関羽千里走アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 冬斗
芸能 1Lv以上
獣人 フリー
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/21〜06/25

●本文

 ―――関羽雲長。
 二千年近くも昔、蜀なる国にて猛威を振るった武将。
 見事なまでの髭を蓄えた姿は『美髭公』とも称され、その武勲と仁に厚き人柄は人々の心を打ち、中華において47人目の神とされた英雄である。
 義弟の張飛と共に蜀の王・劉備と義兄弟の契りを交わし、一武将でありながら「三国志」においてある意味もっとも名を残したといっても過言ではない名将。

 彼の武勇を語る上で有名なものの一つに『千里走単騎』がある。

 曹操の下に庇護を受けていた関羽は、主君・劉備の健在を知るや、馬一つ、主の家族を連れ旅立った。
 曹操は彼を引き止めるもあまりに鮮やかなる彼の振る舞いに別れを認めざるを得なかった。
 しかし、そこに待ち受けるは五つの関と六人の将。
「許可のないものは通すわけにはいかぬ」
「ならば力ずくでも通るまで」
 ここに彼の過酷な千里走が始まった。
 主君の夫人達をたった一人で守る長い道程。
 くわえて関を守るは曹孟徳に仕える名将達。
 いかな関羽とて楽な旅路であった筈もない。
 それでも関羽は戦った。
 偏に忠義のため、千里の道を切り崩し、駆け抜けた。
 最後に待ち受けしは曹操の右腕と誉れ高き夏侯惇元譲。
「貴様が斬りし秦キは蔡陽が甥にして我が部下、断じて貴様を許すことは出来ぬ」
 疲労の隠せぬ身体に、音に聞こえし『盲夏侯』、それを前にしても関羽は青龍偃月刀を振るい続ける。
「忠」にて刀を振るいし関羽、「義」にて槍を繰り出す夏侯惇。
 互いに引かずの剣戟を収めたるは張遼文遠。
「両名引かれよ、丞相の御命である」
 あくまで関羽を傷つけることなく見送れとの曹操からの配慮、それも彼の徳のなせる業といえよう。
 かくして彼は五関を突破し、主・劉備の下へ。
 ―――だが千里を抜けた関羽を待っていたのは義弟張飛からの敵意だった。
「曹操の犬に成り下がった不忠者めが」
 関羽を裏切り者と断じ蛇矛を向ける義弟を斬れる筈もなく。
 そこに甥、秦キの仇、と猿臂将軍蔡陽の一軍が―――。


・舞台演劇
「関羽千里走」

キャスト募集/
役名:
関羽雲長
張飛益徳
曹操孟徳
夏侯惇元譲

他『自薦』問わず
(張遼、蔡陽ならび、「三国志」に登場する人物であれば誰でも構いません)

五関六将軍
孔秀
韓福
孟坦
弁喜
王植
秦キ

条件/
経験不問
要面接
男女、年齢不問

 独自の解釈による三国志を製作致します。
 よって、登場人物及び物語展開は歴史を大きく逸脱しない限り自由とします。
 本来の役柄と性別や年齢などが大きく異なる場合はそれについて必ず申告してください。
(例:女性の関羽役)
・「男性・関羽雲長」役(通常です)
・「男装の麗人・関羽雲長」役(「女と見まがうばかりの」などと言われます)
・「女傑・関羽雲長」(ナチュラルに女性です。「美髪公」とか名乗ってください(笑)
 年齢や身長などに関してもこれと同様に扱います。
「正史のとおり」か「偽っている」か「そのまま噂にも及んでいる」かです。

 人物・展開についても歴史が狂わない程度であれば問題ありません。
「関羽と張飛の戦いを劉備が割って止める」
 などもOKです。
 人柄も自由です。
 スタッフ方々の思い描く人物像をお聞かせ願います。
 新しい三国志に御出演ください。

ナレーション募集/
 関羽の旅路を紡いでください。
 配役との二役も可です。
 その場合はキャストと同様、「ナレーションと人物二役」か「登場人物でのナレーションか」を申告してください。
(劉備「こうして我が義弟、関羽は〜」など)

