蒼天の赤壁アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 冬斗
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 2.7万円
参加人数 12人
サポート 0人
期間 10/15〜10/17

●本文

 曹操孟徳が中華で最も強い王となった時、それは始まった。
 中華を統一せんと南下する曹操。
 対し、劉ソウは降伏、国を明け渡す。
 荊州を呑み込み、孤立する劉備を追い詰める曹操軍。
 難民を引き連れ、絶望的な逃亡に身を投じる劉備。
 張飛が、趙雲が、主を守る為、奇跡を起こす。
 一方、孫権仲謀も決断を強いられていた。
 降伏か交戦か。
 曹軍百万。
 戦になれば勝ち目はない。
 周瑜公瑾は苦悩する。
 そんな中、江東に一陣の風が吹く。
 風の名を諸葛亮孔明。
 三国志史上最大の戦いが今、始まる。


○舞台演劇『蒼天の赤壁』

 キャスト募集/
 英雄・豪傑多数

 性別、年齢不問。

 三国志演劇最終幕。
 中華全土を巻き込む戦の火蓋が切って落とされます。
 どのような英雄を演じるも自由。
 (三国志武将に限らせていただきます)
 舞台の幕引きにふさわしい戦いを――。

 ナレーションは今まで同様自由とします。
 御希望される方は語り口調を御明記ください。
 登場人物からの語りも可です。(ナレーション・周瑜、等)

 注意:ご存知のとおり、赤壁は長いです。
    ある程度、場面を纏める事を推奨します。

●今回の参加者

 fa0642 楊・玲花(19歳・♀・猫)
 fa0932 RASEN(16歳・♀・猫)
 fa1234 月葉・Fuenfte(18歳・♀・蝙蝠)
 fa1414 伊達 斎(30歳・♂・獅子)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa3425 ベオウルフ(25歳・♂・狼)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)
 fa4880 森・ともみ(18歳・♀・犬)
 fa4956 神楽(17歳・♀・豹)
 fa5538 クロナ(13歳・♂・犬)
 fa5602 樋口 愛(26歳・♂・竜)

●リプレイ本文

●CAST
 劉備玄徳‥‥楊・玲花(fa0642)
 関羽雲長‥‥神楽(fa4956)
 張飛益徳‥‥雅楽川陽向(fa4371)
 趙雲子龍‥‥森ともみ(fa4880)
 諸葛亮孔明‥‥RASEN(fa0932)
 孫権仲謀‥‥角倉雨神名(fa2640)
 周喩公瑾(ナレーション)‥‥伊達斎(fa1414)
 諸葛恪元遜‥‥タブラ・ラサ(fa3802)
 ホウ統士元・黄蓋公覆‥‥樋口愛(fa5602)
 張遼文遠‥‥ベオウルフ(fa3425)
 楽進文謙‥‥クロナ(fa5538)
 曹操孟徳‥‥月葉・Fuenfte(fa1234)

●ザ・ラスト・ツンデレ
 建安十三年。
 中華に敵なしとなった曹操孟徳は天下を我が物にせんと兵を南下。
 その数、実に百万。
「中華統一は間近! 皆の者、その力存分に振るうが良い!」
 その美貌の中に醜き野心を燃え上がらせ、奸雄は吼える。
「そして、勝利の暁にはあの周瑜を‥‥あの美少年を是非我が側近に!」
 は?
「‥‥え? 周瑜は私より年上?
 ‥‥何だ、ならば要らん。期待させおって‥‥」
 ‥‥‥‥‥。
 ‥‥何を言っているのだろうこの人は‥‥。
「ならばあの孔明の甥‥‥烙と言ったか。彼を是非私の傍仕えとして‥‥」
 そばづかえ?
 最近では軍師をそう呼ぶのか‥‥。
「‥‥な、何だその目は! わ、私はただ彼の才をより活かしてやろうと思っただけだ!
 それにだ! 今の私には楽進がいるんだからな!」
「はう〜、曹操様、苦しいです〜〜」
 小柄な黒髪の少年、楽進文謙を強く抱きしめる曹操。
 ‥‥‥‥‥。
「相変わらずのショタっぷりやね。
 いっぺん死んどいた方がええんちゃう?
 以上、長江より突照(つんでれ)孟徳さんでした〜!」
 ‥‥今、なんかちっこいのが‥‥。
 いやいや、彼女は今、劉備殿を守り夏口にいる筈‥‥。
 きっと気のせいだろう。
 申し遅れた。講釈は私、孫権様が軍師、周喩、字を公瑾が仕る。

