行列の出来る喫茶店アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 冬斗
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 3.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/24〜10/28

●本文

 株式会社コスメイト本社。
 その日は朝から慌ただしかった。
「竜斗っ!!」
 広報主任天爪竜斗(32)に詰め寄るのは企画兼宣伝のコスプレアイドルゆうか(本名・一ノ瀬柚宇香)。
 やり手の天爪にいつもスペックギリギリの無理難題を押し付ける彼女だが、まあ今回もそんな感じの用件らしく。
「‥‥今回はなんだ? この間のライヴなら定員締め切ったぞ」
 締め切ってなくとも参加させる気などない。
 コスプレライヴとは名ばかりのNW退治などに。
 以前の札幌での事件、そして日本橋でのライヴから獣人達の秘密に迫ろうとするゆうかに、今回の用件もそれかと、彼女が諦めるまで突っぱねる鉄の意志を覚悟する天爪。
 だが、
「ライヴじゃないわよ! 喫茶店! コスプレ喫茶!」
 ――コスプレ喫茶。
 確かに先月からOPENしていた。
 コスプレ喫茶『コスメイド』。
 別にメイドメインではないのに〜とか、くだらない駄洒落センスは彼もどうかとは思ったが――、
「何か問題あったか? 確かに売上好調とは言えないが、最近似たような店は多いからな」
 というか、自分らが開いているものこそ、その『似たような店』であろう。
「それ以前の問題よ! なに!? あのバイト達は!? コスプレというものをわかっちゃいないわっ!!」
 どうやら怒りの原因はそこらしい。
 彼女の本職としてのプロ意識に触ったのだろう。
「‥‥って言っても、アルバイトだしな‥‥その辺は‥‥」
 本職を使ったらまるっきり別の店になってしまう。下手をすれば営業時間まで変更だ。
「じゃなくって! 心構えの問題よ! 竜斗! 呼んできて!」
「――誰を?」
 わかりきっている。
「いつもどっからか声かけてるでしょ? ライヴとか来てくれる役者さん達よ!」
 仕方がない、と天爪は腰を上げる。
 NW関係でないだけでもよしとするか。
 それに彼女は目の付け所だけはいい。
 上手くいけば喫茶店も潤うことになるだろう。

 ――むしろこれは棚からなんとやら、降って湧いた良企画なのではなかろうか。
 日頃ゆうかに振り回されっぱなしの天爪にはそれに気付く余裕はなかったとか――。

「――というわけで、お願いしたいのです」
 いつものコネで獣人達に依頼する。
「今回はアクションないですからね、東北でやった――知ってます? あんな感じのノリで。
 あと、まあ、いつものことですし、大丈夫なのはわかってますが――、
 正体はバレないでくださいね」
 普段は言わない余計な一言を付け加える天爪。
 ――まあ、察してあげましょう。


○臨時スタッフ募集/
 コスメイト経営コスプレ喫茶『コスメイド』のコスプレ店員を募集します。
 基本はフロアスタッフですが、希望あればキッチンスタッフでも可。
 コスプレキャラは自由ですが、プレイングには元ネタを書いてくださるとわかり易く助かります。(オリジナルキャラの場合はそれを明記)

 コスメイト企画の参考はLIVE『キングス・メガミックス』、『 東北演劇祭・ラブきす 』、『二回目のこすぷれーやー』にて。
 今回もっとも近くなる予定は『 東北演劇祭・ラブきす 』ですが、必要とあらば格闘キャラなどでももちろん構いません。

 ゆうかと一緒に盛り立てることになります。
 ゆうかはOTHER『企画者ノ彼女』とLIVE 『二回目のこすぷれーやー』に登場しております(特に見る必要はないと思います)

