血花神楽アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
立川司郎
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/02〜04/06
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●本文
神が落とした、一輪の華。
月夜の晩に、遙か遠く三千の空と三千の雲の彼方の天津国に戻る為、村を通りがかる。
それは深い深い霧の晩に、白い霧に囲まれて姿を隠し、
星の光を灯りにして進む‥‥。
ところがその日、神様は星の光を落としてしまった。
さあ困った神様は、国に戻る事が出来ずに途方にくれる。
大丈夫。皆で星の光を集めて参りましょう。
村人達は、竈の火を。
山の動物たちは、葉につく一滴の水が反射する光を。
海のものは、水面に揺らめく薄明かりを。
そうして神様は皆に見送られ、帰ってゆく。そして神様が残された、一輪の華。
深い霧の月夜の晩、神様の星の灯りが照らす野原にだけ、白く煌々と輝いて咲くそうな。
長く長く受け継がれた、その神楽は村人達の楽しみの一つであった。
はるか昔は村人達で演じていた神楽も、村には年よりばかり残ってしまい、受け継ぐ者も少なくなった。
いつの頃からか、山向こうの神楽団に頼むようになり、年に一度の祭が開かれるようになった。こんな寒い時期だが、村から出ていった若者や子供達も戻ってくる。
孫や子、皆で集まって祭を、神楽を楽しんでいた。
「今年は神楽、いつになるそうだったかな」
「来月の日曜だと言うておったが」
年より達は、楽しみに待っていた‥‥。
だが、五年前のあの日。神楽は来なかった。
「‥‥そうですよね、シシリー」
あすかがくるりとふり返ると、シシリーに声をかけた。壁に背を預けて立っていたシシリーが、ちらりとあすかを見やる。あすかの前には、きちんと正座して年よりが数人座っていた。
年より達は、シシリーの事を『日本語の上手な外人さん』くらいにしか、思っていない。
まさか、神楽団を皆殺しにした本人だとは思うまい。あすかの視線が、そう語っていた。
「‥‥だから何だ?」
「このおじいちゃん達は、神楽を復活させたいそうなんですよ」
そう。村からやってきた年より達は、あすかに『神楽をやってくれる者が居ないか』と聞きに来たのである。
昔から、この村の者とは緋門神社は付き合いがあり、神楽団を紹介したのも緋門家だと聞いていた。放送業界の人とも付き合いがあるようだし、あすかならば誰かまた紹介してもらえまいか。
「大丈夫、今まで通りとはいかないかもしれませんけど、楽しいお祭りが出来ればそれでかまいませんよね?」
「もちろん、わしらは祭が楽しみなんでなあ?」
皆顔を見合わせ、笑顔で答えた。
年より達が帰ると、あすかはシシリーに真剣な表情で話し始めた。
「‥‥そもそも、神楽団を皆殺しにしたのはあなたです」
「月光の鏡を渡せ、と言ったのに嫌がった上、獣化しやがったからな。皆殺しにしてもいい、と受け取ったが‥‥間違いか?」
「あなたがシシリーと知れば、獣化して対処したのも当然かと思いますが。まあやめましょう、オーパーツももうあなたの手の元にない事ですし、五年も前の話しです。それは別として‥‥あなた、神楽団の神楽を一度見ているはずですよね?」
シシリーが黙り込むと、あすかは言葉を続けた。
「居るんですよね、たまに。十年前の誕生日に何を食べたのか、はっきり覚えているような記憶力の人って。‥‥神楽団で舞うくらい、チョロイですよね」
「けっ、何で俺がジーサン楽しませる為に、山奥までいかなきゃならねえんだ」
