングの強さヲ知らシメル為ニモ絶対に負けられマセン!」
 最終戦のボクサーが片言で言うと、ミカの差し出すマイクに顔を寄せて真面目な様子を崩さないクライス・リース。
『こちらは以上。さぁ、試合を始めよう!』
 ミカと運が告げると、大歓声の中再び画面はリングへと戻るのでした。

●Gong!
「さて、ここで改めてルールの説明と、実際の技についてのご説明です」
 カイ君動かすケルベロスが救護班ドクターに関節技の危険性と、どの状態以上になると危険か、と言う説明が入り。
『角度によっては完全に力が入らなくなるのです。その先は、まぁ、皆様のご想像通りでしょう』
 画面の中でドクターの告げる言葉と、映し出されているチキンウィングアームズ‥‥折りたたまれ背に引っ張り上げられるようにして極められた、まるでチキンの羽根のように見えるその腕が、次第にフェードアウトしていくと、入れ替わりに愛らしいケルベロスがぐるると唸ると、リングの辺りのライトは消え、会場も眩しいぐらいに瞬くフラッシュになり、いよいよその言葉は告げられたのでした。

『お待たせしました。これよりW−1 Premium、いよいよ試合開始です!』