 なお、ハロウィン間近の為、ハロウィン企画を取り入れるとか。
 希望者のみ、『そのキャラクターがハロウィンを意識した』という二重コスプレをやってみてください。

●今回の参加者

 fa0117 日下部・彩(17歳・♀・狐)
 fa1338 富垣 美恵利(20歳・♀・狐)
 fa1406 麻倉 千尋(15歳・♀・狸)
 fa3797 四條 キリエ(26歳・♀・アライグマ)
 fa4263 千架(18歳・♂・猫)
 fa4559 (24歳・♂・豹)
 fa4852 堕姫 ルキ(16歳・♀・鴉)
 fa4961 真紅櫻(16歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●再生・コスメイド
「あー、知ってる知ってる!
 笙さん、演劇祭に来てくれたわよね!? ルキちゃんは路上ライヴにも!
 あ、まくらん久しぶり〜!!」
 コスメイト常連役者、笙(fa4559)、堕姫ルキ(fa4852)、麻倉千尋(fa1406)の三人と感慨にふける、コスメイト企画兼宣伝アイドル・ゆうか。
「役はもう決まっているの?」
 そう問うゆうかに、笙は、
「またホスト役をさせてもらう事になるな。
 姫君達を迎えさせて貰うよ」
 ルキは、
「だってあたしだよ?
 役柄っていったらソレしかないじゃない!」
 と、どこか怖い台詞を流し、
 まくらんこと千尋は、
「この仕事のお蔭でアリアと出会えました。
 だからやることは決まってます」
 やはり募集をかけたのは間違いではなかった。
「よぉっし!
 じゃあ、みんな、寝惚けた喫茶店を叩き起こしにいくよ!!」

●ツン・ツン・デレ・デレ(?)・ツン
「ほぅ‥‥よく来たな。注文は何だ?」
 富垣美恵利(fa1338)の選んだ役はPCゲームより『天曲詠界ポリフィニカ』より、ユーティカルト、愛称ユーティ。
 無論、天曲で変身する大人版の方だ。
「え、ええと‥‥それじゃあメロンフロートと‥‥ミックスサンド‥‥」
「ふむ、まあ、お前がどうしてもというのであれば、準備してやらなくもないぞ」
 原作のツンデレキャラを接客業に持ち込むべきかは美恵利も悩んだ。
 しかし、
(「絶対やるべきよ!
  ここは只の喫茶店じゃない、コスプレ喫茶なのよ!」)
 チーフのゆうかの一押しもあり、踏み切る事となった。
 尊大さを感じさせないように気を遣いながら、少し嬉しそうに演技する。
(「なにより美恵利さんなら安心だしね。
  ここでいい流れを作っておいて。来月からはアルバイトで回していかなきゃならないんだから」)
 そう言われると悪い気はしない。
 褒められるのは慣れているつもりだったが、彼女は人をその気にさせるのが上手いようだ。
(「ウィッグ? ‥‥悪くはないけれど、美恵利さんはせっかく綺麗な髪をしているんだから、地毛でいったら?」)
 銀髪でユーティに見えるかという不安はあったが。
 むしろ客は別の意味で戸惑っていた。
 衣装は悪くないが、店員の質のイマイチな喫茶店。
 興味半分、冷やかし半分で入ったのだが。
 というか、このユーティ、どこかで見たことあるような‥‥。
「味はどうだ? ‥‥そうか、美味いか」
 頬を染めはにかむユーティに冷やかし気分はぶっとんでいた。

「すわっ!」
 こちらは四條キリエ(fa3797)演ずる絢・L・フィーアット。
 漫画原作の癒し系SFアニメ『ALTO』より、体育会系姉御キャラのコスプレである。
「はい、3名様お通りだよー‥‥そこ、邪魔」
 ツンデレキャラ‥‥ではないかもしれない。デレてないから。
 が、役が性に合ったのか、キリエ思いのほか上手く演じている。
 役者慣れしていないと不安を抱えていたキリエだったが、いざ演じてみればなんのその。
「はい、メニュー。ところで担当、あたしで良かったの? ん?」
 いや、それはふてぶてし過ぎだろうというリラックスぶり。
 ちなみに彼女の着ているオンディーヌ・妃屋のセーラー服、本日の為のハロウィン仕様。
 リボンはパンプキンカラー、帽子には妃屋の『妃』のロゴの代わりにジャック・オ・ランタンがプリントされている。

