獣人Drs放映編・第一話アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 龍河流
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 1人
期間 04/24〜04/28

●本文

●特撮番組『獣人ドクターズ』とは
 主人公達は、人間と動物が混じったような獣人である。種類は色々いる。その気になれば、人間の姿になることも出来る。
 主人公達は、その獣人が住む世界、獣人界の公務員である。配属は衛生局防疫課。全員が医療従事者なのだ。
 主人公達は、獣人であるからして、空を飛んだり、壁を地面と同様に走ったり、宙高く跳んだり、様々なことが出来る。
 主人公達は、多くの獣人がそうであるように、音楽をこよなく愛している。人間界で、クラシック音楽に目覚めた。感染者の身柄確保の方法は、主人公達の魂のこもった歌や演奏である。
 主人公達は、謎のウィルスによる伝染病『フッキョーワヲーン』感染者を追い求めて、異世界の人間界にやってきている。
 主人公達は、『フッキョーワヲーン』の影響で騒音魔と化した同胞を探し出し、捕まえて、ワクチンを投与した後に獣人界に送り返す任務をおっている。

 けれども、主人公達はすべての感染者へのワクチン投与を完了し、彼らを獣人界に送り返すまでは戻ることが叶わないのであった。

●『獣人ドクターズ』は特撮番組なのだけれど
 第一話の映像を確認したスポンサー各社の担当者は、おおむね苦笑していた。スポンサーはクラシックレーベルの音楽会社か、楽器販売などを手がける商店組合などで、集まった担当者は全員が獣人だ。
「全部獣化して、特殊能力だから、俳優さんは物足りなかったんじゃないかね」
「人間姿の演奏シーンは、申し分ないけどな。白衣なのは面白いもんだ」
 なまじ特撮番組と銘打ってあるだけに、アクション系の動きではなく獣人能力を使っての撮影では、さぞかし実力の見せ甲斐がなかったに違いない。などど言うスポンサー側は、はっきりきっぱり特撮には素人だった。基本的にクラシック音楽関係者ばかりなのである。
 そうして、番組制作の撮影以外の細かいところを一手に引き受けている弱小番組制作会社の『るうぷ』の英田雅樹は、そんなスポンサー側に難しい説明はしなかった。彼自身、特撮と関わるのは今回が初めてだ。
「全部ロケでは済ませられないので、やっぱり普通に特殊撮影もしたようですよ」
「ああ、目撃者がいたら大変だからねぇ。ま、予算内であれば、後は現場のやりやすいようにしてあげてください」
 スポンサー側は『クラシック音楽を多用する、演奏シーンもぜひ入れる』以外の細かいところには注文がない。よくこんな企画を通して、そこまでのんびり構えていられるものだと英田は思うのだが、ちゃんとお金が入る分には文句はなかった。
 これが、放映開始三週間前の出来事である。ものすごくタイトなスケジュールだった。

●特撮番組『獣人ドクターズ』第一話あらすじ
 音楽と平和を愛する獣人界で発生した謎のウィルス『フッキョーワヲーン』の感染者達が、禁断の異世界への扉をくぐって、人間界へ逃亡した。彼らを放置しておけば、いずれは恐怖の『騒音魔』になってしまう。
 この事態に獣人界衛生局防疫課は、感染者の捜索と身柄の確保、開発されたワクチンの投与とその後の獣人界への感染者送還を目的に、複数の獣人を人間界へと送り込むことにした。
 この人間界への出向を志願した者もいたが、大半は衛生局内の派閥闘争の煽りを喰って左遷同然に送り込まれたり、上司に疎んじられて送り出されたりした、非常に個性的な獣人達だった。さらに、自ら志願した者の中にも、家族や友人などが感染者として逃亡したという秘密を抱えている者が含まれていたのだ。
 それぞれの事情で最初は反目も目立った防疫課人間界出張所の面々だが、人間界で出逢ったクラシック音楽に触れ、また感染者達を追い求めるうちに、徐々に絆を育てていくのであった。

