We Love Destructionアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 想夢公司
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/29〜12/03

●本文

 その日、『Destruction』の日本支部へ来た連絡を元に、事務局で富田TVから来ていた女性と打ち合わせを行っていました。
「では、こちらの企画、初回はどうしましょうか?」
 英文で書かれた企画書を手に取りぺらぺらとめくる女性に、翻訳された物を見つつ、スタッフの一人が眉を寄せて首を傾げます。
「どうしましょうか‥‥うちの支部で一番の売りはクライス・リースとカイル・アーシアの二人で、他はもう少しいろいろと鍛え上げないと顔とは‥‥」
「その前に、『Destruction』自体の紹介にした方が宜しいのではないかと私は思うのですが、いかがでしょう?」
「それもそうですね」
 女性の提案に頷く支部の責任者。
 責任者は改めて企画書へと目を落とします。

『We Love Destruction』
放映日時:不定期夜間及び深夜枠
概要:
 『Destruction』の魅力を大々的に売り出すことにより、総合格闘技への理解と関心を呼び、総合格闘技の地位の確立と選手の社会的地位確立が狙い。
 毎回様々な企画(取材や体験入団など)を、様々なメンバーに任せるというもの。

「それにしても、本部から許可を頂けて良かったですわ」
「もともと『Destruction』は選手達のサポートなどを行うことと、総合格闘技の普及目的で設立された物ですからね。本部にとっても渡りに船だったのでしょう」
 女性が微笑を浮かべて言うと、責任者もそう言って頷きます。
「初回の出来によって、番組の方向が決まるかも知れませんね」
「『Destruction』もこれからですし、それに毎回募集をかけて番組を作っていく予定ですので」
 女性の言葉に軽く首を傾げると、どのような企画を考えてますか? と問いかけ。
「今のところそちらに書いた‥‥ええ、まだ見習いの人たちと練習を共にしてみたり、試トーナメント前にもし許可が頂けましたら取材をさせて貰いましたり‥‥いろいろですわ」
「なるほど、それは楽しみですね」
 責任者の男性は、改めて企画書へと目を落としながらそう呟くのでした。

●今回の参加者

 fa0683 美川キリコ(22歳・♀・狼)
 fa0970 (18歳・♀・竜)
 fa1137 ジーン(24歳・♂・狼)
 fa1679 葉月竜緒(20歳・♀・竜)
 fa1712 孫・華空(24歳・♀・猿)
 fa1738 鉄劉生(25歳・♂・虎)
 fa1890 泉 彩佳(15歳・♀・竜)
 fa2392 ヴァルター(29歳・♂・竜)

●リプレイ本文

●突撃! Destruction
 道行く人に、子供達に、学生諸君にQuestion。
「Do you like Destruction?」
『Yes We Love Destruction!!』
 一斉に答える声と共に画面が切り替わり、Destructionの日本支部ロビーに移動。
「ハーイ、今回は体験入団者を連れてきたから『Destruction』のカッコ良さを叩き込んでやってねー!」
 MYマイクに『We Love Destruction』とロゴを付け、白字に赤い縁取りで『Destruction』と鮮やかに描かれた黒いウィンドブレーカーを羽織った美川キリコ(fa0683)が手を振れば、かつて取材で引き連れられたことのある選手達が手を振り通り過ぎていきます。
「こんばんは!リュウセイお兄さんだぞ〜。今日は『Destruction』の広報取材にきているんだ!」
 こちらはハンディビデオを片手にカメラに向かって笑顔を浮かべて手を振って言うのは鉄劉生(fa1738)で、画面の向こう側のちびっ子達へと向けられたもののよう。
「格闘技に興味のある子は眠い目をこすってがんばってみような! 今日はリポーターのキリコお姉さんのサポートだぞ〜」
「はーい、宜しく」
 リュウセイに紹介され、振り返るとカメラを持ち、マイクを持つ手でひらりと手を振って見せながらいうミカ。
「俺は格闘家としてDestructionそのものに興味があっただけだ。取材の面倒事は他の連中に任せる」
「え、面倒事って‥‥」
 ヴァルター(fa2392)の言葉に苦笑しながらチームの案内が書類を手にやってくると、苦笑したまま『今回は施設内のや施設紹介だと思っていたんですが』と言う辺り、手続きが色々と煩雑だったよう。
「では、まず練習場とジムに‥‥」
 そう言ってぺらぺらと書類を捲りながら先に立って案内は進のでした。

