魔法院生オズま!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 冬斗
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 1.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/14〜09/18

●本文

「こんにちは、僕はオズ。
 修行中の魔法使いです!」
 魔法の国からやってきた、魔法使い見習いの少年。
 108人の困っている人を助ければめでたく魔法使いに。
「でも、そんなことは関係ないんです。僕の魔法がみんなのお役に立てるなら、それだけで幸せです!」
 その気持ちこそ最後の試験。
 この調子ならオズが魔法使いになれる日も遠くはないかもしれません。

 そして、ここにも魔法使いを目指す見習いが一人。
 名前をグリンダ。
 オズとおなじくとっても素直な魔法使い。
 ですけど、素直なことはときにはとっても困ったことに。
 かなしいけれど、仕方ありません。
 これはそんなお話。
 今回、困っているのは魔法のない国の住人達ではなく、
 悪い人に捕まっているかわいそうな魔法使い見習いのお話。


○舞台演劇『魔法院生オズま!』

 オズの舞台第三弾です。
 魔法の国の友達を助けてあげてください。

・オズ/
 ここでない場所、魔法の国の108人目の魔法使いになるための最終試験を受けています。
 私たちのよく知る、ここ、魔法のない国で、108人の困っている人達を助けてあげることが試験内容です。
 頑張りやさんのオズは困っている人たちと一緒に悩みながら、時には魔法の力で、時には魔法なしで、悩みを解決してあげています。

・グリンダ/
 オズと同じくらいに素直で真面目な魔法使い。
 でもしばらく成績が伸びていません。
 魔法を使って悪いことをしているみたい。
 なんで? どうして?
 どうやら悪い人に魔法を使わされているみたいです。
 騙されているのかもしれませんし、脅されているのかもしれません。
 どっちにしても魔法を悪いことに使うのはいけません。
 グリンダの為にも助けてあげなければ。
(例によってグリンダの性別・年齢は自由。
 こっちの国では女の子の名前でもむこうの国では男の子かもしれません。
 『魔法の国』ですから。
 グリンダ役の方は必ず性別や外見を明記してください。
 ない場合は役者さんの性別・年齢になります)

 その他の配役は自由。
 前作の役でも新しい役でも構いません。

 舞台演劇『魔法学生オズま!』、『魔法研修生オズま!』が前作となります。

●今回の参加者

 fa0074 大海 結(14歳・♂・兎)
 fa1013 都路帆乃香(24歳・♀・亀)
 fa1163 燐 ブラックフェンリル(15歳・♀・狼)
 fa3354 藤拓人(11歳・♂・兎)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa4020 ロゼッタ・テルプシコレ(17歳・♀・犬)
 fa4563 椎名 硝子(26歳・♀・豹)
 fa4776 アルヴィン・ロクサーヌ(14歳・♂・パンダ)

●リプレイ本文

●CAST
 オズ‥‥藤拓人(fa3354)
 モーゼル‥‥アルヴィン・ロクサーヌ(fa4776)
 ドロシー‥‥豊浦あやね(fa3371)
 亮(とおる)‥‥大海結(fa0074)
 エマ・アグリッパ‥‥燐・ブラックフェンリル(fa1163)
 西園沙織(にしぞのさおり)‥‥都路帆乃香(fa1013)
 玲奈‥‥椎名硝子(fa4563)
 グリンダ‥‥ロゼッタ・テルプシコレ(fa4020)

●願いかなうのはいつの日か
「オ〜〜ズく〜〜〜ん!!」
 オズのいるところにかけつけるこの少年。
 名前をモーゼルといいます。
 不思議な事が大好きなモーゼル、ある事件からオズの事を知り、以降オズの追っかけに。
 夢はなんとオズに助けられる108人目の相手になること。
 いやはや、こわいものしらずというか‥‥、
 それには助けられるくらい不幸な目にあわないといけないということなのですが――、
 わかってるんでしょうかね? モーゼル君。

●困っているのは魔法使い?
 現在オズは亮君の家に居候。
 二人でモーゼルの話に耳をかたむけます。
 モーゼルが持ってきた事件。
 それは魔法使いの女の子が困ってるというものでした。
「女の人にこき使われてるって感じなんだ」
 困った人を助けるのがオズの試験。
 でも魔法使いはその中に入るのでしょうか?
 いいえ、
 試験かどうかなんてオズには関係ありません。
「オズ」
 オズの気持ちを察した亮君。
 オズは頷くと――、

「やっほ〜オズ、あら、どうしたの? 深刻そうな顔しちゃって」

 ドロシー登場。
 このタイミングは吉か凶か。

●ドロシーのお友達
「‥‥グリンダ、懐かしい名前ね」
 ヴィルヘルムが作ったお菓子を持ってきたドロシー。
 四人はお茶とお菓子で作戦会議。
 モーゼルが言うには魔法使いの女の子はグリンダというらしく、
 ドロシーが言うにはグリンダと彼女は魔法の国の友達だとか。
「院長先生に相談してみましょうか‥‥」