●『獣人ドクターズ』の出演者募集条件(資料)
・アクションが得意な俳優
 獣人形態では特殊能力を多用するが、人間形態での場面で殺陣などを担当できるアクション、格闘技などの心得がある者。
・クラシック音楽の楽器演奏が出来、演技の経験がある者
 演奏楽器は不問。複数演奏できることが望ましい。男女揃うのがもっとも良いが、そうでなくとも複数揃えること。
・出演者年齢層
 若年層に偏らないように、要調整。最低一名、三十代(課長代行役予定)以上を入れること。
・半獣化厳禁の徹底
 半獣化で活動している芸能人との混同を防ぐため。この基本が理解できない者は除外。

●今回の参加者

 fa0595 エルティナ(16歳・♀・蝙蝠)
 fa0607 紅雪(20歳・♀・猫)
 fa1359 星野・巽(23歳・♂・竜)
 fa1402 三田 舞夜(32歳・♂・狼)
 fa1628 谷渡 初音(31歳・♀・小鳥)
 fa2844 黒曜石(17歳・♂・小鳥)
 fa3066 エミリオ・カルマ(18歳・♂・トカゲ)
 fa3109 リュシアン・シュラール(17歳・♂・猫)

●リプレイ本文

 ドヴォルザークの『交響曲第九番「新世界より」第四楽章』がOP曲だった。
 この曲に乗せて、どこかのサバンナとジャングルを思わせる光景の後、観音開きの扉が開く。周囲に蔦を這わせた複雑な意匠の扉をくぐる獣人達の姿が次々と、画面下方に役名とその役職、俳優名が被せられて映し出された。
 暗色のスーツ姿に、手にコート式の白衣を掛け、全員自分について来いと態度で示している獣人ドクターズ課長代行の狼、熊野蕪村‥‥三田 舞夜(fa1402)。
 その三歩後ろに付き従うように、かっちりしたスーツに身を包み、穏やかな笑みを浮かべた代行秘書の猫、夜啼鳥(ナイチンゲール)‥‥紅雪(fa0607)。
 先の二人に少し離れ、上品なスーツの上に白衣を羽織り、髪もきっちりと結い上げたいささか表情が固いサブチーフの鶯、カーラ・アディントン‥‥谷渡 初音(fa1628)。
 銀物眼鏡に長い髪、ブルー系で纏めた服の上に白衣を羽織った、立ち居振る舞いはクールだが童顔の研究員の猫、ルイ・セレネ‥‥リュシアン・シュラール(fa3109)。
 白い上着は羽織っているが、明らかに機械いじりの仕事道具を抱え、物珍しげに周囲を見渡すエンジニアのトカゲ、ラガル・ティッハ‥‥エミリオ・カルマ(fa3066)。
 対照的に無表情で、だが一度だけ不安そうに辺りを眺めた、様々な薬草の類を下げ、胸元にしっかりと白い箱を抱えた薬剤師の蝙蝠、エリューシャ‥‥エルティナ(fa0595)。
 誰よりも軽やかな足取りで扉をくぐり、肩から提げた鞄に大量の書類や小さい試験管を詰め込んだ検査技師の竜、ウェイ・リュー‥‥星野・巽(fa1359)。
 これまでの一同とはまったく違う色彩の洪水状態で、フリルを大量につけた一応はナース服姿でウィンクを決めた看護士の燕、リョー・ライト‥‥黒曜石(fa2844)。
 最後に一文字ずつ『獣人ドクターズ』のタイトルが現れて、OPが終わる。

