キングス・メガミックスアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 冬斗
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/11〜07/15

●本文

 アニメ・ゲームコスチューム専門店『コスメイト』。
 コスプレ人口がうなぎのぼりの昨今において新たに立ち上げられたチェーン店第一弾である。
 人気アニメ・ゲームのキャラのコスチュームを一通り揃えてあるのはもちろん、コアな人気のマイナー衣装から、果てはオーダーメイドもかなりの格安で受け付けている。
 有名どころの作品ならばメインキャラは全員分揃っている徹底ぶりだ。
 『コスプレは好きだけれど自作が作れない』ライト(?)コスプレイヤー達をターゲットに第一号店秋葉原店オープン。
 続き、池袋・日本橋などにも開店予定。


「こけるわけにはいかないんですよ‥」
 と、広報の天爪氏。
「格安とは言っても衣服ですからね、それなりの値段はします。材料費ケチって出来の悪いコスチュームになっては『専門店』の名が泣くってものでしょう?
 ですから、出すからには『絶対に』売れなければなりません‥‥!」
 『進退かかってますからね、ははは‥‥』と、笑えない冗談である。
「で、宣伝を、と?」
「歩行者天国でライブをお願いします。ヒーローショーみたいなノリで。出来るだけ派手に」
「いいでしょう、内容は?」
「広く浅くやるよりは、専門店らしく固定ファンをつかむ為ジャンルを限定しようかと」
「ジャンル?」
「格闘ゲームです」


 キャスト募集/
・コスプレ専門店の企画。
・路上で商品となるコスチュームを着てそのキャラの役での演劇。
・ジャンルは格闘ゲーム全般です。
(ゲーム内容は既存の物でもオリジナル(ただし、BNO世界には存在します)でも可。
 ただし、既存の版権物は名前の変更(ぶっちゃけパロディ)が必要です。
 例:『ストレートファイヤー�U』の主人公の空手家・リョウ、等)
・商品の宣伝企画ですので、キャラクター・コスチュームを格好良く見せるようにお願いします。

●今回の参加者

 fa0378 九条・運(17歳・♂・竜)
 fa1406 麻倉 千尋(15歳・♀・狸)
 fa1478 諫早 清見(20歳・♂・狼)
 fa2002 森里時雨(18歳・♂・狼)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa4563 椎名 硝子(26歳・♀・豹)
 fa4852 堕姫 ルキ(16歳・♀・鴉)
 fa5054 伏竜(25歳・♂・竜)

●リプレイ本文

●開演前
「オリジナルコスチュームですか‥‥」
 椎名硝子(fa4563)の注文にうなる広報・天爪氏。
「オーダーメイドの受付もそちらのウリでしょう?
 ‥‥駄目かしら?」
 難しそうな顔の天爪氏に『やはりここにある衣装から』と棚に目を走らせていると、
「いえ、これでいきましょう!
 確かにウチのウリの一つはオーダーメイドです。その宣伝の為にもこれには意味がある!」

●アリア、いっきま〜す! 
 夢の世界なんて それこそ夢だね
 目の前に広がる キミの「現実」
 立ち塞がる壁 乗り越える為に
 袖を通し ベルト締めれば 試練への挑戦者

 拳交わす毎に 強くなれるわ
 その戦いに例え 敗れたとても
 溢れ零す涙 拭ったその袖口
 染み込む汗も 破けた膝も 一つ一つが キミの魂

 歌うのはブレザー姿の美少女。
 女子高生アイドル?
 いや、ここにいる者は皆知っている。
 超能力アイドル・麻倉アリアだ。
 レトロアクションゲーム出身の彼女は最近は格闘ゲーム『God of Fighthers』に出場している。
 でもこんな歌知らない。
 アリアちゃんの新曲?
 それもそのはず、この曲は今、アリアを演じている少女、『まくらん』こと麻倉千尋(fa1406)が作詞作曲したのだ。
 従来のアリアのイメージを損なわず、それでいてオリジナルの新曲。
 客に『コスプレ』をスマートに意識させるのにうってつけだろう。

 洗い流した一つ一つも キミが歩んだ道だから
 忘れる事はないよ 傷跡と共に 強くなる

 実に『アリア』らしい曲にファン達も新曲なのではと聞き入っていた。
 無理もない。
 この曲はライブ終了後、『麻倉アリアの新曲』としてリリースされる予定だ。

 Fire! 燃え上がれよ 魂の炎
 Fire! 昂ぶらせろ 奥底の誇り
 Fire! 後ろ向くな 敵はすぐそこだ
 Fire! 拳掲げよ キミの力で キミの信念(オモイ)を 貫き通せ Fire!

