アマゾネスフォレスト南北アメリカ

種類 ショート
担当 想夢公司
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/24〜01/30

●本文

「‥‥俗悪映画が撮りたい‥‥」
「撮ればいいじゃないか」
 そんな会話が成り立つそこは、ジェイク・オーエン監督の私室。
 当然、先の発言はその幼馴染で同業者のジャイル・マイル監督です。
「でもさ、なんていうのかな、こう‥‥ちょうど良い題材がなくて‥‥」
「じゃあ作るなよ」
 ジャイルの言葉に間髪入れずに答えるジェイクは、先程からなにやら積み上げた書籍をとっかえひっかえ手にとっては調べ物をしているようで、顔も上げずに答えています。
 ジェイクにさっくりと切って捨てられたジャイルはしょんぼりと幼馴染を見ながらすっかりしょげていましたが、ふと、気になったのかおずおずと口を開きます。
「‥‥ところでさ、さっきから何やっているの? ジェイク」
「仕事だよ。どんな種族とか民族とかが題材に出来るかって、ちょっと知り合いに相談受けてさ。最近流行のファンタジーをやりたいからって、食事と少しの報酬とでやってるところ」
「‥‥僕が頼んでも忙しい言うくせに‥‥さては女性!?」
「残念、学校の後輩だよ、お前も知ってる」
 そう相変わらず手に持った本とPCのモニタとを見比べながら言うジェイクに、少しつまらなさそうに見ていたジャイルですが、ふと突然ジェイクの手に持った本を奪うようにして食い入るように凝視、ジェイクも怪訝そうにその様子を見て首を傾げます。
「バーバリアン・獣人・ワーウルフとやっていて、まだこれを撮ってないじゃないか、僕は!」
「‥‥ちょっと待て、今俺が見ていたのって‥‥」
「そう、アマゾネス!」
 開いたページを突きつけるように見せながらきらきらとした目で見るジャイルに、沈痛な面持ちで遠くを見るジェイクは、やがて諦めたかのように溜息をつきました。
「なぁ、俗悪映画のアマゾネスって、どういうのか、よく分かっているよな‥‥?」
「? 大体血を見てちょっとお色気で、ンでもって男を狩るんだろ?」
「‥‥まぁ、頑張れ‥‥」
「題名も決まったし、内容もばっちり!」
 うきうきとソファーをまたがりテーブルに設置してある自分用デスクトップ型PCに向かってたかたか打ち込みを始めるジャイルに、自分の作業に戻るも気になって仕方が無いジェイクは後ろから覗き込みます。
「で、ばっちりって、今見て思いついた内容で、どうばっちりなんだ?」
「題名は『アマゾネスフォレスト〜灼熱の血染めの森〜』とかどう?」
「わけが分からんが‥‥ロケ地は南か?」
「まぁ、実際は如何にスプラッターなシーンを出さないで俗悪な恐怖を出せるかだけど‥‥」
「アマゾネスが出るんだよな? で、森に迷い込む人間が出ると‥‥で、最低一人はさっくり殺されてしまうと‥‥」
「うん。後は人数だけど、アマゾネスも軍団って書いてないからそこまで人数募集しなくても‥‥最悪ジェイクに増殖してもらうし」
「‥‥‥‥やっぱりそうくるか‥‥」
 楽しそうなジャイルに言葉に、ジェイクは溜息をつくと自分のデスクに向かって募集要項を纏めるのでした。

●今回の参加者

 fa0413 フェリシア・蕗紗(22歳・♀・狐)
 fa0836 滝川・水那(16歳・♀・一角獣)
 fa1077 桐沢カナ(18歳・♀・狐)
 fa1136 竜之介(26歳・♂・一角獣)
 fa1737 Chizuru(50歳・♀・亀)
 fa2162 ライラ・フォード(22歳・♀・一角獣)
 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa2668 大宗院・慧莉(24歳・♀・狐)