●今回の参加者

 fa0826 雨堂 零慈(20歳・♂・竜)
 fa1234 月葉・Fuenfte(18歳・♀・蝙蝠)
 fa1448 梢・飛鈴(23歳・♀・猫)
 fa3425 ベオウルフ(25歳・♂・狼)
 fa3678 片倉 神無(37歳・♂・鷹)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)
 fa4584 ノエル・ロシナン(14歳・♂・狸)

●リプレイ本文

●CAST
 関羽雲長‥‥ノエル・ロシナン(fa4584)
 張飛益徳‥‥雅楽川 陽向(fa4371)
 趙雲子龍‥‥雨堂 零慈(fa0826)
 周倉‥‥梢・飛鈴(fa1448)
 劉封‥‥タブラ・ラサ(fa3802)
 夏候惇元譲‥‥片倉 神無(fa3678)
 張遼文遠‥‥ベオウルフ(fa3425)
 郭嘉奉孝‥‥タブラ・ラサ(二役)
 曹操孟徳‥‥月葉・Fuenfte(fa1234)
 ナレーション‥‥梢・飛鈴

●千里走単騎
「貴様が関羽か! ここより先はとおさ‥‥何ィ!? 何故構えぬ!?」
「重いの」
 見事なまでの御御脚(おみあし)も露わに主君・劉備玄徳様の下へ参じる美少女。
 いえ、彼女は女性ではありません。
 女装美少年、関羽、字を雲長様と申されます。
 またの名を『美脚候』。
「ひき逃げアタック☆」
「ぬわぁ!!」
 武勇の代名詞ともいえる青龍偃月刀をなんと赤兎馬の鞍に括り付けてのチャージング。
 夏候惇の信頼厚き部下、秦キもかわすのが精一杯です。
「ま、待て! 逃がさぬぞ!!」
 通すわけには行かぬと必死で追いかける秦キ。
 ですが一日千里を駆ける赤兎には追いつくのさえ一苦労。
 馬を猛らせ、必死に追い縋るも
「あ」
 こうして、関羽様は『今までどおり』五つ目の関を抜けたのでした。
 でも六将軍、死因が『落馬』とは口が裂けても言えません。

 事のおこりは少し遡ります。

「曹操殿! お別れを言いにきたのー!!」
 美しい声で呼びかけるも尋ね人は現れません。
 どうやら留守のようです。
「劉備様の御存命がわかったの! 私行かなくちゃいけないからお別れを言いにきたのー!!」
 これで七度目、それでも主人には会えないご様子です。
「関羽‥‥あの愚か者めが‥‥」
 おや、居りました。どうやら居留守を使っていた御様子です。
「今出ていけば別れが辛くなり貴様を離せなくなるであろう‥‥」
 七度全てが居留守のようでした。関羽様との別れは相当な未練のようです。
「その程度のコトも分からぬのか‥‥」
 分かるわけありません。無茶苦茶なツンデレ振りです。
 この黒髪ロングヘアの美少女が後の魏の君主、曹操、字を孟徳と申します。
 怜悧冷徹、逆らうものは民草といえど生かしてはおかない奸雄と呼ばれた美少女。
 ですがこと有能な人材には目が無いようで、関羽様に対してもこのとおり、とてつもないまでの執着を見せております。
「‥‥仕方ないわ、このまま行くの。曹操殿にお世話になりましたと伝えておいて欲しいの」
 家人に手紙を渡し、贈られた財にも手をつけず、赤兎馬一騎だけで主・劉備の二夫人を連れて旅立とうとする関羽様。
「ま、待て!! 待たぬか!!」
 旅立つ関羽様に感極まったか、たまらず飛び出す曹操。
「あれ? 曹操殿、いらしたの?」
「い、今帰ってきたところだ」
 ここは正門、帰るときに入るところです。
 家人のものは留守と言っていましたが、そこにツッコムのは野暮っていうものでしょう。
「べ、別に貴様に黙って出て行かれるのが、つ、辛かったワケではないぞ!」
 顔を真っ赤にしてまくし立てる曹操。大したツンデレ振りです。
「例え一時とは言え、私の下で働いてくれた者を労い見送るのも‥君主の務めであろうが!」
 喋っているうちにこみ上げてきたのか、暴走寸前の曹操に割って入るのは無表情な美少年、曹操に負けじと美しく長い黒髪。
 曹操お気に入りの軍師、郭嘉、字を奉孝。
「雲長殿‥‥次に会う時は敵同士。それまでどうぞお達者で」
 それは決別の証。
「うん、さよならね」
 それに応える関羽様に、
「貴様の事など知った事か! さっさと行ってしまえ!」
 曹操もついに別れの言葉を口にしてしまいました。
「曹操殿! 郭嘉殿! お世話になったわ! ありがとう!」
 関羽様は去りました。
 曹操は郭嘉に身を預けると、寂しそうに、
「天は時に残酷だ‥‥何故、あ奴が私でなく劉備を選ぶという天命を定めたのか‥‥」
 郭嘉はあくまで無表情に、しかし主へのいたわりを持ちながら、
「おいたわしや、孟徳様‥‥」
 そう言って曹操を抱き返すのでした。
 ‥‥ひょっとして曹操、只のショタコンさんだったのでしょうか‥‥?