「間違えてませんか、今のあなたの職業は俳優なんですよ? 八卦に協力して、ご飯喰わせてもらう立場なんですよ」
いってらっしゃい、とあすかは地図を差し出した。
しかし、シシリー一人で祭が出来るわけではない。
「大体、神様の前で俺が舞っていいもんなのかよ。‥‥俺の体は、死臭がするぜ」
ふ、とシシリーが笑った。
設定
依頼:範囲は祭全般。出店に関しては、呼べば来るかもしれませんが、やりたい人がいればやってもOK。神楽に関わる事、舞台設置、祭でのイベント企画、やる事はいろいろあります。進行等、皆さんにお任せします。
祭:祭は宵だけでかまいません。そもそも神楽を見る為の祭なので。祭に必要な道具、神楽の道具等は全て村にあります。村人は人間ですが、神楽団は獣人だったようです。
神楽:一通りの神楽の進行については、シシリーが記憶しています。ですが、あまり乗り気でないようですが‥‥。実際にシシリーを神楽に出すのは、あまりお勧めしません(自分でも言ってますが、彼は神楽団を皆殺しにしているので)。
同行者:シシリー。あすかは同行しませんが、人数が足りないという場合は引きずっていく事も可。
●リプレイ本文
[鬼の神楽]
緋門神社に来たトラックは、シシリーや運転手の相馬啓史(fa1101)、時雨・奏(fa1423)によって荷物の積み込みが行われていた。
あすかは、暢気にその様子を見ているだけである。
八卦の誰もがその残虐性に眉を顰めるランズ・シシリー。暢気にしーちゃん、なんて呼んでいる滄海 故汰(fa2423)はともかくとして、相馬も他の仲間もまた警戒していた。
「なー、あすかサン、一緒に行ってくれ!」
ひしっ、と相馬はあすかの白い小袖を掴み、じいっと見つめた。
「やって、あん兄さんだけやったら、無事終わらんかもしれんけ‥‥頼んます!」
と両手をぱん、と合わせた。必死の様子だ。
「そうですねぇ。いいでしょう」
こうして、トラックとワゴン車は舞台となる山間の寒村へと出発したのだった。
5年前。シシリーは、八卦の追っ手をかわしつつオーパーツを奪って回っていた。
「あの神楽団はオーパーツを一つ持っていましてね。月光の鏡といって、あの村に関わりのあるものでした。シシリーはそれを狙って、神楽団に接触した」
‥‥その結果、神楽団は皆殺しにされた。
村人達は、単に事故にあったとしか知らない。死体は車ごと崖下に落とされ、焼けて判別もつかない状態だったのだから。
いつかは裏切る‥‥いつかは戦う事になる。
夏姫・シュトラウス(fa0761)は、そう感じていた。むろん、数々の犯罪を笑って行うシシリーに、いい感情は抱く事が出来ないという理由もある。
「今殺人鬼ではないのだから‥‥とにかく、お仕事に専念しましょう」
こっそり、御神村小夜(fa1291)が夏姫に耳打ちをした。前髪の陰る目を小夜に向ける、夏姫。すう、と小夜は笑顔を浮かべた。
神楽は本来、大太鼓や小太鼓などの奏楽によって行われる。しかし今回、音源を用意していない。その点を、蘇芳も気にしていた。時雨の事はともかく、音源がない場合は急遽作るかどうか、しなければなるまい。
「太鼓や小太鼓くらいなら、ここに有るようですよ」
自身も神社の娘である白河・瑞穂(fa0954)は、ここに来てすぐに倉を確認していた。
また、太鼓くらいであれば、上手くはないが打てる。獣化すればもっと集中力が上がり、効果も上がるであろう。
ただ、白河は進行役を務めようと思っていた為、舞台に上がるとなれば誰かにフォローしてもらわねばならない。
その点は、ヒカルと小夜が進行役の補佐を申し出てくれた。
「‥‥演じ手が少なければ、私も上がろうと思うんですけど、配役は何名なんですか?」
