FF学園〜課外授業アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
立川司郎
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
3.6万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
05/18〜05/22
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●本文
事務所のデスクに置かれた、企画書。
それはチョコレート“ふわふわ”を発売している、マスミ製菓から届けられたものである。むろん、商品も事務所に一箱届けられた。
あなたの事務所に企画書を持ってきたのは、ふわふわの営業を担当している男だった。
マスミ製菓がチョコレート“ふわふわ”のCMに新人アイドルを起用したのは、二ヶ月弱ほど前の事。短いCM中で学園生活を繰り広げるアイドル達が評判で、売り上げは好調だ。
現在、第2弾の撮影が終了し放送を待っている段階である。また、抽選で各千名に特別CD三枚をプレゼントするイベントも用意されていた。
「若いアイドルを起用したCMのおかげで、売り上げが伸びておりまして‥‥このたび、社が都内の野外ライブ会場でそれを記念してライブをしようという事になりました」
そう、マスミ製菓はふわふわの売り上げが好調である事に気を良くして、アイドルのライブを企画したのである。
“FF学園〜野外授業”と銘打ったライブでは、教師役を除く全参加ユニットが“ふわふわ”で使用されている制服を着用し、会場では各参加ユニットのCD販売も行われる。
「今までCMに参加していただいた方だけでなく、幅広くライブに参加していただく為に‥‥こうしてお願いに来た次第です」
チョコレートのCMから端を発した、アイドルライブ。
課外授業で、ふわっとしてみる?
設定
参加ユニット:衣装は全員、男子は学ラン。女子はセーラー服です。また、教師役は華美でないものでお願いします。
注意事項:各人に歌一曲とMCをお願いします。MCでは質問に答えてもらいます。一組目に歌う人は二組目の方が質問し、二組目は三組目。最後の方は、一組目の方が質問してください。
質問内容:学生っぽい質問や、普段の生活に関してものがよいです。
例:
・一番好きな教科はなに?
・今なにか悩んでる事ある?
・仲の良い友達、一人教えて
・あなたの弱点、教えて
・今後、ふわふわのCMやその他やってみたい事
ジュリプロの二人:今回、先輩ユニットのバックダンサーとして出張中なので、参加出来ないそうです。
●リプレイ本文
元よりアイドルを中心にしたCMで集まったメンバー、だがライブ経験が初めてだという者も少なくない。ライブイベントに出た経験がある、愛瀬りな(fa0244)や富士川・千春(fa0847)は、そんな彼らを引っ張るように、開催者側に提案をしていた。
愛瀬と千春が考えていたのは、今公開されているCMのキャンペーンCDにおいて歌詞を付けられなかった、校歌をこのイベントで歌いたいという事だった。
せっかくのライブだから、校歌を歌いたい。そういう二人の思いを聞き入れてくれ、会場の客に校歌の歌詞とふわふわのお菓子を配布した。
ライブが開始されるまでの間流れるのは、もちろん校歌(CD版)。千尋が作詞し、ケイが作曲した校歌だ。
教師役の愛瀬と天羽 霧砂(fa0319)を除き、全員制服である。
転校生役だった大海 結(fa0074)はブレザーの制服、トール・エル(fa0406)は交換留学生役、海斗(fa1773)も学ランを着ている。
そして鳴り響く、開始ベルの音。
教室に見立てた舞台は、左端が教壇、右端は机が並べられている。
十名は舞台の中央に飛び出し、ピアノの音とともに一礼した。そして校歌が流れ出す。
空ゆく雲の如く 真白き御魂
流れゆく水の如く 柔らなる想い
健やかなる心と身体こそ
学舎(まなびや)の 誉れの実よ
丸く丸く結べ
[ぷらちな☆キャンディ]
舞台に残ったのは、一組目である大海 結(fa0074)と氷咲 華唯(fa0142)。そして、MCでユイとケイへの質問役である愛瀬りな(fa0244)の三名だった。
