star in the earthアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 うのじ
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 1.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/10〜03/14

●本文

「うーん、うーん」
 一人、悩んでいる青年がいた。
 プロデューサーの望月である。
「どうしたんですか?」
「いや、この時期って悩み事が多くてね」
「悩み事? 花粉症?」
「あー、花粉症もいいなぁ」
「‥‥いいなぁ、って。花粉症って大変なんですよ?」
 ちょっと怒った風に言うスタッフにびびり、謝り倒す望月。
「ごめん、ごめん。それはわかってるんだけど、いや、番組のテーマがさ」
「テーマ?」
「今回は『星』だけど、次は『別れ』、『出会い』、『お花見』とか、この時期やりたいことが一杯あるのに、時間が足りないんだよ」
「贅沢な悩みですね」
 思わず苦笑したスタッフが、軽い気持ちで言った。
「じゃあ、いっぺんにやってしまえばどうでしょう?」
「‥‥‥あ、その手がったか。『別れ』と『出会い』って一緒にできないかな」
 そしてまた、うーんうーんと唸りながら至高の波にさらわれる望月。
「‥‥‥テーマと言えば、今回は『星』ですけど、『the sound of the star』でいいんですか? 『Planet』とか『Comet』とか、『銀河』とかもあると思うんですけど

 考え中の望月に向かって、申し訳なさそうに質問をするスタッフ。
「‥‥ん? ああ、とりあえず、『the star』でいいよ。どの星にするかは、自由っていうことを、アーティストの皆さんには後で僕から伝えておくから」


 倉庫を改装し作られたような舞台の上にスポットライトがあたる。
 そこは、もうすぐ、ミュージックアーティストたちによる小さな宇宙が構成される場となるのだ。
 映し出される舞台の真ん中に立つ一本のギター。
 そこにむかって振ってくる、二振りの剣。
 交差する剣の真ん中にギターという、番組のシンボルマークが完成する。
 そこに「魂を響かせろ! Battle the Rock」の文字が踊り、続いて「the sound of the star」と今回の主題が入り、番組がスタートした。

●今回の参加者

 fa0760 陸 琢磨(21歳・♂・狼)
 fa1362 緋桜 美影(25歳・♀・竜)
 fa1376 ラシア・エルミナール(17歳・♀・蝙蝠)
 fa1405 滝月・玲(22歳・♂・竜)
 fa1514 嶺雅(20歳・♂・蝙蝠)
 fa1565 ニライ・カナイ(22歳・♀・猫)
 fa2105 Tosiki(16歳・♂・蝙蝠)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文

●オープニング
 鈍く輝く、番組のシンボルである、二振りの剣とギター。
 そこにスポットライトがあてられ、番組タイトルである『Battle the Rock』の文字が画面に浮かび上がる。
 続いて現れる『the sound of the star』の文字。
 暗い夜空に煌めく星のように、真っ暗な舞台に、きらびやかな照明が踊る。

 最初に登場したのは、いつもの二人組の男。
 黒の皮の服に銀のアクセサリーの衣装を身にまとった二人は、手にしたマイクに向かって話し始める。
「‥‥‥コンクリートジャングルの中で始まるミュージシャンたちのサバイバル」
「今回のテーマは、『星』。‥‥夜空に輝く星々よりも明るく夜を照らす人間たち」
「それは地にスターが降りてきてしまったからなのかもしれない」
「今宵の地を飾るスターは、この5組!」
 二人を映していた画面は、切り替わり、それぞれのアーティストを映し出す。

 最初に登場したアーティストは、陸 琢磨(fa0760)だった。
「激情が閉じこめられた氷、陸琢磨。今宵はダンサーとしてではなく、一人のミュージシャンとして登場!」
 いつも通り、軽やかにコールを受け止めるタクマ。
 彼が口を開かない代わりに、胸元のネックレスがきらりと輝いた。

