sea in the sheアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 うのじ
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 1.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/14〜07/18

●本文

 太陽の光が舞う浜辺、一台のトラックが停車する。
「うーん、いい天気」
 トラックの助手席から降りてきたのは、一人の男性。
 彼はそういうと背伸びを一つする。
 目を細めながら、海を見た後、こう言った。
「これは、サングラスがいるかな」
 そんなことを言っていると、横から別の男性が声をかけた。
「望月さん、地元の役所の方が、打ち合わせだそうです」
「あ、はいはい。おつかれさまです。今、行きます」
 望月と呼ばれた男性は、すぐに皆が集まっている場所へ向かった。

 運転手がトラックの荷台が開くと、そこにあるのは見慣れたステージ。
 そこに書かれているのは「魂を響かせろ! Battle the Rock」という番組名であり、今回の主題である「the sound of ocean」の文字。
 今回の番組はテーマが『海』ということで、この浜辺を借りてライブを行うことになったのだ。
 もちろん、日中は日差しがきついため、夕方からのライブになるが、それでも、ライブのためには様々な問題があった。
 熱中症などで観客が倒れたらどうするのか、ゴミの問題、周囲への騒音の問題などなど。
 それらに細心の注意を払った後、ようやっと、役所の許可が下りたのだ。

 打ち合わせが終わったのか、望月がスタッフを集める。
「じゃあ、これから、設営開始します。しまっていきましょう!」

●今回の参加者

 fa0475 LUCIFEL(21歳・♂・狼)
 fa1362 緋桜 美影(25歳・♀・竜)
 fa1376 ラシア・エルミナール(17歳・♀・蝙蝠)
 fa1405 滝月・玲(22歳・♂・竜)
 fa2105 Tosiki(16歳・♂・蝙蝠)
 fa3596 Tyrantess(14歳・♀・竜)
 fa3608 黒羽 上総(23歳・♂・蝙蝠)
 fa3920 Neiro(21歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文


●オープニング
 砂浜に設営されたステージの扉は未だ閉じられたまま。
 ステージ前の浜辺には、開演を待ちかまえた観客達がいた。
 その扉に光が当てられると、剣と盾のエンブレムが浮き上がる。
 沸き上がる歓声。
 それに答えるようにステージの扉が上に開かれていく。
 ステージの上は、すでに舞台が整っていた。
 照らされた二人組の司会者が口上を述べる。
「‥‥‥ミュージシャンたちのサバイバルバトルが、野外に、この海岸に飛び出した」
「今回のテーマは、『海』。生命の母なる海を歌うために、今日、集ったのは、この3組!」

「夕闇の海に現れた美しき牙。セクシーな三人のコラボレーション! Black−Fang!」
 Neiro(fa3920)の大人の色気。
 Tyrantess(fa3596)のアンバランスなエロチズム。
 LUCIFEL(fa0475)の男の魅力。
 三人の登場に大歓声が上がる。

 その横にいるのは、緋桜 美影(fa1362)、滝月・玲(fa1405)のZEROの二人。
 スポットが当たったのを確認してからレイが手に持ったかき氷を一口、口の中へ。
 パレオ姿の美影は笑いながら、手にした強力なウォーターガンを使って、近づいてくるカメラマンを威嚇する。
 そして、スポットが当たっていることに今、気がついたかのように、レイが深めにかぶっていた麦わら帽子を軽く上げた。
「まるでバカンスに来ているかの様! 楽しくなければロックじゃない! ZERO!」

 そして、最後の紹介。
「flickerから、泳ぎに自信のある三人が参戦! ハイレベルのflickerミュージックに期待!」
 ラシア・エルミナール(fa1376)を真ん中に、Tosiki(fa2105)、黒羽 上総(fa3608)が両サイドに立っている。
 三人は紹介の言葉を聞くと、ラジオ番組の事を思い出し、思わず苦笑する。
 苦笑を笑顔に変えて、観客席に手を振る三人。

 全ての紹介が終わり、司会者が開始を宣言する。
「それでは、『Battle the Rock』。スタート!」


●Black−Fang
 貸し切りバスによる即席の控え室。
 すぐに出番が来る三人は、控え室にて、円陣を組んでいた。
「みんな、最高のライブのために、がんばっていきましょう!」
 ネロが声を上げる。
「おー」
「おーけー」
 タイとルシフが応える。
 ドアがノックされる。
 出番が来たのだ。
 円陣を解き、タイはパーカーを羽織ると、一番に外に出て行った。
 ルシフはドアをくぐった後、そのままドアを押さえて、ネロが出てくるのを待つ。
 ネロが外へ出た後、ルシフがドアを閉じて、後を追う。
 そして、三人が舞台袖にそろった。

「Black−Fang、『Hot Summer Night Love』」
 名前が呼ばれ、登場する。
 最初に音を鳴らしたのはギターのタイ。
 そして、大きく胸元が開いたルシフが一歩前にでて、マイクを持つ。

Summet beach 強い日差しのせいか
目に映る誰もが 普段より眩しく見えて
Summer heat 暑さに浮かされて
止められない想い 受け止めてくれるのは誰?

