フレーバーカフェ南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
想夢公司
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/21〜02/25
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●本文
「バレンタインのカードを貰ったんだけど、僕もあげたのに、怒られちゃったんだ」
そう言って困ったように眉を寄せるのはエリアス・フォールド。
最近チューイングガムやココアなどのCMで人気が出始めた、金髪碧眼で8歳の男の子で、フレーバーカフェという番組で主役に抜擢されています。
フレーバーカフェとは、さまざまな反応を引き起こしたその番組で、監督は最近では何でも屋と化したと噂のジェイク・オーエン監督。
さて、そのエリアス少年は事務所のソファーでマネージャーの青年と打ち合わせ中、ちょうどバレンタイン後のそわそわした様子や、周りの変化を描くという方向の企画書を見て、思い出した様子。
マネージャーも不思議そうに企画書から顔を上げます。
「なんでだろうね? どんな子に貰ったの?」
「うん、クラスの女子3人と、後は親切にしてくれてすっかり仲良くなった男子1人」
アメリカでのバレンタインは親しい相手とカードの交換をするもので、うちの女子2人は家のポストに入れてあったそう。
エリアスはその友達の男子は、互いに貰えなかったら侘びしいのでと、はじめから用意しあっていたのですが、女子からは貰えるとも考えていなかったようで、3人に平等に同じカードとキャンディを用意して、それぞれに一言ずつ添えてポストへと届けたそうなのですが‥‥。
「次の日、一人の子が目を泣き腫らして怒ってて‥‥」
「名前を間違えたとか?」
「ううん、ちゃんと入れる直前まで確認したもん」
困ったように顔を見合わせる2人。
「ところで、今回のお話って、どんなのなの?」
「えーっと‥‥今回はクラスにカップルが出来たりカードを貰えなくて暗くなった子たちがいて、その様子になんだか戸惑いを覚えている、って言う話みたいだね」
悩んでいても仕方が無いと思った様子の二人は、企画書を読みながら首を傾げます。
「じゃあ、学校で『クラスの子達はこんな感じ、あんな感じなんだ、変なの』ってなるのかな」
「どうやら、貰ったカードの内容やそのカード自体の違いとかで、回りの子達が喜んだり悲しんだりするみたいだね。‥‥ん〜、なんか分かりにくいね」
結局のところ、再びエリアスとマネージャーは不思議そうに首を傾げるのでした。
●リプレイ本文
●オープニング
緩やかなBGMが流れカードを受け取り嬉しそうに笑うエリア・スチール(fa0494)の下に『エリア』と表示され。
笑ってエリアと別れた相麻 了(fa0352)が音楽室窓の側を通り手を振ると星野 宇海(fa0379)が手を振り返し、それぞれ『リュウ・タチバナ(ジョーカー)』『マリコ・エドワーズ』と書かれ、ジョーカーが去った後廊下に出た星海がエリアのカードに目を向け。
画面はショッピングセンター。
洒落た紳士服店の包み腕から下げ、マグカップコーナーで可愛らしい物と男の子が喜びそうな物を見比べ、可愛らしい方を手に取りにっこり画面に笑いかけてからレジへと向かう真紅(fa2153)演じる『クレオ』。
エリアスが歩いてくると見えてくる喫茶店『Sweet Rest』、のんびりと歩いてきたステラ・ディスティニー(fa2443)がエリアスに気が付いて軽く肩をぽんと叩くと顔を上げて吃驚した表情を浮かべ『エリアス』と表示され。
店内では端の席でぼーっと店内を見ている宮内・ミリー(fa1784)に『ミリー』、そして振り返り笑顔で2人を迎えるのは佳奈歌・ソーヴィニオン(fa2378)演じるウェイトレス『カナカ』。