手を顎にちょんと当て、小夜が小首をかしげた。
「俺は神楽の用語とか分からねえから、簡単に説明する。誰が舞台に上がりたい」
シシリーが聞くと、まず蘇芳蒼緋(fa2044)が申し出た。そして故汰、夏姫の3名。足りなければ小夜といった所か。
時雨と相馬は屋台と準備、白河は奏楽と進行役、ヒカルは白河が舞台に上がっている間、進行補佐に回る。
「まず神を演じるもの、それから村人、山のもの、海のものの四名だ。ただしこれは最低人数‥‥本来はもっと人数が居たから、そこは何とか端折るしかないだろうな」
ここで問題なのは、神楽面を着けねばならないという事。要するに、この時点で蘇芳が人間形態で演じる事は決まってしまうのだ。
「では私は演じ手に。出来るかぎり、祭の準備も手伝いますから」
「いいえ、小夜さん。あなたは演者としての練習に専念してください」
白河が、きっぱりと小夜にそう言った。
「私はこういった行事に慣れていますから、ヒカルさんがお手伝い下されば大丈夫。ヒカルさん、お願いしますね」
ふり返ってヒカル・マーブル(fa1660)に聞く。
「はい、お手伝いします」
「では、こちらは舞台に専念します。ヒカルさん、そこにメモしてありますから、よろしくお願いします。祭の段取りや、寝所の確保をまず村の人と話してきてくださいね」
「小夜様お任せください! 舞台の練習は大変かと思いますけど、頑張ってくださいませ」
にっこりと笑うと、ヒカルは頭を下げた。
舞台設営と屋台設置の為、舞台に上がる四名とシシリー、時雨以外が一端退出する。
「‥‥ん?」
シシリーがじろりと時雨を見る。
時雨の手には、ビデオカメラがあった。
「あ、それは‥‥私が頼んだんです」
か細い声で、夏姫が言った。あとから自分の演技と見比べてチェックする為だ。
‥‥それにしても。夏姫、神楽面を着けたら『戦闘状態』になるんだろうか??
「時雨さんが撮るならば、まずシシリーさんに舞って頂きましょうか。‥‥舞台に立たなくても良い代わりに、指導役は引き受けて貰いますよ。勿論、断ったりなさいませんよね?」
微笑みながら、小夜が言った。半分は、神楽団を殺した責任。残りの半分は、小夜が見てみたいという所だ。
ここに連れてこられた以上、そのあたりは覚悟していたらしい。ため息をつくと、シシリーが四人を見まわした。
が、さしものシシリーも、覚えようともしなかった神楽の舞いを思い出すには時間がかかるらしく、何度か手を止めながら。日が暮れる頃には、一通り時雨の持っているカメラに収まっていた。
「じゃあ、神は小夜。山のものは故汰、海のものは夏姫。村人は蘇芳。蘇芳、おまえ一番出番が多いから練習しろよ」
シシリーに配役を言い渡されると、各人シシリーの練習画像をチェックしはじめた。
故汰は、ぴっと手を挙げてシシリーに寄りつく。
「はい、しーちゃん! 故汰はしーちゃんに練習見てほしいの」
「そこにあるじゃねーか」
とダルそうにシシリーがカメラを指さす。
「違うの、しーちゃんに教えてほしいの」
視線の先で、夏姫は持参のカメラに納められた画像を、何度も真剣に見返していた。
[準備開始]
まず白河は、小夜がヒカルに頼んだ以外の、取り急ぎの仕事を開始した。
本職である白河とあすかは自分の巫女服を持っていたが、ヒカルは持っていない。ヒカルの為に巫女服を用意すると、手早くヒカルに着付けをした。
しかしヒカル、その胸のボリュームがアレでコレで‥‥。
白河はさらしを持ってくると、ヒカルの胸を締め付けた。
ぐっと我慢するヒカルだったが、そこまでしても限界があるわけで。
「‥‥まあ、振り袖や訪問着を着る訳ではありませんし、胸はあってもいいでしょう」