 続いてネロがマイクを持ち、モデル特有の歩きで舞台の真ん中に登場する。

Heart break 一人歩く砂浜
何度なくしてもなお 新しい恋が欲しくて
Heart beat 抑えられない鼓動
この火照った身体 抱きしめてくれるのは誰?

 ルシフとネロ。
 二人で魅惑的なダンスを織りなす。

熱く燃える夏の夜 一人でなんかいられない
Hey, come on! Won’t you be mine?

目と目が合った瞬間 Yes, I fell in love
夏の悪戯?
運命の出会い?
そんなの どっちだっていいだろ?

言葉なんかいらない Yes, kiss me please!
一夏の恋?
永遠の恋?
その答え 二人で確かめてみない?

 誰かに問うように、二人でワンフレーズを歌った後、それぞれが歌う。
 それを繰り返した後、また、二人の声が重なった。

例え一夜だけでも ココロとカラダ重ねて
熱帯夜も逃げ出すほどの Hot Summer Night Love


●ZERO
 鏡の前で、ポーズのチェックをしている美影。
 手にしたウォーターガンをいかにかっこよく構えるか、それをぎりぎりまで研究をしていた。
「ねぇ、玲ちん、このポーズどう?」
 レイが答える。
「いいと思うよ? カメラ三つだから、3ポーズもあれば十分だよ」
「そっかー。玲ちん、さんきゅー」
 返事をしながらも、未だにポーズの研究をやめない美影。
「それより、水圧調整は大丈夫?」
「うん。ちゃんと霧に近い状態になるようにしてある」
「本当に発射したら、みんなびっくりするだろうな」
 レイの言葉に、美影もキシシと笑った。
 控え室のドアがノックされ、出番が近いことが知らされる。
「せっかくのビーチだ、思いっきり暴れてやりましょう!」
 レイの言葉に、美影が元気にオー! と言った。

「ZERO、『夏行進曲(サマー・マーチ)』」

夏の来訪 はじける季節 準備万端全速前進!

 台詞のようにまった歌詞がはじけ、駆け上るように、アップテンポになって行く。

山が清涼感なら 海は開放感
溜まったウップンごと Go for brake!!
仕事に色事 二の次にして 取り合えず飛びこめ

 飛び込め、飛び込め、と客をあおるレイと美影。
 一体なにが飛び込むのかと言うと、それは観客とのコールアンドレスポンスが最高潮に達した時に答えがでた。
「原点回帰!」
 そう言いながら、美影が観客席ぎりぎりまで飛び込み、手にしていたウォーターガンを発射。
 観客へ降り注ぐかのような霧。
 水に、そして水が作り出した虹色の光に声を上げる観客達。
 曲が進み、美影が一歩下がる。
 すると今までギターを弾いていたレイの歌声が響いてきた。

夏が襲来 日差しに湿度 
街中に溢れてこぼれる 不快指数
歯ぁ食いしばって 背広背負って 
やり過ごせるほど 人間できてない

山で清涼感なら 海で開放感
煮詰まった日常なんて Knock down!
太陽のよに 燃えたっていいじゃない どうせここは 
水の星!

私と貴方 手に手をとって 準備完了飛び込みOK!

 途中から、やはり、美影がボーカル、レイがギターをと、普段の役割分担に戻り、そのまま曲のボルテージも上がっていく。
 そして、最後に、もう一度、美影がウォーターガンの霧のシャワーを降らせ、その歓声と共にギターが止まる。
 やや熱くなった空気に清涼感を与えながら、ZEROの歌が終わった。