画面は引いて喫茶店の前で、メニューのディスプレイを覗き込む大豪院 さらら(fa3020)とその下に書かれる『アンネローゼ・バルトハウザー』。
更に画面引いて喫茶店全体を映し、タイトル。
コーヒーカップとティーカップの挟まれた『flavor cafe』、そしてパステルで書き込まれる『カードの違い』のサブタイトルが入り、暗転。
●今日はなんだか変わった日
「もう‥‥もう、信じられませんわ! どうやったら恋人とクラスメイトを一緒に考えられるのかしら!」
肩を怒らせ店へと入ってくる星海に、テーブル拭きを手伝っていたエリアスは吃驚したように目を向けます。
「いらっしゃいませ、今日はいつもので‥‥」
「思いっきり濃いコーヒーをお願い! たっぷりとねっ!」
カナカが注文を取りに行けばご機嫌斜めの星海に珈琲を入れに戻りながら思わず顔を見合わせるエリアス・カナカ・ステラの3人。
「何かあったのかしら?」
「今日はなんかみんな様子が変だね‥‥」
カナカが珈琲を入れつつ首を傾げれば、エリアスは深く溜息をつき、これまた怪訝そうに首を傾げるカナカとエリアスを見るステラ。
と、そこへ入ってきたのは姫、姫が席に着くと珈琲を運ぶエリアスの横を通り、カナカが姫にメニューを聞きに行けばさらりとした口調で言い放つ姫。
「えっと、パフェいただけるかしら‥‥特製ってやつね」
「はい、特製パフェおひとつ‥‥」
「いいえ、5つよ」
「い‥‥5つ、ですね」
あっけに取られつつカウンターへ戻るとサラダボウルを並べてアイスなどを盛りつけていくカナカと、大変そうだなとばかりに眺めるステラ、珈琲を出してカウンターに戻ってきて目を丸くするエリアス。
「こんにちはー♪」
そこへ上機嫌で入ってくるエリアに明らかにぴくっと反応する星海、にこにこと先生である星海に挨拶して近くのカウンター席に腰を下ろすとエリアはバレンタインカードを手にして眺めています。
やがてカナカとエリアスがパフェを姫に出すと黙々と食べる姫。
不機嫌な星海と上機嫌なエリアが一緒に映りなんとも言えない間に何かを思い出したかのように溜息をつくエリアス。
「‥‥エリアス君、なんかあったの?」
「ううん、聞いてないけど、今日は帰って来てからずっとあんな感じで‥‥」
よし、とばかりに頷くと、イチゴショートを取り出しながらエリアスに声をかけるカナカ。
「エリアスくーん、ケーキ食べたくない?」
「あ、欲しい〜」
「ならば何を悩んでいるのかお姉さんに話すのです」
「へ?」
うりうりとケーキで釣るカナカに困った顔をしていたエリアスですが、眉を寄せて溜息をつきます。
「バレンタインって大好きな人たちにカードを送ったりカードを貰ったりクッキーとかいろいろ贈り合ったりするでしょ?」
「そうねぇ」
ケーキをエリアスに渡すと、ケーキをむぐむぐ食べては小さく溜息をつくエリアス。
「クラスメイト全員にカードを送るのも変だしって思ってたら、みんなカードの交換をしてて、カードをくれた子もいたけど、今日ずっと目に前に来てはちらちら僕の方を見てきてた子が急にカードあげなかったって大泣きされて‥‥」
その時まですっかりバレンタインを忘れていたエリアスが休み時間にお小遣いでカードを買ってお返しをしたものの、みんなと同じカードだと怒る子に、先程のカードを貰ったわけではないからお返しを買ってなかった子にはまた泣かれたそう。
「なんだか今日はとっても疲れちゃって‥‥」
溜息をつくエリアスにステラは軽く頭を撫でてやるのでした。
●カードの違い
「ふーふーふー‥‥折角のバレンタイン、思いを込めたカードを送ったって言うのにっ!」
「ううう、今日はみんななんか変‥‥」
きーと怒る星海に頭を抱えるエリアス、エリアは星海が怒った様子で見ているバレンタインカードに気が付くと顔色を変えて立ち上がります。
「先生、そのカード‥‥」
その言葉を中断するのはベルの音、入ってきたルージュはエリアス目が合いにっこり笑いかけてプレゼントの包みを渡します。