●練習場の風景
「設備がなかなかいいジムじゃん。気に入ったぜ」
 施設に足を踏み入れて開口一番、孫・華空(fa1712)が言うと、ずかずかと入ってきょろきょろと見回すのに、怪訝そうな表情を浮かべて見る案内。
「あの、どうしたんですか?」
「あ? 女性選手はいねぇかなと思って」
「女性選手が所属というのはないんですよ。登録してその方のフォロー・サポートなどは当然行っていますし、地位の確保などもありますが‥‥」
「女子用施設が他にあるって言うんじゃなく?」
「ええ、前座の試合等や、女性専用のマッチなどでない限りは男女別のものですので」
「ふぅん、じゃあ女性へはサポートや支援、施設の使用などは?」
「施設の使用はうちに登録されている場合、トレーニングやリハビリで使えます。ただ利用申請は先に出して貰う形となります」
 途中からミカの質問に切り替わるのに、これは男女共通ですが、と付け足して答える案内。
「気が向いたらとかは出来ないわけ?」
「いえ、寮に入ってる方はカードで申請を簡略化して行えますし‥‥ごらんの通り、広いので余程のことがない限りお断りはありません」
 それぞれ興味のあるマシンへ散ってそこいらにいる選手に操作法を教わる一同。
「普段はどんな息抜きをしてたりするんですか〜?」
 泉 彩佳(fa1890)がちょこんと首を傾げて聞くと、マシンを漕ぎつつ考える30代のがたいの良い男性。
「そうさなぁ‥‥身体を動かしたりかな。学があるヤツなら映画だ読書だと面白い答えが出るんだろうが‥‥済まんなぁ、嬢ちゃん」
 そう言って笑うおじさんにメーターの見方を教わりながら自身もペダルを漕いでどこか楽しそうなアヤ。
「あ、おーい!」
「そこのおふたりさーん、ちびっ子に挨拶貰えないかーい!」
 ミカが何かに気が付いたようで入口付近を通りかかる人間へ声をかけると案内が慌てて止めようとしますが。
「あぁ、ミカさん」
 やって来たのはクライス・リース。既に顔見知りの様子のミカに話しかけていると、後ろ顔を出す長身の男性が。
「あぁ、前の試合とか、速報でインタビューに来てた‥‥」
 アジっていたお嬢さんか、と笑いリュウセイとミカに微笑を浮かべて手を差し出すのは、クライスと仲が良く注目度も上昇中のカイル・アーシアです。
「よい子のみんな! Destructionのスター2人がカメラの前に来てくれたよ!」
「よい子はこの時間までは‥‥」
「よい子のみんな、カイル&クライスを宜しくねー」
 リュウセイの言葉に目を瞬かせているクライスですが、カイルは既にカメラににっこり笑って手を振っています。
「もしお時間があったら、ご一緒しませんか?」
 紅(fa0970)が精一杯言葉遣いに気を付けながら言うのに、少し考える様子を見せるカイル。
「私は構いませんが‥‥カイル、どうする?」
「ん‥‥あぁ、我々はこれから食事なんだが‥‥」
「じゃあ、そろそろ次の所へ移動しましょう☆」
 いつのまにかトレーニングを終えて戻ってくるアヤがそういうと、案内が慌てる中、更に人数の増えた一段は食堂へと向かうのでした。