●flicker
「『水着じゃないの? せっかく海の日近くのライブなのに』」
 携帯を持ったラシアの独り言に、首をかしげるクロ。
「ああ、さっき、水着でライブはやらないよって言ったら言われた言葉。せっかくだからメールしておこうかなと思ってね」
 ラシアの質問する前から出た答えに笑い出すクロ。
「こっちは、『ほんとうにやるのか?』と言われたよ」
 ビーチバレーの光源を確保するために、照明スタッフに言ったときの返事だ。
 クロの言葉に、思わず苦笑するラシア。
「こっちは『それは困る』って言われた」
 そう言ったのはサンバイザーをかぶる角度を決めているトシ。
「何かお願いしたの?」
 ラシアの質問に答えるトシ。
「ビーチバレー、観客達にも見せれないか? って聞いたんだけどね」
「‥‥まぁ、問題が起こる前に聞いておいてよかったな」
 クロの言葉が続く。
「それはともかく、トシキとは今回が初共演になるからな、よろしくな」
 クロの言葉にトシが頷いた。


「flicker、『sea side』」
 三人が登場したあと、マイクを持ったラシアが言う。
「今日ここでカップルになれた奴ら! 今日のコイツでそれがいつまでも続くように応援してやるよ!」
 そう言い、アカペラで歌い始めるラシア。

Danced blue
Deep blue even where.
It is a clear sea more than the sky.
Blue of profundity

 ラシアが一息つくと、1,2,3と言うように、カッカッカッカと鳴るドラム。
 クロのドラムのリズムに合わせて、ハードな曲がスタートした。

何も言わないで二人 浜辺を歩いてる
アイツの背中をただ見つめ続けていた

焦りにも似てる感情が駆け巡る
何かもわからず 心焦がして

振り向いたその姿に胸が鳴り
伸ばされた手を払えなくて

 所々にはいるトシのバックコーラス。
 そし曲はいよいよと佳境に入っていく。

掠れた声で囁かれた言葉 波音で聴こえない

押し当てられた唇 微かに塩辛いけれど
蜜よりも甘く感じた 

永遠に流れる数秒 
絡めた指はもう離れない

 ズザーと、波の音が聞こえる用に余韻を残しながら、歌が終了した。


●エンディング
 3組の演奏が終わり、再び、登場した司会者の二人組。
「それでは、『judge』。スタート!」
 司会者の言葉で、投票が始まる。
 各ミュージシャンの箱の中へ、観客からコインが投げ込まれていく。
 野外ステージのせいで、舞台に遠いためか、箱にうまく入らなかったコインはいつもより多めだ。
 しかし、それでも、多くのコインがそれぞれの箱の中に集められた。

 ドアがノックされる。
 慌てたのはトシだ。
 楽しみにしていたビーチバレーの衣装に着替える直前だったからだ。
 全員の了承を得てからクロがドアを開ける。
「ビーチバレーもいいけど、やはり歌を歌ってこそだね」
 ラシアが一番にドアをくぐった。

 最後に再び登場したのは、つまり、今回の勝者は『flicker』だった。
 その結果、選ばれた『sea side』、それが再び歌われる事になった。
 そのためのラシアが手にマイクを持つ。
 アカペラ風に始めまる歌。

Danced blue
Deep blue even where.
It is a clear sea more than the sky.
Blue of profundity

 ラシアの歌声の後に控えるハードミュージック。
 1,2,3のかけ声で、ハードな曲に生まれ変わった。
 歌が続く。
 その下に表示されるエンディングロール。
 こうして、番組が終了した。


●撮影後閑話
 今まで大勢いた観客たちもいなくなり、浜辺が静けさを取り戻す。
 いや、今は静けさを取り戻す手前だ。
 男と女で別れたビーチバレー大会が開れたからだ。
 最初は、『ほんとうにやるのか?』と言っていた一同だったが、トシやルシフが着々と準備をすすめ、ついに、ビーチバレーに皆が集合する。
 いざ始まってみると、女性陣のがんばりが炸裂した。
「もう後戻りはできないわよ」
 バックに炎が見えるぐらい熱くなっているネロ。
「ミカリンをなめるなよ」
 美影も言う。
 女性陣の強烈なサーブやアタックにたじたじになる男性チーム。
 唯一、格闘の覚えがあるレイのアタックが的確に反撃するも、ついに女性チームがマッチポイント。
「ちらり」
 わざわざ口で言い、セクシー攻撃で男性陣の目をごまかそうとするタイ。
 その隙に、ラシアのサーブが入る。
 結局、勝ったのは女性チームだった。
 しかし、男性チームが何か問題があったわけではない。
 男性チームは男性チームで十分楽しめたのだ。
 なにより、対戦相手である女性チームの面々の水着姿、そして激しく動いてるその様子。
 誰かが言った。
「試合以上にいい物を見せてもらったよ」
 その言葉に頷く男性チームだった。