クリスマスドラマSPアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 うのじ
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/25〜12/29

●本文

 アメリカにある宇宙開発研究局。
 ここでは、日々、宇宙についての真理を探究している。
 しかし、そんな、研究局でも、たまには冗談をするときがある。
 それは、この冬の季節ならではの冗談で、サンタクロースを宇宙から観測し、それをネットに流しているのだ。
 そんな、お茶目な冗談で子供から大人までを楽しませていた。

 ‥‥と思われている。
 しかし、真実は違った。
 このサンタクロース追跡は単なる冗談ではなく、サンタクロースのためのGPS、並びにトラブルが起きたときの救助と言った様々な目的のための、サンタクロースサポートサイトだったのだ!

「今年も順調のようだな」
 一人の男が言った。
 目の前に広がる地球の絵の中を、光る点が駆けめぐっている。
 この点、一つ一つがサンタクロースなのだ。
「はい、この分なら、無事に今夜を過ごせそうです」
 コーヒーを差し出しながら、もう一人の男が言う。
「ありがとう。それにしても、毎年ここに勤務しているから、息子から恨まれてしょうがない」
 苦笑しながら、先ほどの男が受け取る。
「ん?」
 光の点の一つが赤くなり、動きを止める。
「トラブルか! エス−28、どうした? 応答願います」
 和やかだった空気が一転、緊迫した空気へ。
 その中に大きな声が響く。
「こ、こちら、エス−28じゃ、ど、どうやら、プレゼントが重すぎて腰が‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
 沈黙の中、小さく聞こえる声。
「だから、我が国のゲーム機は大きすぎて重すぎるって言ってるのに‥‥」
「そんなことは後回しだ。エス−28、ただいまより、救出に向かう。救出部隊と共に、サンタ衣装を着た者を派遣し任務を引き継ぐ。トナカイはまだ飛べるな?」
「うむ、頼む。トナカイは大丈夫じゃ」
 そして、通信が切れた。
「時空転移装置の使用を許可する。直ちに、クルーを向かわせろ! 俺たちはサンタとは違って、忍び込む魔力はない、そこに注意しろ! いいか、子供達の夢を壊すな!」
「了解しました!」


 ぱたん、と閉じられるドラマの台本。
 スタッフの一人が、横にいるスタッフに聞く。
「サンタクロースの話か。まぁ、この時期王道だけど」
「だけど?」
「一つ気になることがあるんだ」
「実は俺も、あれだろ? あれ」
 男性スタッフ二人は顔を見合わせて、口がゆるむのを押さえる。
「ああ、サンタ衣装って、やっぱりミニス‥‥」
 どがん。
 後ろからやってきた女性スタッフに叩かれた男性陣二人であった。

●今回の参加者

 fa0115 縞りす(12歳・♀・リス)
 fa0430 伝ノ助(19歳・♂・狸)
 fa1013 都路帆乃香(24歳・♀・亀)
 fa1338 富垣 美恵利(20歳・♀・狐)
 fa3225 森ヶ岡 樹(21歳・♂・兎)
 fa4354 沢渡霧江(25歳・♀・狼)
 fa4776 アルヴィン・ロクサーヌ(14歳・♂・パンダ)
 fa4823 榛原絢香(16歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●衣装合わせでピンチ
「よかったー」
 サンタ衣装を着た伝ノ助(fa0430)の喜びの声。
「どうかしましたか?」
 同じくサンタ衣装の森ヶ岡 樹(fa3225)が尋ねる。
「男の衣装もミニスカじゃなくてよかったっすよ」
「流石にそれは」
 伝の言葉に笑うイッチー。
 そんな二人に声がかけられた。
「ど、どうでしょう? これ、ちょっと小さすぎませんか?」
 声をかけたのは富垣 美恵利(fa1338)だ。
 彼女のサンタの衣装は、ヘソ出しミニスカサンタ服。
 防寒にはみじんも役に立ちそうもないような衣装だった。
 その衣装を身に着け、何とかスカートを下へ下へと押し下げている美恵利。
「ちょっと小さい気がするんですよね、これ」
 美恵利が、諦め半分に言う。
「あ、僕の衣装もちょっと小さい気がするんですよ」
 イッチーが美恵利に同意する。
 とはいえ、同じ『小さい』でも意味が違うのだが。
「これだと、動きにくいですよね。どうしましょう? 衣装さんに言ってみましょうか?」 
「そうですわね」
 美恵利が頷いた時、廊下に悲鳴が響いた。