「リョウとルイ、ウェイは上司推薦での辞令です。つまり左遷か、他人のミスを押し付けられたものでしょう。エリューシャとラガルは志願していますが、エリューシャについては近親者の行方不明が確認されました。それと」
「カーラはいつもの通りだろう? もっと気楽に生きればいいのにな‥‥しかし、この騒々しさの中だと、仕事をする気が失せる」
 緑の多い公園のベンチで、夜啼鳥を隣に座らせた熊野が煩わしげに首を振った。人の耳では捉えられない遠方の音も聞き分ける彼ら獣人の能力は、人間形態でも変わらない。そのために人には静かな公園でも、熊野には騒々しいことこの上なかった。
「何を考えて扉をくぐったか分からんが、こんなにうるさい世界に来たら感染者でなくても楽器かき鳴らして自分の世界に浸りたくなるぞ」
「マスターのおっしゃるとおりです」
 課長代行であるはずの熊野の投げやりな態度に目くじらを立てるでもなく、夜啼鳥はおっとりと微笑んで頷いた。
 彼らは感染者を探しに出た他の者の連絡を待っている身分である。

 人間には静かな公園で待っている二人がうるさいと思うのであるから、街中で感染者の情報を求めて歩いている他の者は半ば拷問状態だった。先程からカーラは眉をひそめたままで歩いているし、ウェイは何度も耳も掻きながら困惑をありありと浮かべている。
 そんな二人と同行しているエリューシャが周囲を見回しつつ、急ぎ足なのは、感染者に繋がる情報がないかと捜し求めているように見えた。実際には、人が溢れている街中を歩いたとして、感染者に行き当たる確率は低い。ましてや彼女達にとっては、周囲は騒音に満ち溢れていた。
「辞令には従うのか当然とはいえ、こんなに騒音ばかりの世界だとは思いませんでした」
 ウェイが思わずぼやいたのを耳にして、カーラの額の縦皺が深くなった。やる気のないことを言って機嫌を損ねてしまったとウェイが更に困った顔付きになるのに、向けられた質問が。
「自分から志願した人がいると聞いていたけれど、あなたは違ったのかしら?」
「俺は自分でじゃなくて、彼女のお‥‥いや、ちょっと腕っ節が他より強そうだって、こういう仕事には適任だからと言われました」
 仕事なのだから騒音に負けてはいられませんと、自分で話しているうちに思い返したらしいウェイが真剣な表情になったのを眺めているカーラの表情は曇ったままだ。けれども何を考えているかは、窺わせない。
 そうして、エリューシャは無言でひたすらに周囲に目を配っている。人間界に来る前も、来てからも、無愛想で言葉少なく、他人と距離を置いている彼女にしては、緑の目の奥に必死な様子が浮かんでいる。
「あちらの陣営ではなさそうね」
 表面上は同様の熱心さで、人波の中に感染者の手がかりを見出そうとする若者二人を、カーラはそう小さく評した。

 もう一組、ラガルとルイ、リョウの三人も繁華街に入り込んでいた。人がたくさんいるところでは、きっと騒音魔と化した感染者のことが噂になっているだろうとリョウが主張したので、人が多いところを目指して辿り着いたのだが。
「ほんとにすごい音だな、この世界は」
「なんだ、もう音を上げるのか」
 単なる感想に、そっけないが嫌味にも取れる言葉を返され、ラガルは唇を突き出した。それを目にしても、ルイはすまなそうな顔をするでもなく、眼鏡の位置を直している。そして、二人が気まずいことになっても、リョウは我関せずで店のショーウィンドーを眺めるのに忙しい。または露店のアクセサリーを、だ。
 すっかり自分の世界に浸っているリョウを横目で眺めて、ラガルがちょっと溜息をついた。人間界の人々が騒音にこうまで無関心では感染者の情報を集めるのは難しそうだ。それならすぐに戻って次善策を皆と話し合うべきだが、リョウほどではないにしても、彼も人間が当然のように使っている機械に興味があった。ああいう通信手段を使えるようになれば、自分達もさぞかし便利だろうと考えていると、先を歩いていたルイが振り返っている。
「二人ともやる気があるのか? こんなくだらない仕事、とっとと終わらせるに限るだろう」
「お前なぁっ」
 ぐいと胸倉を掴まれたルイの顔から、眼鏡が零れ落ちた。挙げ句にそれは、糸に引かれたようにラガルの足の下に入る。ぱりんと音がして、ガラスの破片が路上で煌めいた。仕事を見下されて激したラガルだが、これには頭が冷えた。けれども、ルイの態度は代わり映えもなく。
「どうせ伊達眼鏡だ、支障はない。おい、リョウ?」
「なんだ‥‥こんないい音の前で、二人とも何をしていた?」
 いつの間にやら騒音の中に、非常に心地よい音楽が紛れていた。先程までは人間界服飾研究に没頭していたルカが、路上でバイオリンを演奏している青年の前に佇んでいる。名前を呼ばれて、さも嫌そうに振り返ったが、それは音楽に聞きほれていたためのようだ。
 代わりに、華美なフリルたっぷりのワンピースを着た『彼』の両脇にいた人間達が、驚いたように数歩退いている。
 やがて、その音楽がクラシックと呼ばれていることを知った彼らは、感染者も惹き付けられるのではないかと考えて、上司達が待つ公園へと足早に戻って行った。