白河はふう、と息を吐いて、胸を減らす事は諦めてしまったのだった。
「それではヒカルさん、私と一緒に来てください。私は祭の進行について集会場で聞いてきますから、その間にヒカルさんはお宿の手配をお願いします」
「はい、白河様」
メイドは巫女に早変わり。
舞台設営は、相馬と時雨が白河の指示の元行った。
これには、村の者も何人か手伝った為、それほど苦労もなく仕上がった。神楽舞いの為に舞台に据える天蓋、神楽を見る村人の為に、舞台周辺のビニールシート設置の位置確認。
そして、途中で必要になるスモークの量とタイミングも確認しておかねばならない。このスモークに関しては、シシリーがやるそうだが。
祭の準備が進む間も、神楽を行う四名は練習に励む。むろん、神楽面さえ着けていれば半獣化しても分からない夏姫と故汰は、積極的に半獣化するようにシシリーに言われ、練習もその状態で行っていた。面と付け髪で耳は隠れてしまうし、たとえ見えても山の物を演じる故汰の場合は問題がない。
海のものを演じる夏姫は、今回龍として登場する。面を外す前に人間状態に戻れば、村人には分からない。
「人間状態で演じなけりゃならないのは、俺と小夜だけか。シシリー、他の練習も見なきゃならないかもしれないが、しばらく練習に付き合ってくれないか」
頼む、と蘇芳がシシリーの正面に立って言った。
人に頭を下げられるのは、悪い気分ではない。
「‥‥嫌な気持ちか?」
小声でシシリーが耳打ちする。‥‥嫌な奴だ。
「だが、引き受けてくれるまで頼み続ける。‥‥俺は神楽初心者だから」
「じゃ、さっさとやるか。まず最初に言っておくぜ。神様とのシーンは、絶対に小夜より頭を高くするな。中腰の演技が長く続くからな。足腰鍛えとけよ。小夜、お前は背筋しっかり延ばして顎引け、肩開け、歩き方注意しろ。お前は神様なんだからな! 故汰、おめーはドタバタ歩きすぎなんだよ」
次にシシリーが夏姫を見る。どうやら彼女は、シシリーの演技をしっかり確認しつつ、自己流でしっかり練習に励んでいるようだ。
[祭]
小夜がヒカルに頼んで手配してもらったおかげで、屋台も時雨以外に何軒か出しているようだ。
「まあ、出店もない祭っちゅうのも寂しいしな」
時雨は、イカを捌きながら言った。焼くのは相馬の仕事。祭の間は、相馬は時雨の屋台を手伝っていた。
店の前を、神楽見物の村人が行き交う。今夜限りと村に戻って来た青年や、孫を連れた老人、そして親子。
「なあ、時雨。聞いてもいいか?」
相馬がちら、と時雨を見る。
「なんや、何でも聞いてや」
「関西もんち、屋台いうとたこ焼きちゃろ? なんでイカ焼きなん?」
一テンポ置いて、時雨が目を閉じた。
「そういう奴多いねん。関西=たこ焼き、お好み焼き、て」
「関西人ちゃ、幼稚園からたこ焼き作り教えられるて聞いたけど」
「どこの関西や‥‥あかん、お前と漫才しよったら、余計関西人のおかしな噂がたってまうわ」
関西陣はみんなボケ突っ込みが出来るとか、みんな漫才みたいな会話をするとか。
時雨は、眉を顰めてため息をついた。
直前。そわそわする故汰に、小夜がそっと声掛けた。
「どうしたの?」
「あのね」
蘇芳がこちらをふり返り、夏姫はじっと正面を見据えていた。
故汰は、じっと舞台を見つめる。
「‥‥神楽団のひと、どんなこと思って舞ってたのかな」
そして、しーちゃんは何を思っていたのだろう。
「神楽というものは、神を楽しませるという事だ。神聖な儀式であり、そして芸能の原点の一つでもある。まず自分が楽しむ事だ、故汰」
蘇芳の真っ直ぐな視線が、故汰に向けられる。
故汰は頷いた。
しばらくおいて、夏姫が口を開く。何だか少し、雰囲気が違う。‥‥戦闘態勢?
