魔法のグラスエンジェルアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 紅茶えす
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/24〜10/30

●本文

『キミも呼んでみよう、魔法のグラスエンジェルを♪』
 そんなキャッチフレーズが踊る。
 どうやら、特別アニメの声優募集のお知らせらしい。

「あれ、こんな本買ったっけ‥‥?」
 主人公の少年が、ふとした事から手に入れた謎の本。
「えー、なになに‥‥これは、貴方を幸せにする魔法の呪文です‥‥? うわ、嘘くさ〜」
 なんて言いつつ、興味本位で唱えてみると!?
 Bowawa〜n♪
「げほっげほっ、何なんだ!?」
『グラスエンジェル降臨〜☆』
 煙が晴れると、そこには翼の生えた女の子達が‥‥!
 それは、天使達を呼び出す魔法の本だった。
 これといった取り柄のない主人公が、天使達の魔法に助けられながら送る、笑い有り、涙有り、ちょっぴりお色気も有りな学校生活を描くハッピーストーリー☆
 天使達は、なぜか全員メガネっ娘。教師や転校生となって、主人公の通う学校へと紛れ込んできます。天使としての正体はヒミツ、呪文を唱えれば魔法が使えます。
 学校では、ちょうど体育祭が行われ、主人公は魔法の力で大活躍しちゃいます♪

 声優募集は、主人公1名・天使数名がメインです。他の男性役も若干名。同時に、声優以外のアニメ関係者も若干名募集。
 声優さんの意見を積極的に取り入れて、より良い作品にしたいと意気込んでおります!

●今回の参加者

 fa0329 西村・千佳(10歳・♀・猫)
 fa0402 横田新子(26歳・♀・狸)
 fa0426 Key(17歳・♂・ハムスター)
 fa0461 ケイン(45歳・♂・蝙蝠)
 fa0658 梁井・繁(40歳・♂・狼)
 fa0888 セドナ(16歳・♀・竜)
 fa0943 雪凪 灑沙羅(18歳・♀・猫)
 fa1299 春日 春菜(16歳・♀・虎)

●リプレイ本文

「うわぁ、本格的だ‥‥」
 機材を眺めつつ、収録室へ入る声優アイドルのKey(fa0426)。
「新人ですけれど、がんばりますっ」
 元気良く挨拶。彼が主人公『鏡俊也(かがみ・しゅんや)』役である。
「私は、主人公に恋心抱くクラスメイト『雲谷愛(くもたに・まな)』役の声をやらせていただきます、春日春菜(fa1299)ですっ! 高校生役ですが、幼い感じも出していきたいです」
 続いて自己紹介する声優の春菜。
「精一杯やりますので、よろしくお願いします」
 学級委員長『良国美晴(りょうごく・みはる)』役(ナレーター兼任)、ラジオDJの横田新子(fa0402)。
「いい脇役をしたいと思っている」
 主人公達に理解ある担任の歴史教師役、声優のケイン(fa0461)。
「こういった意地悪じみた声は得意だからね☆ せいぜい天使達をイヂメテさしあげるとしますか」
 天使と敵対するお邪魔キャラ『堕天使ラプソディ』役(俊也の父兼任)、声優の梁井・繁(fa0658)。初仕事の新人声優達が気楽にやれるよう戯けて見せる。
 そして、天使ルミアこと『如月瑠美亞(きさらぎ・るみあ)』役、声優の雪凪灑沙羅(fa0943)。
 主人公を『お兄ちゃん』と慕う妹のような天使『西山千香(にしやま・せんか)』役、アイドルの西村・千佳(fa0329)。
 主人公のクラスメイトとして登場する、本ばかり読んでいるとても地味な天使『大浦美知留(おおうら・みちる)』役、歌手のセドナ(fa0888)。自己紹介を兼ねた挨拶が交わされる。
「主人公モテモテですね‥‥漫画だからって、気もしますけど‥‥僕もいい人見つからないかなぁ‥‥」
 上がってきた台本を見て苦笑するKey。そんな彼を見て女性陣も苦笑している。
「俊也殿、何か困っている事はありませんか?」
 役作りに励みつつ、交流を深めようと積極的に話しかける灑沙羅。出演者同士の信頼関係も、作品を作る上で欠かせない。
 声優陣の意見を取り入れた最終的な台本では若干設定も変更されている。
 飲み物を一口、そして眼鏡をくいっと直して気を引き締めるKey。
 割り当てられたマイクの前に立つ声優陣。動画に命を吹き込むアテレコが始まる。

