ヴァイキング・キング南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
想夢公司
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/27〜03/03
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●本文
「ジェイク〜」
泣きそうな顔をしながらジャイル・マイル監督が幼馴染で同業者のジェイク・オーエン監督を振り返ったとき、ジェイクは眉を寄せて米神に指を当てつつ部屋の入り口を見て自分の部屋かどうかを思わず確認したようです。
「さて、何でまた、俺の部屋のDVDが引っ掻き回された挙句に、お前がここで徹夜体制で映画鑑賞していたのか、色々と説明をしてもらいたいところではあるが‥‥とりあえずどうした?」
「この映画、納得いかない!!」
「お前が言うな、不条理な俗悪映画ばかり撮っているお前が」
「あーっ、酷い、ちゃんと僕は筋を通して、一貫して徹底して撮ってるよーっ!」
むうとむくれるジャイルに溜息をつくと、DVDを手に取り苦笑するジェイク。
「あぁ、これ見たのか、そりゃ納得行かないな‥‥」
「うん、だから僕、いかにもこれがヴァイキングだって言う映画を撮りたいんだ!」
「なぜそこに行き着く」
間髪入れずに言うジェイクに、僕ならもっと俗悪にいかにもな作品が撮れる、と胸を張り言うジェイク。
「で、筋は決まっているのか?」
「うん、ヴァイキングの男2人が、族長の娘を賭けて戦うんだけど、娘は娘でさっくり片方に気持ちが固まっていて、想い人の方と一緒に性悪な相手の男を退け族長になるって言う‥‥」
「‥‥‥まぁ、頑張れや」
溜息混じりに言うジェイクに、頑張る、と言ってノートPCに向き合って、募集要項を纏め始めるのでした。
●リプレイ本文
●族長候補
辺りを炎が照らし、川縁の船着場に立つ娘『蛇姫・アナン』演じるSAKUYA(fa1571)の背を映し出し、サクの目の前へとつけられる船からはいくつもの重そうな箱・積み上げられた暖かな獣の毛皮・そしていくつもの樽。
そこへ浮かび上がる白いタイトル。
『ヴァイキング・キング〜殺戮の族長決定戦〜』
タイトルが燃え上がり落ちると船から下りてくるのは『紅鯱・バルバ』という王を演じる結城丈治(fa2605)と、従えられて続き、にたりとサクを見て笑うジョニー・マッスルマン(fa3014)演じる『移動氷山・ボルゲ』。
「父上、良くぞご無事で」
きらりと輝く装飾と薄桃のドレスで身を飾るサクはじょにーを無視しジョージを迎え集落へと戻れば上空より移される集落全体、賑やかな宴の席へ。
王座に座り傍らの座にサクを座らせたジョージの前では酒を酌み交わし戦利品の財宝をあけては騒ぐ部族の者達。
「そのままで聞いてくれ」
ジョージの低い声と共にぴたりと静まる広間、一同はジョージの言葉をじっと待っています。
「我が娘、美しき『蛇姫』アナンも掟により夫を定めるべき時がきた」
ざわめく広場にサクが映れば胸元から這い出る蛇が首へと擦り付き、それを優しく撫でながらも冷たい表情、視線は一点、一人の青年を見つめています。
「さて‥‥」
ジョージが口を開けば自然とすとざわめきは納まり、固唾を呑んで見守るヴァイキングたち、その中には選ばれるであろう男への羨望にも嫉妬にも似た色が見え隠れする若者たちも。
「ボルゲ、ここへ」
「HAHAHAー当然ミーが‥‥」
「そして今一人」
決して強く言ったのではない言葉にじょにーは言葉を途切れさせ、もう片側へとその若者を促すジョージ。