 フッキョーワヲーンの感染者達は、なかなか見付からなかった。
 人間界の人口が獣人界の何倍にも及ぶためと、騒音に対する鈍感さが原因だ。獣人界でなら感染者の立てる騒音はあっという間に人の口に上るか、防疫課に聞きつけられるが、ここではそれが期待出来ない。
 おかげで出向させられた獣人達の神経はおおむねささくれ立ち、多少のことでも諍いが起きる。特に相性が悪いのか、ラガルとルイのそれは深刻だった。ウェイが度々仲を取り持とうとするのだが、押しの弱い彼は反対にとばっちりを喰らっている。最終的には、溜息をつきつつカーラが仲裁に入っていた。
 ただし、そんな様子にも課長代行でこの場の全員のリーダーであるはずの熊野は豪快に笑っているだけだ。夜啼鳥の穏やかだが、今ひとつつかみ所のない微笑とは違うが、熊野の笑いも他人に心中を推し量らせるものではなかった。
 何を考えているのかよく分からないという点では、リョウとエリューシャも大差がない。とはいえ、こちらは全員揃っていても自分の世界に没頭しているか、物思いにふけっているかなので他人との軋轢は少なかった。
 特にリョウにとっては、服装規定にうるさい御仁がカーラ一人であることと、熊野が早々に『ちゃんと仕事が出来る服装ならいい』とお墨付きをくれたのでかえって居心地がいいのかもしれなかった。挙げ句に、毎日夕方になるとどこかへ消えていた。
 そんな彼が、ある日深夜に戻ってきて告げた『噂』がある。
「パンダが車で、ヘビメタを鳴らして走っているそうだ」
 車は一応知っている獣人達だが、ヘビメタなる単語は耳慣れなかった。けれども、ラガルの羨望の視線の先で、人間の使うノートパソコンをいち早く入手して使いこなしている夜啼鳥が解説してくれる。
「非常に騒々しい、この世界の音楽の一つだそうです。興奮状態をもたらすものだとあります」
「ブーさん」
「仕事中は代行で頼むよ、カーラ」
「‥‥失礼。興奮状態をもたらすのいうのが、気に掛かるわ。感染者は例外なく」
「発病すると極度の興奮状態で、我々の耳には騒音としか思えない音を必死に鳴らす傾向があります。騒音であっても、ある程度のリズムや旋律が含まれているのが多数です」
 カーラの言葉を引き受けるというより奪うようにして、エリューシャが続けた。全員が承知はしているが、それは感染者に共通する特徴である。
 確かにと頷いたカーラの横で、夜啼鳥が追加する。
「パンダの感染者は、ササキという女性がいます」
「よし、行ってみよう!」
「場所を確認せずに走り出す気か」
「ああまたそんな。リョウさん、案内をお願いします」
 このときばかりは、さすがに反目も長続きはせず、彼らはその噂に示された場所へと向かった。もちろん全員が白衣に着替え、エリューシャがワクチンの入った箱を抱え、先行して走るウェイ、ルカ、ラガルを追う。その後を、無駄にスカートの裾を翻すリョウと、それに小言が連ねるカーラ、相変わらず三歩後ろに夜啼鳥を従えた熊野が続く。
 場所は、深夜のコインパーキングだった。