●大魚、水を得、跳ねる
 ――その夏口。
 曹操軍の追撃を、趙雲、張飛らの活躍により逃げ延びた一軍の将、劉備、字を玄徳。
「曹操は相変わらず悪癖が直っていない様ね。
 100万の兵を動かして、狙うのは孔明の甥御とは気宇壮大と言うべきなのかしら?」
 む? 何故それを知っている?
 流石は曹操の宿敵。
 彼女の気性は承知済みということか?
「共倒れを狙うのが正しい道なんでしょうけれど、何もしないでは後味が悪いわね。
 負けそうな呉に我々の力をせいぜい高く売り込むことにしましょうか」
 ‥‥言ってくれる。
 貴様等に哀れまれるほど我等は弱くはないぞ。
「というわけで、孔明、行ってくれる?」
「あいあいさー!」
 ん?
 今なにか妙なノリが‥‥。
「なんかそんな感じの蜀マンガ日和って孔明ちゃんがいくんやて〜!
 いじょー! 夏口より、クールビューティ大姐、劉備玄徳様でした〜〜!」
 ‥‥色々言いたいことはあるが、とりあえず、
 まだ蜀は出来てはおらぬぞ、小姐。

●曹操が私達の大事な人を狙っているっていうことには変わらないよねっ!?(by孫権)
 そして我等が主、孫権仲謀様は――。
「あのショタで有名な曹操ちゃんが攻めてくるっ!」
 ‥‥有名‥‥なのですか‥‥?
「曹操ちゃんめ、まさか恪くんを狙って‥‥百万の兵で攻めて来たって、渡さないもん!」
 有名なようですね‥‥。
「ですが、姫。現実として曹軍百万は脅威です。ここは講和も視野に入れ――」
 講和とはこの場合、無論、降伏の事である。
「やだやだやだ! 降伏したら恪くん取られちゃうもん、絶対戦うんだもん!」
 ‥‥私とて、降伏が本意なわけではないが‥‥
 江東の未来と孫家の進退を賭けた戦を一軍師への愛着だけで始めるのはいかがなものか‥‥。
 そして話題の当人、諸葛恪元遜は――、
「危ないのは私だけではないと思いますが‥‥」
 と、不意に視線をこちらに向け、
「‥‥少なくとも周瑜殿は全く心配なさそうですね」
「――――!!」
 ‥‥こっっっの糞○○共がぁぁぁ‥‥!!
 曹操といい、姫といい、小坊主一匹の為に軽々しく天下分け目の決戦を始めおって‥‥!!
 と、そこにまたもや見知った娘が。
「では孫権さんも交戦ちゅうこってええわけやね?
 こうして乙女君主達の戦いは幕を開けるのでした〜〜!
 以上、現場より張飛益徳からっ!!」
 待てっ!
 だから何故貴様がここにいるっ!
 というか、諸葛恪!
 おまえはいったい何歳だっ!!?

●ドリルとスプリングとみにまむと美脚公と
「――というわけで、大して説得も要らず、開戦となったようです」
 劉備陣営に報告中の諸葛亮孔明。
 この女がこの赤壁において私に敗北以上の苦渋を味あわせることになるのか‥‥。
「御苦労。そうは言っても貴女の力なくしては開戦はなかったわ。
 上手く焚きつけたのでしょう?」
 そうか、貴様の仕業か孔明。
「ええ、ですが、私の本領はここからにございます。
 関羽殿、張飛殿、趙雲殿、お力をお貸し願えますか?」
「おっけーだよ! 孔明ちゃんと共に帰った突撃レポーター益徳ちゃん、頑張るの!」
「で、うちらなにしたらええんや? 孔明はん」
 妙に足の長い趙雲子龍。いや、短いよりはいいのか?
「貴女方にしか出来ないことですよ、趙雲殿。一騎当千の御三方の脚力をお借りしたいのです」
 そこにきらりと目を光らせるのは関羽雲長。
「む、脚とな?
 よろしい、『美蹴公』の名で呼ばれるこの関羽、力を貸しましょう」
 スリットから美しい脚を覗かせる関羽。
「ではみなさん、こちらに‥‥」
 こそこそと、まるでよからぬことを企むかのような部下達に、
「なんか猛獣使いにでもなった気分だわ。
 揃いも揃ってどうしてかしら?」
 と苦笑を浮かべながらも曹軍百万との戦いに全く臆していない劉備玄徳。
 ‥‥やはり、只者ではない‥‥か。