●劉生お兄さんのワンポイントレッスン
「体験入団なのに、勝負も出来ないのか?」
 不満げに華空が少々ふて腐れて離れて座る中、小洒落たレストラン形式の食堂でそれぞれの食べたい物を選び会食が始まります。
「しかし随分と違うものだな‥‥」
 先程からスタントの時のことを交えて、実際に行っているトレーニングの話をしているのはジーン(fa1137)。
「実際に使う筋肉が違う為、鍛える部分が違ったり、あとはそれぞれのスタイルの違いでしょうが‥‥」
 少し考えるように話すクライスは、動きがそもそも違うので、と付け足します。
「それにしても‥‥二人とも前にしていたものを捨てて、総合格闘技へと転向したのだよな?」
「クライスはキックボクシングで既に名前が売れていたけど俺は‥‥」
「カイルは向こうの大学で総合格闘技に興味を持って、サークルで色々とやってたんだよね」
 笑って言いますが、転向する直前は本人より周りが大変だったよ、つけたし。
「それにしても残念やなぁ、是非にも練習試合がしたかったんに」
 葉月竜緒(fa1679)が言うと苦笑しつつ肩を竦めるカイル。
「今は年末年始に向けみんなもいろいろと控えていたり、大事な時期なんだよ」
「過ぎた練習でも身体を壊すことがあるしね」
 そう言う2人に、アヤがおずおずと口を開きます。
「総合格闘技を知らない方に、これから興味を持っていただけるよう、技を一つ教えて貰えませんか〜?」
「技?」
 カイルが首を傾げて聞き返すと、頷くアヤ。
「総合格闘技なので、柔術から派生した『ごしんじゅつ』みたいななるべく安全な技で力に関係ない関節技がいいかな?」
「ん〜総合格闘技で護身術というのもなぁ?」
 小さく笑みを浮かべて言うクライスに、実戦してみたいと思います! と言って相手役にリュウセイを引っ張り出すアヤ。
「じゃあ、劉生さんはそこに立って‥‥」
「劉生お兄さんの、ワンポイントレッスン!」
 レクリエーションルームに移動してカメラに向かって言うリュウセイ。
 アヤには耳元でこそっとカイルが話し、それを聞いてきょとんとするアヤ。
「それだけで良いんですか?」
「実際に護身術の基本は戦う事じゃないからね」
 そういうとカイルが離れたアヤに、リュウセイお兄さんの魔の手が迫ります。
「きゃ〜っ☆」
 アヤが声を上げ、襲いかかるリュウセイに掌を開いて鼻をドンとつくような仕草をしてみせると、考えもしなかった攻撃にリュウセイお兄さんは寸止めされてもよろめきます。
「鼻は急所の一つだから、ここをドンと思い切り突いて、後は逃げる、だね」
「いや、痴漢役だからね。TVの前の良い子は勘違いしちゃだめだからな!! 痴漢はいけないことだからやらないように、お兄さんと約束だぞ!」
 よたよたしながら、リュウセイは画面に向かってそういっていました。

●選手の部屋から
 部屋を見たいとクーとお竜が言うのに難色を示していた2人。
 プライベートなところだからと困惑気味に言うのですが‥‥。
「ね、ファンだってやっぱり興味があるもんだからさ、ちょっとで良いから見せてくれない?」
 ミカの言葉に少し考えるとカイルへ目を向けたクライスは、首をぶんぶん横に振るカイルに苦笑してからミカへと向き直りました。
「では‥‥私の部屋をお見せしましょう。特別ですよ?」
 そうしてやって来たクライスの部屋は、広々としたワンルームで、ベッドと机、それに本棚にびっしりと並んだほんとDVDの数々。
 液晶テレビにシネマシステムが設置してありますが、隣の部屋に響くと行けないので音は小さくしています、と笑うクライス。
「結構広いんですね」
「まぁ、独身選手はこれぐらいの部屋を利用しますが、家族が居る人滞在用はもっと大きいですよ」
 そういって笑うクライスを、ミカはこっそりとカメラの前に引っ張っていき口を開きます。
「さて、エンディングの前に‥‥『Destruction』の年末のご予定はいかが?」
「年末、私しかカイルが皆さんのお世話になるかも、と」
 そこまでで勘弁、と笑うクライスにミカもにっと笑いカメラへ向かってリュウセイとともに手を振ります。
「では、『We Love Destruction』、次回まで‥‥See You〜」
 そうして画面は切り替わり、エンディングロールが流れて終わるのでした。