教師役の愛瀬先生は、シンプルな水色をした、膝丈スカートのスーツ姿である。
「国語教師の愛瀬です。二人とも、先生の質問にちゃんと答えてね。二人は仲が良いように見うけられますけど、二人で休日遊びに行ったりしますか?」
最初に答えたのは、ユイである。
「僕はいつでも遊びに行きたいんだけど、実際一緒に遊びに行くのはたまになんだよね。ケイちゃん、僕と行くのあんまり好きじゃないみたい」
「‥‥そんな事は‥‥無い」
ケイの答えに、ユイが言葉を続ける。
「だってケイちゃん、ちょっと嫌そうな顔するんだもん。あ、行くのは映画館とかお買い物かな。遊園地とかフードパークにも行ったよ」
「あはは、ユイ君はCMの時でも、チョコの話で千尋ちゃんと盛り上がってたものね」
愛瀬が笑い声をあげた。
「ケイ君は、ユイ君と行くの、嫌‥‥?」
「そんな事はない。行くと大抵、ユイに連れ回される感じだから、任せてる。ユイ、いつも男か女か分からない服装で来るから、よくカップルと間違えられて。それが‥‥」
「面白がってる訳じゃないよ、僕はケイみたいな服が似合わないもん」
ちょっと落ち込んだ顔でユイが答えると、あ〜あ、と会場から声が漏れた。あわててケイが取り繕う。
「だから‥‥」
「あんまりケイ君虐めちゃ駄目ですよ。それじゃ、曲に行きましょうか」
にっこりと笑って、愛瀬が曲の紹介をした。
「アルバム『DROPS』から、『ソーダキャンディ』です」
明るい曲調が、流れ出す。可愛らしいメロディに沿って、ダンスもあまり激しくない。
これはケイが、ふわふわのライブに合うように、と選曲したものだ。ダンスが上手いユイに、ケイが合わせるように踊る。
作詞:ユイ 作曲:ケイ
いつだってその先にあるのは
キラキラ光るかけがえのないモノ
君と僕と繋がって
くるくるまわってはじけだす
願いを叶えるためのチカラ
カラダいっぱいに詰め込んで
今日も明日も全力投球☆
[Pure Teachers]
今回愛瀬とともに歌うのは、彼女と組んでいるPure Soraというユニットのリーダーであるキリサである。
キリサはセーターにタイトスカート。そして上から白衣を羽織っている。保険の先生という訳だ。MCの質問役として登場したのは、セーラー服姿のトール・エル(fa0406)。
‥‥あれ?
「久しぶり〜、トールちゃん! ますます綺麗になったわね」
キリサが、ぎゅっとトールに抱きついた。
「当然ですわ! でも今日は、交換留学生と先生ですわよ」
「あ、そうでした。じゃ、りな先生! りな先生は、何か今マイブームってある?」
愛瀬は少し考えて、口を開いた。
「やっぱり、職員室で食べるおやつの物色、ですね! 勿論、大好きなのは『ふわふわ』です」
「やっぱり甘いものは、女の子の装備品よね☆」
キリサが、相づちをうった。
そして続いて、トールがキリサに質問をする。トールはまじめな顔で、問いかけた。
「‥‥お聞きしてもよろしい? あなた方の様な女性になるには、どうすればよろしいですの?」
トールの目は、キリサの攻撃的なまでに豊満で美しい胸に注がれている。
たわわな胸を揺らしながら、キリサが笑った。
「胸の大きさなんて気にしない! 女の子にはね、そのコにしかない魅力があるものよん☆ だから胸なんかに拘らなくても、トールちゃんは魅力的よ」
「そ‥‥そうですわよね。おーっほっほ、それではキリサ先生と愛瀬先生に歌っていただきましょう。曲は『ふわっとファイト!』ですわ」
すっかり気を良くして、トールが曲へと促した。
この曲は、生徒を見守り応援するイメージの、アップテンポな曲だ。愛瀬はキリサに比べて歌もダンスもまだまだ自信が無いが、それでもキリサと一緒なら元気に楽しく歌って踊れそうだった。
愛瀬『キリサ先生は、もう一度学生時代に戻りたいですか?』
キリサ『うーん、戻ってみたい気もするけど、でも』
愛瀬『でも?』
キリサ『やっぱり、皆の成長を見守れる、今が一番かなっ』
二人は顔を見合わせ、頷いた。メロディが流れ始める。
一度っきりの学園生活! じっとしてたら勿体ない!
自分から ほら動いていこうよ!
みんなが手を差し伸べているよ!