 廊下には、ううーっと唸っている都路帆乃香(fa1013)がいた。
 心配そうに近づき声をかける伝。
「大丈夫っすか?」
「スカートがー長すぎてー」
 トロは何とか立ち上がりながら言うと、パンパンと叩き、ほこりを払う。
 トロの衣装は、美恵利とは対照的と言えるほどに丈が長くだぼだぼなのだった。
 長すぎるスカートを踏んでしまい、転んでしまったらしい。
「うーん、衣装が大きすぎるんですね」
「私たちもこの衣装じゃ小さすぎるって、今から衣装を替えて貰おうと思っていたんです」
「そうだったんですか。私も変えて貰おうかなぁ」
 理由は真逆だが、トロが衣装さんへの直訴の一員に加わった。

 結果、イッチーの衣装は素直にビックサイズに変更された。
 ご満悦のイッチーだったが、他の二人はと言うと、
「私たちはこのままなんでしょうか?」
「歩きにくいですよぉ、これじゃ」
 美恵利とトロは当然簡単に諦めなかった。
 ついに根負けしたスタッフから新しい衣装が手渡される。
 多少は着やすくなったものの、路線は同じだった。
「で、でも、お二人とも似合ってるっすよ」
 伝のフォローに苦笑する女性陣。
 あまりいいフォローではなかったが、その気遣いの思いは伝わったようだ。


●セキュリティハウスでピンチ
 ドラマで使われるセキュリティハウスと言う名のトラップハウス。
 現場に来ていた縞りす(fa0115)が言う。
「このお家は、しまりすのお家ではないのでぃすねぃ?」
「そうみたいだね。アルの家でもないみたいだ」
 アルヴィン・ロクサーヌ(fa4776)が答える。
 そんな二人の言葉を聞いたスタッフが言った。
「すぐに収録につかうわけじゃないですから、覗いてきてもかまいませんよ?」

「こんな風になってるんだ」
「なるほどね」
「‥‥」
「‥‥」
「どうしたの、二人とも?」
 榛原絢香(fa4823)が黙っているりすとアルに言う。
「見ないのか?」
 同じく沢渡霧江(fa4354)も言う。
「‥‥いや、見てるんですが‥」
 あっけにとられているアル。
「二人とも、いつのまに居たでぃすか!? 覗いてきてもいいって言われたときはしまりすとアルさんの二人だったでぃすのに?!」
「おもしろそうだったからさ、来てみた」
 さらっと言うキリエ。
「あたしも。こんな面白そうなのほっとけないよね」
 そう言い、先に先に進んでいくアヤを追いかけていくキリエ。
 取り残されてしまったのはりすとアルだ。
「あ、待ってくださいよー」

 四人が行き着いた場所は子供用の寝室。
 淡いブルーの壁紙にマッチしたお洒落な勉強机と家具の品々。
 お金持ちという設定のためか、勉強机にはパソコン、家具の上には中型のテレビにゲーム機。
 もちろんそれらはスポンサーの製品だ。
 そんな中、少し大きめなクマのぬいぐるみがふかふかのベッドの上に転がっていた。
「かわいー」
 アヤがベッドへ駆け出すと、自分も、と同じく駆け出すりす。
「わきゃっ」
 見事ベッドに飛び込んだアヤとは違い、床に錯乱したおもちゃに足を取られたりすは思わず家具に捕まろうと手を伸ばした。
 家具から、カチリとなにやら音がした。
「! 変な音がしたでぃす!」
「上です!」
 アルが声を上げるが、避ける間もなく、上から落ちてきた発泡スチロール制の雪に埋もれるりす。
「あーあ、やっちゃったな」
 苦笑するキリエ。
 怪我はないだろうが掃除と仕掛けを元に戻すのが大変なのは目に見えているのだ。
 しかし、アヤはふわもこのクマを抱きながらもうらやましそうに雪の山を見た。
「なんか、気持ちよさそうかも」