「奴の舞いは‥‥コピーだ」
誰より何度も見た夏姫は、気づいていた。あの記憶力で再生させた‥‥コピー。
コピーは、どこまで本物に近づけるのだろう‥‥。
そして、小夜が足を踏み出す。
舞台の向こうで、シシリーがスモークを出していた。ゆるりと歩き出す、小夜。
幕があく。神と、一輪の華の物語の、幕が。
舞台は盛況のうちに幕を閉じた。
声の通りもよく人間形態のままでも演技は出来る蘇芳は、シシリーに言われた所、事前に注意された事を思いかえしながら、きっちりと演じた。特に、今回の目的は神楽舞いであり、そして村人を楽しませる事が目的だ。
一通り演じる事が出来れば、あと必要なものは度胸だけ。事前に蘇芳に教えられ、故汰は故汰なりに皆を楽しませるよう、舞っていた。
小夜は最初と最後の締めであった為、特に緊張したようだった。小夜は元々表舞台に上がる職種ではない為、他の誰よりその思いは強かった。それに対し、夏姫はいつものあの、控えめで気弱な所はどこへやら‥‥。堂々とした演技を見せた。
スモークが消えた舞台に残された、一輪の華。
小夜が最後に舞台から降りると、拍手が夜空に鳴り響いた。
頑張ってるか。
声を掛けられてひょい、と相馬が顔を上げると、蘇芳が立っていた。
「もう神楽、終わったのか?」
「ああ、おかげさまで」
蘇芳の髪は、汗で濡れていた。それほど舞台で体力を消耗したという事だろう。
向こうのわたあめの屋台には、女性三人がみんな寄っている。
「わたあめを食べなければ、屋台は始まらないのです」
と言うあすか。あすか様、屋台にはりんご飴とか、チョコバナナとか、最近はクレープとかもありますよ。地方によっては、もっと色々。
ヒカルがそうあすかに答えると、夏姫はもうわたあめに口をつけていた。
視線をうけ、びくっと肩をすくめる夏姫。わたあめの袋には、子供向けのロボットアニメの絵が描かれていた。
「‥‥そういや、小夜と白河が居らんちゃ」
「ん? ああ、あの二人は祭より進行が気になるそうだ」
蘇芳が言うと、損な性格やな、と時雨はここに居ない二人に苦笑を漏らした。
かと思うたら、得な性格の奴も居るし。
時雨の視線の先を、蘇芳と相馬が辿る。
村人の人影の向こうで、銀色の髪の男が村人と話していた。
いつもの彼と違い、笑顔で村人の話に答えている。誰かがシシリーの舞いを見ていたのだろう、神楽団について平然とした顔で話していた。
片手でしっかり、故汰の手を握っている。
「‥‥いつもあんな感じなのか?」
蘇芳が時雨に聞く。
「ちゃうわ、あんなん一度も見た事あらへん。‥‥ええか、ほんまの悪人ちゅうのは表向き優しい顔しとるもんや」
「そんなもんか‥‥? たしかに悪人かもしれんが、あんたも考え過ぎちゃろ」
相馬が言うと、時雨が言い返してきた。
「! ‥‥いや、あかんあかん。相馬と話しよると、魔空間が発生しよるわ」
関西人はお笑い芸人ではない。‥‥しかし、それを否定すればする程、だんだん思わぬ方向に向かう気がするのは、気のせいだろうか。
そして数日後。傀儡の森にこの情報が掲載された。時雨の頼みで、この画像が(むろん、参加者の顔が見えないように修正してあるが)ネットで紹介されたのだ。
謎の神楽団死亡事件から、復活まで‥‥と。
目的は、ランズ・シシリーが管理人フルヤの近くに居る事を、ミサキの管理人三津屋臣に知らせる事であった。