 まくらん本人、『アリア』に情熱を注いでいるのだろう。(苗字も同じ『麻倉』だし)
 歌から伝わる思いはファン達の心を動かしたに違いない。
 ‥‥コレの許可を得るために、予算が想定からかなり上回ったのは内緒だが。

●ん? ヨユウっち!
「ちょっと待ったあ〜〜〜っ!!」
 そこに乱入してきたのは同じ年くらいの少女。
 改造空手着に身を包むのは『虎龍の拳』に2から登場のユミ・ハカザキ。
 まくらんと比べて華奢な『うかな』こと角倉・雨神名(fa2640)にはベストな配役かもしれない。
「私の歌も聴いて聴いて〜〜!!
 『こんなキュ〜トなのに1年で空手マスターしちゃったもん〜天才少女・ユミっ!』
 歌うっち!!」
 でもアイドル経験ないユミちゃん、歌は下手でした。歌詞もお粗末。
 もちろんこの歌はCD化されません。
 それなのにウケはいい。ユミっぽいイメージが幸いしたようだ。
 こんなところまでベストな配役。
「うぅ‥‥かくなるうえは格闘で勝負っ!」
 納得いかずに闘いを挑むうかな、いや、ユミ。
 ステージの看板には変わらず、本日のイベントのタイトルが。

 『コスメイト主催・第零回 KOC』

 かくして、コスメイト企画・第一弾は上々の幕を開けた。

●サイキョー浪人VS若き狼
 まくらんの両脇に黒子が現れると、「アリアの制服」を左右に引き千切る。
 その下からは真っ赤なチャイナベスト。
 『アリア VS ユミ FIGHT!』
 試合開始のアナウンスと共に二人の可愛らしい掛け声がこだまする。

 ――その頃。
「アキバを俺のシマと知っての開催かよ、オラァ!」
 アリア達のステージを対角として、二人の男が火花を散らしていた。
 KOCの看板にケチをつける学ラン男は『NightofHUNTER零』の樽羽丈。
 演じるのは森里時雨(fa2002)。
 周囲は爆笑の渦である。
 それもその筈、この『樽羽丈』は狼憑きの呪いで『浪』人になったとかいうお笑い設定。
 ダイヤグラムも最弱、けれど人気だけはある意味サイキョーというイロモノキャラ。
「俺も招待状を受け取ったんだがな。で、あんたはやるのかい?」
 もう一人、赤のスタジャンに身を包む金髪は『孤狼 WILD WOLVES』のリック・パワード。
 演じるのは九条・運(fa0378)。
「『やるのかい?』だと? 俺様ナメてっとヤケドするぜ!!」
 巻き起こる黄色い歓声。
 この二キャラ、美形好き――いわゆる『腐女子』――にやたら人気が高い。
 しかも二人ともやたら板についている。
 付け毛も目立ったヘアメイクもせずに、ほぼそのまんまの丈とリック。
 コスプレの理想と言える位、『なりきり度』が半端じゃなかった。
 当然、盛り上がるそれぞれのファン達。
 ステージ向こうが男性向けならこちらは女性向けというわけだ。
「いくぜ、オラァ!」
「限界まで‥‥トバすぜ!」

●役者、出揃う。
「雷鵬拳!!」
「きゃああああ!!」
 倒れるアリアを黒子が隠し、そのまま退場する。
 予定通り。
 つかみは成功、まくらん(アリア)は舞台を盛り上げるために裏方に回る。
 一方、うかなのいる表ステージでは――、
「アオォォォン!!」
 狼獣人特有の咆哮をあげ運をタックルで突き飛ばす時雨。
 樽羽丈の必殺技・鬼焔キャノン。
 勢い余ってアリアのステージにまで激突した。
「凄いわ! 本物より迫力がある!」
 ‥‥それはそれでいかがなものかと。
 この場に不釣合いなスーツを着こなした美女が盛り上げる。
 この女性も格闘ゲームファンなのだろうか。
「へっ、口ほどにもねえぜ、次はてめえか!?」
 ユミを指し、挑発する丈。
「バビッとやっつけちゃうぞ!!」

