TJSラジオ収録2月アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 うのじ
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 4.4万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/21〜02/23

●本文

「『サンダージェットストリーム』」
 その番組は男二人のハモリ声で始まった。
「どーも、こんばんわ。サンダージェットの上田佐藤斉藤上田と」
「下田鈴木山田下田です」
 自己紹介の後、下田が言う。
「ちょっと長いな、この名前」
「‥‥これも、没? わがままだな」
 相方の上田のツッコミを上機嫌で受け流す下田。
「まぁ、それくらいのわがままも悪くない」
「? どうしたの? なんか変な感じ」
 首をかしげる上田。
「なんだよ、アレだよ。お前も知ってるだろ? 俺たちがまた司会を‥‥」
「ああ、その話か。でも、まだ言えないから、この場では言うな」
 一転、ブーイングをする下田。
「なんだよー、ケチー、ぶーぶー」


●第一週
「今週のゲストは、俳優の柿沢天昇さんです」
「どうも、よろしくお願いします」
 名前を呼ばれたカッキーがマイクに向かう。
「柿沢さんとは、年末の番組の打ち合わせでお世話になりましたけど、この番組では初めまして、ですね」
「そうですね。その時はお世話になりました」
「お世話しました」
 ぺこりと頭を下げるカッキーに合わせていう下田。
 当然、上田に叱られる。
「でも、ほら、俺、匿名希望って名前にしたのに、もろに名前だされたしな」
 下田の言葉に、苦笑する二人。
「確かに、出してましたね。まぁ、アレは止めようがないので」
「そうそう」

「さて、ところで、今日は、新しいドラマが始まるとか?」
「そうなんですよ」
 上田の振りを受けて、番組の宣伝を始めるカッキー。
「今度ですね、『108人の刺客』という番組の続編が決まったんですよ」
「時代劇?」
「ええ、前作は江戸時代が舞台だったんですけど、今作は戦国時代末期。本能寺の変後が舞台になるんです。あ、本能寺の変って知ってます?」
「知ってるわー! アレだろ? あの『光秀、お前もか』ってやつ」
「‥‥なんか違う気がするぞ、それ」
 上田の突っ込みを受けながらも、下田は続ける。
「でもさ、なんで時代が遡るわけ? 続き物なのに」
「ええ、それは、全く別のお話ということになってるんですよ」
 説明上手のカッキーにより、番組の宣伝はスムーズに進行していった。


 ラジオ番組『サンダージェットストリーム』。
 この番組は、旬なゲストに登場してもらい、近況報告や、様々な宣伝を、トークを交えて行う番組である。

●今回の参加者

 fa1744 雛姫(17歳・♀・小鳥)
 fa1814 アイリーン(18歳・♀・ハムスター)
 fa2495 椿(20歳・♂・小鳥)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa3867 アリエラ(22歳・♀・犬)
 fa4443 陽織(24歳・♂・一角獣)
 fa4980 橘川 円(27歳・♀・鴉)
 fa5307 朱里 臣(18歳・♀・狼)

●リプレイ本文

●第2週
「ほーるどあっぷ!」
 スタジオにアリエラ(fa3867)の声が響く。
「チョコが欲しければ手を上げてくださーい」
 雛姫(fa1744)が続くが、真っ先に手を上げたのは、一緒に乗り込んできた朱里 臣(fa5307)だった。

「こういうのって電波ジャックって言うんですよね」
「なんだかあっけなかったねー」
 ヒナとシンが雑談をしている中、アリーが言う。
「みなさん初めましてー、『アドリバティレイア』のアリエラです!」
「あ、ずるい、アリエラさん。私も! 『アネモネ』の朱里臣です」
「あ、私も。上田様と下田様、それからリスナーの皆様、お久しぶりです。雛姫です」
 三人の自己紹介が終わった後、本来の司会者の上田が言う。
「‥‥そろそろ、手を下ろしていい? っていうか喋るのは別にいいんだよね?」
「あ、はい、いいですよ。おつかれさまでした」
 悪人になるためにかけていたらしいサングラスを外しながらヒナが答える。
「‥‥まったく、やかましいやつらだなー。いきなり三人が飛び込ん‥‥」
 文句を言う下田だったが、アリーの言葉によって態度を一転させる。
「あ、お土産が有るのですよ! 遅いかもですが‥‥チョコです!!」
「‥‥綺麗なお嬢さんが三人も来てくれるなんて、俺の人徳かな」
 鼻の下を伸ばしかねない下田に対してシンが言う。
「いろいろ周囲からの情報で聞いていた通りなんだね‥‥下田さん、姫二人は臣が守るから!」
「だめですよー。下田様の魔の手から、お二人を守るのはわたくしの役目なんですから」
「節分の豆、ちゃんと用意してあるから大丈夫です!」
 それぞれ勝手なことを言い出すゲスト達だった。