●よいどれのたわごと
「――そのような策が上手くいくものやら‥‥」
 だまれ小坊主。
 お頼み申したぞ、ホウ統殿。

「‥‥それにしても、船というのはどうしてこうも揺れるのだ‥‥。
 頭がくらくらして気持ち‥‥うえぇぇぇぇぇ」
「曹操様‥‥大丈夫ですか?」
 背中をさすってやる楽進。
 そこへ現れたるや、ホウ統、字を士元。
 『伏竜』孔明に対し、『鳳雛』と称された人物である。
「う〜ぃっ。もしもーし、曹操さん。軍師のね御用要りませんか」
 ‥‥あれ? ホウスウサン? ‥‥酔ってるの?
「酔ってませんっ。酔ってるのは曹操さんトコの兵隊さんっ」
 ‥‥いや、おい‥‥。
「周喩? 顔が六つも七つもある男に呉任せられるかーっ」
 いい加減にしとけよ、鳳雛。
「イー事教えちゃう。船揺れ嫌なんでショ?」
「‥‥あるのか、手が‥‥?」
「子は鎹。鎹が妻と夫、船と船をがっちり揺らがせない! 船を繋いじゃう!」
「よ、よし、早速それを実行するぞ!」
 こうして、
 いわゆる『連環の計』が成功した。
「うぃ〜。お陰で揺れなくなりましただぁ?
 馬鹿言っちゃいけねぇ、こんなグルグル回る軍なんか居られるかーぃ」
 難癖つけて曹軍を後にする鳳雛。
 こら、鳳雛‥‥。

 計の成功に呆れかえる諸葛恪。
「何の疑いもなく船を繋いだ? ‥‥操は兵を悟らず、ですね」
 いや、今回に限り同感。

●ウホッ! いい奇策‥‥
「やらないか?」
「は?」

 黄蓋公覆は言った。
「周喩、俺の背中でスパンキングしろ」
「‥‥‥‥」
 曹操に対し偽の投降、内部より火計を仕掛ける為、蒋幹に不和を見せつける。
 ‥‥筈だったのだが、
「アッー! 蒋幹が見てる‥‥」
 ‥‥なにかおかしなことになっていないか、これ。
「ねえねえ、なんなの? 黄蓋君、嬉しそう‥‥」
 何故か赤面する姫。
「見てはいけません。御目が穢れまする」
 冷静に――というよりも冷ややかに見つめる諸葛恪。
 いや、その反応はもっともだ。
 もっともだが――、
 頼むから私まで同類に見ないで貰いたい。

「何、黄蓋が投降するだと?
 怪しいな‥‥」
 美少年と船酔いが絡まなければ冷静な曹操。
 忠臣・黄蓋の突然の裏切りに不信を抱くのは当然の事。
 だが、
「ところで俺の背中を見てくれ。こいつをどう思う?」
 不自然な程爽やかに鞭の傷痕を見せる黄蓋。
 それに何故か曹操まで赤面し、
「すごく‥‥裏切者です‥‥」
 はぁ!!?
「‥‥はっ!? わ、私は一体ナニを‥‥!?
 ええい、分かったからもう黙れ!」
 ‥‥どうやら信じてもらえたようだ‥‥。
 ‥‥なにか‥‥釈然とせぬ‥‥。

 待て。
 そういえば、蒋幹らの企みを私が見破るところは?
『そんなものは割愛です』
 待てっ!?
 諸葛恪、貴様っ!!
『公演時間も限られているのです。無駄は削除』
 待て! 私の数少ない見せ場なのだぞ! 諸葛恪ゥゥッ!!

●D4ぷりんせす
 ‥‥致し方ない。
 最後の策に入ろう‥‥。
 現在、我等が軍は風下。
 火計を放つには東南よりの風が不可欠なのだが――、
 持ってきたのはやはり、憎き孔明であった。
「この孔明の秘術で見事東南の風を吹かせてみせましょう。その為に祭壇を作りそこにドリルを供えるのです」
 ドリルッ!?
「この時期に東南の風を吹かせるのは天に逆らう事、つまり天元突破!
 その天元突破に必要な物こそがドリルなのです!」
 何故わざわざ四字熟語にするか。
 ぐれんなんとか言われても私は知らん。
 が、結局、押し切られた形でなんとからがんは実行された。

