傀儡の森〜過去への道アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
立川司郎
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
08/26〜08/30
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●本文
「蟇目大祭が終わった後、ちょっと考えている映画があるんだ」
PLOJECT:八卦企画部の立浪祐介は、八卦の映画脚本を担当している。蟇目大祭という八卦にとっての一大イベントの後、立浪は大作の脚本作成を控えていた。
そこそこ売れているとはいえ、立浪もあまりうかうかしていられない。最近、八卦が親しくする小さな映画館で上映されている『殺人ゲーム』という自主制作映画。八卦は、監督のAを呼んで本格的に売りだそうという動きがあるからだった。
そんな中、立浪は次回の映画に向けてある案を抱えていた。
それは、傀儡の森というオカルトサイトにある情報を元にしている。傀儡の森はここ数ヶ月前にも、立浪が関わって検証DVD化していた。主にその情報は、傀儡の森に寄せられたものであったり、管理人のフルヤが自分で見聞きしたものばかりだ。
一つの、神社のおはなし。
フルヤに会った立浪は、その話しを彼女から聞く事にした。
【過去への道】
と題された、話し。
奇しくも数日前、Aが過去と現在が繋がる館を舞台として殺人ゲームの映画をクランクインしたばかりである。立浪も、その話しは聞いて知っている。
「‥‥まあ、それがあったから目についた、と言われればそうなんだけども」
立浪は、そう正直に答えた。
「この、死んだ人に会ったっていう女の子の話‥‥聞かせてもらえるかな」
彼の問いに、フルヤは静かに話し始めた。
最近、恋愛に御利益があると評判を呼んでいる神社がある。実は元々、神社の森に呪いのわら人形が持ち込まれる事で有名だった所だ。
それがある時から、恋の噂にかわる。
「それ以来、“藁人形の中に好きな人の名前や髪の毛を入れて、夜中に一人で神社の林に結びつければ成就される”なんて言われるようになったらしいです」
「‥‥藁人形って‥‥それ、呪いじゃ‥‥」
立浪が絶句していると、フルヤがくすりと笑った。
「いえ、これはここ近年に神社の人が広めた噂が発端なんです。その以前にちょっとした話しがあって、それをヒントに神社の人が“恋愛に効果がある”なんて広めたんだそうです」
「いつからそんな事になったんだ」
「30年だそうです。詳しい事は分かりませんけど‥‥」
江戸時代、親の仇相手を探し続けた男が毎晩神社に祈った所、その男が現れて仇を討ったという逸話が残っているという。むろん、神社側としては人が斬られただの死んだのという話はありがたくない。
しかし周囲にひと気ない場所柄である事もあり、その逸話の後、五寸釘を打ち付けるに格好の場所としていつしか使われるようになった。
それから長い時がたち、今から40数年前。
ひとりの少女が、その神社で遭遇した。夢か幻か、戦死した父に。
「その子は、おなかの中に居る頃にお父さんが戦争に行って‥‥死んでしまったそうなんです」
父は、徴兵された友人の身代わりになり、黙って戦争に行って死んだ。
何故父は身代わりになったのか、何故娘の顔も見ないで死んでしまったのか、少女は死んでしまった父に対する思いを抱えて神社に来た‥‥。
そこで何があったのか、彼女は本当に父の霊に会えたのか、フルヤには分からない。
ただ‥‥。