『それは‥‥奇遇と言いましょうか‥‥』
 遠見の魔法で院長先生にグリンダのことを相談する4人。
 対する院長先生はうかない顔。
『グリンダのことですが‥‥このままだと罰を受けることになりそうです』
 グリンダはこの国の人にこき使われて、魔法を悪いことに使わされているらしいとのこと。
「なんで!!?」
 くってかかるのはドロシー。
 だって魔法のいたずらなら自分の方がよっぽどしてます。
 でも『魔法でいたずらすることは罪にはならない』って、
 だからドロシーはオズによって助けられたのに。
『それは私の判断です。
 あなたはいつかわかってくれると思っていたから』
 魔法の国での決まりごとをつくるのは魔法使いの役目。
 ドロシーを見逃していたのが魔法使いの院長先生なら、
 グリンダに罰をあたえるのも魔法使い。
『エマ・アグリッパ。106人目の魔法使いです。
 昔のグリンダの先生で、ぼーっとしてはいるけれど、ある意味私より厳しいです』
 ドロシーはたまたま見逃されていたけれど、教え子であるグリンダは見逃さなかったのでしょう。
 院長先生も、手を出さないことはできても、かばうとなると話が違います。
 現にグリンダは結果的に悪さをしているのです。
 かばってしまっては生徒たちにもしめしがつきません。
「‥‥どんな‥‥罰になるんですか‥‥?」
 おそるおそるオズが聞きます。
『本国強制送還、動物化、魔力封印‥‥』
 強制送還されれば魔法使いとして未来はないでしょう。
 どの罰にしろ、ろくなものではありません。
『もしくはその全部‥‥』
 ドロシーがベランダから飛び出します。
「まって! ドロシー!」
 手にしたハリセンで壁を叩くとオズ達は見えない壁にぶつかってしまいます。
「ヴィル特製のスイーツでも食べてからゆっくり来なさいな‥‥残したら承知しないわよ♪」
 口調は軽く、心は固く、
 友達の為、ドロシーは急ぎます。

●ずるずるとグリンダ
「なんでこんなに若くて新鮮な女がいるのに世のイケメン達は誘いもかけても来ないのかしらねぇ‥‥」
 ジャージ姿で寝そべる女の人。
 名前を西園沙織。
 世間では『干物女』って言われるタイプです。
 干物女、テレビを観ながら通信販売のカタログを広げます。
「この商品を持ってた彼女はこの間結婚出来たし、これさえあれば私もきっと‥‥」
 大きな声でひとりごと。
 まるで誰かに聞かせるみたい。
「えっと‥‥‥これですか?」
 部屋を掃除中のメイドさん。
 ほうきをくるりと回すと手元にスカーフがあらわれます。
「ありがと〜、グリンダ」
 喜びながらスカーフを手に取る干物女。
 このメイドさんが魔法使い見習い。
 名前をグリンダ。
(こんなこと‥‥いけないとはわかってるんだけれど‥‥)

●グリンダと沙織
 魔法が解けたオズたちはドロシーの後を追います。
 壁はお菓子を全部食べたら解けました。
「む? 困った人です!」
 最近覚えた新しい魔法、『困っている人を探知する』魔法にひっかかりました。
 今はドロシーが心配です。
 でも、それでも――、
「お姉さん、困ってますか?
 僕は魔法使い。お姉さんの悩みを聞かせてください」
「魔法使い? ‥‥あ、あら、そうなの‥‥」
 突然の申し出に戸惑うお姉さん。
 悩んでるといえば悩んでるのですが――。
「オズ! 気持ちはわかるけれど、今はドロシーとグリンダだろ!」
「でも‥‥」
 困っている人を見捨てておけないオズ。
 そんなオズに亮君も助けられたのですが――。
「ちょ、ちょっと待って! 今、グリンダって‥‥。あの不思議な子、あなたたちのお友達なの?」
 どうやら世間は結構せまいようです。

 グリンダに会いに行くというオズにお姉さんは悩みを打ち明けます。
 お姉さんの名前は玲奈さん。
 打ち明けるのはまさにグリンダに魔法を使わせている人の話。
「沙織‥‥あ、私の友人なんだけれど。グリンダって子が来てから、その子に何でもさせているみたいなのよ」
 『何でも』とは本当に『何でも』なんでしょう。だって魔法使いですから。
「沙織も元々のんびりした子だったから、言う事を聞いてくれるグリンダは、都合が良かったのでしょうね。
 でもこのままじゃ、二人とも駄目になってしまうと思うの‥‥」
 ドロシーがグリンダを心配するように、
 玲奈さんも沙織さんを心配しています。
「こんな事をあなたにお願いするのは気が引けるのだけれど‥‥あなたからもこんな事は止める様に言って貰えないかしら。
 私が何を言っても聞いてくれなくって。
 グリンダって子も、お友達から言って貰えれば、何か変わるかもしれないし」
 そう言われてはなおのこと放ってはおけません。
 沙織さんを、グリンダを、そして心を痛める玲奈さんとドロシーを助けようと、オズは沙織さんの家に向かいます。