「そして今は亡き英雄の忘れ形見『白き鮫』ビッケ、ここへ」
どよめく広間にビッケ演じる仙道 愛歌(fa2772)がゆっくりと踏み出せば、巨体のじょにーと中性的な青年ともすれば少年にも見える愛歌になかなか収まらないざわめき。
「ミーで決まったも同然だな! こんな貧弱なリトルボーイにマッソーなミーが負けるわけナッシングだからな〜HAHAHA〜〜〜〜」
「‥‥頭はともかく部族一の戦士ボルゲと、部族を救った英雄の息子、誠実なる若者ビッケ。2人は娘の生まれた日、試練の島で己の力を尽くし戦い生き残り、娘の夫、そして未来の王としてふさわしいことを証明するのだ」
興奮冷めやらぬ一同へとそうジョージが告げると、ちらりサクと愛歌が見詰め合うのを見ますが直ぐに目を逸らし、一同へと杯を掲げるのでした。
●逢瀬と策略
「あの島はいろいろな伝説があったから、その分色々なものがあるんだ‥‥」
広間のざわめきがまだ聞こえるアナンの部屋、その豪奢な壁掛けの陰で甘い声で囁くとサクは髪を掻き上げます。
「キミだからこそ、私はボルゲだけの試練であったあの島への戦いを承諾した‥‥」
そこで画面切り替わり、王の部屋、蛇のスニを撫でつつ息をつくサク。
「それでは父上は本気であの男を次期族長‥‥王に、そして私の夫に選ぶおつもりか?」
「叡智はお前が補えば良い。他の者ではあれを抑えることはできん」
そう言いつつ顎鬚を撫でるジョージに髪を掻き上げると緩く息を吐くサクは、小さく肩を竦めて口を開きます。
「族長になる為にあの島へ渡ると聞いた。ならばあの島で競わせればいい」
「‥‥全くお前は‥‥」
言いながらもにやりと笑みを浮かべるジョージ、画面は再びサクと愛歌の元へ。
「あの島ならば私は幼い頃に何度もこっそり渡って良く知っている。当日は私が立会いに行く」
微笑を浮かべるサクを抱きしめる愛歌。
「きっと僕が勝つ‥‥必ず」
力強く言う愛歌にすと目を細めるサク。
既に夜も更けた時刻、ゆっくりと漕ぎ出す小舟、そして小舟が島へと向かっていく様子から徐々に画面引き真っ暗な部屋、窓辺に映る顎鬚を撫でる影が映り、暗転。
夜、月明かりの中、名を呼ばれて相手を迎え入れる愛歌、サクがするりと入り込み愛歌に布を握らせます。
「アナン、これは‥‥」
「これを見てよく覚えるんだ」
囁くように言って急ぎ出て行くサクを見送り愛歌が手の中の布を広げれば、驚いたように息を漏らし、暗転。
●罠の島
「くっ!?」
振り下ろされた斧をぎりぎりで避けると飛び退り泥濘に取られそうになる足を必死で踏み留まらせる愛歌。
一瞬差し込まれる映像、『奴を墜せば父上も認めてくださる筈‥‥』聞こえる小さな呟きと船着き場前の広間で鞘から抜き放たれる細身の剣。
素早く繰り出される剣もじょにーに受け流され受けきられた剣ごと力任せに突き倒され防戦一方となる愛歌に剣を突きつけて嘲笑うじょにー。
「KILL&DIE! 刺殺、絞殺、撲殺、斬殺、圧殺、完殺、全殺、惨殺、狂殺、どれでも選べ、どれかを選べ、どれも叶えてやる」
「っ!」
突きつけられた斧を自身の細身の剣で振り払い、懐に手を当てつつ体制を建て直しに森の中へと走り込む愛歌に、じょにーは既に勝ち誇った笑いでサクへと目を向けます。
「待ってろベイベー、さっさと勝負をつけて族長になって帰ってきてやるZE! そしてHAPPYウェディングだ!」
それに答えず髪を掻き上げるサクを見て、斧を手にずんずんと森の中へと追って入っていくじょにー。
サクの口元のアップ、くと口の端が楽しそうに持ち上がります。
「スニ、そろそろ私たちも動こう」
言って蛇を撫でる白い指が映り、ゆっくりと森へと分け入っていくサクを映して画面は切り替わります。
