ウェイラーパーティー南北アメリカ

種類 ショート
担当 想夢公司
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/19〜11/23

●本文

「実はサプライズパーティーがあるんだ‥‥」
 気乗りしない様子でジャイル・マイル監督にそう話すのは幼馴染みのジェイク・オーエン監督は、溜息混じりにそう言います。
「吃驚パーティー‥‥なんだか先生の所みたいだねー時期もそろそろ‥‥そろそろ?」
 のほほんと話を聞いていたジャイルは、ジェイクの言葉に何か嫌な物が過ぎったかのような表情を浮かべてにこやかな笑みのままに青ざめて聞き返します。
「あ、あぁ‥‥その『ヤツ』の所の誕生日パーティーだ‥‥」
 沈痛な面持ちで言うジェイク。
「ど、どどどどど‥‥どうしよう、ジェイク! 無理だよ、今からじゃ準備なんてほんとに!?」
 こちらはパニックを起こしてわたわたとジェイクに泣きつかんばかりに言いますが、ジェイクは苦笑して軽く首を振ります。
「お、おいおい、俺らは‥‥」
「僕、今から吃驚パーティーの準備に駆り出されるぐらいなら、強行軍で4泊6日ぐらいで一本深夜映画を撮りに逃げるから!?」
「だから、落ち着け、何もとって食いは‥‥あぁ、お前は食われかねないか。良いからよく聞け、今回は俺らがホストを務めて脅かすんじゃなく、脅かされる方だ」
「もっと悪いよー!!」
「あんな映画ばっか撮っておいて良く言うな‥‥いや、それは良いとして、俺らは既に独立してるから、ホストの斡旋を頼まれたのが一つ」
 ジェイクが一つ咳払いをすると、ジャイルも半べそをかきながら頷きます。
「もう一つは、俺らがとことん怖がることだ‥‥まぁ、これはお前は心配ないだろうが‥‥」
「ジェイクのはくじょーものー!!」
「深夜帯俗悪映画をこよなく愛してるくせに何で駄目なんだよ、ああいう吃驚やらホラーハウスやら‥‥」
 苦笑しながら言うジェイクに、ジャイル・マイル監督はえぐえぐとべそをかきつつもホストの手配のためにPCへと向き直るのでした。

●今回の参加者

 fa0027 せせらぎ 鉄騎(27歳・♂・竜)
 fa0413 フェリシア・蕗紗(22歳・♀・狐)
 fa0614 Loland=Urga(39歳・♂・熊)
 fa0826 雨堂 零慈(20歳・♂・竜)
 fa1257 田中 雪舟(40歳・♂・猫)
 fa1266 百瀬 愛理(17歳・♀・猫)
 fa1312 彩都(27歳・♂・獅子)
 fa2153 真紅(19歳・♀・獅子)

●リプレイ本文

●Welcome To Surprise Party!
「ほら監督、おめでたい席なんだからそんなおびえた顔しないで。飲みましょ?」
賑やかなオープニングテーマと共に映し出されるのは魅惑のボディにぴったりとしたスーツに身を包み、猫を思わせる化粧を施した真紅(fa2153)がジャイル・マイル監督を、微笑を浮かべて迎え入れる姿。
画面に白く霞が掛かるとそこにはお化けが顔を覗かせている飾り文字が浮かび上がります。
『Welcome To The Surprise Party of Weirar!』
画面が煙に覆われ、それが晴れると来客で賑わうウェイラー監督の家の庭で、ルージュが微笑を浮かべて、手に持ったお盆からカクテルをとってジャイルに勧めます。
「お酒で怖さを麻痺させるのも手ですわよ?」
「これは‥‥っ! うわっ!?」
受け取りかけてトマトジュースの中に浮かんでいるキャンディにビックリして手を引っ込めるジャイル。
「うふふ、これはブルーベリー味。目にいいですわよ」
「確かに、目には良さそうだ。栄養もバランス良く最高そうな見た目だな‥‥」
そう言いながらも結構とそのカクテルを断るジェイクに耳を塞いで半べそのジャイル。
「‥‥じゃ、これは私が。新しいカクテルをどうぞ。ああ、ウェイラー監督、お二人がお見えになりましたわよ?」
「おお、駄目弟子ども、よう来たよう来た」
ウェイラーがその豊かに蓄えた白い髭を右手で撫でつつ、チャイナドレスにしっぽをくっつけたフェリシア・蕗紗(fa0413)にエスコートされ近づいてきます。
「これはこれは爺も元気そうで何より。‥‥ところで、そちらは?」
「恋人の学生について参加してくれてねぇ。お願いしてこの年よりのお相手を願っている訳だが」
「フェリシアよ、宜しく」
ぽんぽんと言葉を交わす2人の監督にジェイクの後ろに隠れるジャイル。
フェリシアの手を取ってその甲に軽く口付けてからウェイラーとジェイクは暫し会話を楽しむのでした。