●クリスマスドラマSP
 サンタから宇宙開発研究局へ救難信号があった。
「時空転移装置の使用を許可する。直ちに、クルーを向かわせろ!」
 リーダーと思われる男性の声に、凜とした声の女性スタッフが答える。
「準備完了しました!」
 その女性スタッフは先ほどまでのスーツではなく、へそだしミニスカのセクシーなおとななサンタ姿になっていた。
「準備完了っす」
「準備完了ですよぉ。でも、なんで私だけこんなサイズなんですかぁ」
「準備完了だよ」
 さらに普通の男性に見える現代風のサンタや、だぼだぼサンタ服が可愛いちいさなサンタ、そして、一番サンタらしく見える太っちょサンタの準備が完了する。
 その4人が転送装置に向かうと、上のスピーカーから声が響く。
「いいこと? 私が指示をちゃんと聞こえるようにイヤホンマイクをしっかりとつけて。飲酒だけじゃなくて、イヤホンマイクを付けないでソリの運転なんて、事故の元なんだから」
 命令してているのか、心配しているのか、そんな高飛車な声の主は、転送装置の上にある強化プラスチックガラスの向こうにいた。
 金と銀を派手にあしらったミニスカサンタのお嬢様なサンタクロースだ。
 そのお嬢様サンタの合図を受け、次々と転送されていくサンタたち。
 彼らは、的確な指示の下、助けを呼んだサンタと合流することが出来た。
「柚香子から研究局。全員無事に合流。これより一名転送します」
 おとななサンタが本部に伝達をし、腰を痛めたサンタはたのんだぞぉーと言いながら転送され、無事に救出されたのだった。


「じんぐるべー、じんぐるべー」
 鼻歌を歌いながら忍び込み、プレゼントを置いていくのは、現代風なサンタだ。
「いい感じっすね、これなら簡単に終わりそうっすよ、天野さん」
 ペアを組んでいるちいさなサンタに無線で尋ねる。
 尋ねられたほうは、というと、お気楽とはほど遠い、まさに戦場だった。
「あれは近づくと明かりがつくタイプであっちのカメラは防犯用のおもちゃ‥‥え? なんですか? タクローさん」
「いや、特にいいっす。次の家、教えてください」
「次は、こちらですね」
 ちいさなサンタが指さしたのは、とあるマンション。
「ここの子って結構大きい子なんすねぇ。この年になるまで信じてくれてるのって、サンタとしてはなんだか嬉しいっす」
「そうですね、こういう子のために、サンタクロースの存在を私たちが守りましょうね。‥‥でも、ん〜、ここのシステムを止めるのって結構手間になりそうです」
 唸りながらもちいさなサンタがセキュリティの穴を見つけ、そこを肉体派の現代風なサンタが実行する。
 マンションの壁に張り付き、上りながら、目的の男の子の部屋にたどり着く。
 覗き込むと、そこには寝相のためか乱れたベッド、そして部屋の主である男の子は、タンクトップにスパッツという、ちょっとセクシーな服装だった。
「‥寒そう」
 そう言いながら、部屋に忍び込み、プレゼントを下げられた靴下にいれるサンタ。
 そこには一通の手紙とクッキーが添えられていた。
 『DEARサンタさん。アルベリッヒ・マイヤーより』


 おとななサンタと太っちょさんたのコンビは苦戦していた。
「わきゃっ?!」
 つるんと屋根の上で足を滑らせ、そのまま滑り台状態のまま落ちていくのはおとなのサンタさんだ。
 太っちょサンタさんを下敷きにしたおかげで、怪我はなくて済んだものの、ずっとこの調子でなかなか進まないでいた。
「ちょっと大丈夫? 心配で来ちゃったわよ、まったく」
 後ろから声がした。
 声の主は先ほどまで司令室にいたお嬢様なサンタだ。
「まぁ、サンタクロースの血を受け継いでるアタシが来たんだから、もう安心よ!」
 三人は何とか屋根の上に乗り、王道どおり、煙突から進入する。
「じゃ、行きますね」
 太っちょサンタが一番乗りで穴へダイブしたが、止まってしまった。
「‥‥すいません。なんかつまっちゃったみたいで」
「見れば分かるわよ!」
「どうしましょう?」
 困り顔の太っちょサンタとおとななサンタ。
「どうしようもこうしようもないでしょ。こうなったら、押し込むのよ! ほら、花脊も手伝って!」
 二人でなんとか太っちょサンタを押し込む。
 どすーん。
 かなり大きな音を立てて下に押し込まれた太っちょサンタ。
「う、うーん‥‥むにゃむにゃ」
 家の中でドングリ柄のパジャマを着た女の子がベッドの上で寝返りを打った。
 先ほどまで起きてサンタを心待ちにしていた少女の眠りはまだ浅いようだ。
 ゆっくり歩くサンタたちだったが、床がミシリと鳴ってしまう。
 思わずお嬢様なサンタが口を開く。
「何やっモゴ」
 間一髪、大声をおとななサンタが口をふさぎ難を逃れた。
 その後、何とか、可愛い少女を起こさずにプレゼントを渡すことに成功するのだった。