「会いたい相手に、その月夜の晩の間だけ会える‥‥なんか、ちょっとロマンチックじゃないか? これが恋人同士だったりして、戦死した婚約者と今の恋人との間で揺れる恋心、なんて話にしたら面白いと思うんだけど」
立浪はじっとフルヤの顔を見つめ、言った。
会いたい相手、会えない相手に会える神社‥‥。立浪はその神社に調査に向かってくれるように、依頼したのだった。
DVD:「傀儡の森」の話を参照。ゴーストスポットを検証する、一時間ほどのドキュメンタリー番組を作成してもらいます。再現VTRも、出来れば作成をお願いします。機材等、最低限のものであればこちらで用意します。
傀儡の森:フルヤという女性の監理する、オカルトサイト。このサイトに紹介されたゴーストスポットの検証をするのが、目的。DVD化に関する話し合いは既に、フルヤと行っています。神社側に、まだ話は通してないようです。
神社:周囲は林に囲まれていて、人があまり通りません。立浪はその逸話を、映画のネタにしようと考えているようです。
霊感:設定で「霊感がある」とか霊感がありそうな設定が書いてあれば、何かあるかもしれませんが、普通の人はそれなりに、設定で「霊感がない」とあれば、ほんとに全く何も無いまま終わるでしょう。
●リプレイ本文
「‥‥神社、ここは最近恋愛成就に御利益があると噂の神社。想い人の髪の毛や名を藁人形にいれ、夜中に一人で神社の林に結びつければ成就されるといわれている。
だがこの評判、元をたどると一つの不思議な話が元になっているという‥‥」
番組冒頭のナレーション(声:森宮恭香(fa0485))。
神社に続く林を4人の男女が歩く。
全員白人で年齢は若い。外国の観光客にも見えたが、よく見ればどこかで見た顔。
「みんなで来たかったのになー」
先頭を歩くギタリストのジェンド(fa0971)がぼやくのを、斜め後ろにいたピアノ奏者の相沢セナ(fa2478)は苦笑する。
「まだ言ってるんですか。予定がありますし、大人数は先方もご迷惑でしょう」
「そりゃ、そうだが‥‥次映画撮る気なら立浪も挨拶ぐらいしとくべきじゃねぇ?」
穏やかな口調で正論を言われて、ジェンドは苦い顔だ。
「あのー」
二人の後ろを歩く女優の宝野鈴生(fa3579)が口を開く。
「交渉はジェンドさんが頼りなんですから、ここまで来て自信無いとか云わないで下さいよ」
銀髪赤眼と日本人離れした容姿の鈴生は大丈夫かなぁと溜息をつく。
「んなこた言われるまでもねーよ。さっきから言ってるだろが。元が悪ぃから綺麗にやんのは無理だがよ、失礼のねえよう丁寧に喋るから心配すんじゃねー」
説得力が欠片もない。
「本当かなぁ。お願いしますよー」
撮影許可が取れなければ無駄足だ。それでも同行したのは、この神社の逸話に興味があったから。
「会いたい相手に会える神社って本当でしょうか」
「さあ。何しろ五寸釘と藁人形ですから。まるで呪いか魔術の類です」
セナが言うと鈴生はぶんぶんと首を振った。
「駄目ですよ、期待してるんですから。会いたい人は沖田総司‥‥なんてミーハーなことを言っちゃいますが、実際に会えたら凄い事だと思いますし!」
力説する鈴生を、ジェンドがアホかという顔で見る。
「ね、ディーさんもそう思いませんか?」
鈴生は先程から無言の同姓に援けを求めた。
「‥‥藁人形は、呪いっぽい‥‥です‥‥」
「むぐぐ」
思わず鈴生は窒息しかけるが、ディーこと歌手のDESPAIRER(fa2657)に悪意は無いらしい。ただ彼女の暗い雰囲気と、少しばかり陰気でペシミストな性格は誤解されがちだ。
鈴生をディーは心配そうに眺めた。鈴生は背筋がゾクゾクした。