●リプレイ本文

●辿り着いた島
 墨を塗ったような暗く激しく打ち付ける波の中、木の葉のように揺れる船へと画面は近づいていき、突如響き渡る雷鳴、折れるマスト。
 そして、月明かりの中打ち上げられる猫の額のような砂浜と、海へと面しているかのように近く暗い森に浮かび上がるタイトル。
『アマゾネスフォレスト〜灼熱の血染めの森〜』
 タイトルが消えると同時にばんと画面一杯に映し出される青空に焼け付くように照り付ける太陽、そこから徐々に下がっていく画面は、打ち上げられた船の残骸から投げ出され砂浜に横たわっていたなぜかぴょっこり白い耳が出ている振袖姿の大宗院・慧莉(fa2668)へと。
 エリーはうっすらと目を明けると、よろよろと身体を起こして這うように日陰へと身体を移し緩やかに息を吐くと、船の方へと目を向け、他の乗組員で同じく打ち上げられた様子のセイラーを身に着けた竜之介(fa1136)と常盤 躑躅(fa2529)を確認。
「う‥‥助かったの、僕たちだけ、かな‥‥?」
「おい、お前船の乗組員だろうが、さっさと直さねぇか、こら」
 暫くして起き上がり頭を振る竜之介が言うと、口を歪めて忌々しげに打ち上げられた残骸を眺めて竜之介に吐き捨てるように言う常盤。
「無理ですよ、残念ながら、僕は『美貌溢れる』掃除当番みたいなもので‥‥船を直すのは、ちょっと‥‥それにこれは船じゃなく、残骸。出来るわけ無いですよ」
 参ったなとばかりに微妙に竜之介自身の本音が透けて見える返事にぎろりと睨みつける常盤ですが、エリーが何かに気がついたかのようによろりと立ち上がるのに目を向けます。
「今、何か聞こえた気がして‥‥」
 そう言いながらかさりと草を掻き分けて中を覗くと、直ぐ近くに小さな広間へとなったところで座り込む桐沢カナ(fa1077)の後姿が見え、首を傾げて近づくエリー。
「現地の人かな?」
 聞こえた声にばっと身体を起こそうとして、足首を押さえるカナは、見れば指の間から血が溢れ出ています。
「確かそっちに救急パックが打ち上げられてなかった?」
 そう言うエリーに下卑た笑みで胸元と下半身を覆う布が千切れちらちらと見える素肌を凝視している常盤と、同じくその姿に顔半分を手で覆い上を向いてトントン首の後を叩いている竜之介。
 エリーは溜息交じりに竜之介へパックを取りに行かせ、ゆっくりカナに近づき、敵意が無いことを手を広げて表しながら歩み寄り。
 次の瞬間画面は切り替わり、足首に包帯を巻いたカナの後ろを、それぞれ打ち上げられていた荷物を掻き集めて持ち、尾いて行く一同の姿があるのでした。

●鬱蒼と茂る森の中で
 森を進み奥へ奥へと移動して行くと、徐々にトーテムポールや草木、枝などで作った獣道沿いにある集落を感じさせる様々なものが映り、3人がカナの先導で進んでいくと、画面はピントが手前へと、土に汚れ面影が消えつつある髑髏へと移り、暗転。
 集落中央へと入っていくと、カナが何やら甲高い声を上げ、ぞろぞろと出てくるアマゾネスたち。
 手作りのペインティングが施された弓矢で狙いをつけているのは滝川・水那(fa0836)。
 ミナの側でナイフを手に弓を背負ったライラ・フォード(fa2162)が胡散臭げに窺い、髪を首の後で束ねて一段高いところから見下ろすフェリシア・蕗紗(fa0413)。
 と、中央に組まれた櫓のような作りの住居から姿を現したChizuru(fa1737)が手を上げ横へと振れば、アマゾネス達は一斉に武器を降ろします。
「ようこそ、旅人達。あなた方の来訪を心より歓迎いたします」
 千鶴さんが少し癖のあるアクセントでそう言って招き入れるように腕を振ると、画面はフェードアウト、そして、宴会へと切り替わりました。
「あ、あの、この国の方々は、皆、こんな露出度の高い服の方ばかりなんでしょうか‥‥?」
 竜之介が視線を逸らし真っ赤な顔で言うのに、カナはもじもじとしながら竜之介を見上げていましたが、にこと笑いながら酒の入った草を編み込んで作った水筒のような物を振って飲むように促しています。
「あ、えっと‥‥その‥‥」
 赤い顔で同じく編んで作られた器に注がれる酒とカナを交互に見比べ、おそるおそる口を付ける竜之介ですが、カナが一瞬口元を歪めて酷薄に笑ったのに気が付かなかったよう。
「アマンダ!」
 千鶴さんの言葉に立ち上がり、豹の皮を身に纏わせ緩やかに踊り始めるライラ。
 BGMに太鼓と動物の鳴き声が激しく鳴り響き、動きを早めていくライラに下卑た笑いを浮かべて凝視している常磐。
「食いもんも酒もうめェし美人のネェちゃんが大勢ときた。迷い込んだ時はどうなるかと思ったが天国だな、ここは」
 がっはっはと笑いながらミナへと酒を注げとばかりに杯を差し出す常磐に、何か言いたげにちらちらと千鶴さんを見るミナ。
 その側では、フェリシアが身振りでエリーに食事を勧め、杯に酒を、葉で作られた皿には、広場中央でこんがりと焼かれた動物の肉をナイフでちぎるように切り分けた物をせっせと運んでは意味ありげな眼差しを向けます。
 ライラが踊り終え、それを常磐が強引に引き寄せる隙を見て離れるミナは、うろうろと動きつつ千鶴さんを再び見、千鶴さんは立ち上がり奥の住居へと入っていくと、それをミナが追い、怪訝そうな表情でそれを見ているエリー。
 画面はアマゾネスの住居内へ。
「意気のいい男なら種馬として生かしてもよかったが‥‥」
 低く響く言葉、千鶴さんのアップから画面はゆっくりと回り、ミナの背後から映し出されるのは禍々しい神々の像が焚き火に照らし出され赤く不気味に浮かび上がる様子。
 千鶴さんは口元を歪めると振り返りミナへと向かえば、そこへフェリシアも入ってきて千鶴さんの前へと並びます。
「‥‥あの程度なら必要ない。後で我らの神へ生贄として捧げてしまおう」
 にやりと笑うミナに、ナイフを掲げるように千鶴さんへ膝をつくフェリシア。
 そして映し出される赤く照らされた像のアップと共に、暗転。