●事件発生!?
「わ、わわわ、降ろしてぇぇっ!?」
「ちょ、ちょっとは落ち着け‥‥」
切り替わった画面では泣きながら爆走するパトカーに乗せられたジャイルが叫びジェイクが宥めます。
画面が4分の1のサイズになり左上に縮小されると、画面全体にはパーティー会場が映し出され、突如上がる悲鳴。
「貴方が犯人ね」
そう言ってフェリシアがウェイラーへと言い、手を押さえると、側ではルージュがふらりと倒れ運ばれていきます。
よく見れば監督3人のすぐ前に男が一人倒れており、フェリシアが取り上げたグラスは倒れた男の持っていた物のよう。
警察を名乗るフェリシアに確保されて一同がざわざわと騒ぐ中、ワイルドターキーの小瓶を手に面倒くさそうにのそのそと近づく制服姿の男が。
「クソ。人の管轄で死ぬな‥‥面倒が増える」
「これも仕事だ」
せせらぎ 鉄騎(fa0027)が酒の臭いをさせながら近づきぼやけば、その近くで倒れた男の事を聞きながら手帳へと書き込んでいた、同じく警察の制服を身につけた雨堂 零慈(fa0826)が歩み寄り言います。
「さて‥‥申し訳ないがご同道願おう。君達には黙秘権が‥‥」
「ちょっと待ちたまえ、儂がやったという証拠も何も‥‥」
「やった奴ぁ大抵そう言うんだ、良いからさっさと来い!」
そう言いながら鉄騎・レイジ・フェリシアで監督達へと権利を伝えながらパトカーへと連行する絵が流れ、再び小さくなっていた画面が一面へと広がります。
「ふむ、これは面白い」
「先生ぇえぇ、面白い言っている場合じゃないでしょぉ!?」
「犠牲が出てなければ貴重な体験なんだが‥‥流石にな‥‥」
無実と自信を持って考えているため楽しむウェイラーに失神しかけのジャイル、そして窓を少し開けて貰って青い顔で風に当たっているジェイクと、三様の監督達。
「ちょ、ちょっと待っ‥‥!」
一瞬何かが見えた気がしたジェイクが最後まで口にする前にぐいと片側が浮き上がるパトカーは、暫くそのままで走り弾みをつけて両輪で再び走り始めたかと思うと、そのままスピードが上がるパトカー。
次の瞬間勢いをつけて大ジャンプを披露するパトカーが警察署へと着いたとき、興奮気味な様子でけろりとしていたのはウェイラーただ一人だったのでした。