4人が目的地に辿り着くと、前もってジェンドが連絡していたおかげで直ぐ神社の人と話が出来た。応対してくれたのは、共に白髪混じりの壮年の宮司と禰宜である。
「この神社に不思議な話があると聞きました。俺達は、その話について調べ、DVDにしたいと思ってます」
「具体的には、どのようなものでしょう」
宮司達に、ジェンドは正直に事の経緯と検証DVD『傀儡の森』について話した。最初、彼はサイトの事を話すのを躊躇っていたが、それを話すとフルヤは笑った。
「変に秘密にしない方がいいと思いますけど」
取材において、取材対象の信用は何より大切だ。どの道、DVDを観ればサイトの事は知れるのだから隠すような事でもないだろうと。
「亡き父に出会った少女の話、良い話だと俺は思います。この話を多くの人に伝えるのに、協力してもらえませんか」
ジェンドの話を宮司は静かに聞いていたが、横に座る禰宜は乗り気に見える。噂を広めたのはこの禰宜かもしれないなとセナは感じた。
「期待されているようですが、調べて何も出なかった時はどうなります?」
検証DVDだから、調査結果により内容は多少変わる。ただ何も無かった、では神社としてイメージが悪い。たとえ数十年前に生まれた謬説だとしてもだ。
「その時は‥‥きっと、想いの力が‥‥足りなかったのです‥‥」
そう呟いたのはディーだ。無言だった彼女がいきなり喋ったので神社側は少し驚く。
「俺達は折角の話を壊すつもりはありません。勿論検証はきっちりやりますが、悪い噂が立つような番組にはしません。約束します」
必死に、ジェンドが説得する。悪い話では無いと禰宜も味方し、宮司は彼らに撮影の許可をくれた。
「上出来だ。俺達は明日の朝にはそっちに着くぜ。いるものがあれば言ってくれよ、用意するから」
大道具のかいる(fa0126)は仕事場でジェンドの連絡を受けた。身長ほぼ2mの巨漢でレスラーとしても活躍中の29歳。今回は本業のほかに撮影、出演、AD役と何役もこなす。
「取材用のレコーダーは?」
女優の森宮恭香は再現VTRと番組のナレーション役だ。逸話を肌で感じる為、取材聞き込みも行う。
「ジェンドが持ってたが、相沢が使うって言ってたか。分かった、用意する」
レコーダーは作れないから立浪から借りる。そのほか撮影機材も殆ど借物だ。細かな道具もあわせると結構な大荷物になる。
「まいど、裏方互助会から来た苅部(くさかべ)や。よろしく頼むで」
新人フリーターの苅部・愛純(fa4350)は荷物持ち(雑用)として呼び出された。関西弁を喋る浅黒く小柄な少女は、かいるの助手になる。
「人手が足りないからな。新人だろうと何でもやってもらうが頼むぞ」
「は、はい」
愛純は雑用以外に音響助手、演出助手も受け持つ。素人に無茶な話だが、それを言えば撮影を担当するかいるもカメラは素人だ。
「撮影出来る奴が来れなくてな」
かいるは肩をすくめる。撮影は仕方無いと引き受けたが、再現VTRで娘の前に現れる戦死した父親役は正直気が重かった。演技力は無い。それ以上に、相撲取り並の巨漢には不釣合いな役と思ってる。
「本当は色々と教えてやりたいが、こんな状況だ。悪いな」
愛純は無言で頷く。細かい事は気にしない性格だ。そういうものと納得した。
撮影班はオカルトサイトの情報を元に事前に話し合い、予定を組んでいた。
とりあえず現地の生の情報を集める取材と聞込みが先だ。仮にもドキュメンタリーなら取材は番組作りの基本。思い込み先行で番組を作ると、あとで酷いしっぺ返しを食らう。
「インタビューに2日、再現VTRと検証にそれぞれ1日ってところか‥‥」
「かいるがVTRに出るから、そん時は俺がカメラを回すぜ。演出は誰がやるんだ?」