 ハロウィン仕様としては彼女も負けてはいない。
 日下部彩(fa0117)。ある意味彼女が最もハロウィンコスに力を入れていた。
 なにせキャラそのものがハロウィン。
「お帰りなさいませご主人様♪」
 キリエのリボンのようなパンプキンカラーのメイド服に下がカボチャパンツ。
 頭にはとんがり帽子を被ったハロウィンメイド。
 RPGゲーム『ベジタブル・キングダム』のハロウィンイベント時のメイド服。
 この時期に素晴らしく合ったキャラチョイス。
 もちろんフルオーダーメイドである。
(「『ベジ・キン』のハロウィンメイドさん? いいわね〜!
  まっかせて! 一日で作っちゃう!!」)
 まさか本当に一日で仕上げるとは。どこぞの新米監督に見習わせてやりたいと思う役者も多かろう。
「只今、期間限定のサービス中ですのでお楽しみください。
 あちらには本館唯一の男性案内役もおりますので」

 紹介された先には、
「私に逢いに来てくれたのではないのかい?
 可憐な姫君」
 入り口にてキャッチギリギリに女性客を勧誘する笙の姿。
 演じているのは前回のコスプレイベントと同じ、藍玉様。
 彼もハロウィン仕様らしく、和服の上に黒マントを羽織っている。
 和洋無理矢理折衷させたデザインが何故か似合ってしまうのはキャラ性故か、それとも笙自身の魅力か。
 おそらく両方であろう。
「よく来たね、可愛い小鳥」
 『姫』の次は『小鳥』。歯の浮くような呼称もやる者がやれば物語の王子様となる。
 尤も彼の場合は海賊だが。
 女性客の手を取りエスコート。
「甘い口付けのような此方は如何かな?
 いや、こっちも甘酸っぱさが‥‥まるで姫君のようでお勧めだね」
 コスメイド唯一の男性店員は多忙のようだ。

 そう、唯一だ。
 もう一人の男性役者・千架(fa4263)は――。
「‥‥呼んだ?」
 オーダーに背後から現れる古風な黒いセーラー服の少女。
 月刊『ともだち』原作のホラーアニメ、『煉獄乙女』の主人公・閻羅まい。
 女の子である。
 本人曰く、
(「まず最初の選択肢が、さらっと『男か女か』な辺り、
  ‥‥俺ってどーよ?」)
 自覚はあるようだ。いや、ないのだろうか。
「受け取りなさい」
 メニューを渡して呟く。
「あとは、あなたが決める事よ」
 8人の応援の中で最も『決め台詞』が多いのが彼女(?)であり、
「スパゲティカルボナーラとナポリタン、BLTサンドになるわ。
 ‥‥いっぺん、食べてみる?」
 やってみるとこれが見事にハマった。
 が‥‥、
 この喫茶店、ツン率(?)高過ぎではなかろうか。