 風を呼ぶドリルの祭壇。
 しかしてその実体は――。
「孫権ちゃんの為にもえんやこら〜っと、
 孫権と言えば、孔明の兄のロバを思い出すなぁ。
 孔明、哥哥は元気だった?」
 ボケまくる張飛。
「諸葛亮はんにはいっつも世話になっとるさかい、
 こんくらいはお返しせな気が済まんわ!」
 ナニに世話になってるというのだろう。
 張飛と凸凹コンの趙雲。
 はいそこ、照れない。誉めてないから。
「私の脚技、今こそお見せしましょう」
 『美脚公』関羽も揃っている。
 この三人、何をしているのか。
 自転車を漕いでいる。
 何の為に?
 巨大扇風機を回すために。
 これが孔明の言う『東南の風』である。
『伯母上‥‥それは祈祷でもなんでもないと思うのですが。それにそもそもこの祭壇の意味は‥‥?』
 いちいち割り込むな、諸葛恪!
「前線に出るより、目の届く方が、作戦成功に貢献出来るやろ。
 特に張飛はんは」
「前線行ったら、みにまむは見えんようなるやて!?」
 張飛の新技、蛇矛脛打法!
 ぐわっ! 私!?
 っていうか、言ってない‥‥!
「張飛はんをみにまむ言うな! ジャンピング身長八尺キック!」
 バネ仕込みのジャンピングシューズの反動を利用した強烈な一撃。
 ‥‥言ったのはアンタじゃ‥‥!

 そして、
 ‥‥確かに東南の風は吹いた。不本意ながら。
 だが、この女は危険だ。
 今ここで消しておかねば、曹操にも勝る脅威に‥‥って、
 いない!?
 地面には穴が。
 ドリルで地中を掘り進み、目を離した隙に逃亡したというのか‥‥。
『伯母上、それでは『こうめい』というよりむしろ『あなあけ』です』
 誰が上手いこと言えと。
『父上から聞いてませんでしたか? 伯母上はもともとああいう人ですよ?』
「呉のドリル、ゲット〜♪」
 ああもう‥‥。
 私は叫ばずにはおれん。
 天はなぜこの世に周喩を生んだのだ!
 ごふっ。
『あ、血ィ吐いた』

●言い方ヤヴァいよ、関羽さん
 さて、ここからはこの諸葛恪が講釈を引き継ぎましょう。
 火攻めにより戦に勝利した我々連合軍。
 後は曹操を討つのみです。
 志願したのは関羽殿。
「曹操殿との腐れ縁、そろそろ断ちたいと思いますので、是非わたくしにその任を。
 万が一取り逃がす事がありましたら、どのようにでも御処分下さい」

「くっ、私としたことがこうも無様に破れるなど‥‥」
「曹操様、ここは無事に逃げるのです!」
 楽進に気遣われ敗走する曹操等の前に、
「ここで我らの腐れ縁を断つことしましょうか、曹操殿」
 姿を現す美脚公。
「貴様は関羽!?
 ‥‥そうか、やはり私の下へ戻ってくる気になったのだな!」
 どうしてそう思えるのか。
「‥‥だ、だが勘違いするなよ! 私が欲しいのはただ貴様の武勇であって、別に貴様自身のコトなど‥‥!
 だが、貴様がそこまで私の事を思っているのなら、応じてやらんでも‥‥」
「あいにくとわたくしの身体は頭のてっぺんからつま先まで、それこそ髪の毛の一本に至るまで玄徳姐者のものですから。
 どうしてあなたのもとになど参れましょう」
 ぴしゃりと跳ね返す関羽殿。
「我が必殺の青龍偃月脚、その身に味わうがいい」
 対するは張遼文遠。
「楽進、丞相をお守りしてな」
 関羽の前に立ち、
「止めるっていうんなら、やり合うしかねえな‥‥惇殿にゃ悪いが‥‥首、貰うぜ」
 獣の目で敵を見据える張遼。
 それに対し関羽は、
「‥‥貴方には五関の時の借りがありましたね‥‥」
 思い出したように構えを解き、
「これでもう貸し借りはなし。次こそは我が蹴りの餌食とさせていただきますので、お覚悟を」
 見逃す関羽殿。
 いやはや、甘い甘い。
「か、関羽! 関羽ーーッ!!」
「そ、曹操様! 落ち着いて!」
 必死に宥める楽進。

「軍律は軍律かもしれないけれど、杓子定規でやっていたら、今の我々はなかったわけだから。
 後の功績を持って、この罪を償わせたらどう?」
 関羽殿も甘ければ、劉備殿もまた甘いですねぇ。
 まあ、うちの公瑾殿は見事に出し抜かれましたけれど。

●後日談
「うぅ‥‥ごめんね、恪くんにお友達を増やしてあげようと思ったのに‥‥」
 お気持ちだけで充分です。
 それに楽進の奴はキャラがかぶ‥‥ゲフゲフ‥‥。
「嬉しいっ‥‥もう私、恪くんがいてくれたら何もいらないっ!」
 私と孫権様は結ばれ、めでたしめでたし‥‥。

 周瑜『めでたくないっ!!』