 ともあれ、こうして関羽様の千里走が始まりました。

●女傑・周倉
 長旅に無理は禁物、関羽様は民家にて施しを受けることになされました。
 ですが、なにか様子がおかしい。
「罠よ! 気をつけて!」
 関羽様が気付くや否や山賊の首魁が牙を剥きます。
「馬と刀を置いていけ、そうすれば命はとるまい」
 え? 私と声が同じ?
 とんでもない。私は只の語り部にございます。
 ともあれ敵を迎え撃つ関羽様。
 もちろん青龍刀は使いません、重いから。
 それでも僅か数合で組み伏せます。
 関羽様、ひょっとして青龍刀とか必要ないんじゃ‥‥。
「‥私の負けだ、好きにしろ。最後に名を聞かせてくれ」
「関羽雲長よ」
「関羽!! まさかあの美脚候!?」
 驚きながら山賊は顔を隠していた布をとります。
 綺麗な声をしていたと思えば、どうやら女性のようです。
 いや、だから私じゃないですよ。
「これは失礼を致しました! 私は周倉、見てのとおりの山賊をやっております」
 山賊といっても悪名高い富豪や豪商を襲い、財を貧しき者達に分け与える、いわば義賊のようなものでしたが、部下が言おうとするのを周倉は窘めました。
 その潔さが関羽様お気に召されたようです。
「廖化といい、山賊にも色々いるのね」
 廖化といえば、かの黄巾の乱では共に戦った仲。
「廖化は友人です、関羽殿、お会いになられたのですか!?」
「部下にして欲しいって。でも断ったの」
「私をお供に加えてください。決してお邪魔はいたしません」
「駄目よ、急ぐ旅だから。赤兎についてこれないから廖化も断ったの」
 しかし、周倉諦めません。
「この脚でついていきます。私の事はお気遣い無く」
 信じられるでしょうか。
 一日千里を駆ける赤兎の走りに二本の脚でついていくではありませんか。
「早い早い! これなら大丈夫よ!」
 かくして関羽様に新たな仲間が加わりました。
 私じゃないですよ? 確かに関羽様を贔屓に語っておりますが‥‥。