●逃走と逃避
 薄暗い森の中を必死で逃げる影が2つ。
 画面寄れば、刀をしっかりと抱きしめて必死で逃げるエリーと、何がなんだかわからない様子でエリーと後ろを見比べる竜之介。
「ほ、本当に怪しかったのかい? あの人達‥‥」
 画面はそのまま集落へと転じ、そこには火にかけられた巨大な釜と、これでもかと言うぐらいにぐるぐる巻きにされている常磐。
 画面が薄くなり、そこに重なり逃げないとと常磐へ訴えるエリーが写りますが、それに対し、冗談ではないとばかりに目をむく常磐は声を荒上げます。
「ああ゛逃げるだァ? 何言ってんだ? こんないい奴らを疑うってのか? 俺ァ逃げねぇぞ! いや一生ここで暮らす! きっと男不足が深刻なんだろ!」
 がなり立てる常磐に首を振って竜之介の首根っこを掴んで森へと駆け出すエリーの後ろ姿から常磐の『俺は寝る』という声がフェードアウトし、画面は再び火にかけられた釜の前へ。
「てめぇら! 騙したのか! 俺をパンダ鍋にして食うつもり‥‥」
「うるさい、さっさと黙らせなさい」
「フフ‥‥馬鹿ねぇ。タダでいい思いできると思ったの? 私の踊りは死の踊りよ。楽しんだ代償は、命」
 抗議の声を遮り千鶴さんが指示をすれば、笑いながらライラがそう言い、フェリシアとミナ、そしてライラの三人がかりで常磐を抱え上げ、釜へとどぼん。
「おいっ、こら、ちょ、ちょっと待て、熱い、監督マジで熱いーっ!?」
 その叫びが森へと響く中、アマゾネス達は森へと逃げた2人を追うのでした。
「あつぅ‥‥あぁでも、倒れた僕も格好良‥‥」
 言いかける竜之介の言葉を遮って、ぴしゃりと鳴る鞭の音。
 竜之介の前には楽しそうに無邪気に笑うカナが、棘付きの鞭をぴしゃりぴしゃりとならしては楽しんでいます。
 既にその鞭で手足に無数の傷を負っている竜之介に、にっこり微笑むカナが鞭を振り上げると、森の中、響き渡る竜之介の絶叫。
「っ‥‥」
 方や繰り広げられるのは投擲による牽制を刀で何とか受け流し、荒い息を費えフェリシアと向き合っているエリーです。
 森の罠、そして接近してナイフを繰り出すフェリシアに苦戦しながら、エリーは必死で海岸線を目指しています。
 激しく繰り返し打ち合わされるナイフに、余裕の表情のフェリシアをきっと見るエリー。
 視界にある物が目に入ったエリーは死に物狂いで刀を繰り出し、画面は暗転するのでした。

●森の支配者 〜エンドクレジット〜
 よろよろとあちこちちぎれた振り袖姿で、倒れ込むように打ち上げられていた船の救命ボートを押し、海へと押し出すエリーは、昇る太陽を受けながら、倒れ込むようにボートに乗り、そのまま波に押しやられ島を離れていきます。
 重なるようにスタッフロール。
 画面は暗転後、切り替わり、いくつものパターンがあるアマゾネスの衣装あわせで盛り上がる女性陣と、上に羽織る物を用意してその露出の高い服に少し顔を赤らめる千鶴さん。
 身体を動かせたことを喜ぶエリーに髪をかき上げ鏡を見ている竜之介と女性陣を覗こうとしてしばかれている常磐。
 大道具の釜を運んだり、武器を並べたりと楽しんでいる様が映されたあと、ジャイル監督が釜の下の焚き火をつけ、邪神像に手を加えるジェイク監督が映り、ENDと表示されるのでした。

●ピンナップ


滝川・水那(fa0836
PCシングルピンナップ
湯浅 彬