 次に映されたのは、DESPAIRER(fa2657)。
「彼女の歌は、まるで、剥き身のナイフ。心の闇をストレート歌い上げるのは、DESPAIRER!」
 真っ赤なドレスを着たディーは、カメラに向かって眼を見開く。
 当たっているスポットライトの光りを消し去るかのような黒いオーラ、そんな錯覚するほどの雰囲気のディーはそのまま頭をさげた。

「新メンバーを加え、flickerの第2章がスタート! 光りは三色揃うと、全てを表現する。それならば、この三人もそうだろう。flicker−R To R−!」
 ダークグレーのスーツでそろえてきたのは、ラシア・エルミナール(fa1376)、嶺雅(fa1514)、そして新加入のTosiki(fa2105)。
 濃いグレーのスーツを夜空に見立て、南十字星や北斗七星がきらびやかに踊る。
 大きく息を吸い込むラシア。
 そして、息を吐き出すと、横にいる嶺雅とトシの肩を力一杯叩いて、笑いながら気合いを入れた。

 続いて登場したのは、滝月・玲(fa1405)と緋桜 美影(fa1362)の二人。
 赤いレザージャケットに赤のタイトレザーの美影、赤のシャツにジャケット、そしてサングラスをかけたレイ。
 赤を基調にそろえてきた、すこしお水っぽい雰囲気のふたり。
「宇宙も、地球も、全て零から始まった。誕生から進化し続ける二人が、今日、星を掴む。ZERO!」
 コールを受けると、玲はかけていたサングラスをスッとずらし、カメラに向け3本の指をあげる。
 そして、その手で星を掴む様にグッと握り、不敵な笑みでウインク。
 それを見た美影は思わず苦笑した。

 最後に登場したのは、ニライ・カナイ(fa1565)だ。
「宇宙は本当は青くなく、透明である。そう、この彼女の歌声のように。初登場の歌姫、ニライ・カナイ」
 ニライは、なにかこそりと言いながら胸の前で軽く十字をきった。
 そして、名前を呼ばれると、どこか不機嫌そうに見えなくもない感じではあったものの、律儀に、ぺこりと頭を下げる。

 全ての紹介が終わると、カメラが最後に、大きくぶれるように動いて、最初に登場した司会の二人を映す。
「それでは、『Battle the Rock』。スタート!」


●陸琢磨
 控え室で、タクマは、自分が引いた籤の紙を観ていた。
 引いた数字は1。
 つまり、出番は一番最初、ということになる。
 オープニングに登場した休む間もなく、スタッフから呼ばれたタクマは、壁に掛けてあったギターを手に取り、舞台に向かった。

 ゆっくりとした速度で鳴り響くギター。
 スローテンポのこの歌は、悲しめの歌のように聞こえた。
 そして、タクマが切々と歌を歌う。

見上げる夜空に 浮かぶAries‥‥
揺るぎ うろたえる心‥‥

贄の羊だと言う事か‥‥
情けなさに 嘲笑いが浮かぶ
苦笑し酷だと叫んだ‥‥

Hate Song‥‥
夜空の星座(ほし)の様に‥‥
Aries Song‥‥
報われぬ羊の様だ‥‥
俺は弱いだけの人だ‥‥Uh‥‥


●DESPAIRER
「DESPAIRER。『Super Nova』」
 コールされ、でてきたのは、真っ赤なドレスを着たディー。
 ディーは普段とは違い、マイクを持つと前を向いた。
 そして、大きな音と共に、歌が始まった。

気づいてる? 私のサイン
私は必死に 輝いてるのに

あなたにとって私は ただの友達の一人?
そういうあなたの態度が 一番気に入らないの!

超新星の輝きで あなたの眼を灼いてあげる
そうすればもう 何も見えなくなるでしょう?

好きの反対は無関心 それだけはもう許せない
憎んでもいい 私のこと以外考えないで!

Super Nova...!