 ついに5人のサンタクロースが一軒の家の前に集合した。
「これで最後‥‥難易度レベル特A?」
 現代風サンタに答えたのは太っちょサンタだった。
 彼は資料見ながら言う。
「ああ、ホームセキュリティー社長宅。最後で最大の難関だよ。なんせ本職サンタもたまに引っかかるという噂もあるんだ」
「なるほど。警備装置会社の社長さんの家なんすね。どうりで」
 最後の難関を前にして一行は最大級の緊張感を漂わせていた、のは一瞬だった。
「まぁでもなんとかなるっしょ」
「うん。ここはみんなでがんばろー、おー」

 いつの間にか指令担当になったちいさなサンタさんが外部からセキュリティを解除し、指示を出す。
「玄関に入ったら右側の階段の電子セキュリティはカットできました」
「りょうかいっす」
「セキュリティがカットしてあると安心だね」
 しかし物理的なトラップが残っていたのだった。
 ねと。
「これは鳥もち?!」
「うわ、足が取られるっすよ。このままじゃたどり着けない‥‥」
 男二人が鳥もちにやられている横で、女性二人は冷静だった。
「大丈夫。わたしたちでやります。ナタリーさん」
「ええ、ここからはアタシに任せなさい」
 二人は、男達を足蹴にすることで鳥もちゾーンから抜け出し、子供部屋に向かうのであった。

 子供部屋にたどり着いた。
 後はプレゼントを渡すだけ、しかし、そこには見えない罠があった。
「ほにゃー」
 おとななサンタが、暗闇に転がる子供のおもちゃに足を滑らせてしまったのだ。
 あわわと手を伸ばし、家具に捕まるが、そこでスイッチを押してしまい、自動で天窓が開く。
 どさっと振ってくる雪、そしてそれに埋もれるサンタ。
「‥‥残るはアタシだけね」
 しかし、このタイミングで子供が目を覚ましてしまった。
「さんたさん?」
「メリークリスマス! さぁ何が欲しいのか言って御覧なさい!」
「えーと、僕はゲーム機が欲しいの。ウィ‥」
 ぱすっ。
 開かれた天窓から飛んできた小さな針。
「あ、あれは‥‥」
 外で指令をしていたちいさなサンタが空を見上げる。
 そこには、しんしんと降る白い雪、黄色く輝く月、そして、麻酔銃を構えたトナカイの姿があった。
「‥‥今まで姿を見ないと思っていたら、私たちを見守っていてくれたのですね」
 その声が届いたのか、トナカイは、ふっと自らの鼻の上を払う。
「危ないところだったな。間に合って良かったぜ」
 遅れてトナカイの姿に気がついたお嬢様なサンタも思わず苦笑いした。
「子供に姿を見られるなんてアタシもまだまだね。でも、これでこの子が欲しいものが分かったわ」
 そう言い、大きな箱を取り出すと、優しい笑顔で子供の枕元に置いた。
「‥‥重いわね、このゲーム機。エス−28じゃ腰を痛めるのも分かるわ」


 夜が明ける。
 無事に全てのプレゼントを配り終わったサンタ5人とトナカイ一匹は、お互いを労いながら帰路についた。
 朝日と共に広がる子供達の喜びの声。
「わぁ、プレゼントでぃすー」
「これ、欲しかったんだー」
 そしてここにも。
 階段を早足で下りてくる少年。
 彼は、サンタ宛の手紙の代わりに置いてあったプレゼントを大事そうに持っていた。
「父さん、母さん、ほら、プレゼントが来ている、ちゃんとサンタさんはいるんだよ」



スタッフロール(抜粋)
現代風なサンタ‥‥伝ノ助
ちいさなサンタ‥‥都路帆乃香
お嬢様なサンタ‥‥榛原絢香
おとななサンタ‥‥富垣美恵利
太っちょサンタ‥‥森ヶ岡樹
助けられたサンタ‥森ヶ岡樹
トナカイ‥‥‥‥‥沢渡霧江
よい子A‥‥‥‥‥アルヴィン・ロクサーヌ
よい子B‥‥‥‥‥縞りす