●みにまむ張飛と銀髪趙雲、そして腹黒劉封
「よく私の前に顔が出せたな! この裏切り者!」
 長い長い道のりを駆け抜け、ようやく愛しの劉備様に会えるかとなった関羽様ですが、自慢の蛇矛で地面を叩き威嚇するは義妹張飛益徳。
 片袖抜いで、胸にはサラシを巻いています。
 ちっちゃい女の子ですが甘く見てはいけません。
 なにせ己の身体より長い蛇矛を軽々振り回せる豪傑です。関羽様と違って。
 張飛殿なにやら御立腹の御様子です。
「張飛、何を怒っているの?」
「『何を』‥‥ですって!?」
 怒りの張飛殿、蛇矛を関羽様に向け、
「大哥を裏切ったくせに。覚悟しろ!」
 張飛殿、関羽様が曹操に寝返ったと思ってらっしゃる御様子です。
「叔父上がまさか父の宿敵・曹操に下るなどとは‥‥」
 火に油を注ぐのは劉備様が養子、劉封様。
 張飛殿とは対照的に冷ややかな怒りを向けておられます。
 どうやら関羽様が心底お気に召さない御様子。
「何を勘違いしてるの、張飛、劉封。私が劉備様を裏切る訳ないじゃない」
 関羽様、説得を試みますが、次がいけない。
「そんな勘違いばかりしてるからいつまでたっても背が伸びないのよ、張飛」
 関係ないです。関係ないですがこれは効いた。
 ――ぷち
「二哥のばかぁ!」
 猪のように突っ込むみにまむ張飛殿。
 でも関羽様、赤兎でひょいと。
 ゴロゴロ馬ごと転がる張飛殿、それで死なないのは大したものです、本当に。
「何で避けるの!」
「避けないと怪我するもの」
「卑怯者! 潔く裏切りの裁きをうけないか! 叔父上!!」
 ああもうぐちゃぐちゃです。
 誰か何とかしては下さらないでしょうか?

「関羽殿! 張飛殿! 何をしておられるのです!!」
 そこに現れましたのは趙雲、字は子龍。
 後に関羽様、張飛殿と共に蜀の五虎将とも呼ばれたといわれる美丈夫にございます。
「趙雲!? どうしたの、貴方まで!」
 戸惑う関羽様に、
「劉備殿の命により参りました。現在、夏候惇の軍が我が陣営に迫っています。両名、無益な争いをやめ、直ちに迎え撃つ御準備を!」
「夏候惇が!?」
 驚く関羽様、しかし張飛殿は止まりません。
 なおも振るう蛇矛を趙雲殿は槍で受け止めます。
「邪魔をするな趙将軍!」
「張飛殿、今こんな事をしている場合ではありません!夏候惇の軍が迫っている時に内輪揉めとは情けないと思わないのですか!?」
「あう‥‥」
 そう言われては言葉もありません。
「劉封殿も! 何故お二人を止めませぬか! 裁くのなら劉備殿の御前で構わないでしょう!」
「そ、それは‥‥しかし‥‥裏切り者を父上に近付けるわけには‥‥」
「‥‥わかりました。ですが、今は夏候惇の軍を退けるのが第一、関羽殿の件は夏候惇を退けてからでもいいでしょう‥‥
 それとも、我一人で夏候惇を退けた方がよいか?」
 張飛殿、渋々蛇矛を下ろします。
「分かった、今は我慢する。二哥、趙将軍、劉封――」
 そこに周倉一言。
「間一髪でしたな、来ましたよ、関羽様」

●対決・盲夏候
「孟徳の奴のお気に入り‥‥関羽雲長、か」
 隻眼の武将は『盲夏候』こと夏侯惇、字は元譲。
 射抜かれた目を『もったいない』と一呑みしてしまった逸話はあまりに有名です。
 そして黄河の港にて関羽様と戦った秦キ将軍の上官でもあります。
「‥悪いがこちらも部下をやられてるんだ‥‥落とし前、付けさせて貰うぜ」
「夏候惇の狙いは私ね、いいわ、受けて立つ」
 しかし口を挟むのは劉封様。
「信じられませんね、俺達を罠に嵌める気では?」
「どこまで疑い深いの」
「疑い深くもなりましょう。ならば私が三通の鼓を打つ間に彼の首級をあげて参られよ。さすれば潔白を信じましょう」
 あの‥‥野暮なことを言いますが、それを言うのは張飛殿では?
「無茶です! いかな関羽様とはいえ、あの盲夏候を鼓を三つ打つ間になどとは!
 劉封様、それほど御父上の義弟が信用なりませぬか?」
「いいの。‥‥わかったわ、見ていて、張飛、劉封」