 ディーが始めた歌は、炎をイメージするかのような衣装に負けないほど、情熱的に歌い上げる。
 長い髪を振り乱し、叫ぶように歌う。
 今にも爆発しそうなディーの歌。
 それが 2回目の『Super Nova』の歌詞で急に電源が切れたかのように止まり、ディーはその場に倒れ込んだ。


●flicker−R To R−
 真っ暗な舞台にあてられた一筋の光り。
 それはトシに当てられる。
 トシのショルダータイプのキーボードから流れ出る音。
 光りがもう一つ増え、当てられた先にいたのは、ラシア。
 ついで、もう一つの光りは嶺雅に当てられた。
 最後に光が当てられた嶺雅がマイクを口元に運ぶ。
「サンダージェットの二人!」
 不意に名前を呼ばれて、驚く司会者の二人だったが、名前をコールされたからには、舞台に登らないわけには行かなかった。
 司会者の二人が舞台に上がると、珍しいことのためか、観客も湧く。
「あんたらも熱くなれ!」
 嶺雅の言葉に湧く観客席。
 戸惑う司会者の二人だが、しかし、すでに曲は始まっている、曲名をコールしなければならない。
「flicker−R To R−。『蒼き地球の子らよ‥‥』」
 職務は全うした司会者の二人だが、ここまで来てしまっては、今更おめおめと舞台から降りるわけにはいかなかった。
 観客は何かを期待している、それを彼らの芸人魂が感じ取ってしまったのだ。
 司会者の二人は、flickerの三人の動きを観ながら、アドリブのみでエアギターを始めた。
 曲がテンポアップし始め、嶺雅とラシアの交互の歌から始まる。

灯火の消えたこの街は 鋼鉄の墓場だと誰かが言った
時さえも全て飲み込んで 閉じ込めるこの闇を打ち壊したい

砕けたステンドガラスの欠片 明かりを映して夜を照らす
窓から見上げた夜空は まるで万華鏡のようだね

 ヒートアップしていくテンポに、間奏がはいり、トシのキーボードのソロが入り、曲は最高潮へ。
 嶺雅とラシアの歌声にトシの歌声も加わっていく。

星たちが瞬いた夜は 閉じられたこの街が息吹き返し
摩天楼に灯火宿る 夜の海照らし出す灯台のように

煌いた空の万華鏡(Compass of star dust)
振り仰ぎカタチ指す道へ(It advances aiming)

月明かり瞬いた夜が 閉じられたその心甦らせる
照らし出された海の中に 躍りだしその先を目指してみたい

The star is broken
The dark is broken
Welcome to the highest night...

 徐々に静かになっていく曲に合わせて、徐々に暗くなっていく照明。
 舞台から照明の明かりがなくなったとき、5人がそれぞれ舞台を降りた。


●ZERO
「‥‥、ねぇ玲ちん」
「どうしたの?」
「いやさ、四回目は手で四は示せるし、5回目もパーにすればいい。6回目も両手をつかえばなんとかなるけど‥‥‥12回目とかになったら、どうするの?」
「え?‥‥ああ、あれ。続けるか分からないけど、12回なら、ほら、これで」
 言い、右手で1を、左手で2をつくり、美影にみせる。
「あ、12だ。確かに。玲ちん、えらい! 頭いい!」
「そ、そうかな? ありがとう」
「‥‥でも、16はどうする、それ」
「え?‥‥‥ま、まぁ、その時はその時に考えれば」
「‥‥まぁ、そうだね」
「そろそろ出番みたいですよ。元気のいい曲ですから、バーンと行きましょう」
「おう、バーンと行って来よう!」

「ZERO。『宇宙劇狂騒曲』」
 コールされ、演奏がスタートする。
 アップテンポの曲調に、会場が全体が乗る。
「3・2・1 Launch!」
 玲と美影、ふたりとも声をあわせてのかけ声のあと、そのまま美影が歌い続ける。

飛び立つよまっしぐら わき目も振らず一直線に 目指すは君の腕の中 
辿り着いたその時はどうか優しく抱きしめて
遥か遠く彼方から 私目指して一筋に ただひたすらにまっしぐら
辿り着けたなら少しだけ優しくしてあげる