 エクレアなどを手に入れて喜んでいる司会者二人。
「悪いな、俺のために」
「すいませんね。どうも」
 そんな二人に答えるシン。
「ちょっと時期は過ぎちゃったけど、まだ二月だから、大丈夫だよね」
「もちろん。そうだ、当日はどうだったんですか?」
 シンに尋ねる上田。
「私は有名店のチョコを自分用に買ったりしたけど‥‥ちゃんとあげたよ」
 えへへと照れるシンを見て、下田が言う。
「青春されると、年長組としてはうらやましいな。な、アリエラ?」
「私? 私も実はー、特攻したら‥‥春が来たのー」
 照れるアリーに上田が言う。
「あ、聞きましたよ。でも盾にするのは特攻って言わないよ?」
「あ、あれはそうじゃないのー」
 幸せそうなシンとアリーを前にして、下田が言う。
「それじゃ、雛姫はー?」
「え? わたくしですか? 今は音楽が恋人ですので‥‥。お二人は?」
「俺は‥‥そんなことより、そうか、雛姫はフリーか」
「信じられないよね」
 下田の言葉に続くシン。
「雛姫さんは絶対モテると思うんだけどなあ」
「そんなことないですよ。上田様、助けてくださいー。そうだ。上田様のバレンタインはどうだったんですか?」
「うわ、こっちに振ってきた!」

 ミュージカルなど多方面で活躍したい、といったヒナの意気込みや、最近活動を始めたシンの話。
 そしてアリーの約半年の『リバティー』活動と続いた。
「『リバティー』の全員でライブがーしーたーいーのーですよー」
 アリーの魂の叫びに、やかましい、とチョップを入れる下田。
「私もやっぱり『アネモネ』の皆と一緒に沢山ライブしたいなあ」
「臣ちゃんなら分かってくれると思ってた」
 シンの言葉にアリーがひしと抱きつく
「でもでも、この3人でユニット良いかなって」
 ヒナに抱きつくアリー。
「そうですね。その時はきっと、お二人が司会の番組で、是非」
「ああ、あれか。今回、俺たち二人は敵だよな、敵」
 ヒナの言葉に納得する下田に上田。
「なるほど。その時にはぜひ」
「どんな番組なんでしょうか? ちょっとだけ教えて欲しいな‥‥なんて」
 ヒナの言葉にちょっとだけ新番組について語り出す司会の二人だった。


●第3週
「ラジオ出演は初めてね。上田さんと下田さん、どうぞよろしくね。リスナーの皆さんも初めまして。ミュージシャンの橘川円よ」
 ゲストの橘川 円(fa4980)の微笑みに頭をふらつかせる下田。
「橘川さんは日本以外でも活躍なされているんですよね」
 司会の上田に答える円
「そうね。ヨーロッパに仕事で行く事が多いかな」
「奇遇だな。俺もヨーロッパによく行くんですよ」
「そうなんですか?」
 真顔で言う下田に、素直に答える円。
「ああ。ドイツとかね。この前はサンクトペテルブルクに」
「?? ロシアに行かれたんですね」
「‥‥ろしあ? あれ?」
 下田の嘘は簡単にばれてしまったのであった。


「ベースとチェロが得意なんですよね?」
「うん。私はロックを演奏することが多いけれど、ロックにチェロを用いることもあるのよ」
 最初のどたばたも終わり、円の紹介をリスナーにし始めた。
「ロックでチェロですか」
「そう。それが縁で、今はプロダクションに所属したりいろんなことがあったわ。せっかくだし、一曲聴いて貰おうかしら」
 そう言い、円かは曲を紹介した。