●いちばんたいせつなもの
 開口一番グリンダと沙織さんの生活をやめさせようとするドロシーの言葉をグリンダは頑として聞き入れません。
「こんなの絶対間違ってる‥‥友達が間違ったら正してやるものじゃないっ」
 自分がそうだったから。
 必死なドロシーの説得を必死にはねのけるグリンダ。
「止めません。だって、ここで私が沙織を放りだしたら。沙織は‥‥沙織は」
 グリンダはだまされて魔法を使っているわけじゃあなくって、
 間違っていても沙織さんのために――。
 でも、
「あんたこのままじゃ――」
「もう遅いのよね〜〜」
 二人の前にぽんと姿をあらわす、褐色の肌の少女。
 少女といっても年はここにいる二人よりはるかに上でしょう。
「エマ‥‥先生‥‥」
「覚悟は出来てる〜? グリンダ〜〜」

 オズたちがついたとき、まさにエマがグリンダに罰をあたえようとしているところでした。
 ドロシーは必死でかばいますが、魔法使いに見習いではかないません。
 グリンダは沙織さんのためにも魔法をやめることは出来ないといい、
「やめたとしても、いままで魔法を悪用した罪は重いわよ〜〜」
 亮君もグリンダに呼びかけます。
「俺は魔法はすごいし便利だと思う。でも何でもしてあげるのは違うだろ」
 ドロシーも言ったこと。
 でも立場が違う、魔法の使えない人間として。
「本人が何とかしたいっていう部分に協力するっていうかさ。
 ダメダメにするんじゃなくてやる気にさせるのが大切なんじゃないか?」
 自分はそうやって頑張ったから。
「俺はオズのしてることからそうだって思ってる」
「でも‥‥でも‥‥」
 沙織がそれを望んでいない。だから、
「そ、そうよ。邪魔しないで。グリンダがいいっていってるんだからいいじゃない!」
 沙織さんがグリンダをかばいます。
 便利な魔法を手放したくないからなのか。
 それとも――。
「昔を思い出してください! 沙織さん!」
 オズの魔法の煙。
 それは沙織さんの昔の姿を映し出し――。

 昔はこんなじゃなかった。
 でも欲しい物が簡単に手に入るようになって。
 欲しがる気持ちは底なしで。
 いつから彼女はこんなになってしまったのか。

 オズの魔法。
 心を変える魔法ではありません。
 変わるのは本人の気持ち次第。
「ふ、ふん‥‥それがなによ‥‥」
 沙織さんは変わりませんでした。
 でも――、
「私‥‥、私‥‥‥」
 泣いているのはグリンダ。
「ねえ、もうやめよう。罰なら二人で受けるから!」
 ドロシーも泣きそうに訴えます。
「ドロシー‥‥、どうして‥‥」
「そりゃ何度でも言うわよ‥‥だって私、あんたの友達だもんっ!!」
 友達。
 間違っていることを直してあげるのが友達。
「沙織‥‥」
 自分が間違っていた。
「こんなこと言ったら嫌われちゃうかもしれないけれど、もうやめよう。物に頼ることやめよう」
「な、なに言ってるのよ!? あんた私を助けてくれるんじゃなかったの!?」
「沙織さんは素敵な人だって私、知ってますから。初めて会った何にも知らない私を助けてくれたじゃないですか」
 だから、友達を助けてあげたいから。
「今度はその心を磨いていきましょうよ」
「いや! いやよ! 何でもしてくれるって言ったじゃない! でないと私――!!」
 はじめて取り乱す沙織さん。
 物を欲しがるのは寂しいから。
 言うことを聞いてほしいのは自信がないから。
 結局、彼女の欲しいものはブランドのバッグでも洋服でもなくって。
「――もう、いいでしょう? 沙織」
 玲奈さんがやさしく肩に手を添えて、
「意地を張らないで。本当に欲しいものまでいなくなっちゃうわよ?」
 あとちょっとで永遠になくなってしまうところだった、
 彼女の――いちばん欲しいもの。

●これから三人で人助け
「言ったとおり、改心したからといって今までの罪は帳消しにはならないわね〜」
 みんなでグリンダの減刑をお願いしました。
 オズもドロシーも亮も沙織も玲奈まで。
「だから――、
 償いをちゃんとすること。
 それを見届けるまで処分は一時保留にするわ〜」
 驚くグリンダ。
 他のみんなは喜んでいます。
「ただし〜、
 ちゃんと償わなかったら、今度こそ即罰則だからね〜〜」
 それでもやったことにくらべたらとっても軽い処分。
「あと、私の邪魔したオズとドロシーには院長先生からノルマ追加〜〜」
 締めるところはきっちり締めるエマ先生。
 でも大丈夫。
 だってそんなのはこの国にいる期間がのびただけのことで、
 それも悪くないかなって思う二人なのでした。