音響担当のジェンドが言うと、愛純が手をあげた。
「演出の経験は?」
「おまへんな」
「‥」
ジェンドが無言でかいるを見る。巨漢はばりばりと頭をかいた。
「苅部には俺の手伝いもして貰わなくちゃなんねーだろ。もう一人ぐらい居ないときついぜ」
「それなら、私がやろうか? 一応、台本は考えてあるんだよ」
踊り子の春雨サラダ(fa3516)が言う。ハルサは再現VTRの父親と出会う娘役として、撮影に参加していた。かいるとジェンドは顔を見合わせ。
「いや、お前は演技に集中してもらいてー」
「えーっ」
やる気満々のハルサは口を曲げたがここだけの話、彼女の演技は大根だ。再現VTRの主役だけに負担は増やしたくない。
「森宮はどうだ? 女優だろう」
ナレーションの台本を練る恭香は水を向けられて、眼鏡の端を持ち上げる。
「そうねぇ‥‥面白そうだけど、やめとくわ」
主演の二人を眺めた恭香は首を振った。彼女も演出は専門外、僅かな期間で大根役者二人は荷が重い。
「演出家が居ないなら、好きなようにやらせた方がマシじゃない? 私も演技なら少しは教えられるし」
その言葉が後押しになり、演出はハルサに決まる。
「やったーっ♪」
嬉しさの余り、ハルサは踊り出した。ちなみに、スタッフの中に一人だけ演出のプロがいたが、この時は携帯電話で藁人形を撮りに出かけていた。
ここまで、かなり段取りの悪さが目立つ。だが企画の事情を考慮すればトラブルは止むを得ない。
ある意味、現地でスタッフが七転八倒する事も織り込み済なのだ。
他のスタッフが撮影準備に四苦八苦する間に、セナと恭香は神社と周辺の取材を開始した。
「元々は仇討ち祈願の逸話だったと聞きましたが、詳しく聞かせていただけますか」
セナのインタビューに答えているのは宮司。彼の話では、仇討ちは安政の頃らしい。
「当時は今のような情報社会では無いから、国を離れた仇を探すのは大変な苦労だったそうです。途中で挫折する方が多かったとか」
それ故に仇討ち祈願が成立する。まあ実際には己を奮起させる気休めだったから、祈った所に仇が現れるとは破格のご利益である。当時は神社も賑わったそうだが、まもなく明治になり仇討ちは禁止された。祈願は闇に隠れて五寸釘を叩き付ける行為に変わり、怪談が生まれる。
「怪談、ですか? 怨霊とかの話はちょっと‥‥」
戸惑う恭香に、林の近くの雑貨屋の女店主は話を続けた。
「おばあちゃんに聞いた話だけど、うちのおじいちゃんが亡くなった晩にも林から釘の音が聞こえてね。あそこは危ないと。他にも、鉄輪を被った男を見たとか‥‥」
「え、男って」
俗に言う丑の刻参り。
昼間でも暗い林の奥、木々に刻まれた無数の五寸釘の痕。地面に打ち捨てられた藁人形。
深夜に響く釘の声、手が届かないほど高い場所に残された藁人形、血で汚れた地面‥‥怨霊などでなく、確かに存在した生者の怨。幽霊よりも恐い。
明治に作られたこの土地の呪いは、40数年前に破られた。
「今から40数年前のこと。ひとりの少女が、夢か幻か、戦死した父に遭遇したというのだ。
生まれる前に戦争に行って‥‥死んだはずの父親。徴兵された友人の身代わりになり、黙って戦争に行った父。会いたい、顔を見たい‥願う我が子の祈りに応じるように」
かつての少女のように、私達は実際に神社に行ってみることにした‥‥。
恭香はナレーションを吹き込みながら、別の事を考えていた。同じく取材をしたセナに尋ねる。
「この娘さんのことは調べなくて良かったのかなぁ」