「へぇ、チェロでロック、面白いかも」
「そうでしょ? ベースもチェロも両方大切にしていきたいわね」
 下田の率直な感想に笑顔で答える円。
「あ、そうだ。話は変わっちゃうんだけれど、遅いバレンタインということで、ザッハトルテを作って来たの」
 忘れるところだった、と続ける円から、上田を押しのけ受け取る下田。
「俺に? いいの?」
「ええ、よかったら。先日仕事でウィーンに行ってきたばかりだから、つい作りたくなっちゃったのよね」
「しかも手作り! 返事は今す‥」
 下田の言葉を遮るように、スタジオの扉が開かれた。


「コンバンワー!! 食べ物あるトコに俺アリ! な椿デス」
 扉から現れたのは椿(fa2495)だ。
「橘川サンを下田サンから守る為、参上しマシタ!」
 敬礼ポーズをとる椿の目線の先にあるのは、下田の手におさまりつつあるザッハトルテ。
 シャーと威嚇する下田。
「あらあら、落ち着いて。ちゃんと椿さんの分もあるわよ」

 その後、円はリスナーへ優しい言葉を残し、スタジオを後にし、残ったのは男三人。
「えー、あらためまして、本日二組目のゲストはこの方です」
「『Stagione』のリーダー! の椿デス。改めて、おはよーゴザイマス&コンバンワー!! 今日は裏リーダーもいなくて、怖いモノは‥‥ココ、カット出来ないデスカ?」
 恐怖におびえる椿に、下田が答える。
「出来るけど、しない」

 そして、話は仕事の分野へ。
 芝居、アカペラロック、クラッシックとマルチに活動しているという椿。
 もちろん、裏リーダーの悪口もちゃんと口を滑らす、サービス精神旺盛っぷりを発揮。
 そんな椿だったが、悲しい思い出があった。
「そー言えば俺の誕生日は2月13日で、去年マデはチョコと一緒にされてたのに気付かなかったのデスが今年は‥‥両方忘れられてマシタ」
「おー、お前も独り身か!」
 何故か喜ぶ下田。
「あ、でも、裏リーダーからは煎餅貰ったナ‥‥」
「‥強く生きろ、な?」
「ウン」
 肩をポンと叩かれて、頷く椿。
「では、椿さんに強く生きて貰うために、番組で誕生日プレゼントをご用意しました! 満漢全席です!」
「ホント?!」
「じゃじゃーん、これです」
 上田が取り出したのは巨大なクラッカー。
「このクラッカー。満漢全席って言うんですよ。一つ、家の方に送っておきました」
「‥‥食べられない満漢全席」
「椿、がんばれ! 俺が応援してる! ファイトー! おめでとう!」
 喜ぶべきか悲しむべきか悩む椿へ向けて、巨大クラッカーが鳴らされた。


 クラッカーの掃除が済んだ後、三番目のゲストのDESPAIRER(fa2657)がスタジオ入りをした。
「おはようございます」
「おはようございます、ディーさん」
「‥‥先日は、ドタキャンをしてしまってすいませんでした」
 頭を下げるディーに、いやいや、と頭を下げ返す上田。
「気にしないでください。でも、ディーさんがそう言ってくれるなら、ちょっとネタにしようかな?」
「‥‥え?」

 ラジオ収録が始めまり、先ほど、椿の誕生日プレゼントを渡したことに触れる上田。
「そういえば、ディーさんも今月が誕生日ですよね?」
「‥‥はい」
 頷くディーに、小さな包みを渡す下田。
「そんなディーに、俺たちからのプレゼント。ハッピーニューイヤー!」
 下田に、それは違う、と突っ込んでいる上田。
 恐縮しながらも受け取ったディーが包みを開くと、その中には時計があった。
「これで、予定とかの管理はばっちり! だからもう大丈夫だ」
 親指をびっと立てながら言う下田。
 以前のドタキャンの事を言っているのが、リスナーにはともかく、ディーには十分にわかった。
「‥‥す、すいません」
 ますます恐縮するディーに、上田が言う。
「冗談ですよ。誕生日プレゼント、受け取ってもらえますか?」
「はい、ありがとうございます」

 ディーが最近手に入れた車。
 見た目も愛嬌があって可愛らしく、乗り心地も快適、整備もばっちり。
 けれどもただ1つ困ったことがあった。
「‥何だと思います?」
 ディーのなぞなぞのような質問に頭をひねる司会の二人。
「運転免許がなかった」
「‥はずれです」
「ハイオク専用のため、ガス代が高い」
「それもはずれです。正解は『目立つ』こと」
 司会者二人の答えが外れたため、自ら答えを言うディー。
 派手な色と、独特のスタイルのため、目立ってしまうのだ。
「なるほど。お忍びの時は使えない、と」
「はい。それでも気に入っていて、乗るだけじゃなく、実は、次のCDのジャケットかブックレットにでも使って貰おうかなとも思ってるんですよ」
 なんと、ようやっとここで始めて、音楽の話題になるのだった。