「こんなチープなTRAPでミーをSlaughterするつもりだったのかい? CUTEだぜBOY!」
「ええい、奴は化け物かっ!?」
足止めをする筈の罠だった縄を引き千切って突破してくるじょにーを見て呻くように言う愛歌は懐の地図を確認しながら走ります。
愛歌の後ろ姿を追う画面、ふと姿を見失い上からじょにーを見下ろします。
「‥‥ビッケを見失った?」
笑いを含むサクの声ににやりと笑い振り向くじょにー。
「ミーの勝利は決まっている! 勝つためには手段を選ばない‥‥それがMyクオリティ!」
「そう‥‥」
すと細められる目、ちらりと広げられるドレスの胸元にじょにーが目を向けた、その瞬間。
ドレスの胸元アップ、そこから飛び出す蛇・スニがくわっと牙むき出しにし噛みつき。
「‥‥私も手段は選ばないの」
サクの声と共に暗転。
愛歌、地図を手に木の上から辺りを確認しているとよろよろと出て来るじょにーは首を押さえ愛歌に気が付かずに船の方へと足を進めているよう。
剣を片手に構えるとじょにーの背中を木の上から映し出し。
「GA!?」
愛歌が降りたつ音と間髪おかず入る鈍い剣の刺さる音。
どさりと倒れるじょにー、その陰から姿が見えてくる、じょにーの後をに立っていた愛歌の姿が映り、画面フェードアウト。
●おとぎ話の終わり〜エンドクレジット〜
愛歌が船へと歩み寄り勝負の決着を伝えると、船から男達がじょにーを回収、そして森からふらりと出てきたサクと共に船に乗り込めば走り出す船、やがて集落の船着場へと姿を現し。
船に立つのがビッケであることにざわめきが起こり、広間の席に着きみるジョージが顎鬚を撫でながら緩く息をつき、じょにーを倒し誇らしげに胸を張り立つ愛歌はサクがふと口元に笑みを浮かべるのに頬を赤らめます。
「笑うなよ、皆が見ている」
そう言う愛歌に口元を押さえて小さく笑うと愛歌の隣へと進み出て手を取るサク。
じょにーの横たわる板が運ばれていき広間でジョージがそれを改め、首もとを見て微かに眉を動かすも笑みを浮かべて一同へと愛歌が次期族長、王へとなることを宣言。
緩やかに曲が流れ始める中、婚礼の様子が流れ中央の座に愛歌とサクが腰を下ろし盛り上がる宴席。
毛皮の立派なマントを羽織らされ照れたようにサクを見る愛歌と、豪奢に飾り立てた衣装、そして腕を蛇のスニを絡みつかせながら、まさしく君臨する、と言う表現がぴったりな様子で広間を見回すサク。
それへ被さる様にスタッフロールが流れ始めると徐々に映像はフェードアウト。
チャイム(fa1855)がウサギステッカーつきのパソコンへと向きカチカチと打ち込みをしているとそこへ珈琲メイカーのポットを手に近付いてマグカップへと珈琲を注ぎいれているシャミー(fa0858)。
サクがチャイムへと話しかけて相談している、そこへじょにーがやって来てなにやら笑っている様子が映し出され。
画面変わり脚本を手に立ち居地を指示する風樹蒼護(fa0872)。
細身の剣を手に首を傾げて振ってみる愛歌へと身振りで斬り付ける動作を指示している様が映ると、脚本を持ったままサクのところへ行き、カメラの寄り方、蛇を撮る角度の指示をしています。
いくつもの布地を手にサクへと衣装合わせをするのは大豪院 さらら(fa3020)。
薄桃の布地をサクの肩にかけて腰の辺りで留めるようになどの指示をしている姿の向こう側では、ジョージとジャイルが大きなミラーの前で会話中。
メイクさんが顎鬚をはっつけて皺を入れている作業、数冊の製本された脚本を抱えてやってくるシャミーとジャイルが談笑する姿が映り、暗転。
そして画面には、『END』と大きく表示されるのでした。