 停められているのは、いささか古いタイプのワゴン車だった。そのドアを開け放って、目を血走らせたパンダが大音量でヘビメタを鳴らしている。それが人間に見られれば騒動になっただろうが、ここは敷地の半分に屋根が付いていて、周囲は他の建物に囲まれているから人目が届かない。音がしても、気味が悪くて近付いてくる人間がいないのだろう。
「ふむ。フッキョーワヲーン感染者のササキだな。おとなしくワクチンを投与されれば、その騒音の発作は止まるぞ。その後一日一回、三日連続の検査でウィルスの死滅が確認されれば、自宅に戻れるがっと」
 獣人界でも感染者に聞き入れられたことはないのだが、一応は熊野がワクチンの自主的な接種を呼び掛ける。ここで素直に接種を受ければ、痛い思いはお互いにしなくてもいいのだが‥‥今回も、感染者の強硬な抵抗に合うようだ。
「代行、下がって」
「ここは適材適所だろう」
「入口の警戒をお願いします」
 ササキが牙を剥いたのに対して、ラガルとルイ、ウェイが素早く動いた。この三人の中では、ラガルはいささか遅い。が、彼にササキが向かう間に、ルイとウェイが両脇に回って足払いをかけた。相談したわけでもないのに、よいコンビネーションだ。
 トカゲに掴みかかるパンダ、更にそれを襲う猫と竜、パンダの腕になにやら攻撃を仕掛けた蝙蝠と、入口での警戒をする燕、その様子を見守る鶯と猫と狼という本来人間界ではありえない光景は、案外と速やかに収束した。そもそも多少の痛い思いはしても、平常心を失っている感染者に防疫課の面々が苦戦することは少ないのだ。幸いにして、人間にも気付かれなかった。
 エリューシャが取り出したワクチンをカーラがササキに打ち、発作がおさまって会話が可能になるのを待っている間に、リョウが車のオーディオセットをあちこち叩いて中から銀の円盤を取り出すと、自分が持っていた同じものを入れ込んだ。またあちこち押して、ようやくスイッチが入ったらしい。
 今度大音響で流れ出したのは、古いオペラの中の歌曲だった。それを聞いて、ササキに血色が戻ってくる。落ち着き具合がこれまでのワクチン投与時と違うことを、熊野やカーラ、ルイは見て取った。だが、それを言葉にするよりも、自分が聞いている歌曲に惹かれる気持ちが強い。
 いい音楽だと素直な感想を述べたラガルが、そうだとポケットから何か取り出した。ルイに差し出したのは眼鏡らしい。壊してしまったものの代わりだと、そう告げる声にはこれまでのような尖ったところはなくなっていた。ルイも案外と素直に受け取ったが。
「貴様ー!」
 人間達が鼻眼鏡と呼ぶアイテムを手に絶叫し、音楽の邪魔をしたと皆から白い目で見られた。ササキにまで。
 ラガルをこつんとやることで気持ちを収めたルイも、やがてはオペラの歌声につられて歌いだした女性達とルイ、リョウの声に聞き惚れていた。中でもカーラの声の見事さは、熊野に昔と変わりないと賛辞が贈られる。
 深夜に歌声が聞こえるホラースポットとして有名になりそうなパーキングの、それが事件の終わった一時の出来事だった。

 この歌声が、やがてEDに変わる。

 見果てないこの世界へ駆け抜ける
 新しい夜求めて