噂の発端となった娘、終戦前後の生まれだとすればまだ生きている可能性は高い。超常体験をした本人と直にインタビューできればドキュメンタリーとしてはこの上無いが、近在の人々は娘の素性を知らなかった。神社の禰宜は亡くなった先代の宮司から聞いた話だと言う。
「僕達の目的は怪奇スポットの検証ですからね」
過去の事象の推理はやや外れる。腕を組んで考える恭香を残して、セナは外に出た。
真夜中である。
昼より明るい都会と違い、ここらは月明かりが頼もしく感じるほど夜が暗い。
「散歩でもしましょうか。‥‥呪いはしませんけどー」
微笑を浮かべ、セナはあの林に足を向ける。
足取りは軽い。父の従妹、幼い僕に初めて楽器の楽しさを教えてくれた女性にもしかしたら会えるかもと期待している。当の昔に亡くなったひとだ。
昔は無数の釘痕だったが、今は神社がそれを許しているせいで装いが違う。
林に踏み入ると、木々に結ばれた藁人形が目に入る。奥に行くほどその数は増えた。
「‥‥」
耳を澄ませば、聞こえるのは木々のざわめき。
「何か‥‥いると思ったのに‥‥」
ディーは神社の人だけでなく、此方にも「挨拶」をと夜中にこっそり通っていた。昨晩は居たと思ったら人間で、しかも失礼なことに悲鳴をあげて逃げていった。
不意の足音に彼女は振り返る。
「えっ?」
林に分け入ったセナは、見覚えがある女性が現れて戸惑う。どこか本気では期待していなかったのかもしれない。霊感はあるものの、この手の話に鈍い男だ。
言葉が出なかった。
「‥‥あっ」
目の前にあらわれた父親の霊に、ディーは固まってしまった。
想いが歌姫から声を奪う。気がつけば別の場所にいて、父の姿は消えていた。涙がこぼれる。
翌日の弁当の手配をど忘れた愛純は、かいるの雷を受けて宿を飛び出した。
これから自転車で一番近くのコンビニまで買出しだ。昼間、怪談をたっぷり聞かされたが蝙蝠獣人の彼女には夜道も恐いものではない。
頭の中で明日の撮影の段取りを反芻していた愛純は、ふっと道に飛び出してきたものに慌ててハンドルを切る。ついランプを付け忘れていた。
「あたた‥‥」
「‥‥大丈夫?」
転倒した愛純に、月光を受けて青白い幽鬼の如く佇むディーが手を差しのべる。
蝙蝠は悲鳴をあげた。
灰色の髪に碧眼の娘が、不安な足取りで神社への道を進む。
真夜中、独りで怪談の舞台たる林に妙齢の女性は踏み入る。
震えながらも足を進め、辺りを見回すと靄の向うに人影が見えた。
「お‥‥、おとう、さ、ん?」
煙の中に軍服を着た巨漢が佇んでいる。靄と暗さで良く見えないが、彼女と同じ緑色の瞳がいとおしむように娘を見ていた。
駆け寄ろうとする娘は足が動かないことに気付く。
「お父さん!」
叫んで、伸ばした手が虚空を掴む。
悲しい表情を浮かべて消える人影に、娘は父と何度もよびかけた。
どこからか切なげな旋律が聞こえて、娘を包み込む。
「どうやった? うちのスモークは?」
演出助手の愛純の問いに、ジェンドは笑顔で答えた。
「出直してきやがれ」
がーん。
硬直する愛純を、恭香がフォローする。
「初めてにしては上出来よ」
撮ったのが素人と大根なので色々とツッコミ所はあったが、奇跡的に破綻はしなかった。期間一杯使って無事に撮影は終了したので、後の編集は立浪に任せる。
検証の方は、ディーが明け方まで粘ったが心霊現象は起きなかった。
あと一晩とディーが食い下がり、終いには泣き出して大変だった。
今は何とか彼女を宥めて帰り支度をしている所だ。その様子に、恭香は少し勘繰っている。他にも何人か様子が変だ。
「‥‥何かおいでになったのかな?」
さて真相はDVDを見て確かめてほしい。
しかし、会いたい人に会える場所なら、それはその人にしか見えないのでは無いだろうか。
(代筆:松原祥一)