 最後に、ディーが言った。
「近々、皆さんにご報告することが、あるかもしれません‥‥」
「え? なに?」
 上田の言葉に、にっこりと応えるディー。
「‥もう時間がないようなので、また今度にでも」


●第4週
「初めまして、陽織と申します」
 ゲスト紹介された陽織(fa4443)の挨拶。
「『WB』というバンドでギターを担当しております。今回は口下手なリーダーに代わって、バンドの話をしに来ました。よろしくお願いしますね」
 そう言ったヒオの言葉は歪み無く発せられた。
「最初は陽織さんとリーダーの二人だったんですよね?」
「はい。そもそも『WB』の『W』はホワイト、『B』はブラックの意味で、前者が僕、後者がリーダーのイメージなんです」
 上田とヒオのきちんと噛み合った受け答えはまさにインタビューだった。

 メンバーの紹介が進んでいた。
「‥‥妹の恋人かぁ」
「はい、彼には是非、妹と幸せになって貰いたいですね」
 そういうヒオの顔には先ほどまで見せなかった感情が少しだけ浮かんでいた。
「彼じゃなくても、ほら、俺とかどうよ? 将来性抜群」
 下田の冗談も笑顔で流すヒオ。
「そうですね。本人の問題ですけど、できれば下田さんのほうから身を引いていただく方向でお願いします」
「うわー、優しくナイフで斬られた気がする!」
 よろめく下田に、上田が笑いながら、残念だったな、と声をかけた。
「陽織さんのほうは、恋人とかいないんですか? 今月はそういう月間みたいですが」
 上田の言葉に、苦笑するヒオ。
「僕ですか? そうですね‥‥今はギターが恋人でしょうか。たまにベースやバイオリンに浮気しちゃいますけどね」

 リーダーとヒオの関係は上田と下田に似ているらしい。
 それも夫婦関係。
 当然下田は騒ぎ出したが、そんな話をしつつ、時間が過ぎていった。
「最後に、陽織さん、メッセージの方をお願いします」
「はい。『WB』は結成五ヶ月目になりますが、漸く走り始めたばかりです。これからがむしゃらに走り続けるつもりなんで、応援の方宜しくお願いしますね」


「今月最後のゲストは、この方!」
 上田に紹介されたのはアイリーン(fa1814)だ。
「どうもー、アイリーンです。今夜はよろしくお願いしまーす♪」
 元気よく挨拶をするアイリーンに、司会者の二人も元気に返事を返した。

「アイリーンさんが、音楽活動をしはじめたのは最近ですよね? 前はドラマとかそういうので見かけることが多かったと思うんですけど」
 司会者の言葉に頷くアイリーン。
「デビューした頃はタレント業と、女優業を中心にやってたんです。音楽とかは、趣味に自分で書いた歌詞にパソコンで作曲の真似事で」
「下地はできてたんですね」
「そんなことないですよ。TVで音楽番組、例えばバトルザロックなんか見ながら音楽やりたいなって思ってたんですけど、専門でもないアマチュアがポンと行くには敷居が高い印象で、かえって盛り下げちゃうんじゃないかなーとか」
 アイリーンの言葉に、なんとなくわかる、と頷く司会の二人。
「確かになー。漫才とコントとかでも、ウケなかったらどうしよう、みたいなのあるしな」
「そうそう、そんな感じです、きっと」
 同じく頷くアイリーン。
「でも、案外、案ずるより産むが易しってことで、やってみたらうまくいっちゃうもんなんですよね」
「そうそう、そうなんですよ」
 また頷くアイリーン。

 アイリーンの音楽デビューは、関わっていたドラマのイメージソングの企画だった。
 そこから話が進んでいき、ヨーロッパやアジアで音楽活動がはじまったのだ。
「これからも、女優も音楽もがんばってくださいね」
 上田の言葉に、ありがとうと応えるアイリーン。
「まだプロに比べると見劣りしますし、不安も尽きませんけど、私が楽しいと思えるうちはチャレンジを続けていきたいですね。また、近いうちヨーロッパに戻りますけど、応援よろしくお願いします」