 若干引きこもりの気がある平々凡々な眼鏡男子高校生、鏡俊也。
「眼(まなこ)を開いて、水鏡(みかがみ)を見よ、神秘の力をこの手にグラスイリュージョン!」
 呪文を唱える俊也=Key。
 謎の本との出会いが、彼の生活を激変させた。

「今日は体育祭‥‥なんだか気分が重いです。なぜかというと‥‥あの本から天使達が出てきたから。僕を守るとか言っていたけれど‥‥いきなり堕天使ラプソディとか出てきて大変でした」
 心境を語る俊也=Key。
「はぁ‥‥あ、父さんお弁当。忘れないでね」
「あいよ!」
 やけに明るく元気な父=繁を送り出した後、俊也=Keyも登校するのだった。

「お兄ちゃんいるー? あ、発見〜♪」
 早速、教室へ遊びに来て、元気に跳ね回っているのは千香=千佳。後輩として紛れ込んでいる天使の一人である。
(「‥‥俊也くんと目が合っちゃったよぉ」)
 やや離れた席、本で顔を隠して赤面している、お下げ髪の少女は美知留=セドナである。天使なのに運動神経も無く、自分に自信が無いため、いつも物陰から見守っている。
 明らかに恋心の見える千香=千佳、美知留=セドナとは違って『呼び出した人間に尽くすのが仕事』というスタンスの瑠美亞=灑沙羅。長い黒髪の天使である。
 いつの間にか、俊也=Keyの周りには天使達が集まっている。
 それとは別に彼へと視線を送っていたのは、クラスの中でも割と人気があるおっとり系少女の愛=春菜。肩下までのほんのりカーブのかかった髪が魅力的だ。
 実は、日頃から彼が気になっていた愛=春菜は、その周りに突然現れた天使達へ、敵対心を微かに燃やしていた。
 やや睨むようにしていた愛=春菜に、
「お姉ちゃんどうしたのー? お姉ちゃんも一緒にお兄ちゃんとお話しよう♪」
 無邪気に呼びかける千香=千佳。
「雲谷殿、おはようございます」
 落ち着いた雰囲気で挨拶する瑠美亞=灑沙羅。
 愛想笑いで、その場を凌ぐ愛=春菜。ちょうどチャイムが鳴って、担任=ケインが教室へと入ってくる。
「起立・礼・着席」
 委員長の美晴=新子が号令を掛ける。
 職業柄、演技することに慣れていないのか、少々戸惑い気味の新子だが、一生懸命やろうとする気持ちは伝わってくる。
 俊也=Keyの机の下に隠れた千香=千佳には気付かないフリで、
「今日は体育祭だ。学年優勝目指して頑張れよ〜」
 生徒達を送り出す担任=ケインであった。