でも 頑張りすぎたら 無理はしないで
自分に
ふわっと 甘く
ふわっと 優しく
ふわっと 気負わず‥‥
明日から またふわっとふわっとファイト!!
[トール・エル]
畑下 雀(fa0585)は、やはり短いスカートを気にしながら出てきた。トールが気にしているのはそんな事ではなくて、キリサに負けない、雀のFカップ。
「‥‥卑怯ですわ」
ぽつりと言ったトールに、きょとんとした顔の雀。
「な、何でもございませんわ! 早く質問なさって」
「はい。‥‥あの、好みの男性のタイプは」
と、雀が聞いた。会場が何だか意味で沸いているのに、雀は気づいていないようだ。
トールはそんな事も気にせず、手で可憐に口元を隠しながら、くすりと笑った。
「決まっているじゃありませんか。淑女のわたくしをサポートして、わたくしを輝かせてくれるような『紳士』が好みのタイプですわ。例えば、わたくしがパーティーで寂しく一人で‥‥」
雀は、黙って聞いている。はたと気づき、トールが強い口調で言った。
「雀さん、わたくしの話を聞きたいという気持ちは分かりますけれど、曲の紹介もしていただけないかしら」
「は、はい」
日舞の家系に生まれたトールは、優雅に舞いながらフランス語で歌い出した。
わたくし、素敵な淑女を目指しておりますの
いつかは、いつかは社交界にでデビューですわ
でも、わたくしも大きな障害がありますわ
いったらいけない障害が
あぁ、ため息がとまりませんわ
[畑下 雀]
眼鏡と、セーラー服からはじけそうな胸と、短いスカート。何だか特に、セーラー服がまぶしい‥‥。
「羽は衣装の一つなんですけど‥‥駄目ですか?」
雀が聞くと、質問役の千春は返答に困りつつ、舞台の端をちらりと見た。
「う〜ん‥‥一応セーラー服は着てくれているしね」
千春が言うと、はい、とか細い声で答えた。
「それじゃ、さっそく質問です。雀さんの苦手な教科って何?」
「苦手な教科ですか‥‥中学時代の事でいいですか‥‥? 音楽以外は苦手だったんですけけれど‥‥運動が駄目で、特に体育が苦手でした」
雀は瞳を潤ませて、言った。しかしその分、声はよく出るし通りもいい。
「じゃ、雀さんの歌を聴かせてね。‥‥『ふぁーすと☆でいと』でいいのかな」
実はカンペには、ふぁーと☆でいとになっている。恐らく誤字と思われ、千春が訂正して言った。
ゆっくりとしたテンポで、曲が流れ出す。
ゆらりと揺れるような動きで、雀が声を発した。落ち着いた雰囲気よりも、女の子らしさを押し出した声で、歌っていく。
はじめてのデイト
明日はあなたと待ち合わせ
はじめてのデイト
「似合う」って言われたい
はじめてのデイト
ふわり あなたと夢気分
はじめてのデイト
「好きだよ」って言われたい
[富士川・千春]
髪をアップにした千春に、三つ編み姿の麻倉 千尋(fa1406)。千春は優しそうなイメージで、千尋は真面目でちょっと厳しい生徒、といった印象だ。
が、千尋は元気よく質問を繰り出した。
「すみません、バナナはおやつに入るんですかーっ? ‥‥じゃなくって」
どっと会場が笑いに包まれる。千尋が笑って訂正した。
「お昼ご飯はお弁当?学食?」
「私、お弁当‥‥作っているように見えるでしょ? でも、実は学食で〜す! だって、日替わりランチのデザートが楽しみなの」
千春の楽しみは、日替わりランチと、いろんな学年の人とのコミュニケーションだ。学食は全学年が集まる場所だから。
千春の曲は、CMで千春が演じている役をイメージしたものだ。
優しくて面倒見のいい、吹奏楽部の先輩。
そんな雰囲気が、歌詞にも現れている。
放課後の芝生に寢ころんで気がついた
青空は果てなく広がっている
両手からあふれるぐらいの優しさと勇気をくれたみんなと
同じ空の下 出会えたことを喜び合おう
頬からあふれるぐらい涙ながしてもキミは一人じゃないよ
眩しい程輝いていた眼差しをボクは忘れないから
絡まっていた綿毛 空高く舞い上がれ
[麻倉 千尋]
オフでも友達の海斗は、舞台の上で千尋とのトークが出来る事を、喜んでいる様子だった。ここで千尋は、セーラー服から学ランと鉢巻き姿に着替えていた。学ランを着た海斗が、さっそく質問する。
「次は、麻倉千尋さん、千尋ちゃんの曲だね。じゃ、曲の前に僕から千尋ちゃんに質問!」
「おーっす!」
元気よく、千尋が手を挙げる。
「千尋ちゃんは、ふわふわでも素敵な曲を作ってるけど、作曲や作詞する時ってどうしてるのかな?」
「んー‥‥鼻歌。頭の中に、『音の付いた歌詞』が出てくるの。それを纏めていくと出来ちゃう感じ」
あとは難しい言葉は使わない、自分で思っている事は、それほど難しく言いたくないから。
そう答えると、海斗が頷いた。
「うん、それじゃあ千尋ちゃんの歌、聞かせてね。『GANBA!』です」
好きな人が出来るって
いったいどんな気持ちだろ?