 そして、タックルに飛ばされた運――リックは。
「あいてて‥‥あの野郎、勝手に始めやがって。
 おい、待ちな! こっちはまだ決着が――!!」
 だが、リックの前に豹柄マスクの巨漢レスラーが立ちふさがる。
「モナーク! 『鋼拳』のモナークよ! あのコスチュームは二代目ね!」
 随分とわかりやすい解説をしてくれるのは先程の美女。
 豹のマスク以外はレスリングパンツにオープンフィンガーグローブなど、『コスプレ』というにはあまりに華美さに欠ける衣装であったが、そんなものは彼の体格が帳消しにしていた。
 伏竜(fa5054)、本名、葛西亮明。
 190をゆうに超える巨躯はまさに『アングリィ・ビースト』モナークそのものだ。
「‥‥なんか用かい? あんたも参加者みたいだが‥‥
 相手をしてくれるってのか?」
 マスクマンは獣の咆哮で応じる。

「いくぜ、オラァ!!」
 丈のナックルが光を放つ。
「ああっ! あれは丈最強の必殺技――!!」
 またもや美人のお姉さん、何でこんなに解説してくれるのだろうか?
「俺様参上!!」
 ゴロゴロと地を前転し、立て膝と共にガッツポーズで叫ぶ。
 背中の刺繍が無駄にド迫力。
 まだまだ終わらなかった。
「ひゃっほぉ!! オラオラオラァ!! 俺様無敵ィ!!」
 丈の必殺『俺様伝説』。必殺だが殺傷力ゼロ。
 なんていうか‥‥美形であることを差し引いてもキモい。
「ダ、ダメ! こんな相手、帝王翔吼拳を使わざるを得ないっ!」
 前転から丈、怖がるユミの前にジャンプ。そしてラストの決め。
「サイキョーっス!!」
「帝王翔吼けーーーん!!!」
 強烈な光と轟音と共に派手に吹き飛ぶ丈、まるで本当の気弾を喰らったかのような。
 時雨はうかなが両手を突き出した瞬間、発光ナックルのフラッシュを最大にし、自分から攻撃を喰らったように吹き飛んでいた。
 同時に裏方まくらんのパソコン収録のSE。
「凄いっ! これぞユミちゃんの無限流奥義・帝王翔吼拳!!」
 だから誰なんです、お姉さん。
 丈を弾き飛ばしたユミは帯を締め直す。
 しかし、汗で滑って胴着が――、
 ――ぱらっ――
「きゃああっ!!」
 一瞬見えたブラを慌てて隠すユミちゃん。
 男性客から猛烈な声援が。
 どこまでもサービスを忘れないうかなであった。

「負けたぜ、親父ィ〜〜!!」
 宙を舞う丈はギャラリーの中へ。
 ギャラリーは慌てて逃げようとするが間に合わない。
 そこに――。
「いざ――!!」
 飛び出したのは燃えるような赤い忍者服の青年。
「ヤッ! ハッ! タアッ!」
 落ちてくる丈を無数の突きで押し返し、
「セイヤァーーッ!!」
 とどめの蹴りでギャラリーのいない逆サイドに蹴り飛ばす。
「ライ! 今度は『ストレートファイヤーZERO』のライよ!!」
 キヨミこと諫早清見(fa1478)の扮するのはライ、アクションゲーム『フェイタル・レッド』からの格ゲー移植キャラだ。
「‥‥悪く思うな」
 ピッと指を切り、渋く呟けば、男女共に人気の高いライへの歓声が高まる。
 ‥‥それにしても酷い‥‥。
「招待状を受け取り、KOCに参上仕った。民衆を危険には晒してはおけぬ。いざ、勝負!」

●受け継ぎし者達
「烈光拳!!」
 リックの光の拳をモナークが受け止める。
 時雨発案の商品、発光ナックルでの演出。
 流石に遠距離攻撃は出来ないが、優れた殺陣と相まって、迫力は充分だった。
「近距離とはいえ、烈光拳を再現できるなんて‥‥あれは‥‥!」
「知ってるのか! 紫電!」
 またも解説を始めるお姉さんに丈がツッコミを入れる。
「‥‥誰よ」

 リックの拳を受け止めたモナークはそのまま彼を抱え上げ、パワーボム。
 さらに跳躍、空中で逆さまに肩に乗せて両足を掴む。
 そのまま落下、リックの全身の関節に衝撃が走る。
「ぐあ‥‥!!」
「あれはモナークの必殺コンボ、シャッフル・バスター! 良い子はマネすんなよ!」
 すかさず解説を入れる丈。
 まともに喰らったリックはよろよろと立ち上がる。
 ――と、言っても実際は怪我のないようにとの運と伏竜のコンビネーションによりダメージはほとんどない。
「やるじゃねぇか‥‥血の滾りが抑えきれねぇぜ‥‥!!」
 それは観客も同じ。
 ゲームではありえない対戦。
 互いに偉大なる先人の後継者たる者。
 しかも殺陣は一流、見栄えも充分だ。
 観客のボルテージも最高潮に達していた。