●ビックリ裁判
朝、さすがに留置所で朝を迎えたことのないそれぞれの監督はわずかに疲労の色が伺えます。
「本件の弁護を担当する、ローランド=ウルガーだ、宜しく頼むぜ!」
Loland=Urga(fa0614)が笑いながらウェイラーの隣へと腰を下ろすと、目をしぱしぱさせている彼に笑いかけます。
「何、俺の腕を持ってすればバッチリ無罪にして見せるぜ! 期待してくれよな!」
ランドが肩をぽんぽんと叩くと、入廷を言い渡されて被告人席へと連れて行かれるウェイラー。
証人席へと引き込まれてしょんぼりしているジャイルにしきりに首を傾げるジェイク。
「Mr.ウェイラー、こんな形でお会いするのはとても残念です。私は監督の作品のファンですから」
そう低い良い声で声をかける田中 雪舟(fa1257)に、検事席にはきりりとスーツを身につけて髪を結い上げた百瀬 愛理(fa1266)が眼鏡を押し上げてじろりとウェイラーを睨みます。
「ファンとは言え、私も裁判官ですから監督の事を特別扱い致しませんので、宜しくお願い致します」
自分はしていないとばかりに口を開きかけ、ランドを見て口を噤むウェイラーは、流石訴訟天国といわれるこの国の監督です。
「事件発生時、被害者と共にいたジェフ・ウェイラー以外に犯人はあり得ないのです!」
「異議あり! 何故被告はそう至る必要があるのか! 貴女の説明では辻褄が合わないで無いか!」
「しかし‥‥貴方以外に犯行が可能だったとは思えないのですが? ねぇ? Mr.ウェイラー?」
「む‥‥心当たりはないが頷いてしまいたくなる瞬間だな」
「ちょ、ちょっと先生ぇっ!?」
「静粛に! 異議を認めます。検察側、殺害方法及び動機についてもっと詳しくお願いします」
狭い法廷の中で白熱するアイとランド。
法廷内には私服姿の鉄騎とフェリシア、そして証人としてレイジが呼ばれて証言する姿が流れては消え、雪舟が映し出されると木槌を一つならします。
「判決を申し渡します。全員ご起立願います」
しんと静まりかえった法廷、陪審員達をずらっと映し出すと、すくっと立ち上がる雪舟。
「Mr.ジェフ・ウェイラー‥‥」
法廷内の静寂を破ったのは、雪舟が朗々と歌い上げるHappyBirthday。
「は‥‥?」
きょとんとするウェイラーにジャイル。
「そーいうことか‥‥全く、心臓に悪い」
苦笑を浮かべるジェイクに、未だ状況が飲み込めていない2人の監督へ、鉄騎が笑いながら歩み寄りランドと共に手荒くウェイラーの肩を叩いて二重サプライズパーティーだったと告げると、その老いた顔に徐々に浮かぶ笑み。
「さあ、皆さんも! HappyBirthday Dear Weirar!」
『HappyBirthday to You〜♪』
法廷内の大合唱と共に壁が開いていくと、そこに広がるのは真っ白なテーブルクロスと緑色の芝生が目に強く訴えかけてくる、パーティー会場なのでした。

●ハッピーバースデーパーティー
景気よく開けられるシャンパンの音があちこちで聞こえる中、法廷関係者や警察・消防関係者を交えて賑やかに始まるパーティー。
巨大なバースデーケーキが運び込まれると、そこに立てられたろうそくをウェイラーが嬉しそうに吹き消し、次の瞬間クラッカーの音と共に派手に吹き上がるスモーク。
「HappyBirthday Mr.Weirar!」
ぱっくりと真ん中から割れたケーキから飛び出したバニーガールのルージュはシルクハットをぴょこっとあげて笑いかけるとウェイラーの頬にちゅとキスを降らせるとウィンクをします。
「お誕生日おめでとうございます。サプライズパーティは、お楽しみ頂けたでしょうか?」
「ルポライターのローランド=ウルガーだ、楽しんでもらえたかな? ここで一つ質問だ、あんたが一生に今まで一番びっくりした事はなんだ?」
「もう、最高にビックリして楽しかった! 一番はうちの犬がひきつけを起こしたときだが、それに迫るものがあった」
上機嫌で話すウェイラーと少し離れたところで、隅っこでケーキを食べつついじけるジャイルになかなか面白かったと話すジェイクの姿もあり、画面が暗転。
軽快な音楽と共にダブルサプライズを考えたメンバーの顔写真と名前が順々に表示されていき、最後にパーティー会場へと画面は戻り。
上機嫌で笑いながらはなすウェイラー監督へとズームすると、さらさらと文字が書き込まれていきます。
『HappyBirthday Mr.Weirar!』
その表示が徐々に薄れていくと、今度こそ番組は幕を閉じるのでした。