分かるようでちょっと分からない
モドカシイ気持ち
恋はよく分からないけれど
一つだけ分かるコト
ちょっとだけキレイになったよ
アイツが好きだと言ったキミ
ガンバレ! ガンバレ!
恋する乙女達 涙流す事も恐れずに
[海斗]
舞台の真ん中に、ぴっと起立する海斗に、腕を腰にやって仁王立ちの阿野次 のもじ(fa3092)が、じいっと視線を向ける。
「‥‥はい、なんでも聞いてね」
「では、質問。そこの美少年! 年上のお姉さんは好きですか!?」
美少年と言われ、海斗が瞬きをする。しかし、にっこりと笑って海斗が答えた。
「あれっ? その質問、他にも気になる事があるみたいだよ?」
海斗の切り返しに、のもじは眉を寄せた。
「僕、年上のおねーさんも好きだよ、基本的に女の子は好き。多分女の子は永久に謎なんだよね」
男の子も謎な時が‥‥あるかな、と付け加える海斗。
海斗はくるりと周り、ステップを踏み始めた。ドラムとピアノがリズムを刻み始め、ゆっくりとした音が流れていく。
「じゃ、海斗の『君と登る丘』。はりきって行こー!」
海斗は、会場を誘うようにステップを続ける。軽く手をあげると、会場が手拍子を始めた。
Say halo☆
午前中の天気予報は雨降り
紫色の花に降りそそぐ雫
憂鬱そうに眺めてる君
電話ごしにも見える気がしたよ
だけど、Blue sky
午後には雨も上がるよ
お気に入りの傘を差して一緒に出かけよう
街を見下ろせる丘へ
今日しかみれない花を見に行こうよ
[阿野次 のもじ]
海斗の曲が終わると、のもじが舞台に飛び出した。
観客席に親指を立て、声をあげる。
「よし、いい反応もあったので、こちらも行きますか。付いて来い、野郎&乙女共! 一世! 一等! 一声! 一気にGO〜!」
ぴょんとジャンプをしながら舞台を手前に駆け下りると、歌い出した。
情熱もやせ☆少年少女たち
伸ばしたその手に星掴め。どんな願いも手を伸ばさなければ届かない
挫けそうなときは(ダッシュ!)
ミラクルが来る前に駆け出せば追い風におされてカッコヨク跳べる
目指せICHAN、頑張れ一番
大事なことは、何時だってすぐ目の前
曲が終わると、両端からユイとケイが現れた。
「『ICHAN☆JUMP』でした!」
ユイがのもじの横に立つと、紹介する。右にはケイが立って挟み撃ち。
「で、さっきの続きなんだけど」
「海の事はどう思ってるんだ」
海とは、羽崎海の事である。二人とも、絶対逃がさないといった様子でがっちり両端をガードしていた。
のもじはちょっと考え込み、ぱっと顔をあげた。
「ん〜ん〜・・・舎弟?」
「何で疑問系なんだ」
ケイが聞き返す。もしかすると、相手もそう思っているかもしれない。会場が笑いに包まれる。
ラストは皆が舞台に上がり、CDの『ふわふわKISS』を歌った。
そして終業のベル。
課外授業が、終わりを告げた。