●ラスボスは魔法少女?
 突如流れていたBGMが変わった。
 能天気なノリのユーロビートにファン達は反応する。
 皆の注目を集め、踊りながら登場する魔法少女。
「にゃんにゃかにゃ〜ん☆ 全国六千兆人のりりたんマニヤの皆、超絶悶絶お待たせしましたっ☆ 第六熾天界が誇る愛と勇気と(中略)至上のアイドル・六天門りりと、お出ましこんぷりーつ☆」
 ここに丈を超えるネタキャラが登場した。
 このマニアックなコスチュームを選んだのが、堕姫ルキ(fa4852)
 そして完全にボスキャラ扱い。
「闘いの途中だけど、出てきちゃった☆ みんなカッコ良すぎて、りりと、色んな汁が出ちゃったよ♪」
 そしてこのセリフ。
 真っ昼間からイベント中止にならないかとすら危うんでしまう。
「‥‥と、いうことはこのいべんとを目論んだのは貴様でござるか?」
 この状態で冷静にツッコミを入れられるライは流石というしかない。
「そ、この大会はりりとが主催したの♪ そのス・テ・キ・なコスチュームを奪い取る為にね☆」
 さりげなく商品を強調するりりと。
 構える四人、だがそこに――。
「俺様復活!!」
 場外にいた樽羽丈が戻ってきた。
「この学ランが欲しいなら俺様を倒してみな!」
 意気揚々と乱入する丈。
 その横面にいきなりりりとのロッドが。
 二撃、三撃、
 そのまま縦横無尽のフルボッコ。
 無論、丈の殺陣の腕前によるものだが、観客から見れば悲惨そのもの。
 そして金的。
「や〜ん、えっちぃ☆」
 うずくまる丈を今度は踏みつけ。
「こわ〜い☆」
 流石に踏みつけはちょっと痛いので、コスチューム下にジャケットを仕込んでいるが。
 『K・O』
 試合開始一分三十秒。
 その間、魔法一切なし。

●もう一波乱、ダンスクィーン
「セイヤァーーッ!!」
 ステージ上に配置されたクッションを利用したライの三角飛び蹴りを避ける‥‥というより逃げるりりと。
 可愛さと演技力には自信はあるものの、アクションに自信はないルキとうかなだが、男三人のフォローにより、文句のない演出を見せていた。
「そろそろ観念して‥‥みんなのコスをりりとに寄越せ〜☆」
 ラスボスりりとに疲弊している四人は不利。
「お待ちなさい! 最後に出てきておいしいところだけかっさらおうという卑怯な魔法少女には、このわたくしが相手よ!!」
 と、おいしいところをかっさらうのは先程まで解説をしていたお姉さん。
 眼鏡を外して纏めてあった髪をほどき、制服をばっと脱ぐと、その下からは赤いスリップタイプのドレスに身を包んだダンサーの美女が。
 観客がざわめく。
 『こんなキャラは知らない』と
 と、いつの間にかステージ上に再びアリアの姿が。
「コスチューム専門店コスメイトはオーダーメイドも受け付けてま〜す!
 みんなの思い描いたコスチュームを持ってきてね♪」
 戸惑いのざわめきは歓喜の声援に変わる。
「ショーコさんのアイディアは大成功のようですね」
 舞台裏で満足げに呟く天爪氏。
 そう、この解説役のお姉さん改め、オリジナルキャラクター・ジュリアナを演じるのはショーコこと椎名硝子。
 本来イベントに予定のなかったオリジナルコスチュームを出すことにより、ファンの購買意欲を煽る事に成功したわけである。

「いくわよ、みんな!」
 ジュリアナの登場で息を吹き返す四人。
「ひっさーつ!!」
 ユミがりりとにタックルをかけると黒子達が六人を覆い隠す。
 派手に鳴り響く音と光。
「あ〜れ〜☆」
 こうして、悪の魔法少女は、無限流最終奥義・謎の五人合体技(?)によって、倒されたのであった。

●ピンナップ


堕姫 ルキ(fa4852
PCツインピンナップ
蒔本梓夏