「モデルのお給料も入ったのよ、だからちょっと奮発しちゃった☆」
言ってカナカにマスターへと包みを渡して貰えるように頼むと腰を下ろすルージュ。
「今日はハニーココアを貰うわ」
「すっごく甘そうですね‥‥」
飲んだことがないのかそう言うエリアスににっこり笑顔のルージュの目が一瞬光ります。
「蜂蜜は肌に良いんだって、砂糖に比べてカロリーも低いのよ」
エリアスを相手笑顔で話すルージュ、ピントが後の扉へと移ると鼻歌交じりに中へと入ってくるジョーカー。
ジョーカーは星海が険悪な表情を、エリアがどこか責める様な表情を浮かべて迎えるのに、カナカへとウィンクして頼みかけた注文を呑み込みます。
「あら? お似合いねぇ、女性の好みが変わったのかしら?」
突き刺さるような冷たい台詞にぞくっと身震いをするカウンターのカナカとステラ。
「別に、エリアを愛してるんじゃないんだってば」
「私のこと、嫌いなんだね‥‥」
「あ、違う、エリアが嫌いなわけじゃないよ‥‥ごめん」
「はぁ‥‥やっぱり若い娘の方が良いのね」
「いやだからマリーも話を‥‥」
拗ねて怒る星海に慌ててフォーローする様が映し出されると、一歩引いた位置にいたエリアが不意に大きく声を上げます。
「待って2人とも、私の事で喧嘩しないで!」
「‥‥」
「‥‥」
店内中の人間が生暖かい目でエリアを見ると、直ぐに何事もなかったかのように言い争いを再開するジョーカーと星海。
「エリアス! 貴方はこんな朴念仁な男になってはダメよ! いいわね?」
「は、はいっ!?」
振られて勢いで返事をしてしまうエリアスにピクリと震えるジョーカーの肩。
「マリーのわからず屋!! 俺が愛しているのはお前だけなのに!」
「五月蠅い!」
ジョーカーが衝撃の告白をした次の瞬間、ルージュの一喝でシンとなる店内、エリアスを相手に上機嫌で喋っていたルージュがじろりと3人を睨みつけます。
「そこまでプライベートな話に関わる喧嘩は家で」
ぴしゃりと言われ黙り込む3人。
「閃いた―!」
突如奇声を上げるミリーに沈黙が落ち、ふと緩む店内の空気。
互いに謝りあう星海とジョーカーに、カウンターの隅っこで寂しそうに渡せなったカードを見るエリア。
画面寄れば『私も好きだよ』と書かれた可愛らしいカードが寂しく揺れているのでした。
●きっかけ 〜エンドクレジット
「言葉に込められた相手の想いを感じ取るのよ? そして誠意を持って返せばいいのよ? 難しく考える事はないわ」
恋人にお詫びとして特製パフェをご馳走させ、微笑を浮かべて言う星海に、ハニーココアのカップを引き寄せて頷くルージュ。
「バレンタインってのは良い『きっかけ』。そのきっかけを待ち望んでいた子達はいっぱいいると思う」
言われる言葉にルージュに貰ったマグカップで同じくハニーココアを飲んでいたエリアスは顔を上げます。
「ささやかなきっかけは大きな勇気をくれるものなのよ。‥‥まあ、友達としか思われない事もあるけど」
「カナカお姉さんも?」
エリアスと一緒になって聞いていたカナカも聞かれれば笑って頷いて。
「今まで何もなかったなら、それも大きな第一歩じゃない?」
ルージュが笑って続けるのにむと考え込むエリアス。
「まぁ、焦らず自分なりに考えればいいわ」
ステラが言うのにそうだね、と頷いて微笑むエリアス、喫茶店の戸が開いて顔を覗かせる友達に皆へと手を振って出かけて行き。
カナカとステラが台本を手にエリアスに話しかけると、笑い返すエリアス。
ジョーカー・エリア・星海は楽しそうに談笑し、ひたすらパフェを食べ続けている姫とボーっと台本を眺めているミリー。
「これからも素敵な作品を創っていきたいですね」
画面転じればパリッとしたYシャツと、キスマークがデザインされたカードを手にジェイク監督へと近付くルージュに受け取って笑いながら言葉を交わす二人。
そして画面にパステルで『SweetRest』が描かれ、隅っこに『See You Next』と書かれ、画面は暗転するのでした。