●KFO(コスメイド・ファンタジー・オンライン)
「‥‥あのー、俺らミックスピザ頼んだんですけど‥‥」
 こちらでは彩のハロウィンメイドが痛恨のミス。
 19にして芝居漬けの彼女に接客業はきつかったか、
「でろでろでろでろでろでろでろでろ、でーっでっ♪」
 突然、不吉なメロディを鼻歌で口ずさむ。
「申し訳ありません! ご主人様! 復活の呪文が間違ってます!」
 パニックになったかと思いきや、そうではなかった。
「このお皿は呪われています。只今呪いを解かせていただきます!」
 先程の鼻歌は呪いの効果音のようだ。
 まさか、失敗を想定して台詞を考えていた訳ではないだろう。
 アドリブなら大したもの。伊達に若くして実力派女優をやっていない。
 そこに、
「申し訳ありません、冒険者様。ギルド員が不始末をなさいました」
 フォローに入ったのはチェリーこと真紅櫻(クリムゾンチェリー)(fa4961)が演じる、ネットゲーム『Jewel』のNPCアルテア。
 同じRPG繋がりという事で客も違和感なく二人の競演を受け入れられた。
「おお、メイドや。冒険者様を呪うとはなんと情けない」
 アルテアの叱責に
「返事が無い。ただのしかばねのようです」
 と切り返し。
 このコンビがゲーマー達に思いの他ウケたようだ。
「冒険者様、お詫びいたしまして、『メイド特製パンプキングケーキ』はいかがでしょうか?
 オプションにヤンデレ応対もお付けしてサービスさせて戴きます」
「あ、じゃあそれ一つ」
「こっちも!」
「こちらの卓の冒険者様には有料となってしまいますが‥‥」
「もちろん、一つお願いしますね!」
 するとオーダーを取るアルテアの横で、ハロウィンメイド、
「てれててってん、てーれーれ♪」
 今度は景気の良さそうな鼻歌。
「レベルアーップ♪ おめでとうございます♪」
 よくわからないが、なんだか面白そうだ。
 好奇心からオーダーされる特製パンプキングケーキとそのオプション。
 いいのだろうか。
 この店にはヤンデレが大得意な従業員がいるというのに‥‥。

●最強&最凶アイドル
 そして彼女は特製パンプキングケーキを持ってやってきた。
「お帰りなさい、お兄ちゃん♪」
 『おお!』と注文客も周囲の客も反応する。
 PCゲーム『陽だまりの中で』のヤンデレ妹ヒロイン皆川霧子。
「お兄ちゃん達ったら、あたしにただいま言わないで、他のお姉ちゃん達にただいましてたの?
 ひどいよ」
 『なるほど、これはいいヤンデレ応対』と皆、納得。
 だが、秋葉原の彼らは知らない。
 霧子演じるルキが東北にて身の毛もよだつ迫真演技をした事を。
 ごとりと。
 霧子の背から斧が落ちる。
「――あ、いけない」
 慌てた風でもなく斧を背にしまう。
 というか、
 コスプレなのだから斧なんて物騒なものを実際に持っている筈はない。
 ない筈なのだが、
 なんか今の斧、ありえない重量の金属音がしなかっただろうか‥‥。
「――ひどいよ」
 さっきと同じ台詞。
 だが同じに聞こえない。
 背筋が寒いのは暖房が効いてないのだろうか。
「あたしの料理も食べて欲しいな。
 お兄ちゃんのリクエストなら何でも受けちゃうんだから♪」
 そしてコスメイドの売上がまたちょっぴり上がる事になったのだった。

 初々しい演技ながらも着実に客ウケしているポイントゲッター、まくらんの麻倉アリア。
 この秋葉原でアリアを演じるのは二度目である。
「アリアちゃん、ロシアン中華まんルーレット一つ!」
「こっちもロシアン!」
「は〜い! アリア、いっきま〜す!」
 正統派な接客で売上と評判を伸ばしている。
 さらにはまくらん考案のハロウィンスペシャルメニュー『ロシアン中華まんルーレット』。
 ミニサイズの中華まんが五つ。中身は「肉まん」「餡まん」「ピザまん」「カボチャ餡まん」「激辛肉まん」。
 パーティーメニューなので評判が上がれば団体客が呼べる構想だ。
 アリアの演技もこれで4度目という事もあって板についてきている。
 現在、店内に流れている曲は来月新曲としてリリース予定だそうだ。