「覚悟は出来たって訳か! 行くぜ、関雲長!!」
 吼え猛る猛将、夏候元譲。
 これほどの使い手、討ち倒すのは鼓が百響こうが足りません。
 それでも関羽様は向かいます。
 ――そこに、
「そこまでだ! 夏候惇!」
 先程の趙雲もかくや、割って入るのは曹操が部下、張遼、字を文遠。
「ちっ‥何しやがる文遠!?」
「曹操様の使いとして参った次第だ。槍を収めろ、惇」
「孟徳の使い、だと?」
 苦々しい表情の夏候惇。
 無理もありません。張遼は関羽が曹操の下にいた時から仲が良いのです。
 その張遼が彼以上に関羽を気に入っている曹操から命を受けたと。
 歓迎出来るはずもありません。
「丞相からの言伝だ。
『全員何も言わずに関羽を通してやれ!例え関羽の顔に一筋でも傷を付けてみろ、例え惇だろうが誰であろうが私自ら厳罰に処す!』
 ‥‥‥だそうだ」
 思わず唸る夏候惇。
「ち、相変わらずこのやろ‥野郎? まあいいか‥関羽にぞっこんって訳かい、うちの大将は。
 成程、孟徳の命じゃ聞かない訳には行かんな‥‥」
「わかってもらえたか、惇」
 いざとなれば力尽くで止めねばならない、気が気でなかった張遼は夏候惇の態度に胸を撫で下ろします。
「ああ、わざわざご苦労さん、文遠」
 馬を返す夏候惇。
 ‥‥と見せ掛け、
「だがこのままってのも‥腹の虫が収まらねぇってな‥‥!!」
 徐に踵を返し一撃を放ちます。
「夏候惇!?」
「―――ッ!!」
 一瞬、避けようと反応する関羽様。
 けれど、夏候惇の一撃は髪を僅かに掠め、空を切ります。
「‥‥なんてな、安心しな‥孟徳の命にゃ逆らえんよ」
 どうやら当てる気はなかった様子。
「だが次に戦場で会った時にはこうはいかねぇ‥てめぇは結局孟徳に牙を剥くだろうしな」
「その時は私も全力でお相手するわ」
 ちなみに『お相手する』と書いて『逃げ回る』と読みます。‥‥関羽様‥‥。
「楽しみにしてるぜ‥‥、おらっ‥行くぞ文遠」
(殿と言い、お前さんと言い、いい加減にしてくれよ‥‥)
 別々の意味で未練たらたらな二人に胃が痛くなる張遼でありましたとさ。

●大団円‥‥?
「‥‥疑ってごめんなさい、信じるわ、二哥」
 しょんぼりと張飛殿。
 気まずい御様子です。
 対する劉封様、結局夏候惇の首を取ってはきていないとケチをつけたいのですが、張飛殿がこれではそんなことを言える雰囲気ではありません。
「私の早とちりでした。お許しを」
 しぶしぶ張飛殿にならって謝罪をするのでした。
「誤解も解けたようでなにより、では劉備殿の下へ帰られますか」
「さんせーい!」
 最後は趙雲がまとめて帰路へと着きます。
「ところでこちらは?」
「お初にお目にかかる。私は周倉という者で――」
 新たな同志が加わり話が弾む一方、 いつまでも落ち込む張飛殿、怒りっぽい分、沈みやすいのかも。
「張飛、そんなに背中丸まってると余計にちっちゃく見えるわ
 これ以上ちっちゃくなると見えなくなっちゃう」
 ――ぷちーん!
 蛇矛みぞおちストレート!
 蛇矛アッパー!
 綺麗なコンビネーションが決まります。
 いつもどおりの掛け合いに
「‥‥ちっ」
 ひどく残念そうに劉封様は呟くのでした。

 一方、関羽様が無事劉備様の下へ辿りつかれたとの報を受けました曹操。
「そうか。それは‥‥‥よ、良かっただなんて思っておらんぞ!?」
 やれやれ、どこまでもツンデレな方です。