 最初の時から休まずに、強く、力強く盛り上がりを続ける。
 そして、歌がラストの時を迎えるとき、美影が言った。
「ラストだ、みんなぁ一緒にイクぜ〜!」
 美影の一言で、さらに湧く歓声。
 曲は最後まで盛り上がりを続けた。

愛し君は僕のLittle Star 手を伸ばすほどに遠ざかる
貴方は私目指す宇宙船 せいぜい頑張ってボン・ボヤージ


●ニライ・カナイ
「ニライ・カナイ。『Don’t星に願いを』」
 舞台の上にあるのは、白い布が被さり、古の時代を感じさせるようなニライの姿だった。
 暗闇の中に浮かび上がる、ニライ。
 ニライはカンテラを手にし、天を見上げるかのように、アカペラで歌う。

When you wish upon a star
Your dream comes ture
But‥‥
Is it true?

 カンテラの火が消され、一瞬の闇の後、一気に明るくなる照明。
 白い布を脱いだニライは、ラフな白シャツ+ジーンズという姿になった。
 そして、足は裸足だ。
 普段聞き慣れたロックの音楽の中に、ヴァイオリンの音が加わる。
 元気よくニライの歌声が響きわたる。

星に願いをかけたなら いつか夢はきっと叶う
そう言ったのは誰だったかしら
何万光年離れた宙(そら)に 願いが届く「イツカ」待てるのは
嘘をつくと鼻が伸びる 木から生まれた彼くらいでしょ

不実な月に誓っちゃ嫌と ロミオに言ったジュリエット
だけど本当にそうかしら
月は世界の一番傍で いつも一緒に回っているわ
かぐや姫も月から来たの 「ソノウチ」誓いも成就するかも

でも
Someday
約束のない不確かな夜と昼を越え
Sometime
貴重な時を無駄にするのは No thank you!

 大きく拳を振り上げたニライは、そのままの勢いで歌い続ける。

だ・か・ら
I don’t wish upon a star 星に願いなんてかけない
Just time now, I become the star 願いはこの手で叶える
響け世界に想の歌 自分だけの色に輝く
I’m only shining star

 全て歌い終わったあと、ニライが『キミ』にむかって言った。
We are only shining star!


●エンディング
 5組すべての演奏がおわり、後は勝敗を決するだけになると。再度登場した司会者の二人組。
 彼らが、観客に投票を促す。
「それでは、『judge』。スタート!」
 観客達の手に握られているのは、10枚のコイン。
 観客達は、そのコインを自らが思うように分配し、舞台の各ミュージシャンのハコに向かって投げ入れる。
 コインの玉入れが終了すると、集計に入る。
 結果は口頭では発表されない。
 倉庫にあるようなエレベーター。
 そこに乗っているのが、勝者だった。

 上下左右に開いた扉の向こうにいるのは、ZEROの二人だった。
 歓声に迎えられた二人は、観客席に向かって呼びかける。
『3・2・1 Launch!』
 玲と美影、そして観客の全ての声をあわせてのかけ声のあと、美影が歌い続ける。

1億3千万の星が集う雲の中 2人が出会うのは偶然で 必然
君と僕を引きつけるのは 運命も光も越える引力(アカイイト)

愛し君は僕のLittle Star 手を伸ばすほどに遠ざかる
貴方は私目指す宇宙船 せいぜい頑張ってボン・ボヤージ

 『ZERO』の『宇宙劇狂騒曲』に合わせて、流れてくるエンディングテロップ。
 参加した星のような全てのアーティストの紹介や、裏方の紹介が流れる。
 その後ろに流れる応援歌。
 番組を観た今日を生きる全ての人へ、良い航海を願いながら、番組は終了した。

●ピンナップ


緋桜 美影(fa1362
PCツインピンナップ
山月 総


滝月・玲(fa1405
PCツインピンナップ
山月 総