「お待たせー♪ ゆっくり味わってね」
 霧子が(半ば強引に)オーダーをとったオムレツをテーブルに運ぶ。
 そして‥‥暗い情念のこもった瞳で客を見ている。食べ終わるまで‥‥。
「霧子ちゃ〜〜〜ん!!」
 暴走気味の霧子をアリアがフォロー。
「向こういこ! 向こう! 他のお兄ちゃん達にも挨拶しなくちゃね〜!」
 強引にテーブルから引き剥がした。
 ごとりと、
 再び金属音を響かせた斧を慌ててしまいながら。

「GOODよ、GOOD!」
 霧子を連れ帰ったアリアにゆうかは上機嫌。
 今回ゆうかはコスプレをしていない。責任を持ってチーフに徹するとの事。
 きっと助っ人達の仕事が終えた後はコスプレ三昧の営業をするのだろう。
「たしかにお客さんビビっちゃってたけど、でもいいの!
 ルキちゃんのは中毒性のあるビビりだから。お化け屋敷と同じよ。
 大丈夫、また来るわ!」
 そういうものだろうか。
 褒められてるのかすらよくわからないが。
「でしょ? りりともいいと思ったけれど、喫茶店ならこっちかな〜って!」
「まくらんも最高! BGMも評判いいしね。
 あ、またオーダー入った! お願い!」
「はいっ!」
 息つく暇もないとはこの事だ。

●冒険者様方のご武運を祈って
「あ〜、ホンット、チカちゃんってかわいい〜〜!」
「ですよねえ、黒髪が綺麗で‥‥」
 と、彩とゆうかで千架のヘアメイク。
「‥‥いいけど、俺、年上なんだけどな‥‥」
「可愛ければ関係ないんですよ、ね?」
「そうそう!」
 千架の髪をいじりながら二人はすっかり意気投合のようだ。
「チーフもメイドもサボってないで‥‥うわぁ、可愛い‥‥!」
 閻羅まいのツインテールはチェリーにも大好評らしい。
 もちろん客にも大好評。
 はずみで尻を撫でられる程に。

「この怨み、煉獄へ流します‥‥流します」
 懲らしめるのも程々に。
 中身は男の子なんだから。

「待たせたね、私の花。
 ‥‥砂糖とミルクは私に任せてくれるかい?」
 客も混雑して忙しい中、藍玉の優雅さは欠けることもない。
 恋人を口説くように甘く囁き、奉仕する。
 実際には言えない癖に。
「いいなあ‥‥」
 思わず物陰から羨んでしまうゆうか。
 その背後に仁王立ちする影。
「すわっ! チーフ、仕事っ!!
 邪魔っ!!」
「ひゃう!?」
 後輩を叱るようにゆうかをどけてオーダーを運ぶ絢。
「う〜、絢さん大声禁止〜〜」
 無視して皿を届ける。
 オールで。
「オーダーお待ちどお。すわっ!」
 トレー代わりのようだ。
 普通の喫茶店なら許されないが‥‥まあ問題ないだろう。既に許されないような事をしている従業員は他にもいるし。

「‥‥と、ラストオーダーか、名残惜しいな」
 物憂げにユーティが告げた。
 いつの間にそんなに時間が経っていたのか。
 彼女らと過ごしていると時間を忘れてしまいそうだった。
 本来回転率の悪い店は飲食店としては正解ではないだろうが、ここはコスプレ喫茶である。
 『いつまでも帰りたくない店』というのは一つの正解のカタチかもしれない。
「お前が来たくなったら、また来るが良い」
 にっこりと微笑むユーティ。
「行ってらっしゃい、お兄ちゃん♪ 早く帰ってきてねー♪
 ‥‥じゃないと、私、‥‥しちゃうから」
 聞かなかったことにしたい見送りの霧子。
 妙にハチャメチャな喫茶店だったが、これなら廃れる事もないだろう。
 あとは来月から。
 残されたスタッフが彼女らの頑張りに応えられるかどうかだけだ。

 絢が最後の客を見送る。
 優雅なる水先案内人として。
「またのお越しをお待ちしております‥‥お客さん♪」