 様々な思惑が交錯し、結果的にたくさんの競技に出場する事となった俊也=Key。
「お兄ちゃん頑張れっ! 僕達が応援してるよ!」
 千香=千佳を始めとする天使達の魔法の力をちょっとだけ借りて、好成績を納めていった。
 続く競技は、障害物競走。
 華麗に障害物を乗り越え、トップに立つ俊也=Key。
「かっこいい〜」
 天使達に負けじと、応援する愛=春菜。
 だが、その時。
(「うわわっ、やりすぎだって!?」)
 突然、有り得ない動きで障害物に突っ込む俊也=Key。
 顔を見合わせる天使達。
「あわわわわわ‥‥敵が現れちゃいました〜〜どうしましょう〜〜〜〜」
 いち早く、それに気付いたのは美知留=セドナ。だが、臆病な彼女は、つい物陰に隠れてしまう。
 上空へと転移し、天使の姿に変身する瑠美亞=灑沙羅、千香=千佳。
「ふっふっふ‥‥」
 そこには、魔法で邪魔をした堕天使ラプソディ=繁がいた。
「ラプソディ殿、今回もまた邪魔をしに来られたのですか? 何度も申しますけれど、俊也殿に何かしようというなら、私、容赦しませんから」
 そう宣言し、対峙する瑠美亞=灑沙羅。
「グラスエンジェルども‥‥これでどうだぁっ!!」
 あろうことか、攻撃魔法を俊也=Keyに向かって放つラプソディ=繁!
「俊也くんが危ないっ! 『エンジェル・ファイヤー・ストーム』!!」
 美知留=セドナが魔法で相殺!
 同時にゴールインのピストルが鳴り、歓声が上がったおかげで、それに気付いた者はいなかった。ただ一人を除いては。
 そんな中、空を見上げてしまった美晴=新子は、
「こ、これは夢よね、うん、そうよね、そうに違いな‥‥」
 現実逃避気味に気絶するのだった。

 結果的に、俊也=Keyは障害物競走をリタイア。満足そうにふんぞり返るラプソディ=繁。
「お兄ちゃん!」
「俊也くん!」
「俊也殿!」
 天使達は、力を合わせて俊也=Keyを上空へと召喚。最初は戸惑っていた彼も、天使達の想いを一身に受け、ヤル気を出したようだ。
 眼鏡を外したのは気合いの現れか、呪文詠唱する俊也=Key!
「眼を開いて水鏡を見よ。明鏡止水の心、解き放つ! いでよ、プリズミック・アロー!」
 天使達の力を結集した魔法が発動する!
「くっ‥‥くそぅ‥‥またしても‥‥次回こそは‥‥!」
 お約束な捨て台詞を残し、飛び去るラプソディ=繁であった。

 最終種目のリレー。妨害もあって点数を落としていた俊也=Keyのクラスだが、まだ優勝を狙える圏内だ。
 そして、彼はアンカーに抜擢された。
 バトンを受け取った彼は、懸命に走った。
「頑張って〜!」
 精一杯応援する愛=春菜。
「お兄ちゃん頑張れっ!」
 千香=千佳が、
「俊也くーんっ!」
 美知留=セドナが、
(「俊也殿‥‥!」)
 瑠美亞=灑沙羅が、彼の勝利を一心に願う。
 彼女にも、ほのかな恋心が生まれていた。しかし、まだ自覚はしていない。そんな微妙な心の言葉を演じる灑沙羅。
 それは魔法の力だったのか、それとも彼の実力だったのか。
 俊也=Keyは、トップでゴールテープを切った。
「よくやったぞ、鏡!」
 担任=ケインが率先し、俊也=Keyを胴上げする。空に向かって、こっそりウインクをしながら。
 見事、彼のクラスは学年優勝したのだ。
「あれは夢だったの?」
 保健室で目覚めた美晴=新子は閉会式を眺めながら、首をかしげるのだった。

 下校時間。
 彼を待ち伏せていたのは、少し恥ずかしそうに頬を赤らめた愛=春菜だった。
「あ‥‥あの、なん言うかとっても‥‥かっこよかったよ? 凄かった〜! 鏡君‥‥お疲れ様!」
 そして、エンディングテーマが流れ始め、マイクがオフになった。

 最後に次回予告を読み上げる新子。
「ふとしたきっかけで町内会の祭りを手伝うことになった俊也。はしゃぐ子供たちの中に一人、寂しそうな表情をした少女を見つけた俊也は‥‥。
 次回、魔法のグラスエンジェル『君に魔法の言葉を』。キミも呼んでみよう、魔法のグラスエンジェルを♪」
 『魔法のグラスエンジェル』は一話きりの特別アニメなため、本放送では次回予告は流れない事になっている。だが、もし視聴率を得て人気が出れば、続編を作れるかもしれない。そんなスタッフ全員の願いが籠もった次回予告だった。
 そして、最後の挨拶は勿論。
『お疲れさまでした〜!』